白馬八方温泉 しろうま荘
白馬八方温泉のしろうま荘は、八方のバスターミナルと八方尾根スキー場のゴンドラリフト乗り場のだいたい中間地点ぐらいにある全18室の温泉旅館です。
スキーシーズン真っ盛りの1月から3月を除いては、休前日でも一人泊のプランが常に出ており、1泊2食付き1万1千円ほどの宿泊料金で、土曜日も1人で泊まることができます。白馬の宿の中でもまあまあリーズナブルなほうの宿ではないかと思うのですが、食事も朝夕共に大変おいしく、館内の設備も整っていてスタッフの対応も良い、何というか、非の打ち所のない宿です。
じゃらんなどの旅行サイトでの口コミの評価も高いのですが、特にトリップアドバイザーでは「白馬村の旅館・ホテル125軒中1位」という評価を得ています。(2019年2月21日現在)
これまでも何度か泊まっていてリピート利用している宿なのですが、2018年10月に宿泊した際のことをレポートしたいと思います。
10月の三連休、台風が近づくなか白馬に向かった
2018年の体育の日の三連休は台風が日本海を通過するというので、1週間ほど前までは北アルプスをはじめとする中部山岳も、大荒れの天気予報が出ていました。
直前になってやや予報は好転したものの、依然として「晴れ予報」というわけではなく、当初はテント泊で北アルプスのどこかに行こうと考えていた私も予定を変更し「山麓の温泉宿に泊まって紅葉を楽しむ旅をしよう!」と考えて、急遽温泉宿を予約することに。
そのとき、これまでも何度か泊まったことのある白馬八方の宿「しろうま荘」に空室があるのを見つけ「あそこなら間違いない!」とさっそく予約をしてしまいました。
このときの旅の経過については、noteにまとめています。
なんだかよくわからないタイトルの旅行記で恐縮ですが、しろうま荘のスタッフに狩野英孝に雰囲気が似ているおにいちゃんがいまして、私はその人のファンなのです。詳しくはnoteをお読みいただけたらと。
この日はまず、早朝に東京駅から北陸新幹線に乗って長野駅で下車し、そこから特急バスで白馬方面へ向かいました。そしてまずは、白馬八方を通過して終点の栂池高原へ。
雲が多いながらも紅葉を堪能し、山小屋の食堂で食事もいただいて下山。
栂池からまたバスに乗って白馬八方バスターミナルで下車します。
しろうま荘は、八方バスターミナルから徒歩3分ほどのところにあります。
先日宿泊レポートをアップした「旅館まるいし」ともかなりご近所です。
チェックイン可能な15時ちょうどぐらいに、宿に到着しました。
中に入るとフロントに狩野英孝似のおにいちゃんがいて迎えてくれました。久々にお会いできてうれしい。泊まるのは2年ぶりぐらいでしょうかね。
チェックイン手続きを行い、お部屋まで案内していただきます。
今回宿泊するのは、本館2階にある少し広めのお部屋。
しろうま荘には、4畳半や6畳間の狭めのお部屋があり、そちらのほうが少し安いので普段はそちらに泊まるのですが、直前予約だった今回は広めのお部屋しか空いていなかったのです。狭めのお部屋は地下にあったので、2階のお部屋に泊まるのは今回が初めてだと思います。
英孝ちゃんの話によれば「1週間ぐらい前の台風接近の予報でいきなりたくさんのキャンセルが出たのだが、昨日予報が好転したので結局また満室になった」とのこと。予約できたのはラッキーだったみたいです。
今回泊まるお部屋の名前は「駒草」
高山植物の女王と言われるコマクサの名前を冠したお部屋に泊まれるなんて、なんだかうれしいですね。
それではまずは、お部屋についてレポートしたいと思います。
【部屋】★★★★☆ 無料Wi-Fiもあって快適、何不自由なく過ごせる部屋
10畳の和室に広縁がついたお部屋です。トイレ・洗面付き。
部屋の広さのわりにちょっとテレビ小さいかも?と思いましたが、あまりテレビ見ないので特に不自由はありません。
広縁の壁はなぜかレンガのような洋風っぽい壁になっていまして、椅子が4つとテーブルが置いてありました。
この広縁がなかなか快適で、お風呂上がりには近所の酒屋さんで購入した「信州須坂フルーツエール」というりんご味のビールをここでいただきました。
初めて飲んだのですが、果汁感たっぷりのビールでおいしかったです。


