伯耆大山登山前後の宿泊にも最適「皆生のお湯ってこんなにいいお湯なのか」と驚く極上湯の宿
鳥取県米子市の北側に位置する「皆生温泉」は、米子駅や米子空港からも便が良く、夏は海水浴客で賑わう海辺の温泉地です。
私が米子に足を運ぶのは大抵、大山(だいせん)登山のためで、皆生温泉に初めて泊まったのも大山登山帰りのことでした。10年以上前に初めて大山に登った後、皆生温泉の海に面した温泉宿に泊まったのです。
そのとき泊まった宿はお湯の印象はやや薄く「まあこんなもんかな」と思っていたのですが……今回ご紹介する「三井別館」のお湯はぜんぜん違いました。
広々とした大浴場にものすごい勢いで源泉がかけ流され、そのお湯の新鮮さと湯使いのすばらしさに圧倒されました。
建物は古いですがその分お安く泊まれますし、土曜日も1人泊可能。
季節限定のプランを選べば、境港産姿紅ズワイ蟹が1枚ついたプランで、税込11,880円~宿泊可能です。(2024年2月現在)
とにかくお湯重視の方におすすめしたい三井別館についてレポートしたいと思います。
一人で泊まれるおすすめの温泉宿もたくさん紹介しています。
- 伯耆大山登山前後の宿泊にも最適「皆生のお湯ってこんなにいいお湯なのか」と驚く極上湯の宿
米子駅からバスで大山寺に向かい、日帰り大山登山
日本百名山の1つにも数えられる大山(伯耆大山)は、登山口の「大山ナショナルパークセンター」まで米子駅からバスが出ており、公共交通機関利用で日帰り登山ができるありがたい山です。
登山道もよく整備されていて登りやすいこともあり、東京から便のいい場所ではありませんが、これまで3度登っています。
米子地区路線バスの「観光道路経由本宮・大山線」もしくは「大山町内路線」に乗り「大山寺」で下車します。
バス停の側にある「大山ナショナルパークセンター」にはコインロッカーやトイレもあり、登山道の情報も掲示されているので、立ち寄って身支度を整えてから登ります。
大山寺の参道から歩き始め、途中で右に曲がり夏山登山口へ。
10月下旬、夏山登山道は紅葉の盛りでした。土曜日なので登山者はかなり多く、ところどころでプチ渋滞も。
歩き始めはまあまあいい天気だったものの、山頂周辺はガスっていて真っ白。
3度登っていますが毎回こんな感じで、なかなかすっきりと晴れてくれません。
日本海側の山だから仕方ないのか……。
下山途中には、雲の切れ間から青空が覗いていました。海の向こうにうっすらと見える島の影は、隠岐諸島でしょうか。
下りは、6合目避難小屋の先にある分岐から別のルートに入り「大神山神社奥宮」に出るルートを歩きました。
神社から大山寺の参道に出て、バス停に戻ります。
大山寺発米子駅行き午後出発のバスは激混み!なのでタクシーで皆生温泉へ
大山寺から皆生温泉に向かうには、大山寺→米子駅→皆生温泉と米子駅を経由してバスで向かうことになるのですが……実は、大山寺から米子駅に向かうバスはかなり本数が少なく、10時台のバスの次の便が15時台というダイヤです。素直にバスを乗り換えて向かうと、皆生温泉に着くのは17時前になってしまいます。
しかも大山周辺は、近年外国人観光客に人気のスポットらしく、15時台のバスは激混みなのです。この日私は14時ごろ下山したのですが、既に15時台のバスを待つ人が並んでいたほどでした。
それで「ここから激混みのバスを乗り継いで17時に着くのはちょっとなあ」と思い、今回は贅沢して皆生温泉までタクシーで行くことにしました。所用時間30分ほど、料金は7000円弱でした。痛いけど仕方ないわ……。
チェックイン時刻より少し前に皆生温泉に着いたので、浜辺を歩いてみることに。
海を見渡せる絶好のポジションに設置されている像は、皆生温泉の開発に尽力した有本松太郎さんという方の像だそう。
海岸沿いにホテルや旅館がずらりと並んでいます。
今日泊まる三井別館は、お湯はいいけれど海には面していないのですよね。私はあまり眺望は気にしないタイプなのですけど、やはり海辺の宿のほうが人気があるのでしょうか。
