温泉ブログ 山と温泉のきろく

山好き女子の温泉と食と山旅の記録です。

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書評「東京の懐かしくて新しい暮らし 365日」住んでいると忘れてしまう、東京の楽しさを思い出させてくれる本

ブログ「東京散歩ぽ」の中川マナブさん・よしこさんご夫婦による、東京をもっと楽しむための1冊

私自身の著書にも書いていますが、地方の田舎町で生まれ育ったので東京に憧れがあり、進学で上京してからもずっと、東京が大好きでした。

しかし、時が経ち温泉旅と登山が趣味になってからは「東京を楽しむ」機会が本当に減ってしまいました。晴れた週末はできる限り山に行きたいし、土曜日に早起きしたいから金曜日も深酒はできません。

都内で遊ぶ機会が本当に減ったなあ……と思っていた2020年、コロナ禍で外出がしづらくなり、その後も遠出はしにくい状況が続くことに。しかし「この機に東京を楽しもう!」と、急に気持ちを切り替えることは難しく「早く遠出できるようになってほしいなあ」と願うばかりの日々でした。

緊急事態宣言発令中の休日に一度だけ、学生の頃に好きだった代々木八幡のパン屋さんに自転車で出かけました。遠かった……。学生時代は、都内にもお気に入りスポットがいろいろあったんですよね。

2022年現在は制限なく国内旅行を楽しめる日々がようやく戻ってきましたが「東京は楽しいはずの場所なのに、なんだかもったいないことをしているのかも」という思いは、ずっとくすぶっていたのです。

東京の懐かしくて新しい暮らし 365日」は、ブログ「東京散歩ぽ」を運営されている中川マナブさん、よしこさんご夫婦が書かれた本です。

縁あって献本いただくことになり、拝読したところ、忘れかけていた「東京を楽しむ」気持ちを思い出させてくれる本でしたので、ご紹介したいと思います。

日めくりカレンダーのように1ページに1テーマ、365日分の東京の素敵なところが詰まっている

東京の懐かしくて新しい暮らし 365日」は、年度始まりの4月1日からスタートし、3月31日まで日めくりカレンダーのように1ページに1日進む形で、東京のさまざまな面が毎日紹介されている本です。

紹介されている場所のジャンルは多岐に渡り、さらに言えば「場所」だけに限らず

・燕の巣作り(5月30日)
・ゲリラ豪雨(8月12日)
・陽炎と逃げ水(8月16日)
・東京の猫 その1(9月25日)

などなど、東京で生きる動物や、季節の風物詩的な事柄の紹介まで、多岐に及んでいます。

日付に沿って最初から読んでいくのはもちろん、本を手に取ったその日・その月のページから読んだり、どのページから読んでも楽しめます。

目次がないのですが、ブログ「東京散歩ぽ」に、本の中で紹介されているスポットなどの一覧ページが公開されていました。

購入を検討される際はこちらのページも参考になると思います。

わかる!あそこはいいよねえと頷いた日

ここからは私が「東京の懐かしくて新しい暮らし365日」を読んで「あそこはいいよねえ!」と頷いたり、「ここ行ってみたかったんだよー」と思ったり「あの街にそんなスポットがあったの?」と驚いたりしたところについて、ご紹介したいと思います。

まずは、著書で紹介されているのを見て「私もまた行きたい!」と思ってしまった、大好きなスポットについて。

4/10 旅のお供に名物駅弁を(駅弁屋 祭)

東京駅構内にある「駅弁屋 祭」は、旅の始まりを盛り上げてくれる存在でもあるし、旅から帰って来た日の夕食を調達する場でもあります。

最近お気に入りの駅弁は、広島駅弁株式会社の「とろ~り煮あなご飯」です。

特に宮島が好きで何度か訪れている広島、しばらく行けていないけれど……駅弁を食べて、広島に旅行したときのことを思い出したり。

全国各地の駅弁が集まる「祭」は、おいしい・珍しい駅弁を購入できるだけでなく、気軽に旅気分を味わえる東京の名所なんだなと思います。

8/1 高尾山の自然研究路

大好きな高尾山の自然研究路については8月1日に紹介されていました。
ちなみに私は、高尾山は5月ぐらいの新緑の時期が一番好き!

こちらは、沢沿いを歩く6号路。涼しいけれど滑りやすいので登りに使うのがおすすめです。6号路から登って、稲荷山コースを下るのが1番好きかな。

6号路の途中から1号路に合流する道を登って、薬王院を参拝するのもいいですよね。それに、夏の高尾山にはビアマウントがあります。一山登った後にビール飲み放題。

飲めるお蕎麦屋さんがあるのもうれしいポイントです。

2020年の年末年始は帰省しなかったので、年末に高尾山に登って年越し蕎麦を食べてきました。

思い出したら高尾山に行きたくなってきました・笑

また、8/1だけでなく11/14にも高尾山についての記述がありました。ブログ内での記述によれば、著者の中川さんご夫妻は京王線沿いにお住まいだったことがあるとのこと。高尾山は身近な場所だったのかもしれないですね。

