2018年の夏休み後半は、涸沢から北穂高岳に登りました
2018年の夏休み後半は、涸沢にテントを張って北穂高岳に登ってきました。
奥穂と西穂にはこれまで登ったことがあったのですが(奥穂-西穂を縦走したわけではもちろんありません。それぞれに登りました)実は北穂高岳は今回が初めて!
天気にも恵まれ、心配していた混雑もそれほどではなく、大満足の山旅でした。たまには記憶が新しいうちに、レポートしたいと思います。
お盆休みの後半、上高地行きのさわやか信州号の空席を見つけた
2018年の夏は、山の日から翌週の日曜日までまるっとお休みをいただいていたのですが、前半は台風が近づいてきたりで、いまいち天気が安定しなかったように思います。
お盆休み前半は実家に帰省していたのですが、後半はどこか山に行こうと考えていた私は、水曜日なら晴れそう!ということで火曜日に妙高高原に移動し、翌水曜日に日帰りで妙高山に登りました。
妙高山では登り始めは晴れていたのに山頂では雲に包まれてしまい……気温もかなり高かったですし、夏山の宿命でしょうか。妙高山に登ったの2回目なんですけど、前回もこんな感じでしたね……。まあ、妙高高原は相変わらず、温泉はすばらしいしビールもおいしく、それはそれで楽しかったです。
で、妙高山から東京の自宅に帰ってきた夜、さてどうしよう……休みはあと4日。
私は公共交通機関利用のハイカーですので、週の後半にどこかに行きたいなら、まずは電車なりバスなりを予約しなくては始まりません。夏休み中の人も多いであろうこの週末、良さげな場所に行ける電車やバスを今から押さえられるのか??
どうやら天気予報によれば「金・土・日」の3日間は天気が持ちそうです。ふむ、それなら南アルプスなら甲府から広河原行きのバスに乗れば、高速バスなどの予約はしなくても行けるな。でも、今日妙高山登ってきたばかりなのに、明後日の朝からいきなり北岳を、テントを担いで登ったら疲れそうだよなあ。。。それならいっそ北沢峠まで行って仙丈ヶ岳でも登るか?
などと考えを巡らしつつ登山口行きの夜行バスをチェックしていたら、東京駅発上高地行きさわやか信州号に1席だけ空席があるのを発見しました。しかも3列シートです!迷わず予約しましたよ。
で、予約してから果たして上高地からどこに登る?と考えを巡らし、最終的に「涸沢にキャンプして北穂に登ろう!」と決めたのです。
1日目:上高地から涸沢へ
8月だというのに、早朝の上高地は肌寒いくらいだった
22時40分に東京駅八重洲南口を出発したさわやか信州号は、途中談合坂と諏訪湖のサービスエリアで休憩を挟み、定刻通り午前5時30分過ぎに上高地バスターミナルに着きました。
バスを降りてすぐ、ひんやりとした空気に包まれました。お盆休みだというのにもう、こんなに涼しいんですね……。
一昨日、妙高山を登った際はかなり暑かったのですが、上高地って標高1500メートルぐらいのはずですよね。それほど高所というわけでもないのですけど、早朝だからか、それとももう、秋が近づいているのか。
今回の旅の相棒は、グレゴリーのディバです。男性用だとバルトロと同じシリーズの、女性用大型ザック。
5年近く、テント泊用のザックはオスプレーのエーリエルを使っていたのですが、去年の秋にモデルチェンジ前の旧製品のセールでディバを購入しました。買ったはいいものの何となくエーリエルを使い続けてしまったので、今回が初めての使用です。果たして私の背中にうまくフィットしてくれるでしょうか……。
ザックからサポートタイツと日焼け止めとBBクリームを出し、バスターミナルのすぐ側にあるトイレでタイツを履いて日焼け止め・BBクリームを塗ります。今回は荷物を減らしたくて、余計なメイク道具は全部置いてきました。
こちらの記事↑にも書きましたが、山でもそれなりにメイクしているときもあるのです。でも、テント泊のときは荷物を増やしたくないので本当に最小限のことが多いですね……夏は汗をかなりかくので、塗りすぎるとどうしても汚くなっちゃいますしね。
身支度を整えて、ちょっと腹ごしらえして歩き始めますか!