秋晴れのこの日は、波打ち際で遊ぶ人もちらほら。
海水浴場のイメージだったけれど砂浜の面積はけっこう小さめなんですね。もう少し歩けば広い砂浜もあるのだろうか。
海辺をしばらくぶらぶらと歩き、15時になったので本日の宿に向かいます。
皆生温泉 三井別館にチェックイン
本日のお宿「三井別館」にチェックイン。
全50室の中規模の温泉宿です。
この日は企業の旅行か研修が入っており、個人客は少なめのようです。
入口の黒板に私の名前もしっかり書いてありました。
中に入ると、昭和っぽさを感じる内装ですが、じゅうたんやソファなどはきれいで、きちんと手を入れられている宿だと思いました。
フロントの奥に庭を眺められるラウンジのようなスペースがあったものの、特にこちらを使うことはなくフロントのみでチェックインは簡潔に終了。お部屋に案内してもらいます。
【部屋】★★★☆ Wi-Fiがやや弱めなこと以外は設備が整っていて快適に過ごせる
予約していたのは「和室または和洋室おまかせ(喫煙)」のお部屋。
禁煙ルームがあれば選びたかったのですが、どうやら禁煙なのは「訳ありツインルーム」のみのようで、この日は空室がありませんでした。
案内されたのは2階の角にある207号室。
ドアの前に見えるのは予備の浴衣が入っている棚のようです。
フロントの周辺は壁やじゅうたんもきれいに見えましたが、客室のある棟は壁などにやや傷みが見られます。まあ、個人的には許容範囲です。
案内されたのは10畳の和室、広縁、トイレ洗面付き。
昔ながらの旅館の和室です。
喫煙ルームですが、煙草のにおいは特に気になりませんでした。
窓からの眺望は特にありませんが、これは海辺の立地ではないのでわかっていたことですし、個人的には何も気にしません。
広縁にはやや大きめのテーブルと、ゆったりとかけられる椅子が2脚。
広縁に洗面台もありました。
バス付きではない部屋ですが、一応ドライヤーも置いてあります。
トイレも新しくはないけれど、掃除は行き届いていて清潔ですし、ウォッシュレット付きで問題なし。
空の冷蔵庫と湯わかし機能付きポット、冷水の入ったポットもあり。
設備・備品は不自由なく揃っています。
一つ残念だったのは、Wi-Fiは利用可能だったものの、速度はちょっと遅めだったこと。
お茶菓子は「因幡の白うさぎ」です。ほんのりバター風味の餡が入ったお菓子でおいしい。
タオル、バスタオル、浴衣と羽織。
浴衣のサイズが合わない場合は、自分で廊下の棚の浴衣を持ってきてOKとのこと。
この日は、大山寺の参道沿いにあったお土産屋さんで大山Gビールの季節限定ビール「コーヒー・デ・ヴァイス」を購入していたので、お風呂上がりに部屋にあったコップを借りていただきました。
コーヒーの焙煎工房とコラボしたビールだそうで、コーヒーをローストしたような香ばしい香りと、ヴァイツェンのバナナ臭が合わさって、甘く濃厚な香りがしました。味も飲みやすく大変おいしかったです。
【風呂】★★★★☆ 時間帯で交換となる2箇所の大浴場は湯量豊富で泉質も抜群
三井別館の浴室の利用時間は「チェックイン~24時」までと「翌朝5時30分~9時」までです。
三井別館には大浴場が「人魚の湯」と「御影の湯」の2箇所あり、朝と夜で男女が入れ替わります。
なぜか人魚の像がある「人魚の湯」
宿泊した日に「チェックイン~24時まで」女湯となっていたのは「人魚の湯」でした。
脱衣所は広々としています。鍵のかかるロッカーなどはなかったので、宿泊の場合は貴重品は部屋で管理したほうが良いでしょう。
ドライヤーもたくさん設置してあり、Panasonicのドライヤーなど普通に風量があって使えるドライヤーでした。
化粧水や乳液、櫛やカミソリなども設置してあり、リーズナブルな宿泊料金であることを思えば十分すぎるほどです。
温泉分析書が掲示してありました。
