名剣温泉
名剣温泉は、宇奈月温泉から黒部峡谷鉄道のトロッコ電車で1時間半、終点欅平駅から徒歩15分ほどのところにある、秘湯の温泉旅館です。
秘湯宿ですが設備も整っており食事もおいしく、お湯もすばらしい宿ですが、週末は1人泊のプランの設定はありません。
でも、恐らくこの宿なら誰かと一緒に泊まってもきっと満足してもらえるはず!と思い、数年前の11月初旬に、友人と2人で泊まってきました。
ブログを始めるよりも前の宿泊ですので、写真はいつもよりちょっと少ないのですが、すばらしい宿でしたので雰囲気だけでも伝わればと思い、レポートしてみることにしました。
紅葉がすばらしい黒部峡谷鉄道に乗り、欅平へ
名剣温泉には、元キャバ嬢の友人と一緒に行きました。
富山の山奥にある温泉を、週末の1泊2日だけで楽しみつくすために「金曜の夜に夜行バスで東京を出発し、翌朝富山駅前に到着」というプランを組んだのですが、夜行バス旅に賛同してくれる友人が、私の周りにはキャバ嬢と山仲間のL氏しかいないのですよね・笑
早朝6時ぐらいに富山駅前に着き、電鉄富山駅から宇奈月温泉駅へ移動し、宇奈月からトロッコ電車で欅平に向かいます。
宇奈月温泉駅前は、そのときは工事をしていましたね。
そしてこちらが、黒部峡谷鉄道宇奈月駅。
おお!!!赤く染まる山を背負っていますよ!!ちなみにこの日は、11月8日か9日でした。11月初旬頃が紅葉のピークみたいでしたね。
黒部峡谷鉄道はネット予約して席をおさえておくことができるのですが、紅葉まっさかりの週末ということで、混むかも……と思い、あらかじめ予約しておいた私。
予約した電車まで、まだ時間がありますので宇奈月駅構内にあるレストラン「レストイン黒部」で朝食兼昼食をいただきます。
キャバ嬢は白えびかき揚げ丼をご注文。
私は白えびかき揚げ蕎麦をいただきました。
やっぱり富山に来たからには白えびよねー。
窓の外にも美しい紅葉が見えて、わくわく。
さあ!乗りますよトロッコ電車へ。
これが先頭車両というか、機関車ですね。
EDR型、というらしいです。
実は、この記事を書こうと思ったのはトロッコ電車について書かれたかみなし子さんのブログを読んだから。 そう言えば私も乗ったなあ、と思いまして。
私が乗ったのは数年前ですので、もしかしたら変わっている部分もあるかもしれないですね~。
では、出発ー!
山の赤と、鉄橋の赤と、緑がかった水のコンストラストが美しいですね。
宇奈月駅の次の駅「柳橋駅」
なぜかここだけ、駅の写真を撮っていました。
実は終点の欅平駅まで全部で10駅ぐらいあるんですけど、多くは、電力関係の設備があるだけの駅なので、一般客の乗降はないんですよね。。。
柳橋駅の周辺は紅葉が特に赤くてきれいだったんですね、きっと。
その後も、紅葉も水もきれいなんですけども。
1時間以上乗っているので、だんだん飽きてきてしまいまして・笑
後半は水の色はちょっと濁ったようなミルキーブルーになり、紅葉は鮮やかな黄と赤になっていっそうきれいだったのですけれど。
最初はテンション高かったキャバ嬢も、後半はほとんど寝てました。
黒部峡谷鉄道には「普通客車」「リラックス車両」「特別客車」があり、普通客車が一番安くて窓がない、オープンな車両なんですが……真夏ならともかく、11月にオープン車両は寒かろうと思い、窓有りの車両を予約していたんですけど、大正解でしたよ。。。
そんなわけで後半は、半分寝ているうちに欅平駅へ到着です!
トロッコ電車の終着駅となる秘境の駅とは思えない、立派な門構えで驚きました。
河原周辺を散策してから名剣温泉へ
夜行バス利用で早朝に出発した甲斐あって、この時点でまだお昼過ぎです。
宿のチェックインは15時からなので、欅平周辺をぶらぶらして楽しみます。
これは、駅から徒歩10分かからないぐらいのところにある、河原展望台という展望スポットですね。
↑こちらの画像の右手に見える屋根のようなものが、足湯の上にかかっている屋根でして、足湯をしながら景色を楽しむことができます。
しかし、特に展望スポットでなくても、紅葉がきれいなのでどこを見ても楽しいですね。
河原展望台からさらに20分ぐらい歩いて、猿飛峡というところまで散策しました。
渓流の水がとてもとてもきれい。
この日は水量も多くなかったので、河原周辺まで散策できます、という看板が出ていました。
でも、寒そうなので我々は河原までは行かず。。。
まだ時間あるけど、どうする?ということで、河原展望台の近くにある「猿飛山荘」なる日帰り入浴施設*1で、お風呂に入ったり。。。
屋根のある、渓流沿いの露天風呂のみですが、お湯も適温でなかなか良かったです!
