はてなブログ10周年特別お題「好きな◯◯10選」
あの温泉に行きたい!と心から思えた10箇所の温泉地
はてなブログ10周年特別お題に参加して何か書こうと思いたち、いくつかある特別お題の中で「好きな○○10選」について書くことにしました。
私は「温泉地」より「温泉宿」にこだわりがあるタイプなので、最初は「好きな温泉宿10選」で書こうと、宿を10軒選ぼうとしたのです。ですが、好きな宿が多すぎてどうがんばっても10軒に絞れません!23軒ぐらいから減らせない……。
ですがひとたび「温泉地」について考えてみると……ああ私、温泉地には別にこだわりはないと思っていたけれど、気がつくとあの温泉には何度も行ってるなあ。泊まった宿も、お気に入りの1軒だけというわけじゃなく、何度もおとずれて何軒もの宿に泊まってるわ。つまりこの温泉地が好きなんだよな、と気がつきました。
そんな「よく考えると大好きだった」温泉地をピックアップしたところ、あまり苦労せずに10箇所まで絞ることができたので、ご紹介したいと思います。
また、ご紹介した温泉地を旅した旅行記は、発売中の著書にも掲載しています。興味を持たれた方はお手に取っていただけますと幸いです。
- あの温泉に行きたい!と心から思えた10箇所の温泉地
- 山形県 肘折温泉:冬は豪雪、冬以外は朝市が楽しい歴史ある湯治場
- 宮城県 鳴子温泉郷:源泉の種類が豊富すぎて、つい湯巡りしたくなる
- 栃木県 日光湯元温泉:どの季節も美しく、山奥だけど交通の便がよい
- 新潟県 栃尾又温泉:3軒ある宿すべてが個性的な、ぬる湯天国
- 長野県 白骨温泉:人が少ない真冬に、バスで行きたい秘湯の温泉地
- 岐阜県 奥飛騨温泉郷:山近く飛騨牛おいしいお湯もすばらしい温泉地
- 和歌山県 熊野本宮温泉郷:熊野古道と合わせて楽しめる歴史ある温泉
- 鳥取県 三朝温泉:世界でも有数の放射能泉、湯力がとにかく半端ない
- 熊本県 黒川温泉:意識高い系秘湯だけど、そこが良い!と思える
- 鹿児島県 妙見温泉:湯治宿から高級宿までラインナップが幅広い
山形県 肘折温泉:冬は豪雪、冬以外は朝市が楽しい歴史ある湯治場
冬には3メートル以上の雪が降り積もる、豪雪地帯の温泉「肘折温泉」。
私の地元鶴岡からも距離的にはそう遠くはないのですが「大雪!ものすごい山奥!不便そう!」というイメージが先行して、実はわりと最近まで行ったことがありませんでした(ひどい話だ……)。
2018年に初めておとずれて「なんでこんないいところに今まで来なかったんだ!」と後悔し、それからは帰省の前後に1泊するなどしてたびたびおとずれています。ちなみに、まだ真冬には行ったことがありません……。
冬の豪雪で有名な肘折温泉ですが、冬以外の季節は、毎日開催される朝市が楽しいです。


朝市では野菜や山菜のほか、笹巻きやしそ巻き、あるいはおかずやおこわなどそのまま朝食になりそうなものも売られています。
連泊して、朝市で買ったものをお昼につまみつつダラダラするのも楽しいだろうな……開湯1200年以上の歴史ある湯治場だけに、連泊して楽しみたい要素がたくさんあります。
朝市に合わせて、温泉街のお土産屋さんも朝6時に開店し、朝6時から角打ちでお酒が飲めるお店もあり。
こちらのお店です。
土日に朝市が開催される温泉地は珍しくありませんが、肘折の朝市は4月下旬から11月下旬まで毎日開催されています。
また、夏には温泉街に灯籠の灯りが灯されているのが、なんとも雰囲気あって美しいです。
日にち限定ですが、夏には「夜市」が開催される日もあります。私はお祭り騒ぎが好きなほうではありませんが、肘折の夜市は「静かな夏祭り」という感じで、いい雰囲気でした。
敷居の低い共同浴場と、おいしい蕎麦屋
肘折温泉には何箇所か共同浴場もあり、温泉街の中心部にある「上の湯」は、旅館の宿泊客は無料で入れます。
共同浴場は「地元の方たちの生活の場」という温泉地も多く、コロナ禍で観光客は入れなくなっているところも多いようですが……肘折の共同浴場は変わらず営業中でした。
また、温泉街から徒歩20分ほどの場所にある日帰り温泉施設(歩く人はあまりいないが)カルデラ温泉館は、浴室の雰囲気がとても良く、露天風呂もあり。


炭酸泉の源泉は飲用可能というすばらしいお湯です。
山形県内でも珍しい、天然の炭酸泉を舌でも味わうことができました。
このほかに、もう少し温泉街に近い場所に「肘折いでゆ館」なる日帰り入浴施設もあり、こちらでは11時から15時まで食堂も営業しています。
山の中の温泉地と言うと、温泉宿以外はお店があまりなく、食事や買い物は車がないと不便……という場所もたくさんありますが、肘折温泉は歴史ある湯治場だけあって、コンビニこそありませんが、徒歩圏内に商店や飲食店が点在しています。
飲食店で一番のお気に入りは、蕎麦屋の寿屋さんです。


