丹波山村 三条の湯
三条の湯は、東京都の最高峰でもある雲取山の山腹にある温泉付きの山小屋です。
雲取山の登山道の中でもメジャーな「鴨沢ルート」や「三峰ルート」上ではなく、山梨県の丹波山村から登る、ややマイナーなルート上に立っている山小屋ですが「テント泊もできて」「温泉に入れて」「水が豊富で」「小屋の方もとても親切」ということで、季節によってはかなり混み合いますし、GWごろのテント場はかなり混雑するようです。
2017年の年末、少しだけ早めに休暇をいただくことができたので、空いている三条の湯と雲取山を存分に堪能することができました!
小屋での食事やテント場の様子なども含めて、レポートしてみたいと思います。
- 丹波山村 三条の湯
三条の湯には小屋泊で1回、テントで1回泊まったことがあった
実は、三条の湯に泊まるのは今回が3回目。以前にも小屋泊で1回、テント泊で1回宿泊したことがありました。
GWごろや紅葉の時期はかなり混雑すると聞いていましたので、混雑を避けて前回小屋泊したのは5年ほど前の1月の上旬。テント泊をしたのは3年ほど前の4月中旬でした。どちらも思惑どおり空いていて、静かな山の時間を楽しむことができました。
今回、宿泊を計画していたのは12月27日。年末年始休暇としては少し早めなのできっと小屋は空いているだろう!と思っていたのですが、直前に飛び込んできたのがこちらのニュース。
雲取山荘:現在の積雪は2cm。今冬は水不足のため、12月中の受付は終了しました(写真は12月9日 山が好き! さんの登山記録より) - 17年12月19日(火) https://t.co/jObpO02fYj pic.twitter.com/CQpyKVsYku
— ヤマケイオンライン (@YAMAKEI_ONLINE) 2017年12月19日
なんと、雲取山の最も大きな営業小屋である雲取山荘が、年末の繁忙期に予約できないとは。。。
いや、私はもともと今回は三条の湯に泊まる計画だったのだけど「雲取山荘がダメなら三条の湯にでも泊まるか!」って、団体客が流れてきたりしたら、ぜんぜん想像と違うことになりそう……。
しかも雲取山の標高は2017メートルということで、2017年はアニバーサリーイヤー。「2017年のうちに登らな!」と駆け込みで人が集まってきてたりしないですよね……?
ちなみに、雲取山荘は現在も水不足で、食事付きの宿泊はできないようです。
雲取山荘からの最新情報。
— ヤマケイオンライン (@YAMAKEI_ONLINE) 2018年1月9日
雨・雪が少なく水不足で、1~3月中の宿泊予約は「素泊り」で「お水を持参の方」のみの受付となります、とのこと。
冬も賑わう雲取山荘ですが、ご注意ください。https://t.co/DPsi3HtMTn pic.twitter.com/RUdELZ3Zk0
雲取山荘は12月~4月上旬は空いていてかなり快適なので、最近は毎年のように泊まりに行っていたんですが、全員が自炊となると自炊部屋も混みそうだし、今年はどうしようか迷うところです。
三条の湯の予約方法
三条の湯の予約は電話のみで、電話番号は0428ー88ー0616です。
三条の湯の現地は電話が通じませんので、予約電話は麓の丹波山村につながります。宿泊の際は予約必須です。私も電話で、数日前に予約を入れました。
テント泊の予約は必要ありませんが「平日のテント泊でお風呂に入りたい」ときは、あらかじめ予約をしてほしいとのこと。平日で、小屋への宿泊客がいないときはお風呂を湧かさないことがあるからでしょうね。
三条の湯までのアクセス
三条の湯に公共交通機関で向かう際、最も近いのは丹波山村にある「お祭」というバス停です。奥多摩駅から「丹波行き」のバスに乗ります。
2番乗り場から発車します。
ただし、この丹波行きのバスは本数が少なく、平日4本、土日祝日は5本しか運行していません。
この日、12月27日は年末ダイヤが適用されるには少し早いタイミングの平日でした。
