甲府駅から徒歩15分・極上のぬる湯を430円で楽しめる喜久乃湯温泉
喜久乃湯温泉は、甲府駅北口から徒歩15分ほどのところにある、昭和元年創業の歴史ある温泉銭湯です。
脱衣所にも浴室内にも、創業当時そのままのレトロな内装が色濃く残り、タイムスリップしたかのような感覚を覚えさせてくれます。が、喜久乃湯温泉のすばらしいところは雰囲気や内装だけではありません。お湯もすばらしく、おまけに料金も安いのです。
そんなすばらしい温泉銭湯・喜久乃湯温泉についてレポートしてみたいと思います。
甲府に温泉銭湯は多いが、駅から無理なく歩けるところでは喜久乃湯温泉が最強だと思う
甲府という街は実は温泉銭湯が非常に多い街でして、本当かどうかはわかりませんが「市内にあるすべての銭湯が実は温泉銭湯だ」という話も聞いたことはあります。
ただ、いくつか回ってみた限りでは、泉質のせいか、それともお湯の使い方のせいかはわかりませんが「ここは本当に、温泉なのかな……?」と思ってしまったところも実はありました。源泉の分析表がないところもありましたね。
すべての温泉銭湯を回ったわけではありませんが、甲府から徒歩圏内で日帰り入浴できるところでは結局、談露館が一番なのかなーと思っていました。
温泉銭湯の中では「草津温泉」はたしかに良くて、加水も加温もいっさいしていないかけ流しのお湯を430円で楽しめるのは、たしかに素晴らしかったです。ブログでも紹介しています。
ただ、駅から徒歩だと30分ぐらいかかるので、ちょっと遠いんですよね……。
そこで、喜久乃湯温泉です。
喜久乃湯温泉は、甲府駅の北口、談露館や草津温泉がある南口とは反対側の出口を出て、徒歩15分ほどのところにあります。
徒歩で何分までなら歩けるか?という感覚は人それぞれだと思いますが、私にとっては駅から15分は歩ける距離です。なぜなら、自宅から最寄り駅までが徒歩15分少々かかるものでね……。
甲府駅の南口は飲食店が多く、繁華街っぽい雰囲気がありますが、北口は歩き始めるとわりとすぐに、住宅街に入ります。
外観は改築されているのか、それほどレトロ感はありませんが、それでは、中に入ってみたいと思います。
喜久乃湯温泉の営業時間・定休日・入浴料金
喜久乃湯温泉の営業時間は午前10時から午後9時30分まで。定休日は水曜日です。
入浴料金は、銭湯の基本価格「430円」です。はじめに「入浴料金も安い」と書きましたが、他の銭湯よりも安いというわけではありません。
ただ、喜久乃湯温泉にはドライサウナがあるのですが、銭湯ではサウナは別料金というところも多いと思いますけど、喜久乃湯温泉では基本料金の430円にサウナの料金も含まれています。そう考えると、430円で楽しめることが多いということで、お買い得感があるかなと。
また、喜久乃湯温泉の入浴料金を「900円」と紹介しているところもありますが、900円は2階の大広間の休憩料金込みの値段です。私も、大広間には入ったことがないのですが、入浴料金+500円で、10時から18時までのんびりできるようです。
ちなみに、ドライヤーは有料なのですが(たしか30円)、銭湯によくある「10円入れると○分使える」機械があるわけではなく、番台で料金を支払うと置いてあるドライヤーを好きに使えるという仕組み。なので、ロングヘアの人はお得かもしれないですね・笑
こんな絵になる脱衣所はほかでは見たことがない
靴箱に靴を入れ(写真ありませんが靴箱もかなりレトロ!)番台で入浴料金を払って中へ。
創業当時の昭和初期の面影が今も色濃く残っていますが、けして不潔ではなく、床や台も、ピカピカに磨き上げられています。
無料で利用できる鍵付きのロッカーも、昔ながらのもの。
壁に貼られている広告?が、なんともいい味を出していますね。
美容院・薬局・洋装店。
太宰治は、昭和14年にこの近くに家を借り、美知子夫人と新婚生活を過ごしたそうです。
毎日午後3時ごろまで机に向かい、それから喜久乃湯温泉に来て汗を流すのが習慣だったとか。なんだか意外なほど、健康的な生活ですね。
コーヒー牛乳やフルーツ牛乳など飲み物も販売しています。コーラは瓶のコーラです!普段コーラなんて下山直後以外飲まないけど、銭湯に瓶のコーラがあるとものすごく飲みたくなりますね!飲まなかったけど……。(この後お酒飲むので)