つまみも蕎麦もかなりのボリュームで味も良いので、肘折に行くときはお昼前について、まずは寿屋さんでランチをいただくのが定番コースです。
肘折温泉の多くのお宿は、主に食事の内容やお部屋の設備などが異なる「旅籠プラン」と「湯治プラン」を用意しています。
1泊だけなら「旅籠プラン」がおすすめですが、いつかは湯治プランで長逗留してみたい温泉地です。
肘折温泉ではこれまで、3軒の宿に宿泊しているのですが、どの宿もそれぞれに個性があって良い宿でした。
山菜ときのこたっぷりの食事がすばらしくおいしい「旅館勇蔵」
旅館勇蔵さんは、山菜ときのこをたっぷり使った料理が本当においしかった!
夕食は、きのこの鍋がおいしくて熱燗が進んで止まりません。
朝食は、山菜の小鉢がどれも本当にいいお味で、しかもご飯は舞茸ご飯。


恐ろしいことに、舞茸ご飯があまりにもおいしくて、おひつに入っていた分すべてを平らげてしまいました。私、あまりお米はたくさん食べられないほうなので、これは本当に珍しいことなんですよ……。
自家源泉の貸切浴室が印象的な「若松屋村井六助」
若松屋村井六助さんは、食事も良かったけれど、自家源泉の貸切風呂がとても印象的な宿でした。
やや温めの自家源泉が満たされた貸切風呂は、1人用サイズのこぢんまりとした浴槽ですが、さっぱりとした浴感。


大浴場は清潔で、24時間入浴可能です。
宿の目の前で朝市が開催される、便のいい宿でした。
檜造りの貸切浴室と個室でいただく食事がおいしい「大友屋旅館」
大友屋旅館さんにも、滞在中、空いていればいつでも入浴可能な貸切風呂がありました。
檜造りで、木の良い香りがする浴室です。窓を開けたり、お湯が熱すぎたら水を足したり、自分で快適なように入れるのうれしいポイント。


食事は朝夕、掘りごたつの個室でいただきました。夕食のメインの山形牛の陶板焼き、すき焼きとステーキの中間のような感じでおいしかったです。
宮城県 鳴子温泉郷:源泉の種類が豊富すぎて、つい湯巡りしたくなる
「東の草津、西の別府」とよく言われますが、観光地としてではなく「お湯」で勝負するなら西の別府に対抗できるのは草津と言うよりも鳴子温泉郷なのでは……?と思っています。(あくまで、個人の好みです)
宮城県の内陸部、秋田県・山形県との県境にある鳴子温泉郷は「鳴子温泉」「東鳴子温泉」「川渡温泉」「中山平温泉」「鬼首温泉」の5つの温泉の総称です。
半年間有効の湯めぐりチケットを購入すると、鳴子温泉郷の宿で使えるほか、山形県の最上温泉郷でも使えるので、普段はあまり湯めぐりしない(宿泊する宿や喫茶店でだらだらしているのが好きなので……)私も、毎回のように購入してしまいます。
チケットを使える施設がとにかく多いし、電車と徒歩移動でもそれなりにたくさんのところを回れるのがいいんですよね。しかも「鳴子温泉」の中だけでも源泉の種類がものすごく多いので、温泉好きなら1週間ぐらい滞在してもぜんぜん飽きないと思います。
日帰り入浴については感染症対策のため休止している宿もありますが、各施設の現在の営業状況も、こちらにまとまっているのがありがたいですね。
喫茶店・洋食屋・蕎麦屋など立ち寄りたくなる飲食店がある
鳴子温泉は「温泉街」と言えるほど密集しているわけではありませんが、自炊湯治宿が多いこともあり、飲食店や商店も点在しています。湯めぐりの途中に、そういったお店に立ち寄るのも楽しみの一つです。
鳴子温泉駅前の「喫茶まるゆ」の、ほんのり酸味のある温玉カレーがお気に入りです。
鳴子温泉駅周辺には、洋食屋さんの「銀の匙」も。
ふわっと柔らかい食感の煮込みハンバーグがとてもおいしかったです。
牡蠣フライやビーフシチューも気になっています。
それから、川渡温泉にほど近い場所にある「蕎麦カフェ田伝」
私は、蕎麦ではなくガレットをいただいたのですが、かなり本格的な味わいのガレットでした。次回は蕎麦もいただいてみたいですね。
鳴子温泉でお気に入りだった飲食店もここ数年、閉店の知らせを聞くことが多くなり……好きな店には行けるうちに行っておかなくては、とそのたびに思います。
味もボリュームもすばらしい食事とすがわらブルーのお湯「旅館すがわら」
鳴子温泉で、宿泊利用でよく泊まっているのは「旅館すがわら」です
毎回見れるわけではありませんが、お湯の色が青く染まることがあり「すがわらブルー」と呼ばれたりします。
食事もボリューム・品数・味などいずれもよく、とても気に入っている宿で、できればまたこちらに2食付きでお世話になりたいんですけど、コロナ禍以降2食付きの宿泊を制限しているのか、あまりプランが出ていないようなんですよね……。
お湯良し食事良しサービス良しで三拍子揃った宿なので、早く通常営業に戻ることを願っています。
極上の白濁硫黄泉、栗ご飯がおいしかった「東多賀の湯」
それから、宿泊してとても良かったのが「東多賀の湯」です。
泊まる前からお湯が大好きで、日帰りで何度もお邪魔していたのですが、いざ宿泊すると食事もおいしく、部屋もWi-Fi・冷暖房完備・自炊設備もあってとても快適でした。
シャワーなどない、壁から大量の源泉がひたすら注がれているシンプルな浴室。このお湯に滞在中いつでも浸かれる幸せを噛みしめました。