源泉温度63.8度、ph7.3のナトリウム・カルシウムー塩化物泉です。
源泉が高温のため加水していますが、加温・循環・消毒なしのかけ流しです。
浴室へ。
露天風呂はありませんが、大きな窓があり光がたくさん入る明るい浴室です。
なぜ「人魚の湯」なんだろうと思ったら……浴室の隅に人魚とイルカ?の像が設置してありました。
皆生温泉のビーチに人魚の伝説でもあるのかしら……と思って検索してみましたが、特に何もないようです。
シャワー付きの洗い場もたくさんあり、水圧や温度調節も問題なし。
シャンプー&コンディショナーとボディシャンプー、酒粕美容パックなどが設置してありました。
寝湯や半身浴が楽しめるように浴槽が浅くなっているスペースもあり、お湯の温度も41度程度と適温に調節されていて、気持ちよく湯浴みを楽しむことができました。
脱衣所も浴室もさらに広々「御影の湯」
翌朝は交代して女湯になった「御影の湯」へ。
「人魚の湯」の脱衣所も広かったですが、こちらはさらに広々。
冷水機の設置もあり、ドライヤーやアメニティなども人魚の湯と同様に揃っています。
温泉分析書も掲示してあり、人魚の湯と同様に加水のみあり、加温循環消毒なしのかけ流しでした。
浴室もかなり広々としています。
洗い場と浴槽の間の距離がゆったりしているので、浴槽に浸かっているときにシャワーと使っている人の水しぶきが飛んできたりしなそうなのはとても良いなと思いました。
浴槽も広い……。
しかし「御影の湯」というからには御影石が使われているのかなと思いましたが、浴槽自体は普通のタイル張りでしたね。
浴槽の縁の部分は、御影石っぽくも見えますが、これが名前の由来なのでしょうか。
洗い場には人魚の湯と同様のアメニティがセットされています。
広々とした浴槽にドバドバと常時お湯がかけ流されており、ふんわりと温泉の良い香りが漂います。
ホームページ上には特に記載がないのですが、日帰り入浴も受け付けているようで地元の方にも人気のようです。
夕方の時間帯は少し混み合いますが、それ以外のほとんどの時間帯でゆったりと湯浴みを楽しむことができました。
【食事】★★★★ 2食付き1万円台前半のプランでも境港産紅ずわいガニが1杯つく
三井別館のスタンダードな2食付きのプランは「大山ハーブ鶏と境港産姿紅ズワイ蟹1枚付基本会席プラン」で、料金は曜日にもよりますが1人泊で税込13200円から。
宿泊人数が増えたり、早割などのプランを利用すればさらにお安く泊まることができ、ボリューム・内容から考えるとかなり割安な宿泊料金に感じました。
三井別館のドリンクメニュー
ドリンクメニューはそれほど多くはないものの、ビール、日本酒、焼酎、ウィスキー、ワインなど一通り揃っています。
日本酒は「大山Gビール」と同じ「くめざくら大山ブルワリー」の日本酒「大山山ろく久米桜」や、境港の千代むすび酒造の「鬼の舌震い」というちょっと変わった名前のお酒など。神話がモチーフになっている名前のようですね。
グラスワインはありませんが、鳥取県内にある「北条ワイン醸造所」の赤ワイン・白ワインがそれぞれハーフボトルとフルボトルで用意されていました。
日本酒、焼酎、ワインともに鳥取県産のお酒が揃っており、なかなか楽しめるラインナップだなと。ビールだけはキリンとアサヒのみだったので、大山Gビールの小瓶などあればさらにうれしかったかもしれません。
夕食は魚介たっぷりで蟹が丸ごと1杯つき、ボリュームたっぷり
食事は朝夕ともに食事会場でいただきました。
衝立などはありませんが、テーブル同士の間隔はかなり離れており、1人でも気楽に楽しめました。
夕食開始時に最初に並んでいた料理はこちら↑
揚げ物など、温かい料理については後から持ってきてくださいました。
お酒は「久米桜 本醸造」の2合瓶をオーダー。
すっきりとした味わいで、食事をしながら飲むのにちょうどいい味わいです。
食前酒は梅酒。
お刺身は5点盛りでなかなか豪華!
