秋田県 乳頭温泉郷 黒湯温泉
黒湯温泉は、乳頭温泉郷に7つある旅館のうち最も奥に位置する旅館です。
最寄りのバス停は「休暇村前」もしくは「乳頭蟹場温泉」ですが、どちらのバス停からも20分ほど歩くことになります。(宿泊の場合は送迎あり)また、雪深い土地ということで11月中旬ごろから4月中旬ごろまでは冬期休業してしまいます。
一度は乳頭温泉の宿に泊まってみたいと思いながらも、私自身は新しめの小規模旅館が多い田沢湖高原温泉や水沢温泉郷に宿をとって、乳頭温泉郷には日帰りで湯巡りしに来ることが多いのですが、その中で最も気に入って何度も訪れているのがこの、黒湯温泉です。
2018年の10月にも田沢湖高原温泉に宿を取り、黒湯温泉に日帰り入浴をしました。周辺の紅葉がピークを迎えており、なかなかきれいだったのでレポートしたいと思います。
田沢湖駅からバスに乗り、休暇村前のバス停から20分歩いてたどり着く
乳頭温泉郷までは、田沢湖駅前のバス停から出ているバスに乗り、40分ほどの乗車で到着します。時刻表はこちら。
黒湯温泉に行く場合は最寄りのバス停から20分ほど歩くことになります。
終点の「乳頭温泉」バス停で下りて川沿いの道を歩いて孫六温泉を経由してくるか、「休暇村前」で下りて、車道を20分歩いて来るかのどちらかです。
今回、行きは「休暇村前」で下車しました。
休暇村乳頭温泉郷も乳頭温泉郷に含まれる宿ですが、秘湯っぽさはなく大浴場にはシャワーがあり、脱衣所にはドライヤーがあります。「シャワーとドライヤーがない浴室では頭は洗いたくない」と思われる方は、こちらで日帰り入浴するのもいいと思います。
鶴の湯も黒湯温泉も、宿泊客のみ利用できる内湯にはシャワーもあるそうなのですが、日帰りで利用できる浴室にはないため、日帰り入浴に来た方は驚かれることがあるようなので。私は、鶴の湯で2~3度「ここにシャワーのある浴室はないの?」と訊ねられたことがあります……。
黒湯温泉に行くには、休暇村乳頭温泉郷から約20分、車道を歩いていきます。
もう、歩き始める前から道の周りの木々が紅葉しているのがわかります。
車を停めて写真を撮っている人たちもいましたが、せいぜい2~3組です。
基本的にはたまに黒湯温泉に向かう車が通るだけで、とても静かな小道です。
ちなみに、夏に来たときはこんな感じで緑が美しく、これはこれでとても良かったです。ずっと日陰なのでわりと涼しく歩けましたし。
車道から少し木々の間を覗くと、水の流れが美しかったり。
基本的に黄色いに色づいた木々が多いので、その中に赤く色づく紅葉があるとかなり目立ちます。
黒湯温泉の営業時間・入浴料金
写真を撮りながらのんびり歩いて、黒湯温泉入り口に到着。
このあたりに駐車場もありますので、車ならここまで入ってこれます。
日帰り入浴の時間帯と料金が掲示してありました。
営業時間は午前9時から午後4時まで。
入浴料金は大人600円、子供300円です。
駐車場から細い道を下っていきます。
茅葺き屋根の建物と、普通の建物が並んでいるあれが、黒湯温泉です。
着きました。
「珈琲」と書かれている玄関口が、日帰り入浴、そして宿泊の受付になりますので、料金を支払います。
黒湯温泉の案内図がこちら。中央右よりに書かれている「管理棟 受付 売店」が現在地です。
黒湯温泉で日帰り入浴可能なのは、混浴の「上の湯」と男女別の「下の湯」です。600円の入浴料金で、本来は両方とも入ることができます。
ただし、混浴の上の湯はタオル巻きなどもNGですので「女性で入っている人もいますよ」と言われることもありますが、基本的には私は男湯だと思っています。
でも、男女別の「下の湯」にもそれぞれ内湯と露天風呂があり、それだけでも十分満足できるすばらしいお湯なので「男の人はいいなあ」とは思いつつも、黒湯温泉に来てしまうのですよね。
ちなみに、黒湯温泉の旅館部に宿泊すると上の湯、下の湯のほかに旅館部専用の内湯も利用でき、そちらではシャワーも使えるとのことでした。
そんなわけで、下の湯の浴室に行ってみたいと思います!