食事も、家庭的な料理ですが味は良く、秋に栗ご飯が出たのもうれしかったですね。
地ビールの「鳴子の風」や、どぶろくの「ゆきむすび」をいただけたのも良かったです。
現在、東多賀の湯では日帰り入浴をお休み中とのことですが、土曜日以外は1人で宿泊可能な宿ですので、また泊まりに行きたいです。
東多賀の湯に泊まったら、すぐお隣の「西多賀旅館」にも必ず寄ってしまうのですが、すぐお隣なのに全然お湯の色が違うことに驚きます。
東多賀の湯は白濁の硫黄泉ですが、西多賀旅館はまるでバスクリンを入れたような鮮やかなグリーンの湯なのです。
現在は日帰り入浴は休止中のようですが、また入りたいお湯ですね。
4つのまったく異なる源泉を持つ旅館「姥乃湯」にも、日帰りでよく立ち寄っています。
色も香りも肌触りも、まったく異なるお湯に入れます。


それから、共同浴場の滝の湯。
1組ずつ貸切で入る「薬湯(くすりゆ)」が名物の「国民宿舎ホテルたきしま」などもよく立ち寄る宿です。
お隣の「鳴子御殿湯駅」が最寄りとなる、赤這温泉阿部旅館さんも、何度か日帰りで寄らせてもらっています。
阿部旅館さんは、宿泊された方のツイートを見ていると、食事もとてもおいしそうなので、いつか宿泊してみたい宿ですね……。
紅葉シーズンが終わって静かになった頃にでも、また鳴子温泉郷で湯めぐりを楽しみたいです。
栃木県 日光湯元温泉:どの季節も美しく、山奥だけど交通の便がよい
栃木県の日光湯元温泉は、著書でもご紹介していますが、15年以上前に初めてのひとり温泉旅で宿泊した温泉地です。
宿泊した宿、戦場ヶ原や湯ノ湖など周辺の自然の美しさなどすべてがすばらしく、強く心に刻まれました。それから季節を変えて何度もおとずれているお気に入りの温泉地です。
日光湯元温泉の好きなポイントは、美しい自然を残しながらも交通の便が良いということです。
最寄りの駅は「JR日光駅」あるいは「東武日光駅」で、そこからバスで1時間半ほどかかります。それほど山奥の温泉地となると、1日にバスが数本しか運行せず「1本逃したら大変!」という場所も多いのですが……湯元温泉までは、朝6時台から夕方18時台まで、1時間に1本程度バスが運行しているのです。
朝10時過ぎのバスは、宿をチェックアウトしたばかりの人で混み合うから1本遅らせるか……とその辺りをぶらぶら散歩していても、数十分後tには次のバスが出る幸せよ……。
ここは日本か?と目を見張る美しい風景をそこかしこで楽しめる
しかも、日光湯元温泉では周辺をちょっと散歩しただけでも、美しい景色をそこかしこで楽しむことができます。
こちらは12月初旬、雪が積もり始めたころに訪れた湯ノ湖。
湯ノ湖の周りはトレッキングコースになっており、スニーカーでも歩きやすい整備された道が続いています。冬は雪が積もって少々危険だと思いますので、こちらの道を歩くのは雪のない季節にしておいたほうが良いとは思いますが。
湯元温泉から30分ほど歩けば、湯ノ湖の水が勢いよく流れ落ちる「湯滝」を間近で眺めることができます。
さらに足を伸ばして、戦場ヶ原周辺のハイキングコースを歩くのも楽しいです。
アップダウンのほとんどないゆるやかなコースを歩くうちに何度も「ここは日本?」と呟きたくなるような風景に出会います。とにかく、水の流れが美しいのです。
戦場ヶ原から眺められる男体山の姿も雄大で、登山の心得がある方ならきっと「次回は早起きして登ってみたい」と思うに違いありません。
変わらないけれど進歩し続けている、ずっと大好きな小旅館「紫雲荘」
日光湯元温泉では、初めての一人旅で宿泊した小旅館「紫雲荘」がとにかくお気に入りで、空室があれば必ず宿泊する大好きな宿です。
浴室は内湯と露天風呂があり、現在はどちらも貸切での利用となっているようです。いずれの浴室もお湯は新鮮そのもの。
硫黄泉なので時間が経つと白く濁ってくるはずなのですが、濁る前にお湯が入れ替わってしまうのでしょうね。紫雲荘のお湯はほとんど濁りはなく、青みがかった透明なお湯です。


というのも、日光湯元温泉の源泉地は、紫雲荘のすぐ裏手にあるのです。


浴槽に注がれるまでの時間・距離が短いからこそ、これほどいいお湯なんだろうな、と思います。
また、手作りの食事も、優しいお味で本当においしいです。
温泉旅館の夕食は量が多いし味が濃くて……という印象がある方もいるかと思いますが、朝夕とも「こんな料理なら毎日でも食べたい!」と思える食事です。日光名物の湯波の料理が必ず出るのもうれしいですね。
すばらしいお湯とおいしい食事はずっと変わらないですが、ドリンクメニューが増えていたり、Wi-Fiが使えるようになったり、最近は食堂の営業も開始して昼食もいただけるようになったとか!
進歩し続ける紫雲荘に、また泊まりに行きたいです。(人気すぎてなかなか予約が取れない・笑)
自然の中に佇むリゾートホテル「奥日光 森のホテル」
紫雲荘が空いていれば必ず紫雲荘を予約するのですが、人気の宿なので「今週末晴れそうだし行きたい!」と思ったときに空いているとは限りません。(というより、週末はかなり前から予約しておかないとほとんど予約取れません)
なので実は、紫雲荘以外にも日光湯元温泉の宿に5軒ほど泊まったことがあるのですが、中でも気に入ったのが「奥日光 森のホテル」でした。
館内は新しく清潔で、特に暖炉のあるラウンジは日当たりもよく、開放感たっぷり。
朝はこのラウンジでコーヒーをいただけるのがうれしかったです。