と思ったら、バスターミナルの2階にある「上高地食堂」が既に営業を開始していましたので、立ち寄って、朝食をいただいていくことにしました。
また、上高地食堂で朝食を
実は上高地食堂で朝食をいただくのは今回が初めてではなく、昨年も朝イチで寄っています。夜行バスが上高地に着く午前5時30分に営業を開始する、ありがたい食堂です。
こちらが約1年前に書いた記事です。メニューは特に変わっていませんでしたのでこちらの記事内のメニューをご参照ください。
ただこの日は、バスが着いた5時30分ごろには電気は点いているもののまだ営業は始まっておらず、5時45分ぐらいになって朝食営業の看板が外に出されていました。開店時間は多少前後することもあるようですね。
今回も、前回とまったく同じ。チーズトーストセットセット1100円をいただきます。
サクサクのトーストにチーズとハムが挟んであります。
山中では生野菜ってなかなか食べれないので、野菜サラダ付きなのもうれしいです。登る前にコーヒーを飲むとトイレが近くなるので、今回は紅茶で。まあ、今日歩くルートの前半は1時間おきにトイレがあるので、かなり恵まれたルートなのですが。
上高地食堂の1階にある売店も、6時から営業を開始していました。
この売店の奥には「荷物預かり所」があり、そちらも6時から営業していますので、登山や散策に必要ない荷物を預かってもらうこともできます。荷物の大きさによって値段は変わり、日付をまたいで預かってもらうこともできるので、泊まりがけの登山でも利用可能なのは便利ですね。(もちろん、料金は1日毎に加算されますが)
今回私は「一昨日の日帰り登山の疲れがまだ癒えきっていない」のと「初めて使うテント泊用ザックを担ぐ」のとで、重い荷物を担ぐことに不安がありました。下山も上高地ですし「着替えなどの荷物を預けておき、下山後に受け取る」ことも考えたのですが、着替えを預けても大して軽くならないし、小さな荷物でも3日間預けたら1000円ぐらいかかってしまう……。
なので荷物は預けずに行動食を最小限にして、立ち寄った山小屋であれこれいただきながら歩くことにしました。テント泊ながら山小屋グルメを満喫するおいしい山旅、それが今回の裏テーマです。
明神から徳沢、そして横尾へ、ほぼ平坦な道のりを歩く
前日はかなりまとまった雨が降ったと聞いていましたが、空は晴れているものの、上高地から眺める穂高の峰には真っ白な雲がかかっていました。
地面も前日の雨でしっとりと濡れていますね。
まずは上高地から明神まで1時間、ほぼアップダウンのない平坦な道をのんびりと歩きます。
上高地は、ゲートが開いてすぐの時間帯は、夜行バスや近隣の駐車場からのシャトルバスが次々に入ってきて一気に混み出すのですが、その時間にやってくるのはほぼ、観光客ではなく登山者なので、みな身支度を整えて足早に出発していくので、6時半ぐらいになるとふっ、と人が減って急に静かになるんですよね。
私は混んでいる山歩きが好きじゃないし、今日は涸沢まで、標準コースタイムで6時間歩けばいいだけなので6時30分ごろのんびり出発。
おかげで前後にほぼ誰もいない状態で、明神まで歩きました。
誰もいないし、涼しくて気持ちいいし、今日初めて使うザックもなかなか快調です。
明神では休憩せずに徳澤まで歩きます。
途中の川原まで来ると、山にかかった雲もだいぶ晴れてきているのが見えました。
徳澤園ではやはり、天然酵母の厚切りトーストを
さて、上高地から約2時間歩いて、徳澤まで来ました。時刻は午前8時過ぎというところ。
徳澤まで来たら食べておきたいものがあります。
それは、朝7時から営業している徳澤園のカフェ「みちくさ食堂」で提供している……
天然酵母の厚切りトーストです!!やっぱり今回もいただきました。
ブルーベリージャムとはちみつのトーストがありまして、今回ははちみつにしました。
こちらの記事に、これまで立ち寄った際の記録が書いてありますが、 私、通りかかるたびにトースト食べてますね。。。
↑ちなみに、徳澤園に宿泊した際の食事も紹介していますので、ご興味ある方はどうぞ。
2時間前にもチーズトーストを食べてはいるのですが、まあ、登る前の食事としてはこのぐらいはぜんぜんアリでしょう!
のんびりトーストと紅茶をいただいて、キャンプ場の水道で飲んだ分の水を追加して、トータル30分の休憩の後、横尾に向かって歩き始めます。
横尾までの道も、これまで歩いてきたのと同じ、ほぼ平坦な散歩道です。
約1時間歩いて横尾に到着、ここから涸沢までは標準コースタイムで3時間ほど。間にトイレや水場はないので、水を補給し、トイレを借ります。
横尾のトイレは、新しくきれいな洋式トイレ。ウォームレット付きです。
ちなみに、上高地の標高は1505メートルですが、横尾の標高は1620メートル。
3時間歩いてようやく115メートルのぼってきました。
吊り橋を渡って涸沢方向に向かいます。
涸沢の標高は2300メートルですので、あと3時間で700メートル登りますよ!
