2食付き8000円で泊まれて食事おいしく、卵臭香るお湯も良い尾瀬玄関口の宿
尾瀬戸倉温泉は、尾瀬ヶ原の群馬側の玄関口となる戸倉周辺にある温泉地です。
登山口のある「鳩待峠」までは登山シーズンはマイカー規制が敷かれるため、登山者は戸倉に車を停め、指定業者のバスやタクシーに乗り換えて向かうことになります。
そのため尾瀬戸倉温泉に泊まる人の多くは、尾瀬散策や至仏山登山を目的としたハイカーです。それゆえに早朝出発に対応してくださる宿も多く、私も1度は尾瀬戸倉温泉に泊まって尾瀬を歩いてみたいなと思っていました。
今回宿泊した「ペンションゆきみち」は、全6室の家族経営の宿で、口コミなどから食事の評判がとても良く、1度泊まってみたいと思っていた宿です。
GWの最中でも2食付き8000円(税込)で泊まれて、食事は想像以上においしく量もたっぷり!そして実は、お湯もなかなか良くてかなり満足度の高い宿でしたので、ご紹介したいと思います。
一人旅をもっと楽しみたい方に向けたエッセイです。
一人で泊まれるおすすめの温泉宿もたくさん紹介しています。
- 2食付き8000円で泊まれて食事おいしく、卵臭香るお湯も良い尾瀬玄関口の宿
GWに至仏山に登り、下山後に尾瀬戸倉温泉で1泊する計画を立てた
2022年のGWは、鳩待峠から尾瀬に入り、山ノ鼻にある「至仏山荘」に一泊して翌日は至仏山に登り、鳩待峠に下山しました。
同じルートを2018年にも歩いており、GWでもそこまで混んでいないし登りやすいルートだなと思ったんですよね。
2020年、2021年とGWの登山はできなかったので、ひさびさに歩くにはちょうどいいかなと思ってこのルートを選びました。
至仏山荘の紹介と2018年の宿泊時のレポートはこちら↑に書いています。2022年に宿泊した際のことも後日追記する予定です。
前回2018年に登ったときは曇りがちな天気でしたが、この日は快晴!
残雪の山歩きを存分に楽しみ、鳩待峠に下山すると、乗合バスで戸倉へ移動します。
自家用車で来られている方が多いので、車を停めている駐車場でバスを下りる方がほとんどですが、私は尾瀬戸倉バス停で下ろしてもらいました。
明日の朝は、ここから関越交通の路線バスに乗って沼田駅に戻りますが、今日は、バス停から徒歩4分の場所にあるペンションゆきみちに宿泊するのです。
バス停から、バス通りをまっすぐ4分歩いた場所にあります。
Googleマップで検索すると、なぜか途中で右折するルートが表示されるのですが……これは間違いです。宿はバス通り沿いにあります。
というわけで、バス通りを歩いていきます。
途中にある酒屋さん。
宿には自動販売機などは設置されていませんので、必要なものはこちらで購入していきましょう。
私はここで、風呂上がりのビールを買うかどうか迷ったのですが「宿に冷蔵庫があるかわからないからとりあえずやめておこう」と思って先にチェックインしました。(が、結局冷蔵庫は共同のものがあったので、チェックイン後に買いに来ました)
途中、Googleマップに惑わされて、変な道に入ってしまったときに撮った写真。
きれいな花が見れたので良しとしよう……。
ペンションゆきみちは、バス通りの向かって右側に建つ、オレンジベージュの壁に緑の屋根の建物です。
正面から見ると、尖った三角屋根がかわいい。
宿の入口は、正面の緑のドアではなく、左側の玄関です。
「ゆきみち」と書いてありました。
中に入ると女将さんが出てきて、検温と消毒をし、さっそく部屋に案内していただきます。
【部屋】★★★★☆ コンパクトな洋室だが洗面トイレWi-Fi完備でとても快適
今回宿泊したお部屋は、1人泊専用のシングル洋室です。シングル洋室は2室あるようですが、今回案内いただいたのは階段を上ってすぐ左手にあるお部屋でした。
ちなみに、2名以上での宿泊の場合は、ツインの洋室や和室のお部屋もあります。
中に入るとすぐ右手に洗面台。その奥にベッドルーム。
洗面台には消毒用アルコールとハンドソープが置いてありました。
ベッドルーム。あ!なんか良い感じ。好きかも。
ペンションの洋室って、実はけっこう難しいんですよね……。
建物やカーテンなどの古さが気になってしまうこともあるんですが、こちらの宿の部屋は日当たりが良くて明るく、寝具やカーテンなどのファブリック類が清潔に保たれているのがわかります。あと、ベッドの橫の出窓にビールを置いて、ベッドでだらだらするのもいいな……。
この日は暑い日で窓が開いていましたが、窓から吹き込んでくる風も気持ちがいいです。また、ベッドの橫にはヒーターが置いてあり、朝など寒いことがあれば点けてください、とのことでした。
ベッドの上には浴衣と歯ブラシ、フェイスタオルとバスタオル。
2食付き8000円という格安なお値段でも、基本的なアメニティ類がしっかり揃っているのはうれしいですね。
テレビと、その下には……え?DVDプレイヤー!