8/13 下北でクラフトビールを(ビアバーうしとら)

下北沢のクラフトビアバー、うしとら。

下北沢にはちょくちょく足を運んでいるのに、そう言えば最近行けていないな……と、本を読んで気がつきました。

自社工場で醸造しているビールはもちろん、料理もどれもおいしくて。

ネギたっぷりのピザはボリュームもたっぷり。
そうだ、ここは料理の盛りがいいから、1人で行くより誰か誘ったほうが楽しめる店だ、と思っていて。だけどここ最近、人と飲む機会が少なかったから足が遠のいていたんですね。

1人でも、もっと気軽に。会社帰りとかに立ち寄ろうと心に誓いました。

いつか行ってみたいと思っていたんだよなあ……な日

紹介記事を読んだりして「行ってみたい」と思っていたけど、なかなか足を運べずにいた場所。「東京の懐かしくて新しい暮らし 365日」を読んで、そういう場所が都内にかなりあったんだなと思い出しました。その中から3つのスポットをご紹介します。

7/27 志むらのかき氷

かき氷が有名な目白の甘味処「志むら」
八ヶ岳の天然氷を使ったかき氷をいただけるお店です。

メディアに紹介されることも多い有名店で、ずっと気になってはいたのですが、17時30分ラストオーダーで、18時閉店なんですよね。そして日曜が定休日。

平日に仕事が終わってから行くのでは間に合わないし、土曜はかなり混むだろうし、だいたい土曜日は山に出かけてしまうしなあ……。
で、なかなか足を運べなかったのですが、やっぱり行きたくなりました。

10/16 新宿の温泉旅館(ONSEN RYOKAN 由縁新宿)

2019年に新宿にオープンした温泉宿。
温泉宿好きとしてもちろん知ってはいたし気になってもいたけれど、場所からしてインバウンド狙いなんだろうなあ。都心でわざわざ温泉宿に泊まることもないか……(ただしSPAHOTEL和は別)と思っていたこちらの宿。

本書をきっかけにこちらの記事を読んだら、やっぱり気になってきました。

外国人観光客が本格的に戻ってきたら、もう絶対行くことはないだろうし、私がここに泊まるなら、今年が最後のチャンスなのでは??と。

ちなみに下北沢、というか世田谷代田にもあって、こちらのほうがグレードが高い宿のようです。

10/19 吉祥寺の異空間喫茶店(COFFEE HALLくぐつ草)

吉祥寺の超有名店「くぐつ草」に、吉祥寺の近くに15年以上住んでいながら私は1度も行ったことがないんだな……ということを、読んで思い出しました。

ちなみに吉祥寺という街について、過去にSUUMOタウンというメディアに寄稿もしています。

くぐつ草に行かずにいた大きな理由は「絶対タバコの煙やばいでしょ!」と思っていたからです。
しかし、2020年の4月から東京都の受動喫煙防止条例施行に伴い、くぐつ草の店内も全面禁煙となっています。コロナ禍の最中だったので、忘れていましたが……。

現在も吉祥寺には頻繁に立ち寄りますし、くぐつ草の前の通りも毎週歩いているのですが、よく行く街って「よく行く店」も決まってしまって、それ以外の場所に行かなくなってしまうんですよね。

吉祥寺で喫茶店というと「ゆりあぺむぺる」という南口のお店ばかりになっていました。先ほどの寄稿記事の中でもご紹介しています。

今なら「くぐつ草」にも行けるじゃないか!ということを思い出したので、来週あたり行ってみようかなと思います。

そこは知らなかった!行ってみたい!な日

6/20 昭和のあの頃に戻れる喫茶店(喫茶宝石箱)

本書の表紙を飾るクリームソーダの画像は、千歳烏山にある「喫茶宝石箱」なる昭和レトロな喫茶店で提供されているものだそうです。

実は、コロナ禍の最中にはウォーキングがてら千歳烏山まで何度か散歩に行きました。(自宅からはけっこう遠いです)だけどこんなお店があったなんて、ぜんぜん知りませんでしたね……。

現在は完全予約制で営業されているそうですが、東京散歩ぽさんの記事や公式サイトを見て、かなり興味をひかれました。

8/11 お酒のテーマパーク(石川酒造)

「多摩の恵」なるビールを醸造している「石川酒造」というメーカーの存在は知っていましたが、お酒の試飲付きの酒造見学ができるとはまったく知りませんでした。

観光地的な場所には興味がない私ですが、お酒が好きなので酒蔵見学には心惹かれてしまいます。

記事を読むと、ものすごく楽しそうです。

これは行ってみたい!と思ってホームページを探してみると、現在はコロナ禍の影響で見学は取りやめているとか……残念。

地方の酒造でも、コロナ禍以降酒蔵見学を中止しているところが多いんですよね。いつか復活してくれるといいなあ。
それとホームページで紹介されていた、直営レストランの「福生のビール小屋 」も気になります。

12/12 武蔵小金井の一軒屋レストラン(TERAKOYA)