本谷橋を経て、涸沢へ
3時間で700メートル登るよ!と気合いを入れたはいいものの、横尾から本谷橋までの最初の1時間は、時折ゆるやかな上り坂が現れる程度で、ほぼ平坦な道のりが続きます。
道も歩きやすいし、まだまだ涼しいです。
本谷橋へ到着。
横尾からここまで約1時間、標準コースタイム通り歩けばあと2時間で涸沢に着くのですが、実は距離で言えば、横尾から涸沢までの道を既に半分以上歩いてしまったことになるのですね。
つまり、ここから急激に登っていくことになるわけで。
山と高原地図にも、本谷橋から先の道は「急坂」と赤字で書かれています。
バテないように一度荷物を下ろして水を飲み、涼しい木陰で休憩します。
日も高く登ってきたので日焼け止めを塗り直し、いざ!急坂の登りへ。
と、気合いを入れ直しての出発でしたが、さっきまでの平坦な道に比べればたしかに斜度は増しましたが、そんなに急坂ではなかったです。ときどき急なところもあるけれど、基本的には緩やかな登りで、歩きやすい道。
しばらくは樹林帯の中を登っていくのですが、途中で視界が開ける場所があり、道も平坦で思わず立ち止まりたくなる場所なのですが……。
実はここ、落石の多発地帯だとのことで「休まずに進め!」と書かれた看板があちこちにありました。
見上げるとたしかに、落石、ありそう。
というわけで足早に立ち去り、さらに登っていくと、また視界が開けて沢沿いの道に出ました。
ああ!ここは覚えていますよ。ここまで来ればあと30分ぐらいで涸沢に着く……はず。
みな足を止めて、沢の水に手をひたしたり顔を洗ったりしていましたが、私は「今日はわりと調子良く登れているから足を止めたくないなあ」と思い、そのまま登っていきます。
石の多い登山道が次第に、石畳のような道に変わってきたところで「涸沢ヒュッテ」と「涸沢小屋」の分岐点がありました。もうここまで来たら、あと5~10分ぐらいですね~。
まあ、どちらから行っても同じ涸沢カールのキャンプ場に着くのですが、ヒュッテに近いところに張れたほうがトイレなど楽なので、まずはヒュッテのほうに行きましょうかね。
涸沢ヒュッテの手前には、パノラマコースとの分岐があるのですが、パノラマコースの方向にはロープが張られ「残雪が多くて危険なため立ち入り禁止」というような看板が立っていました。
着きました!涸沢ヒュッテです。
着いたのは13時過ぎでしたが、この日のテント場の受付は14時からとのことだったので、まずはキャンプ場にテントを張りに向かいます。
涸沢のキャンプ場で過ごす楽しいひととき
涸沢キャンプ場!実はかなりひさびさです。
調べてみたら、前回来たのは2012年の9月に奥穂高岳に登ったときでした。そのときは三連休で、めちゃくちゃ混んでいたんですよね。。。
今回は曜日としては金曜日でしたが、私もそうでしたし、お盆休み中という方もまだけっこう多いのでは?と思い、テント場の混雑についても少し警戒していました。と言いつつ、わりとのんびり涸沢まで来てしまいましたが。
涸沢キャンプ場は広いですが、ゴツゴツした岩もたくさんあり、テントを張るための平らで快適な場所は少ないのです。
しかし、今回はそこそこ早めに到着できたのと、お盆休みとは言えかなり後半戦だったためか思ったほどの混雑はなく、石も少なく平らな場所を見つけることができました。
手前の緑のテントがマイテントです。
2年ほど愛用している、エスパース・ソロ アルティメイト。
山で被ることがかなり少ないテントなのですが、この日は偶然かなり近い場所に同じテントが設営してあり、驚きました。
↑上の写真の、奥のほうに見える緑のテントがそれですね。幸い、テントの入り口をお互い逆の方向に向けて張っていましたので、間違えて入ってしまうようなことはなさそうですが……。
平らだし、涸沢カールを目の前に臨めるローケーション、かなり良い場所に張れたのではないでしょうか。
では、テントも張れたところでテント場の受付をします。
受付は涸沢ヒュッテではなく、テント場にある受付用の小屋で行います。
料金は1泊大人1人10000円、子供500円。
1張りいくら、ではなく、1人いくらで計算する方式です。
無事に受付を済ませたところで涸沢ヒュッテに向かい、テラスで遅めのランチをいただきますよ!
涸沢ヒュッテでカレーとおでんと生ビール!
もう今日は歩かなくていいので、当然飲みますよ!
売店の前の水槽の中では、ペットボトルや缶ビールが水に浸かって冷やされています。
ペットボトルはすべて400円、ロング缶の缶ビールが700円、小さいほうの缶ビールは500円。山小屋の一般的な値段ですね。
ちなみに、涸沢ヒュッテの売店は17時30分ごろには閉まってしまうのですが(屋外の売店のみ。小屋内の売店についてはわかりません)閉店後もほぼ同じ飲み物を同じ値段で、自動販売機で購入することができます。
売店では軽食営業も行っています。メニューはラーメンとカレー、そして名物のおでんです。
生ビールもあります!