レトロな体重計がかわいいですが、飾りではなく、ちゃんと使える体重計だそうです。鍵付きロッカーといい、そのへんがすごいですよね……。
まるでアトラクションのような(ナンジャタウンとかにありそう)脱衣所に大興奮!ですが、喜久乃湯温泉の主役はもちろん、脱衣所ではありません。浴室に行ってみたいと思います。
【風呂】★★★★★ お湯は極上!カランもシャワーも源泉!ぬる湯も交互浴もサウナも楽しめる
広々とした浴室には、中央に2つと、隅のほうに2つ、合計4つの浴槽が配置されています。
左右の壁一面が洗い場となっているので、混雑することもありません。
シャワーは銭湯によくある固定されているタイプで、カランも銭湯によくある、手で押している間お湯と水が出るタイプで、手に持って使える普通のシャワーや混合栓のカランと比べると使いやすさでは劣りますが、なんと、恐ろしいことに喜久乃湯温泉のシャワーとカランはすべて、源泉が使われているのです。
シャワーのお湯の温度は自分では調節できませんが、やや温めの適温で、熱すぎてシャンプーしにくい!ということもないので良かったです。
さて、浴槽です。真ん中にはひょうたん型と丸い浴槽が2つ。
こちらの2つの浴槽はどちらも「加温・循環」しており、だいたい42度ぐらいのやや熱めの温度に設定されています。また、どちらの浴槽もジェットバスになっています。
実は私、どこかで「喜久乃湯温泉は浴室の雰囲気はいいけれど加温・循環している」というレポートを読みまして「じゃあ、お湯はあまり期待できないのかな」と思っていた時代があったんです……。それで、喜久乃湯温泉に行くよりも先に草津温泉に行ってしまったのですが。
たしかに加温・循環はしていますけど、こちらの浴槽も、お湯の状態は特に悪くはありません。泉質はもともとさっぱりとしたものなのでわかりにくいですが、消毒っぽい香りがすることもないですし、十分良いお湯だと思います。
しかし、喜久乃湯温泉の特筆すべきところは、浴室の奥にあるこちらの2つの浴槽なのです。
ジェットバスとなっている浴槽は、湯温38度の「加温・かけ流し」で、一段高いところにある四角い浴槽は、25~27度ぐらいの「非加熱源泉かけ流し浴槽」です。素敵すぎる……。
非加熱の浴槽には、蛇口から常に源泉がかけ流されており、側にはコップも置いてあって飲泉もできるようです。口に含んでみるとクセがなくて、普通においしい水でした・笑
夏であれば27度の非加熱浴槽にじっくりつかるのもいいですし、寒い季節でも「42度・38度・27度」の浴槽を行ったり来たりして交互浴をしていると、永遠に楽しめてしまいます。
個人的にはジェットバスはあまり好みではないので、38度の浴槽もブクブクしなくてもいいと思うのですけど、好きな人は好きなんでしょうね。
また、非加熱浴槽はサウナを出た後の水風呂としても使われていました。水風呂と言うには少しぬるいかもしれませんが、源泉かけ流しの浴槽にサウナの後につかれるというのは、それはそれでなかなか贅沢ですよね。
脱衣所には温泉分析表も貼ってありました。昭和27年とかなり懐かしい感じのものですが、メタケイ酸が豊富な硫酸塩泉ということで、美肌の湯と言っていいのではないでしょうか。
本当に、こんないいお湯に気軽に入れる近所の方がうらやましいです。太宰治も通うわけですよね。
【再訪したい度】★★★★★ 甲府ではここと談露館を覚えておけばまず間違いない
甲府駅南口から徒歩8分のところにある談露館は、今でも甲府最強のお湯だと思っているのですが、ホテルの日帰り入浴ですので料金は税抜き1000円とややお高めです。(ただしレンタルタオル付き)また、週末など宿泊客が多い日は夕方以降の日帰り入浴はお断りされてしまうこともけっこうあります。
ですが、温泉銭湯の喜久乃湯温泉は、営業時間中はもちろんいつでも利用できますし、広々としていて、そこまで混み合うこともありません。そしてお湯は極上……。
なので最近の私は、登山帰りに甲府で温泉に入るときは、まず談露館に電話してみて日帰り入浴OKだったら談露館へ、NGだったら喜久乃湯温泉に行くようにしています。
もちろん、車移動なら他にもすばらしい温泉はあると思うのですが、甲府駅から徒歩で移動することを考えると、この2択が最強ではないかと思うのです。