7回目の秋田駒ヶ岳登山は、初めての紅葉シーズンに
「好きな山はどの山?」と聞かれたら「一番がどことは決められないけれど」と前置きした上でいくつかの山の名前をあげます。秋田駒ヶ岳は、そんなとき必ず「好きな山」として必ず名前をあげる山の一つです。
登山を始めた2011年のお盆休みに初めて登って、以来今回が7回目。
去年も登りましたし、ほぼ毎年のように登っているのですが、実は紅葉シーズンに登ったのは今回が初めてでした。
紅葉の秋田駒ヶ岳を楽しむことができましたので、レポートしたいと思います。
金曜日の夜、浜松町バスターミナルから夜行バスに乗車
土曜日はそこそこの晴れ、日曜日は雨予報だったこの週末、公共交通機関利用で朝一番に田沢湖駅に着くために夜行バスに乗ることになります。
浜松町バスターミナルを22時25分に出る「レイク&ポート号」に乗車します。
トイレ付きの3列独立シートの快適なバスですが、羽後交通の高速バス予約センターに電話予約すると、座席の希望を言って指定してもらえるのですけど、高速バス予約サイトなどで予約すると席指定が不可となり、大抵真ん中の席になってしまいます。
窓側の席はカーテンがあって個室っぽくなりますが、真ん中席はオープンなのでだいぶ快適度が変わってしまいますから、気になる方は電話予約したほうがいいでしょう。ただ、電話だと決済が面倒になってしまうので(コンビニ支払いだったか振込だったか)私は真ん中シートになるのは覚悟の上でサイトで予約してしまいました。
結果やはり真ん中のシートでしたが、たまたま後ろの席が空席だったので、気兼ねなくリクライニングシートを倒せたのは幸いでした。
レイク&ポート号は、乗務員の休憩などでけっこう途中で停車時間はあるのですが、乗客は外に出ることができません。飲み物などはしっかり用意した上で乗車する必要があります。
8時ちょうどに田沢湖駅に到着予定のバスですが、道も混んでおらず乗降もスムーズだったため、7時40分に田沢湖駅に着きました。
田沢湖駅前から8時15分発のバスに乗りますので、早く着いたことで準備の時間が少しゆっくり取れてよかったです。
トイレに寄って、駅構内に入っているニューデイズで飲み物とお菓子を買い足しました。おにぎりやサンドイッチなどはこれから棚に並べるというタイミングでしたので、同じバスで予定を立てる際は「お昼ご飯は駅のニューデイズで買えばいいや」とは考えないほうが無難でしょう。また、駅周辺にはこの他にはコンビニはありません。
田沢湖駅前から午前8時15分発の駒ヶ岳8合目行きのバスに乗る
バス乗り場には10人ほどの登山客が、駒ヶ岳8合目行きのバスを待っていました。私はこれまで6回の秋田駒ヶ岳登山でも大抵、この「レイク&ポート号からの8時15分発のバス」を利用していますが、今回がこれまでの中で一番、登山客の人数が多かったです。
大抵は私だけか、私以外に2~3人いるかどうかというところなんですけどね。やはり紅葉シーズンだからなんでしょうね。
途中「アルパこまくさ」という停留所で多くの登山客が乗ってきます。秋田駒ヶ岳は登山シーズンはマイカー規制をしているため、車で来た方はアルパこまくさに駐車してそこからバスに乗るのです。
田沢湖駅から、そしてアルパこまくさからのバスの時刻表はこちらです。
田沢湖駅からアルパこまくさまでが30分ほど、アルパこまくさから駒ヶ岳8合目までが30分弱で、合計約1時間の乗車で駒ヶ岳8合目に到着です。
駒ヶ岳8合目にはバス停の他に、2階建ての避難小屋と公衆トイレがあります。トイレは水洗できれいです。
避難小屋にはシーズン中には管理人の方も来ていて、カップラーメンやお菓子や飲み物、山バッジなどを販売しています。管理人の方に「今が紅葉の盛りですから楽しんできてくださいね!」と言われ、バスを下りた瞬間は実はめちゃめちゃ眠かったのですけど、気分が盛り上がってきましたよ!
あと、個人的にこちらの避難小屋でとてもありがたいと思うのは「コインロッカーがある」ことです。
これはなかなかないことで、私が秋田駒ヶ岳が大好きな理由の一つと言ってもいいかもしれません・笑
秋田駒ヶ岳に登るとき、前後で温泉宿に泊まることが多いのでそれ用の荷物も持っているんですよね。今回もノートパソコンなどを持っていました。担いで登れないほどの大荷物ではありませんが、登山に不要なものは預けて登れたほうが圧倒的に楽です。
200円の料金で、小サイズのロッカーを利用可能です。大きなサイズのロッカーはないので、スーツケースのような荷物は預けられませんが、私としては十分です。
帰りのバスの時刻表も掲示してありました。
このとき9時40分ぐらいでしたが、できれば14時5分のバスに乗りたいなー、となんとなくの予定を立ててから出発します。
駒ヶ岳8合目登山口からまずは阿弥陀池を目指して登山開始
避難小屋の正面にある登山口から、まずは阿弥陀池を目指して登山開始です!