アルコール度数3%と低めなので、お風呂あがりにサイダー替わりに飲むのにちょうどいい感じ。
持ち込んだビールを冷やしておくための、空の冷蔵庫もちゃんとあります。


金庫と並べて置いてありました。
ポットはデロンギの電気ポットで、保温機能はなく都度沸かすタイプ。
お茶うけは「雷鳥の里」です。定番ですがおいしいですよね。


洗面所にはドライヤーと、パウチに入ったシャンプーとコンディショナー、歯ブラシ、コーム、コットンと綿棒のアメニティが置いてありました。
後でご紹介しますが、実は浴室に置いてあるのはリンスインシャンプーなんですよね。リンスインシャンプーってけっこう、髪がバサバサになってしまいがちなので部屋にパウチがあったのはありがたかったです。部屋のドライヤーがPanasonicのまあまあいいやつなのもうれしいポイント。
トイレもウォッシュレット付きで広く清潔です。
浴衣に羽織りと帯、バスタオルとタオルの基本のセット。
ちなみに、しろうま荘の館内は全館無料Wi-Fiが完備されており、これまで泊まったどの部屋でも通信状況は良好でした。ちなみに、Wi-Fiはしっかりつながりますが、地下のお部屋に泊まった際は携帯の電波はありませんでした。まあ、スマホならWi-Fiがつながれば特に不自由ないですよね。
館内案内図がこちら。
本館と別館があり、本館は地下1階地上2階建て、別館は地上3階建てです。本館の地下に男女別の浴室があります。
私は本館のお部屋にしか泊まったことがないのですが、今回英孝ちゃんに聞いたお話だと、本館のお部屋は窓が二重窓になっており、カメムシが入ってきにくいのだとか。なので虫が気になる方は本館のお部屋を選んだほうが良いのかもしれないですね。
【風呂】★★★★ 清潔な浴室と泉質に特別こだわりがなければ十分楽しめるお湯
部屋で一休みした後は、混み合う前に浴室へ。夕食前になると混んでしまいますからね……。
男女別の浴室は本館の地下にあります。階段で地下1階へ。
浴室を利用できるのはチェックインから午後11時までと、午前6時から午前9時まで。
深夜の入浴はできません。シャワーのみは利用可能と書いてありましたので、浴槽内のお湯の加温・循環を止めてしまうか、お湯を抜いてしまうのでしょうかね。
脱衣所へ。
脱衣カゴ、トイレ、洗面所のシンプルな造り。
洗面所には化粧水と乳液、綿棒。