平日の丹波行きのバスは始発が奥多摩駅7時発、お祭着が7時38分。2本目が奥多摩駅を12時25分発で、お祭着が13時3分です。
バスの時刻表はこちらです。
お祭バス停から三条の湯までの標準コースタイムは3時間30分。13時過ぎから歩くのはちょっと遅いかなあ。少し急げば16時前には着けるかもしれないけど、できればもうちょっと早く着いて、ゆっくりお風呂に入りたい。
というわけで今回は、最寄りのお祭バス停よりいくつか手前の「鴨沢西」バス停が終点のバスに奥多摩駅から乗り、鴨沢西から歩くことにしました。
ちなみに、車で三条の湯に向かう場合は、お祭バス停から林道をしばらく車で進むことができます。バスで行くよりは2.2kmほど、ショートカットできるようです。
奥多摩駅から鴨沢西行きのバスに乗り、お祭まで歩く
検討の末、8時42分に奥多摩駅を出る鴨沢西行きのバスに乗ることに決めた私は、バスに立って乗りたくないので8時3分着の電車で早々と奥多摩駅に到着し、バスが来るまで30分ほど、駅前で荷物の整理をしたりトイレに行ったり、身支度を整えたりしていました。
8時42分発のバスに乗るには、8時38分着の電車で来ても間に合うのですけど、みんなその電車で来るから、座れないことが多いんですよね……。
で、思ったとおりでした……。私はもちろん、悠々座って行きましたけど、バスはぎゅうぎゅう。
土日祝日だと、バス会社も臨時バスを用意して待っていたりしますけど、平日だと逆に、混んだりするんですよね。
しかし、この大人数はどこで下りるんでしょうか。みんな鴨沢西で下りて、ぞろぞろと三条の湯に向かいだしたら嫌だなあ。。。
しかし、そんな心配は無用で、みな、一つ前の鴨沢バス停で下りていきました。
鴨沢バス停は、七ツ石小屋や奥多摩小屋に通じる、雲取山の最メジャールートの鴨沢ルート至近のバス停です。
結局、終点の鴨沢西バス停で下りたのは私と男性もう1人だけでした。
年末年始運行は29日から3日までか……。
帰りのバスのこともあるので、しっかりチェックします。
車道を歩いて行くと、15分ほどでお祭バス停に到着!
バス停の目の前には「お祭り山荘」という宿泊施設があります。
2食付きで、大部屋利用なら3600円という値段で泊まれるようです。(個室もあり)
さて、ここから三条の湯まで3時間30分、歩いて行きますよ!
三条の湯へ向かう登山ルート
山頂を経由せずに、三条の湯に直接向かうルートは主に3つあります。
今回私が歩いた「お祭から後山林道ルート」と、お祭バス停の少し先の親川バス停から歩く「丹波天平ルート」。そして丹波バス停から竿裏峠を経由する「丹波ルート」です。ルートの名称は特に地図にも載っていないので、今私が勝手に付けました。違う呼び方をされてる方もいるかもしれません。
私は、この中では断然「お祭から後山林道ルート」がおすすめです。
標準コースタイム3時間30分で最も短いですし、何より危険箇所がありません。林道の工事車道とアスファルトの凍結と落石に気をつけるぐらいでしょうか。
丹波方向に下りるルートは全体的に暗いですし、人とすれ違うとき「どうやってやり過ごしたらいいんだろう」と迷ってしまうような、急斜面のトラバース道が長く続くんですよね。登山技術が高い方なら平気なのかもしれませんが、私は二度と通りたくありません。。。山仲間のL氏も「あのルートは嫌だった」と言っていたので、私だけの感想というわけでもありません。初めて三条の湯に行くなら、退屈でもお祭から、後山林道を歩くのが吉です。
というわけで今回も、林道を歩いていきますよ。
ちなみに、林道を歩き始めた瞬間に携帯の電波がなくなります。
三条の湯についても携帯の電波はありません。再び携帯がつながるようになるのは、翌朝、雲取山の山頂手前の「三条ダルミ」に着いたときですから、そのつもりで準備していったほうがいいです。どうせ電波はないので、すぐ電源を切るか、機内モードにしたほうがいいでしょう。
途中、タクシーに抜かれました。