歩き始めた瞬間に「おおー!紅葉している」と感激してしまいました。なんと言っても今年初の紅葉登山です。
歩き始めるとすぐに見ることのできる、ちょっとした景観スポットが「硫黄鉱山跡」です。
硫黄の香りがたちこめ、削られた岩の姿をかなり近くで眺められます。右手に見える美しく色づいた木々との、何というかアンバランスな感じもおもしろいです。
少し登ったところで、八合目登山口を振り返ってみたところ。傾斜もきつくなく、登りやすい登山道ですので、すいすい登っていけます。登り始めの傾斜がきついと心が折れるので、ありがたいですね。
30分ほど歩いて、秋田駒ヶ岳の男女岳の山頂がはっきりと見えるようになったこのポイントが、最高に美しかったです。
ちょうど山の後ろ側に田沢湖も少し見えているんですよね。
あの紅葉の中をこれから歩いていくのですね!何度も通っている道ですが、紅葉時期は初めてですし、わくわくしますね。
紅葉は遠目にはきれいでも、近づくともう盛りを過ぎてあまりきれいじゃない、ということもありますが、今回は本当に紅葉の盛り!近くに寄っても葉っぱの1枚1枚がきれいです。
簡単に通り過ぎてしまうのがもったいなくて、時折歩いてきた道を振り返ったり。
遠くに乳頭山の山頂が見えました。時間があれば乳頭山まで縦走するのもいいなと思っていたのですが、残念ながら今日の天気は下り坂なんですよね。
なだらかな山容の男女岳。
秋田駒ヶ岳は活火山で、比較的最近噴火している「女岳」は登山禁止となっています。女岳はいかにも「火山」という山容ですが、男女岳は優しい形ですよね。一番標高は高い(1637メートル)なんですけど。
しかし、なんというか、アルプスだったらあり得ない光景ですよね。なんと言ってもこの、人の少なさ。紅葉シーズンの土曜日ですよ!
北東北という立地はもちろんですが、日本百名山に選ばれていないことも大きいと思うんですよね。それでいてこんなに整備されていて交通の便もいいし、楽に登れるし、麓は温泉だらけで、それはもう、毎年来てしまいますよね。
40分ほど登ると、右手に別のピークが見えてきました。あれは、最高峰の男女岳とはまた違うピーク「男岳」ですね。この登山道からだと、左手に男女岳、右手に男岳が見えます。
おおーあの、階段を登りきったあたり、本当に真っ赤ですね。
恐らくあれを登りきると、阿弥陀池が見えるはず。
近づくとこんな感じでした。もう少しだけ青空だったらもっと映えたのかもしれませんが、天候的には寒くも暑くもなく、とても快適に登れました。
木道が始まり、少し先に阿弥陀池と避難小屋が小さく見えました。
ここまでコースタイムだと1時間ですが、かなり写真を撮りながらのんびり歩いていましたけれど、50分ぐらいで着きました。慣れている道だと早いですよね……。
阿弥陀池から橫岳を経由し、ムーミン谷へ向かう
今回、阿弥陀池からどういうコースを取るかでかなり迷ったのですが、まずは阿弥陀池を通過し、橫岳を経由して「ムーミン谷」と呼ばれている谷間の径を通って、男岳の方向に上り、また阿弥陀池に下りて八合目に戻る、というルートにしました。
阿弥陀池から八合目登山口に戻るルートは今来た道のほかに2つあるのですけど、2つは破線ルートで、もう1つは最新の山と高原地図に「崩落箇所あり通行不可」という但し書きがあってちょっと不安だったので、あえて同じ道を通って戻ることにしたのです。
以前は破線ルートじゃないほうの道をよく、下山に使ったのですけどね……。
ちなみに秋田駒ヶ岳の地図は山と高原地図だと岩手山と同じ巻に収録されています。タイトルが「岩手山・八幡平」なのでちょっと見つけにくいんですよね。
阿弥陀池の周辺も美しいですね……。
阿弥陀池の周りの木道は不安定な箇所もありますので、紅葉に見とれてバランスを崩さないよう注意です。
実は、最高峰の男女岳に登る登山道は阿弥陀池の避難小屋の側から伸びています。
よく整備された登りやすい道ですが、今回は時間の都合上男女岳には登頂しません。
何度も登っていますし、他のところに時間を取りたいので……。同じ山に繰り返し登っていると、登頂にまったくこだわらなくなってしまいます・笑
避難小屋の周辺ではお昼ご飯を食べている人たちも。時間は11時前なので少し早めのお昼ですかね。それにしても人が少ないですよね。
阿弥陀池を通り過ぎ、橫岳に続く登山道を登り始めます。
少し登っては振り返り。阿弥陀池と男女岳の姿を写真に収めます。
橫岳に続く登山道を歩いていくと、ああ、あちらに見えるのが、噴火の危険のある女岳ですね。火口の周りが火山らしい、黒い土で覆われています。
あんまりピークらしい雰囲気ではないですが、この道の先に見えるちょっと尖っているところが、橫岳の山頂(のはず)
