それでも、1人で山に登るのが好きです
2年ほど前「ソロ登山のメリット」というタイトルで記事を書きました。
書いてから2年以上経った今でも、ありがたいことにわりと多くの人に読んでもらえている記事です。
実は、この記事を書いた当初から「メリットを書いたからにはデメリットについても書かなくては」とは思っていました。
1人で登ることは楽しいですが、それとは裏腹に1人で登ることのデメリットもまた多いのは事実です。メリットだけを強く訴えてそのままだと「一歩を踏み出すためのきっかけ」を作っただけになってしまい、本来「1人で登るべきではない人」の背中を押してしまうことにもなりかねないな……とは、書いた当初から感じていました。
そうは思いつつも、デメリットだけをまとめた記事はあまり楽しい内容にはなり得ない、ということもあってなかなか手を着けられず、ずいぶん時間が経ってしまったのですが……ようやくまとめることができました。
ぜひ「ソロ登山のメリット」の記事と合わせてお読みいただければと思います。
- それでも、1人で山に登るのが好きです
- 1人で登る理由が「一緒に登る相手がいないから」なら相手を探したほうがいい
この記事を書かなくては!と思ったきっかけは、もちろん
先日女性の単独登山で痛ましい事故が起こったことです。
「だから1人で登山なんてやめろとあれほど!」という意見もたくさん見ました。もっともな意見だとは思います。
ただ、読んで思ったのは
「単独登山は事故が起こりやすい」だから「単独登山をしてはいけない!絶対に!」
という結論の出し方は、いささか乱暴ではないか?ということです。
実際に登山をされている方ならご存じだと思いますが、恐らく登山をしない方が想像しているよりもずっと、1人で登山をしている方は多いのです。老若男女、当たり前のように1人で登山を楽しんでおり、単独登山は決して特別な行為ではなく、登山の1つのスタイルとして定着している、というのが実情だと私は考えます。
「単独登山は危険だからやっちゃダメ!一緒に行く相手がいないならツアーに参加するなり山岳会に入るなりすればいい」という答えは、一つの選択肢としてはありかもしれませんが、現時点で1人で登山をしている人、これから1人で登山してみたいと思っている人の大多数をフォローしうる回答だとは思えません。
なんというか……「保育園落ちた!仕事復帰できない!どうしたら?」という悩みに対して「それならば親と同居すればいい」と返されたかのような感覚を覚えます。そりゃ、一昔前はそうだったかもしれないし、それができれば苦労しないけど……そもそもそれが嫌だからあがいているのに、回答がそれでは意味なくない?みたいな。……伝わりますでしょうか。わかりにくい喩えでしたらすみません。
「単独登山」をすることについての現状
2019年9月現在、登山雑誌や登山関連書籍を発行している出版社からは、定期的に単独登山についての特集号が出たり、ムック本が発行されたりしている、というのが現状です。
PEAKSを発行しているエイ出版社でも。PEAKS本誌でも年に1度は必ず「ソロトレッキング特集」が組まれますし、ソロトレッキングをテーマとしたムック本もたくさん出ています。
「山と渓谷」を発行する山と渓谷社でも同様に、年に1度は本誌で単独行についての特集が組まれ、単独登山についての本も出ています。
登山を始めて間もない人向けのイラストエッセイ本をたくさん出されており、女性登山者の支持を強く集めている鈴木みきさんも、ソロ登山についての本を出されています。
鈴木さんご自身も1人で山歩きをする機会が多いそうで「ひとり登山へ、ようこそ!」は、私が登山を始めて間もないころのバイブルの1つでした。
現時点で言えば、登山業界全体で見ると「単独登山!ダメ!ゼッタイ!」というところまでは態度を硬化せず、一つの山行スタイルとして容認する姿勢でいるように私は感じています。*1
恐らくそれは、全登山者の中で単独登山者がある程度の割合を占めているという実情を踏まえ、それを制限することで登山人口が減少し、登山業界が衰退することのないように、という思いからではないかと思います。私自身、もしも罰則付きの法律で単独登山が禁じられるようなことになったら、それでも登山を続けようと思うかは自信がありません。
それから「ダメ!ゼッタイ!」という態度を取ったところで、結局1人で登る人は登ってしまうので、それならばせめて正しい知識を身につけて、装備もしっかり揃えて登ってもらえるよう啓蒙したほうがいい、という思いもあるのかもしれません。
アウトドアメーカーの気持ちになって考えると、登山のスタイルは多様であったほうがいろいろな商品が売れる、という側面もありますよね。普段はグループで登っているけれどソロでも登りたいな、と思ったら、ソロ用のテントやクッカーなどを揃える人も多いと思います。
現時点ではまだ、私たちは「1人で山に登る」ことを許されています。推奨されてはいないとは思いますが……。
でも、今後も同じようなことが続けば、いつ潮目が変わるかはわかりません。
私が始めて奥穂と槍に登った2012年には、涸沢から奥穂に、槍沢から槍に登るのにヘルメットを被る人などほとんどいませんでした。でも今は、8割以上の人が被っています。
前回登ったときにそこまで危険度が高いと感じなかったこともあり、本当に必要なのかな?とは思いつつも、私も今年は槍ヶ岳山荘でヘルメットを借りて登頂しました。山の常識はけっこう簡単に覆るんですね……。