ちなみにWi-Fiもばっちり快適です。これでPC作業がしやすいデスクでもあったら、連泊してワーケーションとかしたくなってしまいますね。
幸いというか、部屋にデスクらしいものはテレビの橫にある台のようなものしかなく、ここに座ってPC作業はちょっときついかな・笑
まあ、今日は山から下りてきたばかりでいつものようにノートPCを持っているわけでもないので問題ありません。お茶セットの上にはクラッカーと手作りっぽいジャムが置いてあり、後でお茶を淹れていただきました。
ベッドの橫にある襖。押し入れかな?と思って開けるとトイレでした。
ベッドのすぐ橫にトイレで、においなど気になるかな?と思いましたが、とてもきれいに掃除されているからか、まったく気になりませんでした。同行者がいるときだとここにトイレがあるのはちょっと嫌かもしれませんが、シングルルームですから何の問題もないですね。
そういえば、部屋に寝具を入れておく押し入れ的なものはないんだな、と思ったら上にありました!ロフトに使っていない布団らしきものが。
梯子はついていないのか?しまってあるのかわかりませんが、お客さんは登れないようになっています。クライミングする人なら登れてしまいそうですが……登らないようにしましょう。
よく見ると、ロフトの窓にも赤いカーテンがかかっていたり、ライトもちょっと凝っていてお洒落です。
そして、エアコンもちゃんと設置されていますね!高原の宿に来ると必ずチェックしてしまう私です。(涼しいから大丈夫!と設置してない宿があるので……)
予想外に快適な部屋に喜び、風呂上がりに飲むビールを、途中で通り過ぎた酒屋に買いに行く私でした。
1階浴室前には共同の冷蔵庫と自由に飲めるお茶やコーヒー、お菓子も
すばらしいなと思ったのが、1階でコーヒーや紅茶が飲み放題な上に、歌舞伎揚げなどのお菓子までどさっと置いてあるんです。
玄関入ってすぐのところに共同の冷蔵庫と湯沸かし機能付きのポット。
お部屋には冷蔵庫はないので、こちらで自由にお使いください、とのことでした。
しかも、ポットと冷蔵庫のみならず、冷たいお茶と、自由に使ってOKのコーヒーメーカーまで。
ポットの橫には紅茶・緑茶のティーパックと、粉末のラテやカフェオレ、そしてコーヒーのドリップパック。
その橫には飴と歌舞伎揚げがどっさり、カゴに入っていました。お部屋にちゃんと、凝ったお茶うけも用意されていたというのに、さらにここにも。なんという至れり尽くせりな……ありがたすぎて申し訳なくなるほどでした。
【風呂】★★★★☆ 卵臭のするとてもいいお湯!入浴可能な時間も長め
さて、お風呂です。
浴室は男女別の内湯で、1階の奥にあります。浴室の利用は夜は23時まで、翌朝は5時から利用可能です。
山の宿は「朝はお風呂に入れない」宿も珍しくないので、朝5時から入れるのはうれしいですね……。早朝出発でなければ朝風呂入ってからの登山もいけそうです。
浴室の前の廊下に洗面台が3つ並んでおり、そこにドライヤーが1台置いてありました。
ドアが映っていませんが、この洗面台の手前に女湯があります。
脱衣所は脱衣かごが置いてあるのみでシンプル。
温泉分析書が掲示されていました。
泉温43.8度、ph9.6のアルカリ性単純硫黄温泉です。意外と言っては失礼ですが、高アルカリ硫黄泉……なんかいいお湯っぽい。
そして温泉利用状況は、加水なし加温あり、順庵ろ過あり、消毒なし!