武蔵小金井駅から徒歩5分の、高台の上にある一軒家フレンチレストラン。

武蔵小金井は自宅から行きやすい場所なんですが、こんないいお店があったなんてまったく知りませんでした。雰囲気も眺めも良く、料理も大変おいしそうです。

ちょっと一人では行きにくそうな雰囲気のお店ですが、かなり気になっています。

「るるぶ東京」を熟読していた中学生のころを思い出した本だった

中学3年のときの修学旅行の行き先が東京だったのですが、旅行の前に全員に「るるぶ東京」というガイドブックが配られ、それを夢中になって読んだことを覚えています。

街の解説と、人気スポットの紹介というごく普通のガイドブックでした。「るるぶ」はきっと、昔も今も同じですよね。
当時は、スマホはもちろんインターネットも普及しておらず、テレビや雑誌で断片的に情報を得る以外に東京について何も知らなかったので、載っている情報すべてが新鮮でキラキラして見えたものです。

大人になり、東京に住んで20年以上経った今は、自分は何が好きで、東京のさまざまな街の雰囲気、どこに何があるかも大まかにはわかっています。

たとえば私の場合、Twitterのプロフィールにも書いてあるとおり……

山と温泉、日本酒、クラフトビール、寿司、蕎麦、鰻が好きです。
そうなると、出かけるときは「吉祥寺 クラフトビール」とか「新宿 蕎麦」というように「街+好きなもの」で検索して情報にたどり着いてしまい、普段行かない街やお店の情報を得ることはありません。

効率的ではありますが、少しもったいないことをしているのかもしれない、と思いました。

「東京の懐かしくて新しい暮らし 365日」を読んだことで、東京全体に対する解像度が上がったように思います。これまで興味のなかった街やジャンルでも、おもしろそうな場所があるじゃないか!という気づきもあり。

住む前はあんなに憧れて、あそこにもここにも行きたい!と思っていたのに、住み始めるといつの間にか忘れてしまっていた……あの頃の気持ちを読んでいて思い出したのです。

好きな場所・行きたい場所がいつまでもあるとは限らない

中学時代から「渋谷」という街に憧れがあり、上京してからもずっと渋谷が好きでした。

理由の一つに「茶亭羽當」という喫茶店の存在があります。

熟読していた「るるぶ」でその存在を知ったのですが、壁際の棚に大量のカップとソーサーが並んでいて、お客さんの雰囲気に合わせてカップが選ばれる、という紹介文に心惹かれました。

18歳で上京してすぐにお店に伺い、それから20年以上、折に触れて訪れています。

渋谷と言えばセンター街のある宇田川町方面や道玄坂など、若者が多くて騒がしい街というイメージを持つ方が多いでしょう。「若いころは渋谷にも行ったけど、大人になってからは全然だね」という話もよく聞きます。

私は、若くて元気な渋谷も嫌いではないのですが、騒がしい街に疲れたときに休みに来れる喫茶店があることで「やっぱり通い慣れたこの街が落ち着くな」と思っていたのです。そして、茶亭羽當以外にもそういうお店は渋谷にいくつもありました。

しかし、ここ数年で渋谷は本当に変わりました。

「この店もこの店も再開発でなくなっちゃうの??」と何度も涙を飲みました。

たとえば、桜丘町にあった中華料理店「香港ロジ」とか。

こんな場所を再開発するんだ!?いいじゃんこのままで!と思ったものです。
閉店まで毎日のように通ったけれど、悲しかったなあ。

2020年からはコロナ禍の影響で、好きだったお店がいくつも閉店。

恵比寿駅前の「ぴえにゅ」という安旨フレンチレストランがなくなったのは、中でもショックでした。20代の頃から通い続けていたお店でしたが、都心に出ない生活を続けている間にいつの間にか閉店していました。

コース料理でオーダーすると、ワゴンからデザートをいくつでも選べて。でも、コース自の体量が多いのでそんなにたくさん食べれないという……あのワゴンが席に近づいてくるときのドキドキを、もう味わえないなんて。

山と温泉が好きで、こういうブログをやっていることもあり、東京の情報にとんと疎くなっていたけれど、やっぱり私、東京のこともけっこう好きなんだな。

そして、好きなお店や行きたいと思っていたお店がいつまでもあるとは限らないんだと、再開発とコロナ禍で思い知りました。

茶亭羽當も、近年は「ブルーボトルコーヒーの創始者が大絶賛した!」とかでお客さんが増えてしまい、少し足が遠のいていたところも実はあったのですが、もしなくなったりしたらものすごく落ち込むから今のうちに「もういいや」と思うまで行こう!

もっと東京を楽しみたい気持ちが盛り上がってきたので「東京の懐かしくて新しい暮らし 365日」を読んで気になった場所に行ける日も、近いような気がします。

東京都内(奥多摩)の温泉宿についてレポートしています。

 

◆ お知らせ ◆
2020年10月に著書が発売となりました。
一人旅をもっと楽しみたい方に向けたエッセイです。
一人で泊まれるおすすめの温泉宿もたくさん紹介しています。