私自身「一緒に登る相手がいないから仕方なく1人で登っている」のではなく「1人で登るのが好きだからそうしている」登山者の1人です。
今後、1人で山に登るときに肩身の狭い思いをする未来が来ることのないように、なぜ、1人で山に登ってはいけないと言われるのかをきちんと考えてみなければいけないと思いました。もちろん、端的に言えば「単独登山のほうが事故が起こりやすいから」なのですが、それならばなぜ、単独だと事故が起こりやすいのか。一つ一つの原因をつきつめて考えれば、事故が起こる可能性を減らすための試みだって考えられるはずです。
ここから先は、単独登山のデメリットについて、実際に私が1人で山に登っていて感じたことを挙げていきたいと思います。
デメリットの1から4まではいわゆる「1人だったために不便だったり大変だったこと」という意味でのデメリットです。もし、ここまで読んで「なんだ、単独登山ってけっこう大変だし面倒なことが多いんだな」と感じた方は、無理に1人で登ろうとせず、山仲間を見つける方向に進んだほうがいいと思います。実際、大変だったり面倒なことも多いし、グループで登るよりお金もかかります。
「大変だったり不便だったりするのは当たり前だし、それでも1人で登りたい!」
と思う方には、デメリットの5以降も読んでいただき、単独登山が一つの登山スタイルとして今後も容認され続ける未来を守るために、一緒に考えていただけますと幸いです。
デメリット1:装備を分担して揃えたり、担いだりできない
登山の装備の多くは、ザックやレインウェアなど1人1人がそれぞれに持たなければならないもの(個人装備)ですが、テント泊を始めようという段階になると「テント」や「クッカー」「バーナー」など、1グループで1つあれば十分な装備がいくつか出てきます。
これらの装備は高価な物も多く、現在テント泊を楽しんでいる人でも「テント泊したいけど装備が揃っていないからできない」という時期はきっとあったと思います。
しかし、既にテント泊の経験がある人と一緒に登り、その人が2人以上でも使える装備を持っていれば、とりあえず使わせてもらうことができます。また、山岳会やサークルなどに所属すれば「共同装備」として用意されていることも多いです。
すべての装備をいきなり自分1人で揃えなければならないことは、単独登山のわかりやすいデメリットだと言えるでしょう。
もし、今まだテントなどの装備を持っていなくて、それでも「山に泊まってみたい」と思うのなら、まずは経験のある人と一緒に行ってみたり、サークルや山岳会に所属することを検討してみてもいいかもしれません。案外飛び込んでみたら、かけがえのない山仲間が見つかる可能性もあると思います。
装備は揃っても、分担して持つことができないのはきついときもある
1人で登山する際は、当然ながらすべての荷物を自分で担がなければなりません。
でも、2人以上のパーティで登山するなら共同装備や食料などは分担して持つことができます。簡単に言えば、テントや食料などの重い装備は、経験のある人、体力のある人に多めに持ってもらい、体力がない人の負担を減らせるよう調節ができるのです。
男女の2人パーティで登っている方はかなり多いと思いますが、女性のほうが重い荷物を担いでいることは少ないのではないでしょうか。男性にとってはあまり関係ないかもしれませんが、単独で登山をする女性にとっては、重い荷物を分担できないことはけっこう大きなデメリットと言えます。
テント泊でも、1泊であればそこまでの重荷にはなりませんが、3日以上の縦走になるとそのぶん食料が増えるため、日数が増えるほど大変になるのです。
私がこれまで最も長い日数をかけて山を歩いたのは、新穂高温泉から雲ノ平周辺を周回した5泊6日の縦走登山です。その行程の中で雲ノ平でテント泊をした際に、隣のテントが男女の2人パーティだったのですが。
テント場で、何がきっかけだったか忘れましたが少しお話して「夕食を一緒に食べませんか?」と誘われたのです。断るのもなんだなと思ってご一緒させていただいたのですが、お二人は生の野菜をたくさん運び込んで豪華な食事を作られてまして。
「遠慮せず食べてほしい」と勧められたのですが、アルファ米にフリーズドライの親子丼をかけた自分の食事がみすぼらしく思えて、少し悲しかったですね……。
「ここまでこんなに食材を担いで来るの、すごいですね」
と称えたところ、料理を作られた女性の方に
「私はフリーズドライの食品とか本当にダメで……。山でもできるだけおいしいものを食べるのが生きがいなんですよ!まあ、担いでるのは全部この人なんですけどねー」
と返され。まあ、そうですよねと納得しつつも。
山でおいしいものを作って食べたい!という女性にとっては「単独であること」は大きなデメリットになり得るかもしれませんね。テントもクッカーも、もちろんシュラフもマットも自分で持って、さらに食材も……となると、なかなか大変です。
個人的には、グループ登山の人と比べることさえしなければ、山で食べればラーメンでもアルファ米にカレーでもなんでもおいしいとは思うのですが。
装備と、それらを担ぐための体力を養うための準備についてはこちらの記事↓に書きました。
ちょうど1年前に書いた記事ですが、来年からテント泊をしたいとお考えの方に、ぜひ読んでいただきたいです。いきなり重い荷物を担いで歩くのは、特に女子にとってはきついと思いますので!
