温泉ブログ 山と温泉のきろく

山好き女子の温泉と食と山旅の記録です。

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ゴールデンウィークに残雪の至仏山に登り、下山後は温泉も満喫した贅沢な山旅

2022年のゴールデンウィークは、3年ぶりに登山と温泉を両方満喫する旅に出た

2020年、2021年と、ゴールデンウィークに遠出しづらい状況が続きましたが、2022年はようやく!連休を利用して旅に出ることができました。

行き先は尾瀬、至仏山。

山小屋に1泊して翌日の朝から残雪の至仏山に登り、下山後は麓にある尾瀬戸倉温泉で1泊して、2泊3日の山旅を存分に楽しんできました。

今年のゴールデンウィークは混みそうだけど、尾瀬ならアルプスや、有名温泉地ほどではないんじゃないかな……2018年に来たときもそんなに混んでなかったし。と目星を付けて計画したのですが、予想は見事にあたり、山でも温泉でも連休中とは思えない静かな山旅を楽しむことができました。

泊まった山小屋・温泉宿については先に記事を公開していますが、本稿では至仏山登山の詳細と、前後の行程についてを合わせて、旅行記としてご紹介したいと思います。

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一人旅をもっと楽しみたい方に向けたエッセイです。
一人で泊まれるおすすめの温泉宿もたくさん紹介しています。

 

上越線沼田駅からバスを乗り継ぎ、お昼過ぎに鳩待峠へ

5月3日、ゴールデンウィーク後半の3連休の初日。

午前9時台に東京駅を出発するあさま号に乗って高崎駅へ。指定席を取りましたがさすがにこの区間は満席でした。

高崎駅で下車して、まずは改札内にあるコインロッカーに荷物を預けます。
実は、2泊3日の山旅の後にさらに実家方面に移動する予定があったので、登山靴ではない靴や着替え、ノートPCなども持っていたのですが、さすがにそれを担いでの登山はきついので、電車を乗り継ぐ高崎駅に預けて行こうと計画していたのです。運良く改札内のロッカーが空いていたのでホッとしました。

高崎駅から上越線に乗り越えて、沼田駅で下車。

沼田駅前のバス停から関越交通の路線バス「尾瀬戸倉行き」に乗車します。

このとき、混雑を避けるポイントとして、必ず沼田駅始発のバスを選ぶこと!があります。尾瀬戸倉行きのバスは「上毛高原駅始発で沼田駅を経由するもの」と「沼田駅始発のもの」があります。新幹線が停車する上毛高原駅始発のバスは、新幹線で来た人で席が埋まってしまう可能性があるのです。

沼田駅始発のバスを選べば、よほどのこと(10人以上の団体がいるなど)がなければ混雑することはありません。このときも、2人掛けの席に座って隣にザックを置いていましたが、常にいくつか空席がある状態で終点まで行くことができました。

1時間20分ほどの乗車で、終点尾瀬戸倉に到着。

ここからさらに、乗合バス・タクシーに乗り換えて、登山口の「鳩待峠」に向かいます。

乗合バス乗り場に向かう途中、日帰り温泉の「尾瀬戸倉ぷらり館」の前を通過します。
露天風呂もあって悪くはない日帰り温泉なのですが、いかんせん、晴れた休日は登山帰りの人で混雑するんですよね……。それで今回は、下山後に温泉に1泊する計画を立てたのです。

橋を渡った向こうに見える、緑の屋根の建物が乗合バス・タクシー乗り場です。

鳩待峠までの料金は1000円で、以前来たときより20円アップしていました。でもまあ、きりがいいからこれはこれでいいですね。

鳩待峠で身支度を整え、山の鼻まで1時間のスノーハイク

尾瀬戸倉から20分ほど乗合バスに乗り、登山口の鳩待峠へ。
鳩待峠には食堂併設の休憩所と、その裏手には宿泊可能な山小屋、公衆トイレなどがあります。帰りの戸倉行きのバスのチケットもこちらで購入します。

ここ、鳩待峠から1時間ほど歩いて、本日の宿「至仏山荘」へ向かうことになります。

さて、今年は例年に比べて雪が多いと聞いていたけれど、ここだけ見るとそうでもないかな……?と思って登山道のほうに目をやると……。

あ、なるほど。休憩所の前だけは除雪したから雪がないだけですね。

休憩所の裏手にある公衆トイレの前にも、たっぷりと雪が残っていました。
4年前のゴールデンウィークに来たときは、ここには雪はなかったです。

鳩待峠にはコカコーラの自動販売機もあります。

 