泉温43度ならいっそ加温なしで温めで提供してもらえたほうが個人的にはうれしいけれど、循環はあれど塩素消毒なしって珍しいですね。けっこう期待できるのでは……。
ではいざ、浴室へ。
クリーム色のタイル張りで、明るく清潔な浴室です。
シャワー付きの洗い場が2つ。カランのみの洗い場が1つ。
水圧も問題なし。ボディシャンプーとリンスインシャンプーあり。
体を洗って浴槽へ。
透明なお湯で満たされている浴槽。
入ってみると……41度ほどの適温で、なるほど高アルカリ源泉らしくぬるっとした肌触りがあります。そして、ほのかに香る卵臭……いいお湯じゃないですか!
湯口から出るお湯を手ですくってみると、ややぬるめで硫化水素臭が感じられました。
なるほどこれは、湯口のお湯は源泉をそのまま投入していて、でもそのままだとぬるくなるから浴槽内のお湯を循環して加温している、というところでしょうか。
いわゆる「かけ流し循環併用方式」とか言われたりするやつですね。でも、ぜんぜん循環してる感じしないですー。とても良いお湯!
登山者向けのサービスが評判いいけど、温泉は一応ついてるぐらい……の宿をなんとなく想像していたんですが、良い意味で裏切られました。
窓から入ってくる風も気持ちよく、ほのかに卵臭の香るお湯を心ゆくまで楽しみました。
ちなみに、夕食前に2度と、翌日の朝食前に1度浴室を利用しましたが、幸い誰とも会わず常に貸切状態でした。GWまっただ中だったのに……ありがたいことです。
お風呂上がりはごろごろしながらビールを飲む
実は、お風呂に入る前に一度外に出て、途中にあった酒屋さんで地ビールを買ってきて共同の冷蔵庫で冷やしていました。
そして、お風呂上がりに冷蔵庫から出して、お部屋でいただきます。
出窓がビールを置くのにちょうどいい。
尾瀬にも近い川場村の川場ビールヴァイツェンです。
バナナのような香りのするビールを飲みながらiPadminiで金田一少年の事件簿を読むうちに、夜が近づいてきます。
【食事】★★★★★ 朝も夕も「この値段でこんなに!?」と驚く味とボリューム
食事は、夕食も朝食も1階にある食事処でいただきます。
サークルの合宿などで使われることが多い宿のようで、食堂の壁一面に色紙が貼ってありました。
特に衝立などはなく、これで宿泊人数が多いとお隣が気になりそうだな……と思ったんですが、旅行サイトのレビューによるとこちらの宿は現在、1日で最大4組しか予約を受けつけていないんだそう。実際この日も、食堂で食事をしていたのは4組だけでした。
この広さの食堂に最大4組なら、そこまで気にすることはないかなと安心しましたが、しかし、大変な時代になりましたね……。
夕食のメインは「鹿肉の溶岩焼き」で、山菜の天ぷらもおいしい!
夕食は18時から。
時間になったら食事処へ向かいます。案内いただいた席には料理がどどんと!
2食付き8000円と考えると……多くないですか?しかも、これだけではなく。
写真に写りきらなかったたっぷりのサラダとフルーツヨーグルト。天ぷらは後から揚げたてを持ってきてくださいました。
食前酒は手作りの山ぶどう酒。
アルコール度数も甘さも控えめで、ぶどうの良い香りがするおいしいお酒です。
「生ビール600円」と壁に貼ってあったので注文しました。
アサヒスーパードライ。注ぎ方もお上手だし、サーバーもちゃんと洗浄されてますね!おいしい生です。
いただきます!
春の恵み、こごみのごまあえ、煮物、浅漬け。
岩魚の塩焼き。
こちらも、席に着いてから持ってきてくださいました。
ナスのチーズ焼き。
洋風のおかずもおいしいですね。
天ぷらは天つゆで。
コシアブラとナス、舞茸。
そしてこちらが……ペンションゆきみちさんの名物ジビエ料理。「鹿肉の溶岩焼き」です。
鹿肉と玉ねぎやねぎなどの野菜を、熱した溶岩の上で焼いていただきます。
「生でも食べられるぐらい新鮮な鹿肉なので、さっと炙るぐらいで大丈夫ですよ」とのこと。
焼けたらレタスに包んでいただきます!
鹿肉って脂が少なくて調理方法によってはパサッとしてしまいがちですが、こちらの鹿肉はたしかにとても新鮮で臭みもなく柔らかく、味付けも絶妙で大変おいしくいただきました。
夕食ではお味噌汁や吸い物はないようなので、後半に出していただいた温かいお蕎麦を汁物代わりにしていただきます。
そうしたらご飯もおいしいんですよ!