それから、軽アイゼンやガス缶などの登山グッズの他、クリアファイルなどの山小屋オリジナル商品も豊富に揃っていました。
やっぱりここはおでんとビールかな~。
と思ったら、ヒュッテオリジナルの、1品ずつ購入するおでんは本日は既に売り切れとのこと。パックおでんのセットを500円で販売しておりました。
うーん、それならばやっぱりカレーだ!
ということで生ビールとカレーをいただきます!
青空の下でいただく生ビール!おいしい~~~!
この日は朝からとても涼しくて、快適な山歩きが楽しめましたが、こんな日はともすれば涼しすぎて、外でいただくビールがあまりおいしくない!ということもあり得るのですが……幸いにも日差しが柔らかく降り注ぎ、風もそれほどないという天気だったので、気温は快適そのもの。
みなそれぞれにのんびりと、寛いでいます。
「カレーとラーメンとおでんか。まあ、鉄板だけどちょっとメニュー少ないな。しかもおでん売り切れか、うーん残念。そうだ、涸沢ヒュッテって前来たときもそうだったよなあ」
なんて、売店に来た瞬間は思ってしまったのですが、カレーを食べてビールを飲んでいるうちにどうでも良くなってしまいました・笑
というわけで、パックおでんも追加注文してしまいました。
iPhoneXのKindleで読書などしつつ「涸沢って、これでスマホの電波がもうちょっとあれば最高なんだけどな」などと無い物ねだりなことを考えたり。
メジャーな場所だしわりと開けたところにあるから電波あるかな?と思いきや、意外にも涸沢ではdocomoの電波もほとんどないのですよね。噂では、docomoよりauのほうがやや強い、とかいう話も聞いたことがあるのですが……。
そうこうしているうちに、夕暮れが近づいてきました。
水場で水を汲み(涸沢ヒュッテの水場は無料です。とても冷たいお水をいただけます)トイレに寄ってからテントに戻ることに。
トイレは洋式トイレと和式トイレに分かれているのですが「男子トイレ」「女子トイレ」という分け方はされていません。抵抗がある方もいるかもしれませんが、男女分かれていると絶対に女子トイレのほうが混雑が激しいので、これはこれで有りだと私は思います。あと、和式は洋式よりだいたい空いていますので和式が嫌でなければそちらに並べばわりとすぐに使えます。
それから、洋式トイレ内のいくつかの個室が「女性専用」に指定されていました。混雑解消のためにいろいろと工夫されているようでしたね。
トイレの個室内もとてもきれいで、紙の補充もいつもしっかりされていました。
使用したトイレットペーパーはゴミ箱に捨てるタイプのトイレでしたが、この日はそれほど混んでいなかったということもあると思いますけど、ゴミ箱が溢れているようなこともなかったですね。
また、トイレの中の洗面所には鏡もありました。あまり数がないので化粧などで長時間占領するのはどうかな?と思いますが、コンタクトレンズを入れるときなど鏡を見たいこともありますので、ありがたいなと。
テントでまったり過ごす一夜
テントに戻り、簡単に夕食を作ります。
今回は、荷物を減らしたかったのでお酒も売店で買いました。「岩波」の熱燗です。
熱燗だけど夕食はスパゲッティ。。。
食べ終わった後は鮭とばをつまみに少し飲んで、最後はドリップパックのコーヒーを淹れて、諏訪湖パーキングエリアで買ったマドレーヌと一緒にいただきました。
すっかり日も暮れて外に出ると、涸沢カールの上に三日月が。
明日も晴れるといいな~。
2日目:涸沢から北穂高岳を往復し、徳澤へ向かう
朝は4時に起床し、モルゲンロートを見てから北穂高岳に向かう
この日の日の出は5時の予定。薄暗い中を歩くことをあまり好まない私ですので、日の出をテント場で待って、モルゲンロートもしっかり見てから登り始めようと思っていました。
涸沢ではご来光を眺めることはできないのですが、涸沢カールが朝日を浴びて赤く染まる「モルゲンロート」を見ることができるのです。
しかし……この日の早朝はとても気温が低く、シュラフから抜け出すのに苦労しました。まだお盆過ぎたばかりだというのに、もうこんなに冷え込むのか……。
お湯を湧かしてアルファ米のわかめご飯を戻し、シェラカップでフリーズドライの味噌汁を作って簡単な朝食をいただきます。
食べながらモルゲンロートを鑑賞し……。
5時出発の予定が5時30分ごろになってしまいましたが、身支度してテントを後にし、トイレに寄ってから、北穂高岳に向かいます!