デメリット2:交通費を割り勘できない&前泊もしにくい
私は公共交通機関を利用して登山しているので、基本的には電車とバスで登山口に着けるルートを選んで登山しています。
ただ「バスは通っていないけれど、どうしてもこの山に登ってみたい!」というときは、駅からタクシーを利用することもたまにあります。
こんなとき、もちろん1人ではタクシー代を割り勘できませんから、けっこうな代金を1人で支払うことになってしまいます。1万円のタクシー代でも、4人いれば2500円になるのに……。
それから、山麓の宿に1泊して登山口まで送迎してもらうこともたまにあります。百名山などの有名な山の登山口近くにあるペンションや民宿は、登山シーズンは登山口まで車で送迎してくれることを売りにしている宿がけっこうあるのです。
ですがこういった宿は「1人泊を受け入れていない」ことがかなり多いのです。電話すると「平日で空いているときなら1人でもいいですよ」と言われたりもしますが、会社員ですのでそれもなかなか難しく……。でも、宿としては混み合う登山適期の週末は、1人客より2人以上に泊まってほしいでしょうから、それは仕方ないですよね。
私にも数少ない山友達がいるのですが、普段はそれぞれ1人で登っているのですけど、タクシーを利用したいときや前泊したいときだけ、一緒に登ったりしています。
1月の週末だけ冬期営業している金峰山小屋に泊まりたくて、韮崎駅から瑞牆山荘までのタクシー代を割り勘したり。
そういう、ある意味都合のいい山友達が複数人いればいいんでしょうけれど、一緒に登る以上ある程度は、登山のスタイルだったり行きたい山だったり、話が合う相手でなければ苦痛になってしまいますし、なかなか難しいことではありますね。気を遣わなくてすむ相手じゃないとしんどいですし。
デメリット3:順番待ちや場所取りはずっと自分がいなければならない
これは、つい先日の槍ヶ岳登山の後、平湯温泉に向かうバスを待つタイミングで痛感しました。
この状態で既に1時間以上待っているのですが、暑いし、眩しいし、テント泊のでかいザックを持った状態で、少しずつ少しずつ進んでいく列に並び続けるの、本当にきつかったです。日傘を持っていたことだけが救いでした。
結局2時間近く並ぶことになったのですが、その間、2人以上で並んでいる人たちは交代で冷たい飲み物を買いに行ったり、涼しい場所に休憩に行っているんですよね。でも、1人ではそんなことはできません。だから並ぶ前にトイレに行って、飲み物を買って、準備万端で最後尾について、ずっと並び続けるしかないのです。
上高地に限らず、混み合う山ではけっこうな頻度で「順番待ち」や「場所取り」が発生します。公共交通機関利用だといっそう、その機会は多いです。
テントの場所を確保するときなどの、荷物を置いておくことでなんとかなるケースばかりではないので、そんなときは「こういうとき1人はしんどいよなあ」と思います。
デメリット4:異性の登山者に絡まれやすい
これは「女性が男性に絡まれる」ことが多いとは思うのですが、以前そういうテーマの記事を書いたら「若い男性が年配の女性に絡まれるケースもある」と言われたので、単純に「異性の登山者」としました。
ただ、単独男性が女性の登山者に絡まれたとしても、鬱陶しいなとは思っても身の危険を感じるようなことは少ないと思いますので、やはり、デメリットとなりやすいのは女性の単独登山者ではないかとは思います。
そういうテーマで書いた記事はこちらの記事です。
1人で登山しているとき、特に山小屋に泊まると、本当によく、絡んでもらえます。
↑そちらの記事にも書きましたが、見知らぬ登山者の方から、食べかけの食べ物をいただいたり、これまで登った山自慢をされたり、明日はどの道を歩くつもりなの?もっといいルートがあるから一緒に歩こう!と言われたり、駅まで車で送るよ!というか東京まで一緒に帰らない?と言われたりとか、本当にいろいろです。
あと、写真を送りたいから住所を教えてくれと言われたり、八ヶ岳の麓にある別荘に招待するから連絡先を教えてと言われたり。
あと、最高に強烈だったのは、山小屋で出会ってお話したというわけでもなく、山道で2度すれ違っただけなのに、いきなり「エフビーやってない?友達になってよ」と無理矢理スマホで登録させられそうになったりとか。