1人で泊まれるお部屋はシンプルな洋室ですが、快適なお部屋でした。


露天風呂も内湯も、広々としていて清掃が行き届いています。
食事も、野菜たっぷり、かつ品数豊富で、丁寧に作られたことがわかるお味でした。


お酒の種類もそこそこ揃っており、日光の地酒を利き酒セットで楽しめたのもうれしかったですね。
家庭的な小旅館の「紫雲荘」と、森の中のリゾートホテルという雰囲気の「森のホテル」。
雰囲気の異なる2つの良宿に出会えたこともあり、毎年のように季節を変えて、日光湯元温泉に通ってしまうのでした。
新潟県 栃尾又温泉:3軒ある宿すべてが個性的な、ぬる湯天国
新潟県魚沼市にある栃尾又温泉は、日本有数のラジウム含有量を誇るぬる湯の放射能泉を持つ温泉地です。
栃尾又温泉は、各宿にそれぞれ浴室があるのではなく「うえの湯」「したの湯」「おくの湯」という、趣の異なる3つの共同浴場に、すべての宿の宿泊客が滞在中いつでも入浴できる、という方式を取っています。
どの宿に泊まっても同じお湯に浸かれるので、あとは食事やサービス、宿泊費などに合わせて自分好みの宿に泊まれば良いのです。
栃尾又温泉には旅館が3軒あるので、それならばと3軒すべてに泊まってみたところ、3軒が3軒ともまったく趣が異なり、それぞれにすばらしい宿でした。
「栃尾又のぬる湯に浸かりたいなあ」と思ったら、そのとき空いている宿を予約すれば良いので、自然と足を運ぶ回数が増えてしまいました。
内湯のみでぬる湯なので梅雨時がおすすめ!連泊湯治してみたい温泉地
栃尾又温泉の3つの共同浴場はすべて内湯で、露天風呂はありません。
源泉がぬるいので、露天風呂があったとしてもかなり加温しないと冬などは水風呂になってしまうからでしょうね。
内湯の雰囲気もとても良いので、露天風呂がなくても私は特に気になりません。
さまざまな季節におとずれていますが、特に、6月中旬以降の梅雨時におとずれるのが好きです。気温も上がってきてぬる湯が心地良いシーズンですし、内湯なので雨が降っていても関係なく楽しめるからです。
旅館3軒以外は飲食店や商店もない、本当に小さな温泉地ですが、特に夕暮れどきは、宿の明かりが何とも言えない良い雰囲気を醸し出していると思います。いつか連泊して長逗留してみたいです。
ここからは栃尾又温泉の3軒の宿を、簡単にご紹介したいと思います。
すべて、宿泊レポートを書いてはいるのですが……記事を更新した後も何度も泊まっており、少し記事が古くなってしまったので最新の写真など交えつつ。
唯一貸切風呂&貸切露天風呂があって送迎もしてくれる「自在館」
栃尾又温泉の「自在館」は、「現代的な湯治宿」という雰囲気の宿。
比較的新しい棟と、築100年の「大正棟」という歴史ある棟から成ります。大正棟は音が響きやすいため12歳以下のお子様の宿泊は不可ですが、新しいほうの建物は、室内もきちんと手を入れられていて清潔、一般的な温泉宿の客室です。
一人泊用の部屋もいくつかあり、土曜日でも1人で予約可能なのはありがたいですね。
3軒の宿の中で自在館にだけは「貸切の内湯×2」と「貸切露天風呂×1」が備わっており、1人でも無料で貸切利用が可能です。
貸切風呂の泉質は、共同浴場の湯とは異なる熱めのお湯ですが、それぞれかなり広めの浴室で、1人でのんびり浸かることができます。


夕食は、スタンダードプランの「一汁六菜コース」のほか、量控えめの「一汁四菜コース」なども選択可能。六菜と四菜の差は「虹鱒のお造り」と「岩魚の塩焼き」がつくかつかないか、です。


朝食はハーフバイキングとなっており、大粒の「ラジウム納豆」がおいしくて、つい、ご飯を食べ過ぎてしまいます。ご飯はもちろん「魚沼産コシヒカリ」です。
また、3軒の宿の中で自在館だけが、浦佐駅からの送迎サービスを行っています。
13時からチェックインOK!野菜料理が本当においしい「宝巌堂」
「宝巌堂」は、3軒の中では宿泊料金は最も高くなってしまうのですが、女性同士の旅や女性の一人旅には特におすすめの宿です。
一人泊の場合「湯治プラン(2泊以上)」が16,650円、「おまかせプラン」が24,350円、休前日も料金は変わりません。
予約は電話かメールあるいは公式サイトのメールフォームからで、じゃらんなどの予約サイトには対応していません。期限なしのスタンプカード(湯治プラン1泊2スタンプ、おまかせプラン1泊3スタンプ)があり、30個たまると5000円引きになります。
リノベーションされたお部屋は広々していて、すべてのお部屋で少しずつ内装が異なります。


ソファでごろごろできるのがうれしい。
食事は、季節の野菜を使った料理が、少しずつ、たくさんの皿で提供されます。


ボリュームもしっかりあるのですが、男性よりは女性に好まれる料理かもしれません。
それから、地酒のラインナップがかなり豊富なので、お酒好きな方にもおすすめです。


朝食も、旅館の朝ごはんの見本のような食事で、こちらも、魚沼産コシヒカリが進んでいまいます……。
食事は、以前は部屋食でしたが現在は朝夕とも食事処での提供となっているようです。それぞれのテーブルが広く、席ごとに衝立もあるので、一人でもあまり気にならないと思います。
宝巌堂さんは駅までの送迎は行っていないのですが、バスの時刻に合わせて「チェックイン:13時 チェックアウト:10時30分」となっています。
バスが着いた後チェックインまでどうすれば?と悩まなくて良いし、バス利用でも長い時間滞在できるのでうれしいですね。
連泊して長逗留するならやっぱり「神風館」
最後に神風館ですが、こちらは昔ながらの湯治宿です。
布団やテレビなど、基本的な設備は揃っており、また、自炊設備は特になかったはず……「食事付きの湯治宿」ですね。
食事もシンプル!ですが、連泊なら十分な量です。