下山後、ちょっとだけコーラが飲みたくなるからコカコーラの小さいペットボトルがあるのはうれしいな。コーラ飲みたいけど、500MLは飲みきれないんですよね……。

鳩待峠の自動販売機は、下界と比べて20円~40円ぐらい高いかな、というお値段でした。ホテルや旅館の中にある自販機と同じぐらいですね。

ちなみに本日宿泊する山小屋、至仏山荘の売店でも飲み物は買えますが、鳩待峠で買うよりも高くなります。たとえば鳩待峠の自販機では、いろはすは150円でしたが、至仏山荘では250円。人力で運んでいるので値段が上がるのは仕方がないのですが、荷物に余裕があれば先に買っておいて自分で持っていったほうが良いですね。

鳩待峠でトイレを借りて、スパッツとチェーンスパイクを着けて、トレッキングポールも出して歩き始めます。

歩き始めから、けっこうな量の雪が残った状態です。

2018年に来たときは、ところどころ雪が溶けて木道が覗いていたり、既に水芭蕉もいくつか咲いていたのですが……。

今年はちょっと、水芭蕉が顔を出す余地はまだないみたい。

でも、ずっと雪があるのはある意味歩きやすくていいです。
歩いていくと、見覚えのある風景にもあちらこちらで出会います。

たしか、この橋を渡ったら間もなく至仏山荘に到着するはず。

やはり!見えてきましたテントの群れと、山小屋の建物が。

今年のゴールデンウィークは天気が良いから、テント泊も楽しそうですね。

至仏山荘の周りにも、2018年のゴールデンウィークは雪がなかったんですが……今年はがっつり雪が残っていました。

山の鼻の快適な山小屋・至仏山荘に4年ぶりに宿泊、翌日の登山に備える

至仏山荘については、先に紹介記事を公開していますので、宿泊を検討されている方にはこちらの記事↓を読んでいただけると参考にしていただけるかと。

本稿では、至仏山荘での過ごした時間についてをかいつまんでご紹介したいと思います。

至仏山荘は個室中心の山小屋で、2人以上で宿泊する際は個室利用が可能となりますが、1人泊の場合は男女別の相部屋を予約することになります。

前回も1度宿泊して「カーテンできっちり仕切りがあったから、もし混雑していても大丈夫」と考えていたのですが……なんと。

チェックインしてみると、この日、女性用の相部屋に宿泊するのは私1人とのこと。
1人で好き放題使えて、予想以上に快適な山小屋滞在となりました。
相部屋にはコンセントが1箇所しかないので、充電したいときに本来は譲り合わなければならなかったんですが……1人でゆうゆう、使わせてもらいました。

今回の山旅では山と道のTHREEを使用

ちなみに、この山旅で使用したザックは、山と道の「THREE」です。

大人気のザックで、他の色は発売からすぐ売り切れていたのですが、発売から数日後に見たら「パープル」の「メッシュ」はまだ在庫があり……。
えー、私はもともと「買うならパープルのメッシュだわ」と思っていたのに……どうしましょう……ということがあって、結局買ってしまいました。ULザックでテント泊をするつもりはあまりないんですけど、ワカンやスノーシューを固定したり、メッシュポケットに塗れたアイゼンを入れられるから、泊まりの雪山登山にちょうどいいなと思っていたんですよね。

冬季ギアに着替えやお風呂グッズも含めて10kgぐらいの荷物を持っていたんですが、10kgならかなり快適に歩けました。私はテント泊の荷物はこの重量には収められないんですよね……絶対iPadとか持っちゃうから。

お菓子やお茶、お風呂、食事など少しずつ快適度がアップしていた

以前泊まったときはなかったように思うのですけど、チェックイン時に「お菓子×2」とスティックタイプの紅茶と緑茶、それと山小屋の名前入りタオルをいただきました。

廊下にお湯の入ったポットと湯呑みが入っているので、お茶はそれを使っていただけます。また、スティックのお茶の他にも、粉末の緑茶がポットと一緒に置いてあるので、そちらも好きなときに飲むことができます。山小屋では水分が不足しがちになるのでありがたいですね。

至仏山荘には温泉ではないものの浴室もあり、15時30分から19時まで、宿泊者のみ入浴が可能です。

以前来たときはなかったのですが、浴室にリンスインシャンプーとボディシャンプーが設置されていました。脱衣所にはドライヤーもあります。

お風呂に浸かって温まった後は、談話室のテラスから外を眺めたり、持って来たiPadminiで読書したりして過ごしました。

夕食は17時からと、山小屋らしく早めの開始です。

日本酒を熱燗にしていただきました。

固形燃料で熱して熱々でいただけるハンバーグは、前回2018年に泊まったときにはなかったメイン料理です。

実は、2018年から比べると宿泊料金は8500円から9500円に、1000円アップしていたのですが、お菓子とお茶、浴室のアメニティ、夕食のボリュームアップなど、滞在中の階適度・満足度もアップしていたので、本当に、がんばっている山小屋だなあと感じました。

食後は消灯時間を待たずにさっさと寝てしまい、朝6時から朝食です。

生野菜とシウマイ、塩鯖など、おかずもバラエティ豊富でおいしい朝食でした。
食後は部屋で荷物をまとめて身支度を整え、いよいよ至仏山に向かいます!

