こい勢
寿司割烹こい勢(こいせ)は、山形県の酒田駅から徒歩5分ほどのところにあるお寿司屋さんです。
比較的リーズナブルなお値段で旬の地魚をいただけるため、寿司好きが口コミを聞いて集まってくるそうで、なんと「県外から来る常連客が多い」とのこと。観光客と地元のお客さんの比率は半々ぐらいだそうです。
お寿司だけではなく、つまみもすばらしかったです。もちろんお酒も。。。
2017年の年末、地元に帰省する前に立ち寄って一杯いただきつつ、日本海の恵みを堪能してきましたので、レポートしたいと思います。
【追記】2019年の9月に再訪が叶いましたので追記しました!
酒田の隣町の出身ですが、実はこい勢のことは上京してから東京で知りました
私の生まれ育った街は酒田市と隣接する市町村です。ちなみに生まれたのは酒田市立病院。
4歳から高校2年生まで酒田の中町(マリーン5清水屋があるあたり)にある音楽教室でピアノを習っていたので、毎週末酒田市内に通っていました。
レッスンの後に、清水屋の1階にあったドムドムバーガーに寄ったり、青山堂書店に寄ったりするのが楽しみでしたね。今は両方ともなくなってしまいましたが。。。
母は遊佐町の出身で、独身の頃は酒田市内で勤めていたので、ときどきは母の知っている「酒田市内のおいしいお店」でランチをしたりもしました。山居倉庫の近くにある「ボレロ」という洋食のお店がおいしかった記憶があるのですが、そのお店も、もうなくなってしまったんですね。
そんなわけで、酒田はかなり縁のある街なんですが、酒田の有名店だという「こい勢」のことは、まったく知りませんでした。お寿司というと、わが家では鶴岡市内の千葉寿司で。地元の人って「うちはここ」って決めると、他の店には行かなくなってしまったりしますよね。。。
そんなわけでこい勢はTakiさんのブログを読んで初めて知りました。本当に、何度も何度もこい勢が出てくるんですもの・笑
Takiさんのブログの記事を全部紹介すると、おそらくこの記事を読む意味がなくなってしまう……ので、季節を変えて、夏のこい勢の記事を紹介させていただきます。
シンコとアワビ、サクラマスもおいしそうだった……。
2017年の年末、帰省のついで旅で酒田へ
年越しは毎年実家に帰る人なので、帰省のついでに新潟や東北のどこかに立ち寄って「帰省のついで旅」を楽しむのが年末の定番です。
2016年は、鳴子温泉あたりをぶらぶらと3泊して「東北に生まれて良かった!」と心から思いました。
我が地元は思ったより、鳴子から近かったんですね。。。
2017年は、年末年始休暇が始まってすぐに三条の湯に泊まって雲取山登山をし、それからの帰省でしたので「帰省のついで旅」は昨年よりかなり短縮して1泊です。
登山も天気よく楽しかったので満足!
さて、1泊でもギュッと凝縮して楽しんでやろうということで、12月29日の早朝に東京駅を出る新幹線に乗り、午前10時30過ぎに、特急いなほ号で酒田駅に着きました。
いなほ号は、強風だと徐行運転になったり、最悪運休になることもちょいちょいあるのですが、今回は遅れもなく時間通りに到着!
雪はあるけれど、青空も少し覗いている酒田駅前。
冬の庄内としてはこれはかなり、天気が良いほうの日です。
こい勢までは駅から徒歩5分ほど。
こい勢の昼の営業時間は午前11時から14時まででラストオーダーは13時30分。
夜は16時から22時までで、ラストオーダーは21時30分。定休日は月曜日です。
開店してすぐならおそらく入れるだろうとは思ったのですが、念のため11時で予約を入れておきました。
駅のお土産屋さんを覗いて少し時間をつぶしてから、雪の積もった歩道を歩き始めます。
左側に見える背の高いビルは「ホテルイン酒田駅前」というビジネスホテル。以前は「東急イン」でした。
あのビルの3階には、酒田市の「伝説のレストラン」などと称される「ル・ポット・フー」というフレンチレストランがあります。
このブログのプロフィールページにも書きましたが、私にとって非常に思い出深いレストランでして、大人になってからも何度も一人で訪れています。酒田駅前の再開発で、数年以内には取り壊されてしまうことが決まっているので、その前にルポットフーにもまた行きたいものです。。。
お店は別の場所で続くかもしれないけれど、この歴史あるレストランがなくなるのは、本当に寂しい。。。
さてと、今日はこい勢だったよ!