1泊2食付き7千円台で泊まれて、同じお湯に浸かれるのですから、長逗留するなら神風館1択ではないでしょうか。
その代わりと言ってはなんですが、現在は、1名で宿泊する場合は2泊以上からでないと予約できないようです。以前は土曜日以外は1泊でも予約できたんですけどね……。
というわけで、勤め人には予約難易度が少し高いのですが、いつかは神風館に泊まって連泊湯治したいなと思っています。
宿3軒以外何もないけれど、その3軒がすべてすばらしい温泉地が、栃尾又温泉です。
長野県 白骨温泉:人が少ない真冬に、バスで行きたい秘湯の温泉地
乗鞍岳の麓、松本市の安曇にある白骨温泉は、紅葉や新緑の季節が特に賑わう温泉地ですが、私は12月から3月ごろの、雪に包まれた静かな白骨温泉が大好きで、冬にばかり何度もおとずれています。
乗鞍高原から白骨温泉に向かう林道は、冬は雪道に慣れていないと運転が厳しそうな道ですが、白骨温泉の宿は松本など遠方からの送迎を行っている宿がほとんどないため、冬以外の季節を選ぶ方が多いのでしょうね。
いつも松本からアルピコ交通のバスで向かうのですが、そんなに混んでいることもないですし、道すがらに小動物なんかがいると一時停止して見せてくれたりします。


何もないところでどうして停車するんだろう?と思ったら、車道からすぐのところにキツネがいるのが見えました。
12月中旬から4月上旬まで極上の雪見露天を楽しめる
白骨温泉は多くの宿に露天風呂がありますし、12月下旬から4月頭ぐらいまではたっぷりと雪が積もっています。
それでいて、東北日本海側などと比べると冬でも晴れ間がのぞく日も多いため、極上の雪見露天が楽しめる温泉地だと思うのです。また宿泊料金も、5月以降と比べると冬は3千円ぐらい安くなっている宿が多いので、お得です。
まだ宿泊したことはないのですが、日帰り入浴でお邪魔した「小梨の湯 笹屋」さんの浴室がすばらしくて!
内湯は窓が大きくて開放感たっぷりだし、貸切で利用できる露天風呂も、お湯も雰囲気もとても良くて、こちらもまた入りに行きたい大好きなお風呂です。


笹屋さんには土曜日は1人では泊まれないですし、平日でも人気の宿なのでなかなか予約が取りにくいのですが、コロナ禍以降は日帰り入浴をお休みしているそうなので、がんばって予約取って泊まりに行きたいなあと思っています。
ちなみに、じゃらんや楽天では1人泊のプランがないのですが、秘湯を守る会でだけ、少ないながら1人泊のプランが出ています。
有名な混浴露天もいいけど、内湯が最高な「泡の湯旅館」
白骨温泉では、泡の湯旅館、つるや旅館、齋藤旅館に泊まったことがありますが、特に気に入っているのが「泡の湯旅館」です。
ブログには日帰り入浴記しか掲載していないのですが……この後、2度泊まりました。2度とも真冬の宿泊でした。
泡の湯と言えば広い混浴露天風呂が有名で、こちらはこちらで悪くはない(湯浴み着などしっかり用意されていて濁り湯なので女性も入りやすい)ものの、私が特に好きなのは実は内湯のほうなのです。
泡の湯の源泉は37度ほどの人肌のぬる湯で、露天風呂ではぬるすぎるので加温されていますが、内湯では非加熱の源泉に浸かることができるのです。
内湯の2つある浴槽のうち、お湯に濁りのない大きいほうの浴槽がぬる湯です。
この非加熱源泉がものすごい泡つきで、いつまでも入っていられる気持ちよさ……だと私は思っているんですが、冬にこのぬる湯は冷たいと感じる人が多いようで、あまり長く浸かっている人がいないのです。いつもゆったり浸かれるのも、実はうれしいポイントです。
食事も、野菜をチーズフォンデュでいただいたり、揚げ物が「温泉粥コロッケ」だったり、調理法も工夫が感じられて、味も良いです。


石焼きのステーキはボリュームたっぷり。


〆が、この地域の郷土料理である「とうじそば」なのも良かったですね。「とうじかご」に蕎麦を入れて、出汁の入った鍋にくぐらせていただきます。
朝食にはもちろん「温泉粥」を選ぶこともできます。
ちなみに、泡の湯さんの温泉粥もおいしいんですが、温泉粥に関しては「湯元齋藤旅館」さんのお粥がなんだか妙においしくて、印象に残っていますね……。
比較的リーズナブルで土曜日も1人で泊まりやすい「つるや旅館」
また、泡の湯、齋藤旅館共にやや宿泊料金は高く、土曜日の1人泊も難しいのですが、「つるや旅館」さんでは比較的リーズナブルな料金で、土曜日も1人で泊まれるのでおすすめです。
つるや旅館さんには雪のない時期に停まったのですが、浴槽に注がれるお湯は青みがかった新鮮なお湯で、熱すぎず適温。