サーモン、鯛、帆立、カンパチ、甘えび、でしょうか……。お品書きがなかったので詳しくはわからなかったのが少し残念ではありますが、海がすぐそこという立地だけあって、お刺身は新鮮で大変おいしかったです。
白子豆腐は日本酒によく合うお味。
茶碗蒸しは、あとから蒸したての熱々で持ってきてくださいました。
そして、茹でガニ。
1人に1杯ついてきます。
わりと大きさもあり、お酒を飲みつつおいしくいただきました。
煮物はかぶら蒸し。優しいお味です。
蒸し物はなぜか「3食シュウマイ」でちょっと驚いたのですが……。
蒸籠で蒸したてのシュウマイをたっぷりの野菜と一緒にいただくのはなかなか良かったです。
今回私は、スタンダードな「大山ハーブ鶏」のつくプランではなく、なぜかグレードアップして「和牛陶板焼き」のプランで申し込んでいました。
「地元産食材だし、大山ハーブ鶏でも十分だったのでは……」と着いてから思ったのですが、和牛陶板焼きもボリュームもしっかりあっておいしくいただきました。
天ぷらは天つゆで。
海老と野菜というシンプルな天ぷら、揚げたてで持ってきていただいたのでおいしくいただきました。
最後にご飯とお吸い物と漬けものと。
フルーツとお茶をいただいて、ごちそうさまでした!
朝食後にはコーヒーのサービスあり
翌日の朝食も同じ会場で。
席に着くとすぐに、ご飯とお味噌汁を持ってきてくださいます。
冷や奴、ポテトサラダ、ソーセージ、焼き魚は鯖。
温泉卵に焼き海苔、切り干し大根、白和え、がんもどき、ご飯と漬けもの。
シンプルですが品数もしっかりあり、おいしくいただきました。
食後にコーヒーのサービスがあったのがうれしかったです。
【再訪したい度】★★★★☆ お湯は最高で食事・サービスもお値段以上の満足度
2食付きのスタンダードプランで1万ちょっとで1人泊できることを思うと、かなり満足度の高い宿だと思います。土曜日でも2食付き15400円、早めに予約すれば早期割で14300円で宿泊可能です。
とにかくお湯がすばらしくて「皆生温泉ってこんなにいいお湯だったのか!」と驚きました。
館内や客室内には古びている部分もありますが、きちんと掃除されていますし、客室内の設備(トイレ・洗面・冷蔵庫・ポット・ドライヤー)もしっかり整っていました。Wi-Fiだけちょっと惜しかったので、ワーケーション利用などWi-Fi必須な人だけは気をつけたほうがいいかもしれません。(部屋の位置によりそうな気もしますが)
客室への案内や食事の給仕をしてくださったスタッフの方たちも、対応がしっかりしていたので安心感がありました。
また米子に行くことがあれば宿泊先の候補にしたい宿です。
【1人旅に優しい度】60点:1人でも泊まりやすいが、食事場所やWi-Fiが気になる人はいるかも
泊まりやすさ 15/20
ゴールデンウィークなど超繁忙期のみ1人泊不可だが、通常の連休や休前日であれば1人で泊まれる。
1人泊の料金アップは、2人で泊まったときの1人分の料金+2000円ほどで、良心的なほうだと思う。
食事場所の配慮 5/20
食事会場での食事。
テーブル同士の間隔は広めだが、衝立などの目隠しはないので、気になる方は気になるかもしれない。
プランの選択肢 20/20
1人で泊まっても2人以上で泊まっても予約できるプランは同じで、すべての部屋に1人でも祝泊可能。
ドリンクオーダー 10/20
焼酎とウィスキーはグラスオーダー可能。日本酒は1合オーダー可能なのは1種類で、他に2合瓶が2種類。
ビールは中ジョッキか中瓶。ワインはハーフボトルからで1人でオーダーしやすいお酒はやや少なめ。
フリーWi-Fi完備 10/20
室内でWi-Fi利用可能だが、速度はやや遅め。
一人旅をもっと楽しみたい方に向けたエッセイです。
一人で泊まれるおすすめの温泉宿もたくさん紹介しています。