日の出と共に歩き出す人が多かったようで、やや遅めのスタートだったからか、涸沢ヒュッテのトイレは空いていました。朝のトイレはさすがに混むかなーと思っていましたが、ちょっと拍子抜けなぐらいでした。ありがたいことです。
念のため、涸沢小屋でヘルメットをレンタル(1000円)
まずは、テント場から涸沢小屋へ向かい、ヘルメットをレンタルします。
ヘルメット、自分でも持ってはいるのですが、今回は荷物をできるだけ減らしたかったことと「涸沢から北穂を往復するのにヘルメットが必要だろうか……」と思ったので
「ヘルメット率があまりにも高かったら涸沢小屋で借りよう」
と思って自分では持ってこなかったのです。
そうしたら、奥穂に向かう人も北穂に向かう人もみんなヘルメットを被っていてですね……多くの人は縦走するわけではないと思うのですけど、時代は変わったんですね~。2012年に奥穂を登ったときは、ほとんど誰もヘルメット被ってなかったのに。
なので、怖じ気づいて結局レンタルしました。1つ1000円で、予約無しで借りることができます。マムートのヘルメットでした。
ヘルメットを借りたり何なりで、結局6時近くになってしまいましたが、涸沢小屋のすぐ側にある北穂高岳の登山口から、歩き始めます!
いきなり、けっこうな急坂なのですが涼しいし、歩いている人もそれほど多くないのでゆっくりと登っていきます。
かなり秋の花に移り変わってきていますが、登り始めに近いポイントでは、高山植物もまだまだ楽しめました。
少し登って涸沢を眺めると……
うん、やっぱり、いきなりけっこうな急坂ですね。
ただまあ、危険な場所とかはないです。まだヘルメットはただの重りです。。。
やがて大きな岩がゴロゴロしている登山道に道が変わっていき、さらに登っていきます!
南陵取付の鎖場&ハシゴをクリアしてさらに進む
1時間と少し登ったぐらいで、少し先の斜面に、人がごちゃごちゃっと並んで順番を待っているところが見えました。
わかった……あれがきっと「南陵取付」なる鎖場ですね。
徐々に近づいてきました。やっぱりそうだね……。
涸沢から北穂高岳に登るルート上のちょうど真ん中ぐらいにある「南陵取付」なるポイントには「スラブ上の長いクサリ、ハシゴ」があると地図には書いてあります。
直下まで来ると、こんな感じです。
垂直に近い岩を登っていくことになりますが、足がかりになるところも多いので、登りは特に恐いということはなかったです。
ちなみに同じ道を帰りは下るわけですが、下りも鎖をしっかり掴んでいればまあ大丈夫でした。前後に人がいて急かされたり、岩が濡れていたりするとちょっと焦りそうですが……。
最後はハシゴを登ります。
これも、しっかりとしたハシゴだったので問題なし。
しかし、この日はそこまで混んでいるわけではなかったのですが、鎖とハシゴの周辺ではどうしても順番待ちが発生してしまい「こっちはずっと待っているのだから少し待ってもらえますか?」みたいなやり取りも見かけました。
混んでいる日だとより大変そうだなー、などと思いつつ通り過ぎます。
ここまで来ると、涸沢カールもすっかり遠くなって、テントも見えなくなってしまったなあ……。
などと考えつつ向こうの山々を眺めると、おや、もしやあれは……。
富士山ではないですか!!
けっこうくっきり見えました。山に来て富士山が見えると、どうしてこんなにうれしいんでしょうね。
絶景だけど小屋まで遠い、北穂のテント場
南陵取付を超えた後も、途中でちょこちょこ鎖場を挟んだりしつつ、岩の多い道を登っていきます。
でも、危険を感じるようなポイントはそんなになかったかな、と。
比べるものでもないかもしれないけど、去年登った西穂高岳に比べると、だいぶ落ち着いて登れます。
ただ、たまにすれ違うことが困難なような岩場のポイントもありまして。
そういうとき、すれ違う相手が慣れている人であれば、安全なところで待ってくれたりするのでしょうけれど
「おいおいそこで待たれて『どうぞー』って言われても、私、すれ違えないよ!」
みたいなこともたまにありました。
近年、ヘルメットの着用が推奨されるようになったのも「本当はここに来てはいけないレベル」の人もどんどん登ってくるようになって、人為的な落石が多発するようになったから、という話も聞きますし……。
たしかに「この人は危ないかも」という方も、何度かお見かけしました。
なのでまあ、ヘルメットはあるに越したことはないし、十分に準備して登るべき山だなとは思います。
途中、ルート上であちこちに整地された平らなポイントがあるところに出ました。
もしやここが……北穂高小屋のテント場??