飲泉も可能で、白骨の名湯を気軽に楽しめる良い宿でした。
露天風呂のロケーションも良かったので、冬は雪見露天も楽しめるのではないかと思います。
岐阜県 奥飛騨温泉郷:山近く飛騨牛おいしいお湯もすばらしい温泉地
岐阜県高山市にある「平湯温泉」「福地温泉」「新平湯温泉」「栃尾温泉」「新穂高温泉」の5つの温泉の総称を奥飛騨温泉郷と言います。
上高地、乗鞍岳(畳平)、新穂高温泉と、北アルプスの主要な登山口にアクセス至便な場所なので、登山の前後に宿泊することが多いのですが、個性的で魅力的な宿が多く、バスの便も比較的良いので、登山と関係なしに訪れることもある、お気に入りの温泉地です。
通年運行の新穂高ロープウェイに乗れば冬も絶景を楽しめる
登山をしない人にとって、奥飛騨はやや馴染みの薄い場所かもしれません。
しかし、晴れた日に通年運行の「新穂高ロープウェイ」に乗れば冬でも気軽に絶景が楽しめる場所ですので、天気が良ければ温泉帰りにぜひ立ち寄っていただきたいです。
残念ながら、私が1度だけ冬にロープウェイに乗ったときは、そこまで天気は良くなかったのですが……。
乗車中、一瞬だけ青空が見えたものの……。
ロープウェイ山頂駅にある展望台では視界はなく、真っ白でした。
展望台では、冬限定のキャラクター「にしほくん」がちょっと寂しそうに出迎えてくれました。


夏の晴れた日に来たときはこんな感じ。やっぱり、いつ来ても良い場所です。大好き!
奥飛騨と言えば、郷土料理の「朴葉味噌」を朝食でいただけるのもいいんですよね。宿による味の違いも楽しめますし。
実は、今回ご紹介した10の温泉地の中で、泊まった旅館の数が最も多いのがこの、奥飛騨温泉郷です。
残念ながらブログにあまり宿泊レポートを書けていないのですが……
平湯温泉「お宿 栄太郎」「もずも」「ホテルひらゆの森」「旅館 たなか」
福地温泉「御宿 飛水」
新平湯温泉「藤屋」「奥飛騨山草庵 饗家」「鄙の館 松乃井」「花ごころ万喜」
新穂高温泉「ホテル穂高」「山の旅舎 中尾平」「穂高荘 山のホテル」
これで全部かしら……全部で12軒の宿に泊まったことがありました。
中でも印象に残っている宿は、平湯温泉の「もずも」、新平湯温泉の「藤屋」「奥飛騨山草庵 饗家」、新穂高温泉の「山の旅舎 中尾平」です。
客室露天付きで飛騨牛のボリュームがすごい「平湯温泉 もずも」
「もずも」は、全室客室露天風呂付きの全10室の宿ですが、土曜日でも1人で泊まれますし、1人泊だからと言ってものすごく高くなるわけではなく、休前日の料金アップも控えめな、良心的な宿だと思います。(もちろん、客室露天付きの宿なのでそこそこ値は張りますが)
そして、その客室露天がとても雰囲気が良く、お湯もすばらしいのです。


琉球畳の客室も、とても快適でした。
食事は飛騨牛がとにかくたっぷり!



かと言って肉だけに頼っている料理ではなく、肉は格別においしく、それ以外の料理もかなりおいしくて気に入りました。
交互浴可能な湯と奥飛騨のおふくろの味がお気に入り「新平湯温泉 藤屋」
新平湯温泉の藤屋さんは、土曜日も1人で泊まれる宿ということもあり、年に1度は泊まっている宿です。
人肌のぬる湯の自家源泉を持ち、内湯では熱い源泉との交互浴を楽しめるのがお気に入り。
大浴場のほかに、空いていれば何度でも入れる貸切露天風呂もあります。
食事は飛騨牛の朴葉ステーキを始めとした「奥飛騨のおふくろの味」で、ボリュームたっぷりで本当においしい。天ぷらなど熱い料理は、後から熱いままで持ってきていただけます。


「鴨」「地鶏」「猪」「熊」から鍋の具材を選べるのも楽しいです。全種類食べましたが、熊もなかなかおいしかったですよ。
とにかく料理へのこだわりがすごい宿「奥飛騨山草庵 饗家」
同じく新平湯温泉の 「奥飛騨山草庵 饗家」は、1日5組限定の料理旅館です。
以前は1人泊のプランも出ていて、私も1度は1人で泊まっているのですが……現在は1人泊のプランは出ていないようで残念です……。


浴室はすべて貸切で利用しますが、どの浴室も広々としていて開放感があり、ゆったりと浸かることができます。


食事は、すばらしいの一言!
前菜からかなり手の込んだ料理が並びます。季節を変えて2度泊まっていますが、焼き物の飛騨牛ステーキ以外は、ほぼすべての料理が変わっていました。


〆のご飯やデザートも、手が込んでいます。


夜食に岩魚の押し寿司をいただけたり、手作りのアイスクリームとコーヒーも自由にいただけたり、食の満足度がとにかく高い宿でした。
全6室だけどかけ流しの貸切浴室が6つある「山の旅舎 中尾平」
新穂高温泉の「山の旅舎 中尾平」は、すべての浴室を貸切利用できる、混雑を避けたい昨今、本当にありがたい宿です。
とは言え「浴室はすべて貸切利用」な宿はそう珍しくないかもしれません。(民宿なんかもそうですよね)しかし、こちらの宿のすごいところは客室数が6室なのに対して、貸切浴室も6つあるのです。入ろうと思ったらどこかには必ず入れますし、6つのうち2つは露天風呂です。
また、1室のみですが「一人旅プラン」用のお部屋が用意されており、土曜日でも1人で泊まることができます。しかも「一人旅プラン用」と言ってもこんなに広いのです。
広々とした琉球畳のスペースにはチェックイン時から布団が敷かれており、チェックアウトまでスタッフの入室はありません。広縁にはロッキングチェアがあり、コーヒーを飲みながらくつろげました。
6つある貸切浴室は「小内湯×2」「大内湯×2」「露天風呂×2」の6つ。