車で来れる「片倉橋」というポイントまで、タクシーで来たグループがあったのですね。小屋で会いましたが、女性のみの4人グループでした。
奥多摩駅からお祭バス停までがたしか、6000円ぐらいだと聞いたことがありますから、片倉橋まで来たら8000円ぐらいでしょうかね。4人いればまあ、そんなでもないのか。
車で来れるのはこのゲートまで。
この周辺に、数台ですが駐車しておけるスペースがあります。
まあ、3時間ひたすら林道歩きではあるのですけど、沢沿いの道なので見下ろすと美しい流れも眺められます。
落石が多い場所なので、保護用のネットが貼ってある箇所もあります。
本当にずっと林道なので、1人だとヘッドホンを付けたくなったりするのですけど、落石の音も聞こえなくなるので止めた方がいいですね……。
音楽をかけるなら、あまり人も歩いてないですし、スピーカーでかけたほうが良いかもしれません。
途中に、工事の休憩用?のプレハブ小屋がありました。
以前来たときは仮説トイレなんかもあって「登山者の方もどうぞお使いください」なんて書いてあったりしたのですけど、今回はそういうのはないようでした。
しかし、小屋の側にある黄色いボードに何か貼ってあるなあと思ったら。
「とつぜん熊に出会ったときの対策をしらべてみた」って、なんだかブログのタイトルのような掲示がww
熊のほかに、蜂や蛇などに出会ったときの対処方法も貼ってありました。
これ、工事の関係者向けなんですかね?なんだか遊び心を感じます。
プレハブ小屋からちょっと先。工事してました。
この林道、常に何か工事してるんですけど、落石防止とか、登山道保護のための工事なんでしょうかね。よくわかりません。
まあ、基本的に歩く人の少ない道なので、工事の人に出会うとちょっと安心したりもします。この日も、タクシーで来た4人組を追い抜いてしまってからは、ずっと誰にも会わないで1人、歩いて来ましたので。。。
2時間半ほど歩いて林道の終わりに到着!
標準タイムではここまで3時間です。
残りの30分弱は、登山道を歩きます。
この30分の登山道は、やはり斜面のトラバース道なんですが。
でも、丹波方向に向かう道に比べたらぜんぜんこわくありません!ぜんぜん大丈夫な道です!
下に流れる沢を眺めながら歩いていると、沢の近くに何やら平らに整地された場所が……。
小さなテーブルも見えます。あれが三条の湯のテント場ですね。
歩き始めてトータル3時間弱で三条の湯に到着です。
そんなに疲れてはいないけれど、体は冷えたので早くお風呂に入りたいです!
まずは受付でチェックインします。
このとき、13時前でした。早めに着けた!うれしい。。。
小熊が、受付の足元で覗いています。
もちろん、剥製ですけどね。
三条の湯の宿泊料金
三条の湯の宿泊料金は、1泊2食付きで8200円。
夕食のみ7400円。朝食のみ6500円です。
トイレの使用料・入浴料・水場の使用料も宿泊料金に含まれています。
また、テント泊の料金は1人600円。
日帰り入浴の料金も1人600円です。テント泊の料金には入浴料は含まれないので、テントで泊まってお風呂に入りたい場合は、別途入浴料を支払うことになります。
私は今回は2食付きでの宿泊です。宿泊カードを受付で書いて、料金を支払い、部屋とお風呂の場所を説明していただきました。
三条の湯の宿泊部屋
今回宿泊するのはこちらの「三ツ山」という大部屋のお部屋です。
入ってみると、入り口に薪ストーブと椅子が何脚かあり、ストーブの周辺にはハンガーがかかっていますので、乾燥室代わりにも使えそうです。
この日は、雨も降らず雪もなかったので誰も服などは干していませんが……お風呂上がりにはタオルを干したりしていました。
こちらが寝室。ひろーいです。
窓が大きくて日当たりが良く、清潔なお部屋ですが、暖房器具がこの隅っこの薪ストーブだけなので、けっこう寒いです。
部屋の反対側には布団棚が。こちらの布団を好きなだけ使って、好きなところに敷いて寝てOKです。