向こうに見えるさくらんぼマークの看板、山形銀行酒田駅前支店の角を左に曲がります。
曲がって1ブロック先に、ありました!
もうのれんも出ている!ということで、入ってみたいと思います!
こい勢は昼もつまみのメニュー豊富でうれしい
店内に足を踏み入れ、予約の名前を告げると、カウンターのやや入り口寄りの席に案内されました。
カウンターの奥側の席はすべて予約が入っていたようです。その後予約なしの1人客が3組も来たのですが、カウンター席もそれで満席になってしまいました。3人とも「人気店とは言え開店直後の時間に1人なら大丈夫だろう」という感じで来られたんでしょうね。全員大きな荷物を持っていたので、旅行客だったのでしょう。入れてよかったよね。。。
ふらっと来て入れないとショックを受けそうなので、やはり、予約を入れておいたほうが良さそうなお店ですね。
こんな感じで、角の3席だけは空きがあったようです。
まずは飲み物のメニューを。
グラスでいただける地酒が10種類以上あるのはかなりうれしいですね!
寒いし、初孫をお燗してもらうのも良いけれど、ここはおすすめを聞いてみよう。。。
「日本酒でおすすめはありますか?」と聞くと、杉勇の特別純米を出していただくことに。
いただきます!
日本酒メニューの中ではお安いほうのお酒なのに、かなりおいしくて、2杯目も杉勇をおかわりしてしまいました。。。
食事のメニュー。
手書きの「本日のおすすめ」に、気になるメニューが多すぎるのですが!!!
タラの白子のポン酢もしくは天ぷらもいいなあ。。。のどぐろ塩焼き、もいいけど高そうですねw
そして、どんがら汁!!
で、迷った末、まずは「殻付き生牡蠣」をいただくことに。軽くレモンを絞っていただきます。
磯の香りが口いっぱいに広がります。それを日本酒で洗い流す瞬間……至福以外の言葉が見つからない。。。
握りは「特選 旬のおまかせ握り 10カン3000円」をまずはいただきます。こちらが、最高にコスパが良いセット握りで、まずこれを頼んでおけば間違いない!というものです。お好みでどんどん頼んでいくとお会計が心配になりますが、セットメニューが優秀というのはすばらしいですね。
まずはヤリイカ。
塩と、柚子の皮がかかっており、そのままいただきます。
「今一番おいしいイカです」とのこと。
こい勢さんのお寿司はすべて仕事がしてあり、お醤油を付けずにそのまま食べられます。食べやすいし、うっかり醤油を付けすぎてしまうことがないので、こういうタイプのお店が私は大好きです。
次はのどぐろ。軽く炙って塩をしてあります。
金沢でいただいて感動したのどぐろに負けない、すばらしいお味。。。
太刀魚。これも塩で。
あっさりとした味わいの魚ですが、ちゃんと旨みがあります。
いしなぎ。柚子胡椒ポン酢で。
さっぱりとした白身のお魚。柚子胡椒も辛すぎなくておいしい。
がざえび。こちらも味がついています。
ねっとりとしていて濃厚な海老。おいしい。。。
いわしも、新鮮そのもので生臭さはまったくありません。
こちらも、鰯自体に味がついています。上に生姜がのっているタイプの握りって、お醤油を付けるのに苦労したりしますから、このままいただけるって本当にすばらしい。。。
ウマヅラハギの肝のせ。紅葉おろしがのっています。
淡泊な白身のウマヅラハギ、濃厚な肝と一緒にいただくとえも言われぬ味わいに。
天然本マグロ!!!