つるつるする浴感のかけ流しのお湯はやや熱めで、これから寒い季節にもちょうど良さそうです。
食事はダイニングでいただきます。


一般的な「温泉旅館の夕食」とはかなり異なり、和洋折衷ですがメイン料理のローストビーフが絶品でした。
奥飛騨温泉郷の宿から厳選して4軒ご紹介しましたが、名前を挙げなかった宿も全部いい宿だったと思います。がんばっている宿が多くて、どこに泊まっても概ねはずれがないところも、奥飛騨温泉郷の好きなところですね。
和歌山県 熊野本宮温泉郷:熊野古道と合わせて楽しめる歴史ある温泉
「熊野本宮温泉郷」は、熊野本宮大社の周辺にある「湯の峰温泉」「川湯温泉」「渡瀬温泉」の3つの温泉地の総称です。
いずれもすばらしい温泉だと聞き、以前から行ってみたかったのですが、熊野大社は外国人観光客に非常に人気のあるスポットです。人が多そうだし、旅館も混みそうでちょっと面倒くさいなと思ってなかなか行けなかった場所でした。
熊野古道に行くなら、外国人観光客がいない今がチャンスだと思う
2020年の秋にGoToトラベルキャンペーンが解禁になったタイミングで「今しかないのでは?」と思い、熊野本宮温泉郷に泊まり、熊野古道を歩く旅に出たところ、思っていた以上にすばらしい温泉と、静かな山歩きを楽しむことができました。


今回10箇所選んだ温泉地のうち、他の9箇所は何度も足を運んでいる温泉地ですが、熊野本宮温泉郷だけは2020年に1度しか行ったことがありません。
もしかしたら、状況が変わって観光客が増えてきたらまた印象が変わるのかもしれない……とも思うのですが、そうなる前にまた必ず行きたい!と強く思っているので、10箇所のうちの1つに加えました。
ちなみに私は寺社仏閣にぜんぜん興味がないので、熊野古道は歩いたけれど熊野大社はあんまりちゃんと見ていないのですが……。
ですが、世界遺産にも指定されている湯の峰温泉の「つぼ湯」はすばらしかったです!
一組ずつ貸切で入るので、かなり待ち時間が発生することも多いそうですが……伺ったときはたまたま、20分ほどの待ち時間で入ることができました。
湯の峰温泉の温泉街も風情があって良かったですね。
お湯も料理も気遣いもすばらしい「湯の峰温泉 湯の峯荘」
湯の峰温泉、渡瀬温泉、川湯温泉に1泊ずつしたのですが、一番気に入ったのは 「湯の峰温泉 湯の峯荘」でした。
時間帯で男女交代となる2つの大浴場は、内湯も露天も広々としていて、大量の源泉が常時浴槽に注がれており、飲泉も可能です。


大浴場の他に、空いていれば鍵をかけていつでも利用可能な貸切浴室も2つあります。


こちらは内湯のみですが、明るいうちに入ると陽の光が窓から細く差しこんで、何とも言えない雰囲気のある浴室でした。
食事は、グレードアップしたコースでお願いしたのですが、味も量も良く、グレードアップして良かった!と。
お刺身は海の魚と馬刺しの2種類。


希少和牛の美熊野牛(みくまのぎゅう)は、しゃぶしゃぶとステーキでいただきました。
食事もお湯も良かったのですが、宿のスタッフの方も翌日の予定をさりげなく気遣ってくれたりとお気遣いがありがたかったです。また必ず泊まりたい、お気に入りの宿になりました。
鳥取県 三朝温泉:世界でも有数の放射能泉、湯力がとにかく半端ない
鳥取県の三朝温泉は、ラジウムとラドンを多く含む放射能泉で、温泉療法を行う医療機関も複数あり、効能の高い温泉として広く知られています。
三徳川の両岸に旅館が建ち並んでおり、旅館の数は全部で20数軒ほどですが、自炊湯治宿から高級旅館までさまざまなタイプの宿があります。観光地でもありつつ、療養目的で長逗留する方も多いのが、三朝温泉の特徴だと思います。
意外と温泉街も味があり、長逗留したら散歩が楽しそう
三朝温泉に来て最初に目に付いたのは、河原のかなり目立つところにある露天風呂です。
「河原風呂」なる三朝温泉のシンボル的な混浴露天風呂だそうですが、水着やバスタオル巻きは禁止だそうで、女性が入ることはかなり難しいんじゃないかと思います。開放的ですごいなーと思いながら河原風呂の橫を通り過ぎ、温泉街のほうに足を踏み入れると、タイムスリップしたような街並みが広がっています。


射的場も喫茶店も、昭和感がすごいです。
芝居小屋……?営業しているのでしょうか?


無声映画を定期上映しているそうで、料金は300円とのこと。
この写真はコロナ禍以前のものなのですが、今も営業しているのでしょうか……気になります。
さらに歩を進めていくと、もはや時代というか、いろいろ間違えてしまったような場所に出たり。