この広い部屋に、この日泊まったのは私も入れて6人だけでした。
なんと、テラスもついています。
12月ではちょっと寒いので、写真を撮りに出ただけですが、気候のいい時期なら、ここでのんびり過ごすのも楽しいでしょうね。
テラスから、テント場に渡る橋が見えました。
この、ネットみたいなやつはなんだろう……。
どうも、干し野菜を作っているようですね。大根?かな。
夕食に出てくるのでしょうか。楽しみです。
ちなみに今回、大部屋に泊まっていたのは女性4人グループと、単独女性1人と私。全部で6人でした。
男性の宿泊客は単独の男性1人だったのですが、その方は大部屋ではなく、別棟にある小さめの部屋で1人で泊まられていたようです。
三条の湯は個室料金の設定はなく、基本的に相部屋です。
おそらくこのときは「男性1人」ということで配慮されたんでしょうね。たしかに、同室内に男性がいるといないとでは、着替えのしやすさとかいろいろ変わりますし、男性も「自分以外全員女性」の部屋は、なんtのなく気まずかろう。。。
小さいお部屋はこんな感じ。
やはり日当たりがよく、清潔そうですね。
実は、5年前に泊まったときもかなり空いていて、宿泊客はやはり5~6人だったのですけど、そのときは男も女もいっしょに大部屋で泊まったので「常に男女分けてくれる」わけではないのだろうと思います。ケースバイケースなんでしょうね。
三条の湯のトイレと水場
三条の湯のトイレは水洗で、新しくとてもきれいです。
個室は洋式で、水洗です。
水が黒いのでちょっと驚きますが、嫌なにおいなどはありません。
ただし、冬の間は夜から明け方にかけてかなり冷えるため、凍結防止のために消灯時間以降はトイレの水を抜いてしまうんだそうです。
そのため、消灯時間以降に使用する際は、トイレの手前にある水場でバケツに水を汲んで、それで流すように教えていただきました。
こちらが、トイレの手前にある水場です。
蛇口をひねると水が出ます。奥には洗濯機……?小屋の方が使うのでしょうね。
コインを入れると使えるガスコンロもありました。ここで使っている人は見たことないのですが。。。
ちなみに、水場の水も朝には凍結してしまう恐れがあるため、必要なぶんは夜7時ぐらいまでに汲んでおいてくださいね、と言われました。
雲取山荘は水不足で大変そうですが、三条の湯では水は豊富にあるようです。沢沿いだからそれはそうか……。
三条の湯のテント場
三条の湯のテント場は、小屋から見て橋を渡った沢沿いと、橋を渡らない手前の沢沿いがあります。結局どちらも沢沿いなのですが・笑
こちらが橋を渡らないほうのテント場。
そしてこちらの橋を渡った向こうにもテント場があります。
見た感じ、橋を渡らないテント場のほうが小屋に近いからか早めに埋まることが多いように思います。温泉に入ったりトイレに行ったりでなんだかんだ小屋との行き来は多いですからね。
でも、橋を渡るほうのテント場のほうが広くて雰囲気があり、平らな場所も多いです。
夏のシーズン中は、橋を渡った向こうにある小屋の中でも、水場が使えるようになると聞きました。冬の間はテント泊する人も少ないですし、凍結もあるので整備していないようでしたが。
ちなみに、テント泊の人が小屋内に入ってくることを嫌う山小屋もありますが、三条の湯さんはとても優しくて「宿泊客が少ない日なら、あるいは宿泊客の食事が終わった後なら食堂で自炊してもいいよ」と言ってくださいます。
また、お風呂に入れる回数や時間帯も「テント泊の人はこの時間で入ってね」みたいなことはなく、小屋泊のときとまったく同じ条件で入れます。
テント場は沢沿いなのでちょっと冷えますが、三条の湯でテント泊するのはかなり快適なので、またもう少し気候がいい時期に、テントでも来たいなと思いました。
三条の湯の売店
三条の湯の売店営業は、朝は朝食の時間ぐらいから、夜は消灯前まで営業しています。
缶ビールに日本酒、ワインにソフトドリンク。おつまみにスナック。
ワッペンや山バッジに手ぬぐい、そしてプリムスのガスカートリッジも!