山の鼻から登り、小至仏山を経由して鳩待峠に下りる周回ルートを歩く

早朝のうちにどんどん出発していく方が多いのですが、私はゆっくりと準備をして7時30分に至仏山荘を後にしました。

至仏山に向けて歩き始めます。快晴です!うれしい……。

今日は至仏山の山頂を経由して、そのまま鳩待峠に下山する予定なので、山の鼻と尾瀬ヶ原にここで別れを告げます。

いい天気だったのに、今年も雪の尾瀬ヶ原を散歩することもなく、ひたすら小屋でだらだらして終わってしまいました。至仏山荘が快適すぎるんですよね・笑
夏か秋にまた来よう……。

登山道入口に看板があり、ここから登っていきます。

昨日はチェーンスパイクでしたが、今日はけっこう急傾斜な道を登っていくので12本爪アイゼンを着けました。

登り始めからなかなかの急坂。

ですが、さすがにそこまで気温は高くないのでアイゼンもよく効きますし、快適に歩けます。

周りの木がだんだん少なく、低くなってきました。

もうすぐ森林限界ですね。

きたきた森林限界!

視界を遮る木々がなくなったところで振り返ると、尾瀬ヶ原と、正面に燧ヶ岳を眺めることができます。この景色が、至仏山登山の醍醐味ですね……。

ちなみに、4年前のゴールデンウィークに、だいたい同じ場所で撮った写真がこちら↓

4年前は天気もちょっと微妙だったんですが、何と言っても雪が本当に少なかったです。
尾瀬ヶ原の湿原にはほとんど雪がなかったんですね。やはりこの季節は、雪があったほうが美しさが増しますね。

そして、上を見上げれば……

雪の急斜面。
青空とのコントラストが美しいですが、なかなかにきついです。

山の鼻から至仏山への道は、夏の間は植生保護のために上り専用とされており、下りで使うことはできません。

ですが、ゴールデンウィークが終わるまでの間は雪が斜面を覆っているため、下りでの通行も可能です。なので、スキーやヒップソリでこの急斜面を下ってくる方とチラホラすれ違うのですが……。

個人的にはこの急坂は、スキーならともかくソリでは下りたくないですね。スピード出過ぎて止まらなくなりそうですし。

上り疲れると後ろを振り返って、尾瀬ヶ原と燧ヶ岳の絶景に心を励まされ、また上り始めます。

急斜面を上り終えると、風が強く吹き抜けるためか雪が少ないエリアに出ます。このああたりは木道や、木の階段を歩かなければいけないのでアイゼンを外しました。

このあたりは「高天原」と呼ばれるエリアです。

木道からまた雪の斜面に代わり、これを上り終えると……。

ピークらしき場所に人だかりが見えました。あれが至仏山の山頂です。

静かな至仏山だけど山頂だけは大混雑

私は今回、山の鼻から登ってきましたが、この季節の至仏山は反対側の鳩待峠から、直接至仏山に登るルートを歩く人がとても多いです。今年は雪が多かったので、スキーを履いたまま鳩待峠から登ってきて、登頂してスキーで滑走して下りていく人もたくさんいました。

なので、登山道の静かさとはうってかわって山頂は大混雑。山頂碑には記念写真を撮る人で行列ができていたので、面倒になってしまい、写真も撮りませんでした。

しかし、混んでいるとは言え山頂周辺には休憩を取るのに適した場所も多いですし、良く晴れていて風もなく、とても気持ちが良いです。

行動食の菓子パンをかじって、あまり長居せずに鳩待峠の方向にむかって下山を開始します。

山頂碑の前では写真を撮りませんでしたが、山頂から眺める雪のついた山並みがものすごく美しかったです。

山の鼻からの上りは急斜面でしたが、下りは比較的なだらかな道を下っていきます。

少し先に見えるピークは「小至仏山」です。

小至仏山を通過する際、雪のない時期は山頂近くを歩くことになりますが、積雪期は山頂を経由してもいい、斜面をトラバースする人もいます。このトラバース道が、人によってはけっこうこわいと評判です。