私はビールを飲んでいたので鹿肉とご飯は合わせなかったんですが、鹿肉を食べつつご飯をいただいたら、すごい量を食べてしまったかもしれません……。手を出さなくてよかった。お蕎麦もおいしかったです。
最後にお茶を淹れてフルーツヨーグルトと一緒にいただきました。
大満足の夕食でした!ごちそうさまでした。
朝食は5時30分からでも用意していただけて、量もたっぷり味も良い
朝食は、夕食と同じ食事処の同じ席で。
時間は午前5時30分以降であれば、これからご紹介する通常の朝食を用意していただけるとのこと。それでは出発に間に合わないようならおにぎり弁当に代えていただけるとのことでした。
そんなペンションゆきみちさんの朝食がこちら!
正直、こんなにおかずがたっぷりだとは想像していませんでした。
この鰹節とねぎがどっさりかかっているのは実は納豆です。凝ってますね……。
ほうれん草のお浸しにはツナがのっていたり。焼き海苔も、パックに入ってるやつじゃなくて、何かパリッとした海苔。
そしてサラダがたっぷりで野菜も新鮮なんです。「自家菜園の新鮮野菜を使っている」と書いてあったので、そのせいでしょうか。ドレッシングも自家製でおいしいし。
そしてこのハムエッグも!絶妙な焼き加減で、上にふってある胡椒が泣かせますね。
塩鯖もおいしい。ご飯がすすむおかずです。
朝もご飯がおいしいので、この納豆を食べたくてついお代わりしてしまいました。
デザートにフルーツもついているし、飲み物は、私はりんごジュースをいただいたけど、たしか牛乳も選べたはずです。
正直なところ、お値段から考えてもうちょっと簡単な朝食を想像していたのです。
しっかりと手がかかっていて量もたっぷりなおいしい朝食で、昨日の登山の疲れも癒えてきました。
チェックアウト時「尾瀬にはよく来られるの?」と聞かれたので
「今回はひさびさでしたけど前は毎年のように来ていて。また来ます」
と答えました。
尾瀬戸倉バス停から、沼田駅行きのバスに乗ります。
今日も快晴。
今日もどこか登りたいぐらいだけど、今日はこれから、遠く山形県鶴岡市まで移動しないといけないんですよね……。
この旅の続きも、ちょっと先になりそうですがまたブログに書きたいと思います。
【再訪したい度】★★★★★ 至仏山登山時はここに前泊して登るのも良さそう!
尾瀬に行く際に便の良い尾瀬戸倉温泉の宿、いつか泊まりたいと思っていたのですがようやく念願叶いました!
尾瀬戸倉の1人で泊まれるいくつかの宿からペンションゆきみちさんを選んだのは、口コミで食事の評判がとても良かったからでした。
結果、食事は想像以上においしく量もたっぷり、部屋も清潔で快適、お風呂も意外と言っては失礼かもしれませんが、とても良かったです。実は以前、戸倉の日帰り温泉施設に行ったときの印象で、尾瀬戸倉温泉のお湯をそんなにいいと思っていなかったのですが、湯使いでぜんぜん変わりますね……。
今回は至仏山荘に宿泊しての登山でしたが、次はペンションゆきみちさんに前泊して登るのも楽しそうだなと、今から考えています。
【1人旅に優しい度】60点:食事処での食事に抵抗がなければ一人でも楽しみつくせる良宿
泊まりやすさ 20/20
1人でも土曜日に2食付きで宿泊可能。1人泊の料金アップも500円ほどでとても良心的。
ただし、宿泊客を1日4組に絞っているようなので、登山シーズンの週末は早めに予約が埋まって泊まりにくくなる可能性も高そう。
食事場所の配慮 5/20
夕朝食共に食事処でいただく。隣の席との距離は十分空いていた。
プランの選択肢 10/20
プランの選択肢はもともと多くなく「2食付き」のプランのみ。
1人で泊まれるのは洋室シングルに限定される
ドリンクオーダー 10/20
ドリンクのメニューがなくて「何がありますか?」と聞く方式。
生ビールのジョッキを頼んだが、日本酒やハイボールもある模様。
フリーWi-Fi完備 15/20
客室内でWi-Fiが利用でき、速度も問題なかった。
一人旅をもっと楽しみたい方に向けたエッセイです。
一人で泊まれるおすすめの温泉宿もたくさん紹介しています。