よく見ると、整地されているっぽい場所のそばには、白い文字で⑩などと番号が書いてあり……やはりテント場でした。
しかし、噂どおり眺めは良いけれど、ここから小屋までって10分以上かかりますよ!たぶん。
これがテント場あたりから眺めた北穂高岳ですが、右奥に見える峰「北峰」の山頂に北穂高小屋はあり、テント泊の際のトイレはそこで使わなければならないのです。
夜中にトイレに行きたくなったら、かなり面倒なことになりそうです。
私は北穂高岳のテント場で幕営するのはちょっと、遠慮したいなーと思ってしまいました。ロケーションは最高なんですけどねえ……。
まあ、ここに来るまでの道も岩場の急坂続きだし、テント泊の荷物を担ぐのもしんどそうだし、無理は禁物ですね。
北穂高岳登頂!
テント場から少し登ると「北穂分岐」に出ました。
ここで左に折れると奥穂高岳への縦走路へ。右に向かえばあと200メートルで北穂高岳の山頂です!
もうちょっと!!!
ほんとにもうちょっと!!!
着きました。
山頂碑の向こうには槍ヶ岳がくっきり!うれしい♪
奥穂に続く縦走路。
すごい岩岩してるなー。私は、岩場多い道好きじゃないので、縦走したいとはまったく思わないです・笑
笠ヶ岳も大きく見えます。
笠ヶ岳みたいな「危険箇所はないけどただひたすらきつい山」みたいなのは、わりかし好きなんだが……。
記念撮影をしたりして山頂を堪能した後は、北穂高小屋に立ち寄って休憩したいと思います。
山頂テラスで槍ヶ岳&大キレットを眺めながらコーヒーを
北穂高小屋は、涸沢側から登ってくると、山頂の向こう側にあります。
こんな場所にこれだけ立派な小屋を、どうやって建てたんだろう?と思ってしまいました。
売店の品揃えも、涸沢ヒュッテ同様に豊富です。
缶ビールに「レーベンブロイ」があるのがいいですね。
山バッジも北穂高小屋オリジナルの物が揃っていたので、私も一つ購入しました。
槍ヶ岳を眺められるテラスで休憩することに。
北穂高小屋は食事がおいしい小屋としても有名ですので、できれば昼食などいただきたかったのですけど、昼食営業は基本的には11時からとのこと。この日は土曜日だったので「今日は10時半ぐらいから始めるかも」とのことだったのですが、このときまだ時間は9時過ぎ。
天気は良いけれどなかなかに風は冷たく……標高3100メートルの高所ともなればそれはそうか……うん、ここで10時半まで待つのは、気温的にも日程的にも厳しそうだな。
というわけで、売店でドリップコーヒーを注文し、コーヒーができあがるまでテラスの周辺をぶらぶら。
おお!小屋の向こうに「槍へ↑」と書かれた看板が見えます。ということは……?
やはり!!
↑の方向に歩いていくと、大キレットに下降していくポイントにでました。
うわー、ここを歩いてみたいとかまったく思わないけれど、見る分には壮観で、楽しいですね!
見た感じ、南岳とかあのあたりは、なだらかな稜線で楽しそうだな。
などとやっていたらコーヒーができて名前を呼ばれたので、テラスで槍ヶ岳を眺めながらいただきます。
槍にも久しく行っていないので、また行きたいなあ……。
北穂高小屋は水場のない小屋ですので、コーヒーは天水で淹れたものです。でも、豆にもこだわっているようで、大変おいしいコーヒーでしたよ。
持参した菓子パンを食べてエネルギー補給し、涸沢に戻ります!
元来た道を戻って、涸沢小屋でソフトクリーム!
北穂高岳から北穂分岐に戻り、涸沢方面へ元来た道を下り始めます。
え…… 涸沢まで1.9km……?
急坂だし、岩場が続くから時間はかかるけれど、距離はそんなものなのですね。
土曜日でしたので、お昼頃になると早朝に上高地を出発した人たちとのすれ違いがきつくなるかなあ……と、少し心配していたのですが、そうでもありませんでした。
南陵取付でも、順番待ちというほどの順番待ちはなく、前後の人に急かされるようなこともなかったので、ゆったりと下りてくることができました。
やっぱり、北穂よりも奥穂のほうが混んでるのかもしれないですね~。
涸沢に着いたら、テントに戻る前にまずは涸沢小屋へ!
涸沢小屋の軽食営業は「ラーメン」「うどん」「スープ付きカレーライス」「とん汁」「おでん」「もつ煮」「えだ豆」など、涸沢ヒュッテよりもやや豊富です。生ビールもありますね。
しかし、ここで注文するのはやっぱりこれ!
涸沢小屋名物のソフトクリームです!500円。
ここのソフトクリームは有名なので前に来たときも食べたんですけど、そのときよりさらにおいしくなったと思います。隣で食べていた知らないおじさんも
「ここのソフトクリームが日本一おいしいと思うわー」
と言っていて、心の中で同意してしまいました。ソフトクリーム自体も濃厚だし、あと、コーンがワッフルコーンなんですよ!そこがすばらしいと思います。
ソフトクリーム以外にも何か食べようかとも思ったのですが、そこまで時間もなかったので、コーラを買いました。
一山登った後の炭酸はおいしいですねー!