こちらの記事↑に書きました。エフビーとはもちろん?Facebookのことです……。
テント泊ならテントに閉じこもっていればあまり構われることはありませんが、山小屋泊の場合は、多少愛想悪くしておくぐらいでないと、本当にしんどい状況になることもあります。女性でもグループだとそこまで構われることはないようですので、恐らく1人だからこそなんでしょうね。
1人静かに山と向き合いたいから1人で山に来たはずなのに、1人で来たがゆえの人間関係に悩まされてしまうなんて「いったい何のために1人で山に来たんだろうか」と頭を悩ませてしまったこともなくはないです。
常にそういうことがあるわけではありませんが、これから1人で山小屋に泊まってみようと思っている方は、一応覚悟して行ったほうがいいとは思います。
デメリット5:すべての判断を自分で行わなければならない
「ソロ登山のメリット」の中で、「自分のペースで歩ける」「行きたい山だけに、行きたいときに行ける」「当日体調や天気が微妙だったらすぐに予定変更できる」ことをメリットとして書きました。
私自身は、天気の悪い山には登りたくないので、登山口まで行ってみて「これはないな」と思ったら温泉に入って帰ってきてしまうタイプです。でも、同行者がいて「このぐらいの雨なら行くでしょ!」「ここまで来たのに……上に行ったら晴れるかもよ?」などと言われたり、あるいはツアー登山などで中止の判断が出なかったりしたとしたら。気が進まなくても決行となり、雨の中を歩くはめにもなりかねません。だから「すべて自分で判断して決められる、一人登山は最高だ!」という、メリットとして書きました。
ただしそれは「判断がある程度正しいとき」に限っての話です。
1人で山を歩く人が、雨天時の山歩きが嫌いな人ばかりではないはずです。誰かと一緒の登山なら「こんな天気の悪い日に行くのはやめようよ。どうせ上に行っても真っ白だよ?」と止められて仕方なく中止にすることもあるでしょう。しかし、単独登山ではそういう抑止力は働かないので、悪天を物ともしないタイプの単独登山者は「このぐらいの雨、ぜんぜん行くでしょ!」と、迷うことなく決行するはずです。
もちろん、それで何事もなく登山を終えられれば「○○山に行ったけど最初から最後までずっと雨で・笑」という笑い話になったり、あるいは「奇跡的に稜線に出たら晴れ間がのぞいて幻想的で美しかった」という、思い出になったりするのかもしれません。
ですが「高度を上げて稜線に出たら登山口で想像していた以上の悪天で、視界が悪く道に迷ったり転滑落」というような事になれば「悪天なのに強行した無謀な単独登山者の遭難」という事態に陥ってしまいます。
歩くスピードや歩く行程に関しても、自分のペースで、自分の思ったとおりの行程で歩けるのはソロ登山のメリットではあります。
ただしそのスピードや行程が「安全面から見て適正範囲であれば」の話です。1人でのんびり歩きすぎたり、立てた計画に無理があったりで、目的地にたどり着く前に日が暮れてしまうようなことがあれば、やはり「無謀な単独登山者」と呼ばれる事態に陥ってしまいます。
2人以上いれば正しい判断ができる!とは限らないけれど
では、2人以上いれば無理な計画を是正したり、遅くなったペースを速めることができるか?と言われると、必ずしもそうとは言えませんが、経験や体力のある人、慎重な人が同じパーティにいれば、最悪の事態は防げることも多いと思うのです。
たとえば、途中でバテて歩くペースが遅くなった人がいたとき、体力のあるメンバーがその方の荷物も背負ってあげることができれば、少し楽に歩けるようになるでしょう。たまにいますよね、ザックを2つ担いで歩いてる人。
また、私の彼氏は雨男で、しかも雨の日が大好きという変態なのですが、一緒に計画した登山の日が雨だったら、私は絶対中止にします。だって私が雨の中を登るの嫌だから。
彼は友人と登山をすることもあるのですが、あるとき友人と一緒に金峰山に登る計画を立てていました。大弛峠からの往復で、金峰山小屋に1泊する計画で。
それ自体は特に問題ないと思うのですが、当日は台風が近づいている影響で、大雨予報でした。
それでも彼らは登山口まで向かい、歩き始めたそうなのですが、途中で雨が強まってきたので友人が「今日は中止にしよう」と申し入れ、引き返すことにしたそうです。