しかし、ガスカートリッジは1000円とかなりお高いので、なるべくならここで買いたくはないですね……。とは言え、本当に忘れてしまったときは、たとえ1000円でも、売っていたらありがたいのですが。
三条の湯の食堂
チェックインしたのが13時前だったのですが、女子の最初の入浴時間は15時からだったので、かなり時間に余裕があります。
というわけで食堂で、お昼をいただこうかなと。
明るい食堂です。宿泊者の夕食と朝食はこちらでいただきます。
素泊まりの方は食堂で自炊して大丈夫ですし、テント泊の方も、宿泊客で混んでいないときは食堂で鍋をやっていたりしますね。
壁際の書棚には山の雑誌がぎっしり。
薪ストーブにやかんがかかっていました。食堂の暖房もやはり、薪ストーブです。
食事の用意は一応あるのですが、何かおいしい昼食メニューでもあればそれも頼みたい……。
カレーライスとカップラーメンか。どうも、昼食に力を入れている小屋ではなさそうな雰囲気。
というわけで、自分で棒ラーメンを作って食べました。
暖まるなあ。。。
ラーメンを食べ終えてもまだ13時半前。
「お風呂に入れる15時までまだけっこうあるから、お酒飲んじゃおうかなあ」
などと考えていたら、小屋の人に
「13時から14時まで女湯にしたから、入りたかったらどうぞ!」
と声をかけていただきました。
どうしよう……まあ、温泉は何度入ったっていいしね。
さっき林道で追い抜いてきた女性4人組とお風呂で一緒になるのは避けたいので(単に混んでる風呂が嫌というだけですが)彼女たちが小屋に着く前に入ってしまうのがいいかも!
というわけで、ささっと昼食の後片付けをして、お風呂に向かうことにしました。
三条の湯の温泉浴室
チェックインの際にいただける紙に、食事の時間と温泉の入浴時間についてが書かれていました。
夕食も朝食も6時から。消灯は9時。
入浴は、午後3時からが女性で、以降1時間おきに男女が入れ替わる時間交代制です。
女性が最後にお風呂に入れるのは7時から8時の間なので、6時からの夕食の後、あまり酔っぱらってしまうと入れなくなってしまいますね。
浴室のある棟は、客室や食堂のあるところから一段下がったところにあり、坂道を下っていきます。
下に見える建物がそうですね。
「あき」と書かれてた札がかかっています。
「あき」は、中に入るときに裏返して「をんな」にしておきます。
これで「今は女湯ですよ!」という目印になります。
では、いざ中へ。
脱衣所です。脱衣カゴが置いてあるだけですが、湿気も少なく清潔で、日当たりもいいのがよいですね。
時計の下には鏡がありました。
温泉分析書が貼ってあります。
泉温10.5度、ph10.3。湧出量毎分4Lの、ほのかに硫黄の香るアルカリ性の冷鉱泉です。
石けんやシャンプーの使用は不可。
浴室内に入ると、内湯の浴槽が1つのシンプルな造りです。
閉めてあった浴槽の蓋を開けます。木の板を1枚1枚開けていくのでけっこう時間がかかります。裸でこれをやるのは寒いので、服を脱ぐ前に蓋は開けておいたほうがいいでしょう。
よし、全部蓋を開けたと。
ちなみに今回、撮影のためにすべて木の蓋を開けましたが、自分1人しかいないときはギリギリ自分が入れるスペースぶんだけしか開けないことも多いです。そのほうがお湯も冷めないですしね。。。
洗い場にはお湯と水の混合栓のカランがありました。
しかし実は、カランからお湯は出ません。いくらお湯の蛇口をひねっても水しか出てこないので、浴槽のお湯を洗面器ですくって、かけ湯して体を洗って入ります。
さて、入りますよ!
入ってみると、この日の湯加減はややぬるめ。
湧かしたばかりだからでしょうかね。
私は、半身浴でゆっくり入るのが好きなので、ぬるくてもぜんぜん構いません。手前の段差に腰掛けて、時間が許す限りの長風呂を決めこみます!
とは言え浴室は1時間交代なので、どれだけ長湯しても1時間が限界です。
あがる直前には湯冷めしないように、少しお湯を加温して熱くします。
温度調節を自分でできるのがいいですね。
ちなみにお湯について感想を述べますと……びっくりするほど濃厚な、いいお湯です!