10貫3000円のセットで、こんな大ぶりな本マグロが出てくるとは。。。
脂ののり方も十分で、口に入れるとほろっと溶けます。
バフンウニ。そして地物のずわい蟹の軍艦。
私の写真が下手で、いまいちおいしさが伝わらない気がするのですが……本当においしかったです。
蟹もうまみが強く、ウニも新鮮そのもの。
私、そんなにウニ好きじゃなくて、新鮮じゃないウニは素直にまずいと思ってしまう人なのですが(なのでお好みでウニを注文することはあまりない)、ここのウニはとろけるおいしさですよ。
この軍艦でセットの握り10貫は終了です。
普通のランチならこれで十分という方も多いと思うのですが、私はこい勢に来るために朝も食べずに東京から来たのですよ……というわけで、単品で気になったものをいくつか追加します。
まずは鯖。
よく脂がのっていて、ついているタレも非常においしい。。。
ぶりトロ。
見るからにおいしそうですけど、食べたらやっぱりおいしかったです。寒ブリ最高!
さて、次どうしようかなーと迷っていると、ご主人がタイミング良く
「あと何貫ぐらい食べれそうですか?良かったら任せていただければおすすめをお出ししますよ」
とのこと。これはもちろん、お願いするしかないでしょう。
「あと3貫ぐらいは食べれます」
と言って、おすすめを出していただくことに。
おまかせ1品目。バイ貝。
私、貝はそんなに自分からは頼まないので、おまかせしなければ食べられなかったネタですね。おいしい。。。
おまかせ2品目。タラの昆布〆
やはり庄内の冬と言えば鱈ですね!お寿司でいただけるとは……。
ここで、セットメニューに付いてくるお味噌汁が供されます。
お寿司でいただいたガザ海老の頭です!おいしい。。。
あー、どんがら汁頼みたいって思ったけど、この味噌汁で十分だなあ。
でも、季節ものだしやっぱり、鱈の白子食べたい……。
と思ったら、私の心の声が聞こえたのでしょうか。
おまかせの最後の1品は鱈の白子でした!うれしい!!!
もちろん、すばらしくおいしかったです。。。
ゆっくり食べて呑んで1時間。あっという間でした。
本当においしかったです!ごちそうさまでした!!
【2019年9月】月山に登った翌日、晩夏のこい勢に再訪してきました!
2019年の9月初旬、台風接近でうだるような暑さの中、月山に登りに庄内へ。
前回初めてお伺いしてから約1年半。次は季節を変えて行ってみたいと思っていたのでちょうどいい時期に来れました。
前日に電話で予約して、開店時刻の11時ちょうどにお店に着きました。
お酒のメニューは特に変化はないので、楯野川の純米大吟醸をいただきます。酒田のお酒です。
お通しはイカ。
塩辛ではなく、生姜醤油風味でわりとあっさりとした味付けです。おいしい。
さて、まずは何かおつまみをいただきましょうか。と言うわけで本日のおすすめメニューはこちら。
しかし「稚鮎の天ぷら」はもう季節が終わったとのことでなし、蛸の柔らか煮もなし、ということで貝にしました。ちなみに、他のお客さんがアワビステーキをオーダーしようとしていたけれど、それもなかったみたい。アワビの握りならできるけど、ステーキにできるほど大きなアワビが入ってないとのこと……。
バイ貝旨煮。甘辛い味付けで煮てあります。おいしい。
「岩牡蠣は今日までなんですがいかがですか?」と言われ、頼むつもりではなかったけれどつい、注文してしまった岩牡蠣。
冬にいただく生牡蠣よりなんとなくあっさりとしていて、でも旨みが薄いというのではなく、いくらでも食べられそうな味わい。おいしい。
メニューにはなかったけれど、もずく。このあたりで獲れたものだそう。
一般的なもずくよりもだいぶ歯ごたえがあって、ちゅるっといただくというよりもしっかり噛んで食べる感じ。おもしろい。
お寿司まだ食べてないのだけれど、ここでお味噌汁が。
じゃあそろそろお寿司いきましょうか!今回も、おまかせ10貫でお願いします。
その前に2杯目のお酒を……。
杉勇 特別純米。前回おすすめいただいたお酒。
1貫目、赤いか。ゆず塩で。
一杯2000~3000円もする珍しいイカだそう。甘みがあっておいしい。
のどぐろ炙り、塩で。
今回もとろけるおいしさ……。これ、お替わりできないネタらしいのですけど、お替わりしたくなりますよね……。
太刀魚炙り、塩で。
同じ白身の炙りでも、のどぐろとはっきり違いがあるのがおもしろい。太刀魚もおいしいですね。太刀魚ってあっさりしててそんなにおいしいと思ったことなかったけど、こい勢の太刀魚はおいしいです。
このへんで3杯目。上喜元。
あら、柚子胡椒ポン酢で。こちらも高級魚ですね。
歯ごたえとしっかり旨みのある魚。
ガサエビ。
「甘えびより甘いよ」と言って出していただいたけど、本当に甘いです。
私、実は甘えびそんなに好きじゃないんですけれど、ここの海老は本当においしい。(そんなのばかりだ……)
ウマヅラハギの肝のせ。こちらも恐らく定番のメニュー。
あっさりしたウマヅラハギの身にこってりした肝。当然おいしい。
ここから3貫は赤酢のシャリで握るとのこと。これは前回はなかった趣向ですね。うれしい。
赤酢1貫目はカツオの漬け。ニンニクのスライスをのせていいかどうか聞いてくれます。苦手な方は生姜に変えてもらうことも可ですが、ニンニクのせたカツオめちゃめちゃおいしかったですよ!