帰宅後に
「俺はぜんぜん行けると思ったんだけどなー。絶対山小屋空いてて快適だったよね」
と、なぜかやや自慢げにのたまう彼氏に「おまえは絶対1人で高山には行くな」と釘をさしたことは言うまでもありません。友達グッジョブ。まじでやめてくれ。。。
もちろん、経験があって装備も十分に整えた登山者であれば、少しの悪天など物ともしない人もいるでしょう。でも彼は、そのときが初めての山小屋泊で、しかも「重い靴は嫌い」と言ってトレランシューズで山に登る人なのです。
大弛からの往復ならそこまでの危険箇所はないとは言え、道迷いや低体温症の可能性もありますから、本当にやめてくれてよかったと思いました。
一人で登山するとき、すべての判断を自分で行うことになるのはメリットでもありますが、デメリットにもなり得るのです。
デメリット6:一定レベル以上はレベルアップが難しくなる
「ソロ登山のメリット」の一つとして「一定レベルまではレベルアップしやすい」ことを挙げました。
「一定レベル」とはどんなレベルかと言うと「自分で計画して、自分の決めた行程どおりに歩ける」というレベルです。他に頼れる相手がいませんから、行きたければ自分で計画するしかないですからね……。
グループで登山する場合、経験あるメンバーがいればその人が計画を立てるでしょうし、歩くときも先頭に立って歩いてくれるはずです。登山を始めたばかりの頃は「道を間違えず、変な分岐や横道に入ったりせずに正しい道を歩くこと」や「どこに足を置いて歩けば滑りにくいか」というようなことをクリアするのが案外大変だった記憶があります。しかしグループ登山なら、前を歩く人について行けばいいので楽です。楽ではありますが「上達」という意味では1人で歩いたほうが早いだろうと思うのです。
経験ある人と一緒のほうが、レベルの高い山には挑戦しやすい
とは言え、単独登山のほうがレベルアップしやすいのは「自分で計画を立てて計画どおりに登山を遂行できる」という、言ってみれば初級レベルまでの話です。
「危険の少ない山に無理なく登れる」レベルまで到達した後は、自分よりもずっとレベルの高い、がんがん登れる人と一緒に登ったほうが俄然上達は早いと思います。
先日、槍ヶ岳に登った際に槍の穂先で近くを歩いていた男女の2人パーティと、槍ヶ岳山荘の食堂で相席してランチを食べる機会があったのですが、女性のほうは今回が初めての槍ヶ岳とのことで、そこまで経験値の高い登山者という感じではなく。ですが男性は、身のこなしや装備を見ても話を聞いても、いかにも熟練登山者という雰囲気でした。
2人がこれから歩く行程について聞くと「今日はこれから南岳小屋に向かい、明日は大キレットを超えて穂高岳山荘へ、翌日は前穂を経由して上高地に下る」とのことで、つまりは「槍穂縦走」などと言われたりする北アルプスのゴールデンルート!しかし、岩場の連続で気が抜ける箇所がなく、恐らく私は今後も歩くことはないだろうなという難易度の高いルートでした。
たぶんその女性の方も、一人で歩くことはできないでしょう。(というか一人登山自体されないということだったけど)でも、経験のある方のサポートがあれば、一人では歩けない道も歩けてしまうんですよね。
ただ、私は岩場歩きに自信がないのでとてもできませんが、岩場が得意な方であれば、サポートなどなくても一人で、槍穂縦走する人もいくらでもいるとは思います。難易度は高いとは言え、一般ルートの縦走登山ですからね。
けれど、本格的な冬山登山や、沢登り、クライミングなどの特殊な技能が必要な登山をしたいと思ったら、やはり一人では厳しいと言わざるを得ないでしょう。経験者の助けを借りず、あくまで単独にこだわると、登山のレベルを一定以上に上げるのは高みを目指すほど困難になってくるのです。
デメリット7:滑落・遭難しても気づいてもらえないことが多い
「単独登山はやめなさい」と言われるときに、最も強調されるのはこのデメリットではないでしょうか。これまで挙げたデメリットに比べると、山に登らない人にも理解しやすい、とてもわかりやすいデメリットですよね。
日本百名山などの人気の高い山に、天気のいい週末に登っていればだいたいいつも周りに人がいるんじゃない?滑落したら誰かが気づいてくれるんじゃないの?