本当は、またビールと行きたいところなのですが、今日はこれで終わりではないのです……。なのでコーラでがまんして、テントに戻ります。
テントを撤収し、2日目の幕営地・徳澤に向かう
涸沢でのんびり2泊するか、徳澤までこの日のうちに戻るか、かなり迷ったのですが、最初に予定していたとおり、徳澤まで戻ることにしました。
朝のうちにある程度まとめてあった荷物をザックに詰めて、テントを撤収し、パッキング。
楽しかった涸沢に別れを告げます。
いやー、北穂に登った後に歩くと、涸沢から横尾までの道ってかなりなだらかだなあ。
などと思いつつ歩き始めたものの、先ほどまではザックにレインウェアや行動食など最低限の荷物だけ持って北穂を往復していたわけですが、今はテント泊装備をしっかり背負っているわけで。
加えて早朝から登山した後という疲労感もあり、行きに比べたら「快調!」なわけではなかったです。
やっぱり、北穂高小屋でもう少しのんびりして、昼食も食べてから涸沢に戻れば良かったかしら……それで涸沢でもう一泊しても良かったんではないの……?
などと思いながら、約1時間強で本谷橋に到着。
この後は、平坦な道も増えてくるので、かなり楽になります……。
が!やっぱり疲れましたー!!
横尾に着いたときはかなりの疲労感で「もう、徳澤まで行くのは諦めて横尾で幕営する……?」など弱気になったりもしつつ、あと1時間!がんばる!!
行きは「今日は快調かも♪」なんて思いながら歩いた道を「あともう少し!今日は徳澤の芝生の上にテントを張るのよ!」と自分を励ましながら、やっとの思い出歩き通し、徳澤に着きました。午後4時でした。
携帯の電波状況も最高!お風呂にも入れる!快適な徳澤キャンプ場で過ごす一夜
徳澤に着いたらすぐに、行きも立ち寄ってトーストをいただいた徳澤園の 「みちくさ食堂」で、行きも気になっていた新商品の「コーヒーソフト」を。
注文すると「上からシナモンをおかけしてもよろしいですか?」と聞かれます。
コーヒー味のソフトクリームではなく、紙コップに入れたソフトクリームにコーヒーをかけたというもの。
甘みとカフェインで元気を取り戻し、テント泊の受付をしました。
徳澤園の幕営料金は大人700円、子供500円と涸沢よりやや安いです。
受付証をいただきます。
通りかかるたびに「いつかここに張りたい」と思い続けた天然の芝生にテントを設営し、テントにごろり。
ではなく、お風呂セットを持って、徳澤ロッジにお風呂に入りに行きます!
徳澤ロッジで日帰り入浴
みちくさ食堂のある、テントの受付をした徳澤園では日帰り入浴は受け付けていないのですが、お隣の徳澤ロッジでは、午後3時から午後8時(受付は7時30分まで)まで、日帰り入浴が可能なのです!
料金は1人800円。小学生以下は500円です。
玄関を入って受付でお金を払うと、浴室はそのすぐ奥でした。玄関前に貴重品ロッカーがあるので、お財布などはそちらに預けます。
改装オープンして間もない徳澤ロッジ、浴室もきっと新しくなったのでしょうね、脱衣所もとてもきれいです。
ドライヤーがPanasonicのけっこういいやつです。まだ新しいし。
これなら、強い日差しを浴びてダメージを受けた髪に、さらにダメージを与えなくてすみます。ありがたや……。
浴室も白いタイル張りでとてもきれいです。シャワーも新しく、温度調節も水圧も問題ありません。
山中のお風呂では石けんやシャンプーが使えるかが微妙なところですが、徳澤ロッジの浴室にはリンスインシャンプーとボディシャンプーが備え付けてあり、使用しても問題ないようでした。
体を洗ってゆっくりとお湯に浸かると、早朝からの登山の疲れがお湯に溶けていくようです……。
山でお風呂に入れるって、やっぱり幸せなことですね。あがって外に出るとちょうど日が暮れたころでした。
みちくさ食堂で生ビールとおつまみセット
一応、カレーを作れる用意はしてあったのですが、なんだかもう、面倒になってしまい、またみちくさ食堂へ……。
しかし、みちくさ営業の軽食営業は15時45分で終了しています。事前予約でテント泊の人が夕食をいただくこともできるのですが、この日は私が着いた時点で既に受付終了していました。
なので、生ビールと「おつまみプレート」を注文して、のどを潤します。 チーズ2種とサラミのセット。
うーん、一山登って、お風呂にも入った後の生ビール、最高以外の何物でもないですね。。。
なんかもう、そこまでお腹空いてるわけでもないしご飯作らなくていいかもー。