三朝温泉街については、あまりにも不思議だったので、発売中の著書にもこの辺りを歩いたときのことを書いています。
自然湧出のラジウム泉を貸切で楽しめる「木屋旅館」
三朝温泉には2度宿泊していますが、気に入ってまた泊まりたいと思っているのが「木屋旅館」です。
建物の全館が登録有形文化財に指定されており、宿泊した部屋も古いながら独特の雰囲気がありました。
建物は古いけれど、トイレなどの設備はちゃんと手を入れて新しくなっているのも良かったです。
浴室は、男女別の大浴場のほか、貸切で利用できる浴室が2つあります。
浴槽の底から熱い湯がぷくぷくと湧いてくる、足元湧出のすばらしい浴室を、貸切で楽しめるのがうれしいですね。
食事も手がこんでいて品数も多く、どれもおいしくいただきました。
〆のもずく雑炊が特においしくて、帰宅してから真似して作ってしまいました。
熊本県 黒川温泉:意識高い系秘湯だけど、そこが良い!と思える
熊本県阿蘇郡南小国町に位置する黒川温泉は、場所だけで言えば紛れもなく「山奥の秘湯」です。
30軒ほどのある宿には大型のホテルはなく、中~小規模の宿で秘湯らしく古民家風の宿が多いのですが、本気で電気が通っていなかったり、建物が古くて隙間風が吹くような宿はどこにもありません。
どの宿も清潔に整えられ、設備は新しく、冬も暖かく、Wi-Fiがつながります。
「秘湯に行ってみたい!」と思う女性は多くても、携帯電話がつながらないような本気の秘湯に連れていかれて喜ぶ人は多くないのだろうとも思うのです。黒川温泉なら、秘湯っぽい雰囲気を楽しみつつも、便利で現代的なサービスをどこの宿に泊まっても受けられます。
こう言うと「作られた秘湯」とけなしているみたいですが、すべての宿が一丸となって同じコンセプトを実現しているってすばらしいことだなと思うんですよね。実際に、黒川温泉に滞在すると、どの宿にいるときも不自由なく便利に過ごせるし、食事もおいしくお湯もいいので、大好きな温泉地です。
黒川温泉のホームページを開くと「黒川温泉一旅館 温泉街全体がまるでひとつの旅館のように」と書かれていますが、この言葉を本当に実践しているからすごいなと思います。
すべての宿に露天風呂があり、入湯手形で湯めぐりが楽しめる
黒川温泉には共通の入湯手形があり、購入すると3つの宿で日帰り入浴をすることができ、お得に湯めぐりが楽しめます。
私も、黒川温泉に行くたびに湯めぐり手形を購入して、さまざまな宿で日帰り入浴を楽しんでいます。
過去に湯めぐりした宿についてはブログでもご紹介しています。
また、湯上がりにひと休みしたいときにサッと入れるカフェや、出来たてのシュークリームを買って食べ歩きできるお店もあちこちにあって、湯めぐりが捗ります。
日によって色や濁り加減の変わるお湯がお気に入り「歴史の宿 御客屋」
黒川温泉には3度泊まっているのですが、そのうち2度は「歴史の宿 御客屋」さんに宿泊しています。
一人で宿泊できるお部屋はこぢんまりしていますが、暖かく、快適です。
同じお湯なのに、日によって透明だったり、ミルクティー色になったりとおもしろく、浴室の雰囲気も良いのが気に入っています。


また、空いていれば滞在中いつでも貸切利用可能な家族風呂が2つあり。
食事どきにいただけるお酒の種類も豊富で、メイン料理の肉料理のボリュームが多く、焼き加減も上手でした。


他の宿にも泊まってみたいと思いつつ、御客屋さんに空室があったらまた泊まってしまうかもしれないなと思います。
鹿児島県 妙見温泉:湯治宿から高級宿までラインナップが幅広い
鹿児島県霧島市の妙見温泉は、1895年(明治28年)に開湯した温泉地で、かつては湯治場として栄え、現在も自炊湯治の宿が多く残っている温泉地です。
源泉は鉄分を多く含んだ炭酸水素塩泉ですが、すべての宿が自家源泉を持っており、非常に湯量が豊富です。宿ごとに泉質も少しずつ違っていて、いつまでも入っていられるような温めの源泉もあれば、炭酸ガスを多く含んだ泡つきの良いお湯もあります。鹿児島空港から比較的近く、バスの便も良いので鹿児島に行く度に立ち寄っているお気に入りの温泉地です。
鹿児島空港に向かう前に必ず立ち寄ってしまう温泉地
日帰り入浴を受け付けている宿も多く、湯量豊富な自家源泉を持っていて、名湯揃いです。
旅館の宿は10軒ほどの小規模な温泉地なのですが、その10軒の中に高級旅館から自炊湯治宿まで、さまざまな宿が含まれているのがおもしろいなと思います。
お湯は極上、食事もおいしく、猫がいる「妙見石原荘」
妙見温泉で宿泊したことがあるのは、おりはし旅館別館山水荘と「妙見石原荘」で、どちらも本当に良い宿でしたが、山水荘が食事付きの宿泊をやめて素泊まりの宿になったので、妙見石原荘をご紹介したいと思います。
部屋は1人で泊まるにはもったいないほど広く、快適そのもの。
お部屋にドリップコーヒーのサーバーとドリッパー、コーヒー豆が置いてあり、好きなときに好きなだけコーヒーを淹れられるのもうれしかったです。
浴室は、男女別の大浴場(内湯のみ)と、貸切露天風呂が2つ。滞在中に2つとも入ることができます。
混浴&湯浴み着着用OKの野天風呂もあり、こちらは川のすぐ側にあって、自然の中で湯浴みを楽しめます。
半個室の食事処の雰囲気も良く、料理も凝った内容で楽しめました。


竹筒に入ったお酒や、湧き水のゼリーに黒蜜をかけていただくなど。
朝食には、炊きたてのご飯が釜ごと登場して驚かされました。


炊きたてのご飯にあさりの味噌汁、めざし。正しくて豪華な日本の朝食、という感じ。
それから、看板猫の「ロブーくん」もかわいかったです。(「ろてんぶろ」から取ったお名前だそう)
それなりにいいお値段する宿ではありますが、公式サイトからなら平日のみ、1人泊の予約が可能です。