と思いたい気持ちもあるのですが、実際には週末に人気の山を歩いていても、ふとした瞬間に1人になることはけっこうあります。
1人で歩きたくて単独で登山をしているのですから、むしろ喜ぶべき時間ではあるのですが、万が一そのタイミングで事故が起こったら、誰にも気づいてもらえない可能性はたしかにあるでしょう。
また「グループだろうが単独だろうが、滑落してしまったら助からないことがほとんどなんだから、単独だからより危険ってことはないんじゃない?」ということもわりとよく言われます。
たしかにそれももっともなのですが「かろうじて助かるかもしれない」範囲の事故だったときは、仲間が迅速に対処してくれたか、誰にも気づかれず人も呼べず携帯も通じなかったか、では結果に大きな違いが出てくることは間違いないでしょう。
また、不幸にも助からない事故だったときも、グループで一緒に歩いていた仲間が気づいていれば、そのまま放置されるようなことはないですよね。事故として報道はされるかもしれませんが、大量遭難でもない限り、大きな話題になったり本人の落ち度を批判されるようなことはないでしょう。
単独の場合、目撃者がいないことがありますからなかなか見つけてもらうことができず「○○山で単独登山者が行方不明」と大きく報道されてしまったりします。また、登山計画書をしっかり出していなかったりすれば
「家族が山に行くと言って出かけたきり帰ってこない」
→「どうも○○山に登っていたらしい」
→「この人を見かけた人いませんか?とSNSなどで拡散される」
という手順を踏んで、登山をする人にもしない人にも、あらゆる方向に拡散されてしまいます。それで見知らぬ人に「単独登山なんかするからだよ」「捜索費用も税金なのに」などと批判されたりするのかと思うと、もしその時点で自分がこの世にいなかったとしても、それはだいぶしんどいデメリットだなと思うのです。
デメリット8:自分がどの程度のレベルかを客観的に判断しにくい
1人で山に登ったときのレポートをブログに書いているからなのでしょうが、私のところにはときどき
「今度○○山に登ろうと思っているのですが、1人で登っても大丈夫でしょうか?」
というメールが来ることがあるのです。正直なところ「知らんがな」としか答えようがないのですが……。
「これまで○○岳には登ったことがあって…」というような登山歴が添えられていたりもするのですが、どの季節のどんな天気の日に、どのルートをどのぐらい時間をかけて登ったのかでかなり変わりますし、さらに言えば今度登る日がどんな天気でどんなコンディションか、その人がどんな性格かにもよります。つまりは「わかりません」としか答えられないし「迷うならやめておいたほうがいい」が正解なような気がするのですが。
どうしてそういう質問が来るのかな?と考えると、自分がどのぐらいのレベルかわからないし、そんな自分に登れる山がどの程度のものかわからないから、不安なんでしょうね。相談してくれる人は、難易度の高い山に「いけるっしょ!」で行ってしまうタイプの人よりは、まじめで慎重なんだろうなとは思います。
「行ける」という返答が欲しいんだろうなと思うのですが、会ったこともない私には「わかりません」としか言えません。次からそういうメールが来たときは、この記事のURLを送ろうかなと思っています。
山岳会は登山レベルのチェック機関という役割を持っている
私も、最初から1人で登山しようと思っていたわけではないので、登山を始めて間もないころはサークルや山岳会の見学に行ったりもしていました。
そのときに知ったのですが、山岳会に入会すると、個人での山行もすべて計画を会に提出する必要があり、一緒に登ったことがある先輩から「あなたの登山レベルならこのプランなら行けるでしょう」という認可が下りない限り、勝手に登山をしてはいけないんだそうです。
私自身は、山岳会を見学に行ったタイミングで既に、1人でそこそこいろいろな山に登っていましたし「なんか面倒くさいな」と思ってしまいましたが、たしかにその方法ならレベルにそぐわない計画を実行してしまうリスクは減ります。ただ、実際入会している人の話を聞くと「この計画はハードすぎてどうせ許してもらえないから内緒でこっそり行こう」みたいなこともあるとのことでしたが。まあ、正しく使えばですね。
山岳会まで行かなくても、自分より経験がある登山者と一緒なら「あの山ならいける」「あの山はまだやめておいたほうがいいのでは」というような助言ももらえるでしょう。同じぐらいの登山レベルの山仲間であっても「全員が初心者」でなければ、話しているとだいたい自分のレベルがわかってきたりもします。
仲間がおらず完全に1人で登っていると、地図や山行記録を眺めただけでは「自分はこの山に登れるレベルに到達しているのか」を判断できないので、不安になることもあるでしょう。自分のレベルでは登れない山に、そうとは知らずに行ってしまう人もいると思います。それは単独登山のデメリットと言えそうです。
1人で登る理由が「一緒に登る相手がいないから」なら相手を探したほうがいい
単独登山にはメリットもありますが、多くのデメリットもあります。
もし「1人で登山をしている(しようとしている)」理由が「一緒に登る相手がいないから」だとしたら、まずは一緒に登る相手を探す努力をしてみてもいいと思います。
意外に思われることもあるのですが、私自身登山を始めたばかりのころは、1人で簡単な山に繰り返し登りながら、一緒に登れる相手を探していました。当時彼氏がいなかったこともあり、一緒に登れる恋人ができれば一石二鳥だな、と思っていたところもあります。
↑詳しくはこちらの記事にまとめましたが「mixiの登山コミュニティ」「山岳会」「婚活サイトで登山が趣味な人とマッチング」「社会人サークル」「人づてに紹介」など、かなりさまざまな方法を試しました。山に出かけたときもなけなしの社交性を振り絞って同年代と思われる登山者と会話し、連絡先もたくさん交換しました。
しかし、どうしても「常に誰かと一緒に登る」ことは性に合いませんでした。気のあう相手とたまにならいいんですけどね……。
まだ相手を探してみたことがない方にはぜひ、1度は真剣に、さまざまな方法を駆使して探してみていただきたいです。今ならFacebookの登山コミュニティとかもありますし、TwitterやInstagramで山仲間を見つける人もいるようです。
インターネットがなかった時代はおそらく、山岳会や登山部に入るしか仲間を見つける方法はなかったはずですから、いい時代になったものですよね。
それでも、1人で山に登りたいならどうすればいいのか
一緒に登る相手を探してみても、グループ登山に参加してみても、やっぱりピンと来なかった……。やっぱり私は1人で登りたい!どうしても単独登山が好きなんだ!