お風呂からあがったら15時が近づいてきたので、いよいよ名剣温泉に向かいます。
名剣温泉までは、欅平駅から徒歩15分。
立派な赤い橋を渡り、なんだか落石が起きそうでちょっとこわい感じの岩壁に沿った道を歩いていきます。
落石があっても大事に至らないよう、レンタルヘルメットが置いてありますので、心配な人は利用しましょう。
なんとトンネルが!なんかこわい……。
と思ったら、あっという間に終わる短いトンネルでした。
トンネルを出て少し坂を上ると、名剣温泉に到着です!
宿の周辺にもまだ、紅葉が残っていましたね。
かなり秘境感のある場所ですが、案外標高は高くなくて、600メートルぐらいなんです。だから11月初旬でもまだ紅葉が残っていたんですね。
【部屋】★★★★☆ リニューアルされた新しい内装の暖かい部屋
今回予約していたのはトイレ付きの8畳間。改装されたとてもきれいな部屋で、トイレはウォッシュレット付きでした。
駅から徒歩15分ですし、その前に小一時間ほど散策しているとは言え、登山用のザックで来なければならないような場所ではないのですが、このときはキャバ嬢の中で登山熱が盛り上がっていたころだったので、なんか2人ともザックを担いでいたんです。。。
縁側には立派な洗面所があり、ドライヤーほか、アメニティも揃っていました。
ただし、テレビはありません。
縁側からは峡谷の美しい景色が見え、猿が木々を渡り歩くのも見えました。季節柄寒いので窓はしめていましたが、開けていると猿が入ってきたりして危ないかもしれないですね。
室内に空の冷蔵庫があり、中には冷たいほうじ茶がサービスで入っていました。また、ポットには熱いほうじ茶が入っていて、自由に飲めるようになっていたのですが湯沸かしポットはありません。
お茶を淹れる面倒がなくて良いですが、持参したお茶やコーヒーは淹れることができないですね。*2
ちなみに飲み物については、館内に自販機はないのですが、フロント前にある冷蔵庫で飲み物を販売していて、自己申告で伝票に名前を書いておき、チェックアウト時に精算する形でした。
ビール数種、秘湯ビール、黒部峡谷ビール、日本酒数種、ワイン、と品揃えもそこそこよかったです。
【風呂】★★★★☆ 白い湯の花がたくさん浮いている、硫黄泉のお湯を堪能
名剣温泉の浴室は、1階に男女別の内風呂、玄関からサンダルを履いて移動した外に、男女別の露天風呂。そして貸し切り風呂が1つあります。
すべて更衣室は別々なので、3箇所のお風呂を楽しむためには3回着替えなければならないのは少々面倒かもしれません。
名剣温泉の源泉は、徒歩40分ほど先にある祖母谷温泉からの引湯だそうなのですが、源泉は80度以上あるそうで引湯してもまだまだ熱く、加水しているとのこと。
無料で利用できる貸切風呂
貸し切り風呂は予約制で、1部屋40分ずつ、無料で利用可能です。
チェックイン順に予約ができるのですが、私たちが一番最初の入浴でした。
貸切風呂の浴槽に注がれている源泉そのままだとお湯は激熱で……これはきっと、源泉そのままで、加水していないんでしょうね。ホースで水を足し、5分ほどでようやく入れる温度になりました。
単純硫黄泉で白い湯の花がたくさん浮いており、とても良いお湯でしたね。
男女別の露天風呂は混み合うが適温
露天風呂は貸切風呂のすぐ隣にありました。
露天風呂には加水用のホースなどはなかったのですが、最初からほど良い温度に調節されていました。
峡谷を眺めながらお湯を楽しめるこのお風呂が、やっぱり一番気持ちよかったです。
しかし、みな思うことは同じなのかいつも混み合っており、写真は撮れずでした。
↑こちらの写真はじゃらんからお借りしたものですが、おそらくこれは男湯ですね。
女湯の露天風呂は目隠しの囲いが男湯よりも厳重で、景色はあまりよく見えなかったと思います。
場所柄、貸切風呂・露天風呂は夏の夜はかなり虫が多いそうなのですが、泊まったときは11月なので虫もおらず、いっそう快適でした。
男女別の内湯は空いていた
内湯は宿泊する部屋のすぐ近くにありました。
貸し切り風呂と同様、お湯の温度はかなり熱く、加水して温度を調節して入ります。
3つの浴室の中で内湯にだけシャワーがあり、ボディシャンプー、リンスインシャンプーも置いてありました。ただし、シャワーの水圧は低め。
お湯はどの浴室も同じなのですが、私たちも含めて宿泊客は、内湯では体を洗うぐらいで、すぐ露天風呂に行ってしまうようで、内湯はだいたい空いていました。