近づいてきましたね。

トラバース道。

風が強い日だったら少しこわいかもしれないですね。アイゼンとストックがあって、転ばないよう慎重に歩いていれば大丈夫。今日は天気もいいですしね。

小至仏山を通過すると、まもなく登山道は樹林帯へと入っていきます。

鳩待峠方向だけでなく、縦走路にもトレースがしっかりついていますが、スキーの方などは特に登山用のルートをはずれて歩くことも多いので、足跡を追いかけて変な道に入ってしまわないよう注意が必要です。

なだらかな樹林帯を下りながら、ちらりと左のほうに目をやると……尾瀬ヶ原と燧ヶ岳が見えました。

たしか、尾瀬ヶ原が見えるのはこのあたりが最後だったはず。

下り初めてからわりとのんびり歩いて2時間ほどで、鳩待峠休憩所に戻ってきました。休憩所まで雪がなくなるタイミングは1度もなく、ずっとアイゼン着けっぱなしで大丈夫でした。

アイゼンをはずして乗合バスのチケットを買い、名物の花豆のソフトクリームをいただきます。

下山後の疲れた体に花豆ソフトの甘さが染みますね。

14時30分ごろに出発する乗合タクシーに乗り、14時50分に戸倉バス停に到着しました。

ここから沼田駅行きの路線バスに乗り換えることができますが、2022年はまっすぐ帰るのではなく、尾瀬戸倉温泉のペンションに1泊します。

下山後、尾瀬戸倉温泉ペンションゆきみちに宿泊

宿泊する「ペンションゆきみち」は、戸倉のバス停から徒歩5分ほどの場所にある、温泉付きペンションです。

楽天トラベルでのみ予約可能。尾瀬戸倉温泉はわりと1人で泊まれる宿が少なめなのですが、ペンションゆきみちは土曜日でも連休でも1人泊を受け付けてくださるありがたい宿です。

15時ちょうどにチェックインし、案内していただいたお部屋は清潔で明るく、風通しの良い居心地の良い部屋でした。

お部屋にDVDプレイヤーまで置いてあったことに驚きました。

温泉も、ほんのりと卵臭が感じられ、ぬるっとした浴感のある良いお湯です。

貸切利用というわけではないのですが、滞在中3回入りましたけど常に貸切状態。現在は宿泊を1日最大4組に絞っているそうで、浴室や食事処も混雑することなくゆったりと使うことができるようです。

お風呂上がりには、近所にある酒屋さんで買ってきた地ビールを飲みながら部屋でだらだらして過ごしました。

1泊2食付き8000円とはとても思えないすばらしい食事

夕食は食事処で18時から。

生ビールを注文しました。グラスも冷え冷えでうれしい。

春らしく、こごみの胡麻和えがおいしかったです。

夕食のメイン料理は、溶岩プレートの上で焼いていただく鹿肉の焼肉。臭みなどもまったくなく、味付けも上手で大変おいしかったです。

翌日の朝食は、山の宿らしく午後5時30分以降に用意していただける、とのことだったので7時からいただきました。

朝から品数豊富で、おかずもすべて手がかかっているすばらしい朝食でした。ご飯もおいしかったです。

ペンションゆきみちについては、こちらの記事↓に詳細な宿泊レポートを書きました。

早朝出発の際は朝食をおにぎりに変更してもらえたり、お昼ご飯のおにぎり弁当を用意していただくこともできるそうです。次回はこちらの宿に前泊して尾瀬を歩くのも楽しそうですね。

チェックアウト後は路線バスで沼田駅に向かいます。

沼田駅からは上越線で高崎駅に戻り、コインロッカーに入れておいた荷物を回収して、靴を登山靴から普段用の靴に履き替えます。

登山靴のほか、アイゼンやトレッキングポールなどの登山道具をボストンバッグに詰めてコンビニから自宅宛てに発送し、身軽になってから実家方面に向かう上越新幹線に乗車しました。

ゴールデンウィークの旅はまだ続くのですが、2泊3日の山旅のレポートはこれにて終了です。

ゴールデンウィークの至仏山と尾瀬戸倉温泉、混雑を避けて楽しめて、我ながらベストなプランを立てられたと思います。3年ぶりのゴールデンウィーク登山、存分に満喫できました。

◆ お知らせ ◆
2020年10月に著書が発売となりました。
一人旅をもっと楽しみたい方に向けたエッセイです。
一人で泊まれるおすすめの温泉宿もたくさん紹介しています。