そう思われた方のために、私自身が普段実践している「単独登山のデメリットを少しでも減らすための試み」をご紹介しますので、参考にしていただけたらと思います。
登山計画書を確実な方法で提出する
出さないよりはましですが「登山口で紙に書いてポストに入れる」のはほとんど意味がないと私は思います。捜索は一刻を争うことがほとんどでしょうに、かなりの枚数がある登山計画書の中から該当の計画書を見つけるだけで、どれほどの時間が無下に過ぎていくのかと……。
おすすめは「コンパス」というオンラインで登山計画書を提出できるサービスです。
オンライン上で登山計画書を提出するとURLが発行されますので、それを家族などの「緊急連絡先」となる相手にまずは共有します。
URLをクリックすれば、通過予定時刻付きの詳しい登山計画書を参照できますので、登山口やルートを説明する手間も省けます。
↑ちゃっかり、徳澤園では30分以上休憩する予定を立てていた私です。トースト食べたいのでね……。
そして登山を終えて下山したら「下山通知」ボタンを押せば完了ですが、下山予定時刻を過ぎて数時間*2が過ぎても下山通知ボタンが押されない場合は、まずは自分自身の連絡先メールアドレスに「下山通知を忘れていませんか?」というメールが届きます。それでも通知ボタンが押されなければ、緊急連絡先に指定していた家族や友人のメールアドレスに「下山通知が届いていません」というメールが届くという仕組みです。
そこで家族なり友人なりが警察に通報すれば、詳細な登山計画書がすぐさま警察にも共有され、迅速に捜索を始めることができるというわけです。
私も以前は警察署宛てにメールで(CCに緊急連絡先としている友人を入れて)登山計画書を提出し「○日の○時までに下山の連絡がなかったら通報してください」と、所轄の警察署の電話番号を添えて友人に登山届を出していました。でも、数日かけて縦走するときなど特に「3日後の指定した時刻までに下山連絡があるか」を、友人がちゃんと覚えていてくれるか不安だったんですよね。忘れられてしまって、下山連絡がないのに通報してもらえなかったら困りますから。同居の家族以外に登山届を託す場合はそういう心配もあるのです。
コンパスなら、緊急連絡先に指定した相手がうっかり忘れてしまうこともある程度防げるし、登山計画の共有も迅速です。もしかしたら他にも同様の登山計画の共有サービスがあるかもしれませんが、個人的にはコンパスで満足しています。
無理な計画を立てない
たとえば山中で調子を崩しても、助けてくれる同行者がいませんので
「自分のギリギリ限界の力でようやく遂行できる登山計画」
は、立てないほうがいいと思います。
限界ギリギリの6~7割ぐらいの力でいけるであろう計画を立てておくのが個人的にはおすすめです。
たとえば私の場合、テントを担いでも8~9時間ぐらいは、がんばればまあ、歩けるのですが、通常はテントを担いでは6時間ぐらいまでしか歩かない計画にしています。
テント場とテント場の間が距離があったりして、どうしても8時間以上歩かなければならないこともありますが、通常はフルパワーの6~7割のゆるめの計画にしておいたほうが、何かあってもなんとかなることが多いと思いますし、何より疲れすぎないので下山後も楽で、いいことばかりです。
計画通りに歩く努力をする
登山地図に載っている「標準コースタイム」と、自分の普段のスピードがどのぐらい差があるかを把握し、自分の立てた計画どおりに歩けるように意識するように、私はいつもしています。
誰にでも苦手な道、得意な道がありますので「こういう道のときは標準コースタイムの何%で歩けるけど、こういう道だと何%かかってしまうな」ということが、意識しているとだんだんわかってくるのです。それがわかると、登山計画の精度が上がります。
私自身は登りよりも完全に下りが苦手で、特に、ザレていたり岩の多い下りでは標準コースタイムより時間がかかってしまうことがあります。反面、上りはわりとどんな道でもスムーズに歩けることが多いです。「下りで遅れがち」という自分の特性がわかっていれば、逆算して、山頂でのんびりしすぎずに早めに出発したりできるというわけです。
「自分の立てた計画どおりに確実に歩くなんてつまらない」と思う方もいるようなのですが……これは私個人の考えですけど「登山計画書で提出した計画どおりに歩く努力ができない人は、単独では山に入らないほうがいい」のではないかと思っています。