【風呂】★★★★★ 男女別の内湯と露天もすばらしいお湯で満足できる
では「男女別露天・内風呂」と書かれている方向へ向かいます。
「黒湯温泉」と書かれた提灯の下がっている渡り廊下をくぐり抜けると……。
1泊4000円程度で泊まることのできる自炊部の客室があります。
夏は冷房がなくて暑そうでしたが、秋は案外過ごしやすそうですね。
自炊棟からさらに先にある、「下の湯」の湯小屋に向かう途中、あふれ出た温泉が池のようにたまっているところがあり、硫黄の香りが強く漂います。
「危険」と書かれた看板もありました。
たしかに、あまり長居すると体に悪そうな硫化水素臭ですが……。
とは言えこの周辺の紅葉が非常に美しいことと、下の湯の湯小屋のすぐそばなので、ここで待ち合わせをしつつ紅葉を眺めている人がちょいちょいいました。
あれが湯小屋です。
湯小屋の裏手の紅葉も美しいですね……。果たして、露天風呂から紅葉は見えるのでしょうか?
「下の湯」の女湯の脱衣所はこちらです。
引き戸を開けてのれんをくぐるとすぐに脱衣所になっています。
貴重品ロッカーのようなものはないので、貴重品の管理には気をつけたほうが良さそうです。
温泉分析表がありました。
単純温泉・硫黄泉、ph5.6の弱酸性で、湧出温度は51.8度。
加温・循環・消毒などはしていませんが、源泉が高温なので加水はしているようです。
下の湯の内湯には洗い場はありますが、シャワーはありません。
このように、お湯が四角い湯桶のようなものに注がれて溢れており、このお湯を手桶ですくって洗うことになります。
こちらのお湯は源泉ではないようでしたので「硫黄泉の源泉が壁から出ていてそれで洗う」ようなところもけっこうありますから、それに比べたら洗いやすいと言えば洗いやすいかな……。
体を洗ったらまずは内湯へ。
白濁の硫黄泉がたっぷりと満たされています。黒湯温泉という名前ではありますが、黒いお湯ではありません。やや青みがかって見えるときはあるようですね。
適温に調節されているので、わりとのんびり入れます。
もう10年近く前になりますが、最初にこちらに来たときはかなりお湯が熱かったように思うので、温度調節も工夫を重ねられているのではないかと思います。
私は、多少加水していても入りやすい温度のお湯なほうがありがたいと思うタイプです。
少し温まったところで露天風呂へ。
木の浴槽で、きちんと手入れされており清潔です。
隅のほうに打たせ湯もあります。私は使いませんけれど……。
源泉は常に勢いよく、どばどばとかけ流されています。
女湯なので覗かれたりしないように、露天風呂の周辺はきちんと塀がめぐらせてありましたが、塀の上のほうから少し、紅葉した木々が見えました。
聞いた話では、男湯の露天風呂はもっと眺めがよく、むしろ混浴露天よりも男湯の露天のほうが眺めがいいと言っている方もいました。私にはたしかめる術はありませんが……。
内湯も露天も風情ある浴室ですが、洗い場も狭いしドライヤーも置いていないので、女性が日帰り入浴する際にシャンプーなどをするのは厳しいと思います。
もし頭を洗うなら乳頭温泉郷なら妙の湯か、休暇村乳頭温泉あたりに行くのが良いと思います。
とは言えここのお湯は本当に素晴らしいです。温度も適温に調整されていますし、お湯は新鮮そのもの。混み合わない限り長湯してしまいます。
【食事】★★★★ 黒たまごや味噌焼きのきりたんぽなど軽食も楽しめる
黒湯温泉には軽食が楽しめる喫茶スペースもあり、入浴後にバスの時間を待つのに便利です。
すすきの中を歩いて、最初に受付をした管理棟に戻ります。