ヌルヌル感がすごいし、硫黄の香りもしっかりして、しかも泡つきもかなりのもの。
冷鉱泉なのでもちろん加温はしているのですが、源泉100%の濃厚なお湯なのです。
泡つきがすごいので、あまり加温しすぎないほうが個人的にはおすすめです。
露天風呂などはありませんが、光の入る明るい浴室です。
紅葉の時期や新緑の時期は、窓を開けて外を眺めながら入るのも素敵でしょうね。私は、混むのが嫌なのであまりその季節は来ないのですけど……)
ちなみに、今回は空いていたので1つの浴室を1時間ごとに男女交代で使いましたが、小屋が混んでいる日はもう1つ浴室が稼働し、男女別の浴室になります。
あちらの建物がもう1つの浴室です。
三条の湯に泊まったのは3回目ですが、空いている季節ばかりねらって来ているので、あちらの浴室は一度も使ったことがないのですが、小屋が混んでいる日でも、タイミングを選べばゆっくり入浴できるのかもしれないですね。
お風呂上がりは熱燗とコーヒーでひとやすみ
さて、お風呂をあがったらまた食堂に戻ります!
まずは、持参した缶のワンカップ(ワンカップって缶のほうが絶対いいと思う。缶のワンカップもっと増えてほしい!)をいただきます。
おつまみは、チーズ鱈、甘栗、うずらの卵など。
成城石井でよく売っている、個別包装のうずらの卵は、山でのつまみに最適です。
お酒がなくなったら、次はコーヒーをいただきます。
お湯を湧かして、ドリップパックで淹れるだけですが。
珈琲かりんとうをつまみながらゆっくりとコーヒーを飲み、山の本をめくりながら夕暮れを待ちます。
三条の湯の食事
三条の湯は朝食も夕食も6時から。
夕食が6時なのは早すぎなくて良いですね。山小屋だとたまに、5時とかいうところもあるので。。。
時間になったら食堂に向かいます。この日は人数が少ないので特に食券を配られたりということはありませんでしたが、お客さんが多い日はどうなんでしょうね。
三条の湯の夕食は自家栽培の野菜や鹿肉を使った料理
三条の湯の夕食は、ワンプレートに自家栽培の野菜や地の物を使ったおかずが並び、ご飯とお吸い物。
いつもなら日本酒をいただくところですが、夕食後、19時~20時の時間帯にもう一度お風呂に入りたいので今日は缶ビールで。小屋の売店で購入しました。
新鮮な野菜はすべて、丹波山村で栽培されたものだそう。
赤っぽいやつは鹿肉のベーコン。
岩魚の甘露煮でご飯がすすみますね。きのこの天ぷらも。もちろんおいしい。
サラダの隣に付いている、見た目りんごのような梨のようなものは、食べてみると食感はりんごそのものなのに甘みがまったくなく。
同じテーブルを囲んだ人たちで「これはいったい何なんだ?」と話題になったのですが、正解はヤーコンだそうです。こちらも丹波山村で作っているんだそう。
ご飯のお替わりは自由にできますが、私は昼のうちにさんざん、つまみやおやつをいただいてしまったのでご飯は一膳のみで。
三条の湯は、食事のボリュームは正直に言って控えめなほうだと思います。大食いの人は何か持ってきたほうがいいかもしれません。昼のうちにさんざん飲み食いしてちょうどいい感じです・笑
夕食後のお楽しみ
夕食後は、食堂で小屋の方がギターを弾いていて、さながらコンサートのような状態でした。女性4人組のパーティの方たちは、一緒にお酒を飲んで楽しまれてましたね。
しかし私は、7時からゆっくりお風呂に入るために、早めに部屋に戻ります。
薪ストーブの前で魔法瓶にいれたお茶を飲みながら、少し酔いをさまします。
三条の湯は携帯の電波がまったくないので、こんなとき「スマホで時間をつぶす」ことはできません。
携帯の電波がないことはわかっていたので、今回私はiPadminiを持参していました。
ダウンロード済みの電子書籍を、ストーブの前でじっくり飲んでいました。
19時になる前に、お風呂から戻ったらすぐに布団に入れるように、寝床を整えます。
広い部屋に少人数で泊まっているので、正直部屋は寒いのですが……布団も毛布も使いたい放題なので、寝ている間はまったく寒さを感じずにすみました。
寝具も清潔だったと思います。
さて、19時になったところでお風呂へ。
ゆっくりと浸かって暖まり、部屋に戻ったらすぐに布団に入って、おやすみなさい。
消灯は21時です。
三条の湯の朝食はご飯がたくさん食べられる副菜がならぶ
三条の湯の朝食は、朝6時から。
時間になったら食堂に向かいます。
朝食は、山小屋らしいご飯がたくさん食べられるおかずが並びます。
漬けもの、塩鮭、煮豆、昆布、焼き海苔、生卵。そして温かいお味噌汁。
しっかりといただいて、ごちそうさまでした!