着きました。橫岳の山頂です。
山頂もやはり「登山道の途中」という風情であまり山頂らしくはないのですが、実は今回、山頂を踏むのはこの「橫岳」だけなので、一応山頂碑の写真を撮りました。
ここからムーミン谷に向かって下っていきます。
ああ、この下に見えるのがムーミン谷ですね。「駒池」なる池も見えます。
ちょっとズームしてみました。登山道の周りが真っ赤ですね。あれは何の紅葉なんだろう……。
ちなみにほとんど同じアングルで撮っていたので……。
左が今回の紅葉のムーミン谷。右が7月のムーミン谷。
早く歩きたいなーと思いながら「大焼砂」と呼ばれる、黒い砂の道を下っていきます。
ちなみにこちらの「大焼砂」は、秋はただの坂道ですけど、7月はコマクサがこれでもかと言うぐらい道の両側に咲いている最高の場所です。
ムーミン谷に下りていくポイントに着きました。
ちなみにムーミン谷は熊の目撃情報が多い場所ですので、注意が必要です。阿弥陀池周辺と比べるとさらに人も少ないですしね。
チングルマの葉が真っ赤に燃える!紅葉のムーミン谷を楽しむ
登山道周辺の濃い赤は何の紅葉かと思っていたんですけど、近づいてみたらチングルマの葉が紅葉していたのでした。
たしかにここは、7月はチングルマがものすごかったのですよ。
今回は紅葉がものすごい。
かたがり泉水、という小さな池の側に来ました。
いやー、美しいですね、紅葉のじゅうたん。
何度も振り返ってしまいます。しかも、人が本当にいない……。
紅葉登山って、実はあまり気が進まなかったんですけど、その理由のほとんどは「混んでいるから」だったんですよね。空いている紅葉登山なら毎日でもしたいですね……。
橫岳を過ぎたあたりからも見えていた「駒池」に来ました。
ちなみに夏の駒池はこちら↓
いやー、やっぱり、秋もいいですけど夏も最高ですね。
きれいすぎて通り過ぎるのがもったいない気持ちに。
そしてこのあたりで、ムーミン谷に来て初めて人とすれ違いました。ちらほら歩いてはいるんですけどね。
紅葉しているポイントを過ぎると、最後に20~30分ぐらい、きつい上りが待っています。
周回コースなんで逆側から回ればこの道を下りにすることもできるのですけど、けっこう傾斜が急なので、何度か通ったけれどけっこうこわくてですね……。
そもそも私は下りより上りのほうがどちらかと言えば得意なので、この急勾配は登るほうが楽だなと感じています。下りはちょっとね……トレッキングポールがなければこわいです。
地図にも「急坂 転落注意」と書かれている道です。左手に見えるゴツゴツとしているのが男岳の山頂あたりですね。
まあ、上りは上りでしんどいので、時折振り返って歩いてきたムーミン谷を見下ろして心癒やされながら。
最後の一登りを上り終えました。
ああ、名残惜しいなー。
あちらが、上りながらも見えていた男岳のピーク。今回はスルーです。
阿弥陀池から8合目登山口へ来た道を戻る
男岳に向かう分岐からは、阿弥陀池がこんな感じで見えています。5分も下らずに着きますね。
あとは、最初に歩いてきた道を戻ります。
この道も美しいので、最後まで楽しめますね。
乳頭山の山頂がだんだん大きく見えてきました。
1回は縦走しているんですけどね……。またいつか歩きたいものです。
名残惜しくてちょっと歩く度に写真を撮ってしまいます。
少し先にある、地面がピンクっぽくなっているところが休憩場所になっているのですが、そこから先はサクサク歩いて行きまして。
予定より少し早く、13時半過ぎには八合目登山口に戻ってきました。
バスに遅れないようにと思って、あまり休憩も取らずに歩いてきたのですが、小屋のテーブルで持ってきたパンなど食べてバスの出発時刻を待ちます。
お疲れさまでした!
秋田駒ヶ岳は下山後にたっぷり温泉を楽しめるのがすばらしい
14時5分発のバスに乗りたかったのは、この日泊まる予定の宿に乗換なしに着くことができるからです。
乗客の多くは途中のアルパこまくさで下りますので、バスもアルバこまくさ止まりのものが多いのですが、14時5分発のバスは田沢湖駅直通なのです。
アルパこまくさにも日帰り温泉施設があり、露天風呂からは田沢湖を眺められますし、お湯も非常に良く設備も整った日帰り温泉です。
アルパこまくさは、この時期はかなり混むと思いますので、乳頭温泉郷まで足を伸ばしてお風呂に入るのも手ですね。アルパこまくさで、乳頭温泉行きのバスに乗り換えることもできます。
今回は直通バスに乗れましたので、そのまま田沢湖駅方面に向かい、途中の水沢温泉郷の駒ヶ岳温泉で1泊しました。
駒ヶ岳温泉についてはこちらの記事に書きましたので、ご参照ください。