ちなみに、今は変わっているかもしれませんが数年前のこのときは、宿泊した部屋にはドライヤーが備え付けてあったものの、脱衣所にはドライヤーがありませんでした。
名剣温泉では日帰り入浴も受け付けているので、下山後の温泉の選択肢にもなり得るのですが、日帰り利用だともしかしてドライヤー使えないのかな??とちょっと心配になったりもしましたね。
【食事】★★★★☆ こんな山の中でよくぞこんな洗練された料理が!と驚く
夕食は5時半から固定で、遅めのスタートというのはありませんでした。
実は予約した際「夕食の時間が早いので、昼食は早めに済ませておいたほうが良いですよ」という旨を聞いていたので、それでトロッコ電車に乗る前、宇奈月で昼食を済ませていたんです。
夕食は、岩魚の塩焼きとごま豆腐が特においしかった
では、お待ちかねの夕食です!食事処でいただきます。
前菜盛り合わせ。
お酒は地ビールの「黒部峡谷ビール」にしました。
↓こちらの黒いのはホタルイカの墨あえ。
濃厚でおいしい……日本酒がほしくなりますね~。
ごま豆腐もおいしくて「これなら一丁食べれる」と思ったり。
刺身は、トロッコ電車で毎日富山から運んでいるのだそう。
山菜の天ぷらは、少し冷めていたけれどそれでもサクッと揚がっていたのでおいしかったです。
イワナは二度焼きしてあり、頭からしっぽまで、丸ごと食べられました。
グラタンの中身も山菜です。
地の食材を使っているのですが、味付けや調理法がちょっと洒落ているのです。
炊き合わせ。
これは、豚肉の陶板焼きですね。こごみが添えてあるのがうれしい。
陶板焼きも、よくある甘い味噌味などではなく、シンプルな味付けでおいしかった。
お味噌汁の上に載っている揚げ餅が、良いアクセントになっていたり。
漬けものもありきたりではなく、種類も多く、彩りもよく。
デザートは、フルーツのコンポートとアイスクリームなんですが……。
これまた、盛り付けが凝っている。味も良かったです。
山菜がふんだんに使われているけれど、けして山小屋っぽい料理ではなくて
「こんな山の中でよくぞこんな洗練された料理が!」
と思える、上品な味付けの料理でした。
朝食も品数豊富で、具だくさんの味噌汁がうれしい
朝食は7時から。やはり時間は固定でした。
めざし、蕗の煮物、きんぴら、とろろ。
温泉卵、揚げ茄子。
ご飯、具だくさんのお味噌汁。
焼き海苔、大根ときゅうりのつけもの、梅干し、ヨーグルト。
それと、豆乳を加熱して出来たての豆腐をいただくあれが出ました。
朝食も品数多く、上品な味付けでおいしくいただけました。
夕朝食とも量も適量で多すぎないのも良かったですね。若い男性はもしかしたら足りないかもしれないけど、まあ、あまり若い男性グループとかが来る場所ではないかもしれないですしね。
それから、名剣温泉でとても良かったのが、チェックイン時、夕食後、朝食後に、無料でコーヒーをサービスしてくれるところです。
朝食後のコーヒーサービスはわりとよくありますが、チェックインの際や夕食後にも出してくれるところってなかなかないですよね。部屋にポットがなくてコーヒーを淹れられなくて残念!と思ったけれど、3杯もサービスしてくれるので必要ないのかもしれません。
【再訪したい度】★★★★☆ 行くのがなかなか大変だけれど、いつか春か秋に再訪したい宿
「こんな山奥でここまでやってくれるのか!」という感想を、いろんなところで持った宿でした。
やや、お値段は高めではあるのですが(大人2人泊で1泊2食付き2万円弱)とは言え部屋はきれいに改築されているし、食事も手間暇かかっているのがわかるものなので、致し方ないのかな、と。毎日新鮮な魚をトロッコ電車で運んでいるのか……と考えると、それは、高くなってしまうのかもねーと。
まあ「山の中の宿なんだから、海の魚を毎日運ばなくたっていいじゃない」という考え方もあるとは思うのですが、こういう宿があってもいいじゃない、とも思うのです。
また、お湯もとても良いと思うのですが、客室内の設備が整っているのと比べると、浴室のシャワーの水流が弱かったりという部分は「もうちょっとこのへんも手を入れてくれたら……」と少し思いました。が、なにぶん数年前の宿泊記録なので、今頃そのあたりも、もっと良くなっているかもしれません。
名剣温泉は11月中旬から5月ぐらいまで冬季休業してしまうので、今年は、宿泊できるのはあと3週間ぐらいでしょうか。
おもてなしの心を感じる秘湯の宿、私もいつか再訪したいです。