黒湯温泉には食堂もあるのですが、営業時間は11時30分からラストオーダー13時30分、閉店14時と昼食営業のみです。
こちらは私は時間が合わず、利用したことがありません。
メニューはうどんや蕎麦、おむすびなどの基本的なもの。
比内地鶏入りのきりたんぽ定食はちょっと気になりますが……。
食堂の営業時間は短いのですが、日帰り入浴の受付の近くに、軽食を取れるスペースがあります。
外でいただくこともできますが、室内から外を眺められる席もあるので、寒い日や天気の良くない日でも利用可能です。
味噌を付けて焼いたきりたんぽ、その名も「みそたんぽ」1本350円をつまみに、風呂上がりのビールを飲んだり。
ラムネも冷やしてありました。黒たまごと共にいただきました。
ラムネは、外で流水にさらされて冷やされていました。
この黒たまご、かなりしっかりと温泉の硫黄の風味が感じられ、おいしいです。
軽食のメニューはそう多くないのですが、お風呂上がりにちょっと休んで一杯飲めるのって本当に幸せ!
ここがあるのとないのでは印象が大違いだと思います。
日帰り入浴の受付時間は9時から16時までなのですが、売店・喫茶コーナーは7時から20時までと、もっと長く営業しています。
宿泊の方が朝晩に利用されるんでしょうね。いつか泊まりでも来てみたいなあと思いました。
孫六温泉を経由してバス停へ向かう
一休みしたところで、バスの時間が近づいてきたので今度は行きとは別の道を使って帰ります。
「孫六温泉」と書かれたほうに、細い道を下っていきます。
橋を渡った川の向こうが孫六温泉です。
このあたり、橋の上流側も下流側も、本当に紅葉が美しくて!
車で黒湯温泉に来ると、こちら側には来ないので気がつかなかったかもしれませんね。
孫六温泉に行かなくても、孫六温泉側の川まで来てみても良いかと思います。
孫六温泉の敷地の中を通ってバス停に向かいます。
庭の中の紅葉も美しいですね……。
こちらが孫六温泉の湯小屋です。以前こちらにも日帰り入浴で来たことがあるのですが、かなりお湯が熱かったので、最近はあまり立ち寄っていないのです。
以前来たときは夏だったので、秋ならむしろいいのかもしれませんね。
整備された道を歩いていきます。
このあたり、人も車もめったに通らなくて、熊が出るんじゃないかと心配になったりも。
20分ほどの紅葉散歩のあと、バス停のある大釜温泉の目の前に着きました。
大釜温泉は、以前は小学校だった建物を使った温泉宿なんですが、成立の経緯が書かれた看板が興味深いです……。来る度に読んでしまいます。
乳頭温泉バス停から、田沢湖駅行きのバスに乗り、田沢湖高原温泉で予約した本日のお宿に向かいます。
【再訪したい度】★★★★★ いつか泊まってみたいが、日帰りでも十分楽しめる
これまでは日帰り入浴と喫茶のみの利用なんですが、お湯は最高にいいし、周辺は自然に囲まれていて心癒やされます。
これまで新緑の季節が最高だなと思っていたのですが、紅葉の時期に来てみて、圧巻の美しさに驚きました。
ちなみに、この記事に掲載した写真は2018年10月20日に撮っています。
今年の乳頭温泉郷の紅葉はこれからが本番です。乳頭温泉の宿はもういっぱいかもしれませんが、近くの田沢湖高原温泉や水沢温泉郷に宿を取って、日帰りで乳頭温泉に来ても十分楽しめると思います。私自身もこのときそうでした。
日帰りでも十分楽しめる黒湯温泉ですが、いつかは泊まってみたいものです。
このとき泊まった宿については次の記事で書きたいと思いますが、たとえば先にご紹介した駒ヶ岳温泉に泊まって乳頭温泉に来るのも、バスも利用できますしいいプランですね。