三条の湯から雲取山山頂へ
帰りのバスの時間から逆算して、朝7時に出発を予定していましたが、予定どおりに身支度を終えることができました。
冬の朝はつい、寒くてだらだらしてしまいがちなので、予定どおり支度できた自分を褒めてあげたい。。。
ありがとう三条の湯!お世話になりました!!
本日歩くルートは、まず三条の湯から標準コースタイム2時間20分のところにある「三条ダルミ」というポイントまで、水無尾根という尾根をひたすら登ります。
三条ダルミから山頂までは約40分。なので三条の湯から雲取山頂までが約3時間ですね。
三条の湯の標高は1090メートルで、雲取山頂が2017メートルですので、標高差900メートル強を3時間で登るというわけです。
ここは登りで1度、下りで1度歩いたことがある道ですが、アップダウンではなく、ずっとずっと登りというルートなので、個人的にはそんなに苦手ではありません。登ったり下りたりのほうが疲れるので……あとは嫌な凍結がなければ。
さて、ルートの状態はどんな感じでしょうか。
水無尾根を歩く
水無尾根は、始めは沢沿いの道ですが、すぐに標高が上がって、斜面のトラバース道になります。
沢沿いの道を歩いているときは、沢から流れてきた水が登山道上で凍り付いてツルツルになっていたりして「これはチェーンスパイクを着けるべきか?」と迷う場面もありました。
ですが、標高が上がってトラバース道になると、凍結はほぼなくなりました。
結局この日は下山まで、チェーンスパイクの出番はありませんでした。1月中にけっこう雪が降ったと思いますので、かなり状況は変わっているでしょうけれど。。。
今日はいい天気です!
日の出から間もない時間帯には、朝日が山を赤く照らしていました。
遠くに光っているのはもしや海……?
本当に海だったかはわかりませんが、とてもきれいで、癒やされました。
ああ、向こうに見えるちょっと高くなっているところが、雲取山頂ですね!
やはり、山頂が見えるとうれしくなりますね。もう少しですね!そして、なんて空が青いんでしょうか。
2時間ぐらいで三条ダルミに到着。
昨日、お祭バス停から歩き始めた後すぐになくなった携帯の電波が、ここに来てひさびさに復活しました!
富士山も見えて、眺めも良いので三条ダルミは休憩する人も多いポイントです。
まあでも、もうちょっとで山頂だから休憩はそこまで取っておこう。
三条ダルミから30分少々歩くと、山頂避難小屋が見えてきました。
ここまで来れば山頂はもう目の前。
2017年2回目の雲取山の山頂です。
誰もいない。
富士山もクリアに見えて、すばらしいですねー。
避難小屋の前で菓子パンなど食べてお茶を飲み、しばしの休憩。
帰りは、勝手知ったる鴨沢ルートで下山します!
鴨沢ルートの積雪はどんな感じでしょうね。
雲取山頂から鴨沢へ下山
山頂避難小屋をあとにし、鴨沢ルートを下山します。
空が青い!
雪は、登山道上にちょろっと残っている程度で、凍結もほぼありませんでした。
私は、ちょっと凍結してるとすぐにチェーンスパイクを履いてしまう人ですが、この日は履かなくても大丈夫でしたね。
遠くの山並みが美しい。
富士山を眺めながら、奥多摩小屋に下ります。
年度末での閉鎖を予定しているという、奥多摩小屋。
小屋の正面から見たのではあまりよくわからないけど、一部取り壊しが始まっているとのことでしたね。
実は私は、雲取山にはもっぱら、冬に小屋泊で登っていたので、奥多摩小屋で幕営したのは1回だけなんですよね。
でもたしかに、眺めが良くて立地も良く、水場もあって良いテント場だと思うので、幕営だけでもできるように残せないものでしょうかね……。
気持ちの良い尾根道を下っていきます。
そして徐々に樹林帯へ。
しかし、歩いていて気づいたのが、鴨沢ルートの登山道のところどころに、こんなような看板があること。
近寄ると「平将門迷走ルート」という、歴史にまつわる看板でした。
4月に歩いたとき、こんな看板あったっけかな。。。
どれも新しい看板だったので、夏山シーズンに向けて立てられたのかもしれませんね。
樹林帯の登山道をひたすら下ります。
雪も凍結もぬかるみもなく、乾いていて歩きやすかったです。
小袖で車道に出たら、あとは鴨沢バス停まで20分!