イワシ。こちらも赤酢のシャリで。
脂の旨みたっぷりのイワシ、甘みのある赤酢のシャリと意外にもよく合います。
赤酢3貫目は本鮪!これまたおいしい……。
脂が多めで味のしっかりした魚に赤酢のシャリを合わせているんですね。
ちなみに赤酢のシャリはつや姫で、普通のシャリはササニシキを使っているんだそう。赤酢は普通の酢の何杯も高いとおっしゃってました。おいしかったな~。
コースの最後は利尻島の馬糞ウニ。利尻島のウニっておいしいのですね……行ってみたくなりました。
さて、もうちょっとだけ食べられそうなので「あと3貫、おまかせでお願いしたい」とお伝えしたところ、最初に出てきたのが「シンコ」です。
コハダのもっと小さいやつ。昔、美味しんぼでシンコの握りの話を読んで憧れてね~。
シンコがメニューにあると珍しいしつい、頼んでしまうのだけど、実はこれまでそんなにおいしいと思ったことがなかったんです・笑
でも、こい勢のシンコはやっぱりおいしいなー。締め方が上手ですね。
次は白身を……ということで「まはた」
シンプルに握って、塩でいただいたけれどこれまたうまい。
最後は宮城県産の赤貝!
これまた濃厚でおいしかったです!コースは定番ものと季節ものが半々ぐらいなんですね。ちょうどいいバランスな気がします。
ちなみに、私が行く2~3週間前にOKPさんもこい勢に来られてまして。
半月のちがいだとさすがに、おまかせの内容もかなり近いですが、OKPさんのレポートを見て「夏もいいなあ」と思って来た感じだったので、大変満足でした。
ごちそうさまでした!また別の季節にも来たいですね。
そう言えばカウンターでお隣に座ったお客さんがかなり常連っぽかったので、酒田の人かと思いきや、車をとばしてしょっちゅうやってくるという秋田の方で。それも象潟などの酒田寄りの秋田ではなく、秋田市内とのこと。
県外の常連客が多いらしいとは前にも書いた気がするけれど、観光客だけでなく本当に遠くから普通に来られるお客さんが多いのですね。(休みで暇だから、なんておっしゃってたけれど、それにしても)
でも、わかる気はします。
【再訪したい度】★★★★★ 味もコスパもサービスも最高な名店でした
噂どおりの味とコスパで、さすがTakiさんのおすすめのお店、期待を裏切らないわ……と思いました。
そして、味の良さ以上にすばらしいなと思ったのは、サービスの良さと言いますでしょうか、お店の居心地の良さ、雰囲気の良さですね。
特に、握ってくれる大将の佇まいや気遣いがいいんでしょうね。
こちらを萎縮させるようなこともなく、さりげなく気遣ってくれて、おいしいものを食べさせてくれる。遠くても、わざわざまた来たいと思わせる何かがあるように思いました。
ちなみに今回私、予約して行ったんですが、お酒を注文したりお会計の際などに「○番さんにあがり差し替え!」とかじゃなく、ちゃんと「ももさんに(実際は本名の名字ですが)」と、予約の名前で呼んでくれたところが地味にうれしかったです。
酒田は、行きたい店が多くて困るのですが、季節を変えてまた必ず行きたいお寿司屋さんですね。