というわけで、じゃがりこを追加して、ビールを飲み、食堂が閉店する19時30分ぐらいまで食堂にいました。
その後はテント場に戻り、コーヒーを入れてお菓子を食べて、もう寝ます。
栄養があるものは、明日食べればいいや……。
おやすみなさい。
3日目:徳澤から上高地へ
徳澤園で迎える朝
山のテント場は20時ぐらいには静かになるものですが、徳澤園は、翌朝登山をするというわけではなく普通のキャンプ場のように利用している人も多いようでした。22時ぐらいまではあちこちで宴会をしている声が聞こえましたね。
私も、翌日早起きする必要もないのでスマホでネットをしたり、読書をしたりしつつわりと夜更かし。数年前から携帯がつながるようになった徳澤は、LTEがガンガン入る幸せな環境です。
徳澤園の朝定食は最高においしかった
というわけで、早寝しなかったので起きると7時過ぎ。
もうすっかり明るくなって、テントもまばらになっていました。
しかし、今日のお楽しみはここからです。
またしてもみちくさ食堂に向かいます。。。軽食営業は15時には終わるんですけど、朝は7時から営業しているんですよね。
野沢菜チャーハンだけは午前10時からのメニューになりますが、それ以外ならそばでもカレーでもおでんでもオーダー可能です。
しかし、今回私がオーダーしたのは……。
じゃーん!朝定食です。1300円。
予約の必要はないのですが、オーダーしてから卵を焼いてくれるようで、注文から10分ほどは待ちました。
しかし、卵もベーコンも焼きたて!
おひたしも、自分で醤油をかけるタイプではなく、出汁醤油がかかっていて、上には木の芽が載っている凝ったもの。
ちなみにひじきは「女将の故郷の長崎で取れたもの」だそう。
卵は、表面はしっかり目に焼かれているのに中は半熟という理想的な焼き加減。
玉子焼きというよりも、和風のオムレツという雰囲気の味でした。漬けものと味噌汁もおいしく、ご飯がすすみます。
朝定食、朝通りかかるたびにずっと気になっていたのですが、あまりオーダーしている人を見かけないし、トーストがおいしいからトーストを注文してしまうということもあり、これまで注文したことがなかったのです。思いきって注文してみて良かった!
そして、食べている人がいるとやっぱり「あれは何?」と気になるものらしく、私が定食を食べている間に、3人ぐらいの方が朝定食を注文していました。朝11時まで食べられたと思いますので、しっかり朝食を食べたい方にはおすすめです。
朝食を終えると、かなり日も高くなり、気温も上がってきました。
そこでいよいよテントを撤収し……。
いつもの徳澤園のソフトクリームをいただいて、楽しかった徳澤を後にします。
明神で寄り道しつつ上高地へ
ゆっくり休んだせいか、昨日、横尾から徳澤まで歩いたときとは打って変わって快調な足取りで、ハイキング気分で上高地に向かいます。
今日は、午後からやや崩れる予報でしたが、午前中はまだまだいいお天気ですね。
徳澤から約1時間の明神に立ち寄り……。
またしても、食堂へ。
岩魚とお焼きをオーダーしている方が多かったですね。
しかし、さすがに食べ物は注文せず、ここではアイスコーヒーのみ。
その後はまた1時間、上高地の美しい水の流れに癒やされながら歩きます。
河童橋まで戻ってきました!すごい人です。
あそこまで行って戻ってきたなんて、信じられないですよね。
焼岳にもまたそのうち、登りたいなあ。
2日目は行程が長かったこともあってなかなか疲れましたが、そのぶん最終日にかなり余裕が出ました。
快適な徳澤のキャンプ場でキャンプを楽しめたし、最終日は2時間しか歩かなかったので、いつものテント泊山行と比べて翌日に疲れが残らなかったのも良かったです。
妙高山を日帰り登山した翌々日のテント泊山行ということで、ちょっと「大丈夫かな?」と思っていたところもあったのですけど、そのために荷物を減らしたり、初日が緩めの山行計画を立てたのが功を奏したかなと。
新しいザックの調子も上々で、大満足の夏休み登山でした。
やっぱり北アルプスは山小屋グルメが楽しい!
今回の裏テーマだった「山小屋グルメ」を最後に一挙ご紹介。
しかし、よくよく見ると半分以上徳澤園のみちくさ食堂の写真ですね・笑
徳澤のキャンプ場、期待どおり楽しかったのですが、今回は到着が16時と、テント場で過ごす時間がやや短かったのが少し残念だったかもしれません。
次回はもう少し早めに到着して、昼の明るいうちからテントでコロナを飲んだりしたいですね。*1
*1:徳澤園でコロナの瓶を売っているので