しかし、登山道の入り口にあったこれは何……?将門どころじゃないやつがいた!
ううむ。。。
2017年は雲取山の標高年、アニバーサリーイヤーということで、いろいろ色気を出したというところでしょうか。
しかし、いろいろ欲張りすぎてて何を主張したいのか曖昧になってるのがちょっと笑えます。
ちなみに、UFOみたいな謎のマスコットは丹波山村のマスコットで「タバスキー」というんですよね。UFOではなく、丹波山村の「丹」の字をモチーフにしているんだそうです・笑
奥多摩湖が見えた!鴨沢までもうすぐ!!
やった!がんばって歩いたので、 バスの出発まであと30分ほどあります!!
ということで、バス停から徒歩1分の例のカフェへ向かいます!
バスの待ち時間は「山の休憩所かゑる」でコーヒーを
前回、4月に雲取山に登った際に初めて立ち寄った、鴨沢バス停から徒歩1分のところにある古民家カフェです。
前回訪問時のレポートはこちら↑
前回は、お店の看板メニューであるおしること、コーヒーのセットをいただいたのですが、今回はそこまで時間がないのでコーヒーのみ注文しました。
猫と一緒に暖かい店内で、コーヒーがくるのを待ちます。
おや、日本酒もあるのね。
いつか時間があるときに飲んでみたいものだ。
10分弱で、淹れたてのコーヒーが出てきました。
残っていた菓子パンを食べつつ、おいしいコーヒーをいただきます。
約8ヶ月ぶりの訪問でしたが、前回はなかった従業員(猫たち)の紹介書が、パウチして置いてありました。
オーナーさんがこの地に引っ越してきて、地域猫の小池さんを飼い始めたら、いきなり3匹の子猫が生まれたんだそうです・笑
気がつくと、店内は猫カフェ状態に!
猫好きなので、癒やしのひとときでした。
今回も、コーヒーおいしかったです。ごちそうさまでした!
バスの発車時刻5分前にバス停に戻ります。
この日はまだ、登山客は少なめでしたね。バスに乗って奥多摩駅方面に向かいます。
2017年最後の登山、お疲れさまでした!
最後に……三条の湯に泊まるとき忘れてはならないこと2つ
三条の湯に泊まる際に覚えておいたほうがいいことの1つ目は、本文中でも触れましたが、三条の湯はまったく携帯がつながらないということです。
それも、小屋の周辺がつながらないだけでなく、三条の湯に向かって登山道を歩き始めた瞬間に、もう電波がなくなります。そして、山頂方面に歩いて行っても、本当に山頂直前にならないと電波は復活しません。
最近は、山中でも携帯が通じるところが多くなったので、雲取山というメジャーな山の、しかも通年営業の山小屋がある地域一帯、携帯がつながらないというのは、ちょっと意外なように思いました。
「帰りのバスの時間は山小屋についてから検索すればいいや」などと思っていると、あてがはずれてしまいますので、しっかり準備していったほうがいいでしょう。
2つ目は、三条の湯の源泉は、冬期に凍結してしまうことがある、ということです。
汲み上げているのではなく、自噴している冷鉱泉ですので、気温が下がると凍ってしまうんだそうです。凍ってしまった際は、お風呂は沢水を湧かすんだそう。山仲間のD氏が、以前2月に宿泊したときは沢水の湧かし湯だったと聞きました。
なので一応、凍ってしまってもお風呂には入れるのですが「せっかくだから源泉につかりたい」と思うのなら、冬は宿泊予約の際に源泉の状況を聞いてみても良いかもしれません。
今回は久々の三条の湯、空いていて天気もよく、かなり満喫できました。
次回はテント泊で来てみようかな、などと考えています。