見ていると、けっこういるんです。山小屋やテント場で出会った見知らぬ人に
「あなたが明日歩こうとしているそのルートより、こっちのルートのほうが楽しいですよ」
と言われて、あっさりルートを変更してしまう人を。
まあ「こっちのほうが楽しいですよ」ではなく
「そのルートは今崩落していて危険だからこっちのルートにしたほうがいいよ」
と現地で言われて変更することもあるでしょうから、絶対に変更しちゃダメ!ってことはもちろんないですが、その際は提出済みの登山計画書もWeb上で修正するか、それが難しければ家族や友人には変更した旨を伝えておくべきと思います。変更したルートを歩いているときに何か起こらないとも限らないわけですから。
バックパッカーをしていた人なんかに多いんですけど「計画をあまり立てずに、現地で情報を仕入れて行きたくなったところに行く」みたいな旅を好む方、いらっしゃいますよね。登山以外の旅ならそれもいいと思いますが、山ではその楽しみ方はしないほうがいいと、強く思います。
情報収集を怠らない
自分のレベルに合ったルートを選んだつもりでも、そのルートが今どういう状態かで、難易度は大きく変わってきます。
冬なら積雪がどのぐらいか、春夏なら残雪があるか、秋以降なら雪が積もったか、凍結箇所があるか。崩落していないか、などなど。
ありがたいことに最近はヤマケイオンラインの山小屋情報や、TwitterやFacebookで小屋番さんが最新の現地情報を伝えてくれますので、そのあたりは必ずチェックしたほうがいいと思います。
それから、ヤマレコやYAMAPなどの登山記録の共有サービスで、次に歩こうとしているルートと同じルートを直近で登った人の記録を参照してみるのも参考になりますね。
難しいと言われているルートは避ける
どのレベルからを「難しいルート」と感じるかは人によって変わりますが、自分の中で「難しそう」と思うルートは、できる限り1人のときは避けたほうがいいと思います。
まずは誰かと一緒に行ってみるか、あるいは最初から1人だったとしても、いきなりテント泊装備を担いで登ったりすることのないよう、計画に工夫をすることが必要です
やはり、重装備のときは動きが鈍くなりますから、まずは日帰りや小屋泊の軽い装備で歩いてみて「これならいけそうかな」と思ったら次回はテント泊装備で通過するように、私はしています。
担ぐ荷物の重さで難易度はけっこう変わります。私もそうですが、槍ヶ岳の穂先に登ってみて「そこまで難しくはないよね」と思った方はけっこういるのではないかと思います。でも、もし同じ道をテント泊装備を担いで登るとしたら、どうでしょうか。
そうやって、できる限り難易度を下げる努力をすることが、単独登山には必要ではないかと思うのです。
難しいところに行きたいなら学ぶ
私自身はもう「楽な山を歩くことを楽しもう」と心に決めてしまったのですが、技術を上げて難しいところに行きたいと思うなら、学ぶことにお金を惜しまないことも必要ではないかと思います。
どこまでを「楽な山」と捉えるかも人それぞれではありますが……。
たとえば、クライミング技術などを学ぶなら、高価でもきちんとした技術書を買ったり、教室に通うことももちろん有効です。
「きちんとした技術書」をあまり買っていない私ですが……「岳人」の連載をまとめた「大人の山岳部」はおもしろかったし、ためになりました。
また、以前山で出会った、ずっと単独で登山されている男性は、冬山登山を始めた年に東京都山岳連盟主催の冬山教室に通ったと言っていましたね。
毎年開催されていて、費用も9万円近くかかるのですが、半年間毎月、座学と泊まりがけの実技講座を開催しての値段なので、けっこういいのではないかと思います。
「1人で山に登ってはいけない」未来を迎えないために
1人で登ることのデメリットを理解したうえで装備や計画を整え、悪天を避けて自分の実力に見合った山を登れば「1人で登った」ことが原因で、事故に遭う確率はかなり減らせるはずと私は考えます。結局のところ、1人で登ろうとグループで登ろうと、事故が起こる確率はゼロにはできないのですから。
単独登山者は何かあれば「これだから単独登山者は」と言われてしまうというハンディを持っているのです。そんな風に言われてしまう隙を見せないよう、常に意識することが安全登山につながるのだと信じて、これからも登っていきたいと思います。