ドライヤーは、部屋にあったのと同じPanasonicのものでした。


ph11.3、アルカリ性の単純泉です。
加水はしていませんが、加温・循環ろ過・消毒あり。
ではいざ、浴室へ。
向かって右手に洗い場、左手に浴槽があります。
まだ新しく、とてもきれいな浴室です。
洗い場にはボディシャンプーとリンスインシャンプーが置かれています。
リンスインシャンプーを使うのが嫌な人は、部屋に置いてあるシャンプー&コンディショナーのパウチを持ってきて使いましょう。
体を洗って、浴槽へ。
お湯の温度は41度程度の適温に調整されています。浴槽の右側にある小さな窓が開いているので、内湯のみですが外の空気を感じながら入浴できました。
湯口からは源泉が常に勢いよく流れ落ちています。
湯口のお湯を手ですくって匂いを嗅いでみると、十分に温泉っぽい香りがしますので、浴槽内は消毒・循環していても湯口から出るお湯は循環湯ではないのだろうと思いました。湯口の周辺には、温泉の成分が白い結晶になってこびりついています。
消毒・循環ありとは言え、特に塩素の香りを感じるようなこともなく、快適な湯浴みを楽しめました。
しろうま荘のお風呂は、お湯にこだわりがある人でなければ十分満足できるレベルだとは思うのですが、お湯にこだわりがある方はぜひ、近所にある外湯の「郷の湯」に行ってみることをおすすめします。
同じ八方温泉の源泉ですが、郷の湯では「毎日換水し、加水・加温・消毒すべてなしの完全なる源泉かけ流し」状態で楽しめます。フロントに申し出れば、100円割引券も貰えます。
しろうま荘の脱衣所には給水器はありませんでしたが、1階の休憩スペースでは冷たいそば茶をいただけます。
ビールをはじめ、風呂上がりの一杯は1階にある自販機でも購入できます。ビールはキリンの一番搾りとラガー、そしてエビスの缶ビールがあり、お値段も良心的でした。
入浴後は、お部屋で寛ぎつつ夕食の時間を待ちたいと思います。
【食事】★★★★☆ 地場産の食材を使った郷土料理が朝夕楽しめる
夕食は、1階にあるダイニングでいただきます。
席に着き、まずは飲み物を注文します。
ソフトドリンクはりんご、オレンジ、長野トマトの100%ジュースのほか、コーヒーやホットチョコレートなども。
アルコールは生ビール、瓶ビール、日本酒は大雪渓と白馬錦、ワイン、焼酎、岩魚骨酒、りんごシャンパンなど。
1合から注文できるお酒が、通常メニューでは「大雪渓」1種類のみなのは少し残念かもしれませんが、基本的なお酒は揃っています。さて、何をいただきましょうか。
しろうま荘の夕食
席に着くと、こんな感じで料理がセットしてありました。
残念ながらお品書きがないので、正確な料理名がわからないお皿も多いのですが、わかる限りでご紹介したいと思います。
お酒は、1敗目は白馬ブルーイングカンパニーの地ビールにしました。


白馬村の天然水を使用して醸造されたビールだそうで、アンバーエールですがクセが少なくすっきりしていて、料理にも合います。
お刺身代わりの信州サーモンのサラダ仕立て。
海の魚を出されるよりも、やはり信州サーモンがうれしいですね。
ビールを飲みながらつまんでいると、女将さんが小鉢を持ってきつつ挨拶してくださいました。
しみじみおいしい切り干し大根。
「うちにお泊まりになるのは初めてですか?」と聞かれたので「いえ、2年ぶりぐらいですけど3回目か4回目……」と言ったら、大変恐縮されていました。いえ、久々なので覚えてなくて当然です。狩野英孝似のおにいちゃんもたぶん覚えてなさそうだったし。
餅麩と野菜の蒸し物。ピンクのやつが餅麩。ごまだれに付けていただきます。
きのこのおろし和え。
このあたりでビールがなくなったので、大雪渓を1合、熱燗でいただきます。
岩魚の塩焼きがまた、熱燗に合いますね……。
お凌ぎ、黒米だったか古代米だったか。
ほんのりごま塩味で、お酒と一緒にいただくにもちょうどいい感じ。
以前は、黒米のかわりに蕎麦だったこともありましたが、ご飯はご飯でいいですね。
揚げ物は玉ねぎとむかごのかき揚げ。
ホクッと口の中でほぐれるむかごがうれしいです。
白馬豚の鍋もいただいたのですが、煮ているところの写真をなぜか撮っていませんでした……酔っていたのでしょうか。
赤だしとお新香とご飯をいただき……。
抹茶の寒天と杏のデザート。秋の信州らしいメニューで満足しました!ごちそうさまでした!
しろうま荘の朝食
朝食も同じダイニングでいただきます。
品数豊富でうれしい。
ドリンクはフリーで、自分で飲みたいものをいただきます。
長野ですしここはやっぱり林檎ジュースでしょうか。
朝から野菜たっぷり、かつ一手間かかっている料理なのがうれしいです。


左はこごみの胡麻マヨネーズ和え。こごみ大好きなのでうれしかったです。サラダの野菜も新鮮で、水っぽくないのが素敵です。
ニジマスの甘露煮にはふき味噌が添えてあり、ご飯が進みますね……。
右側の白い漬けものは「素麺瓜のピクルス」だと女将さんが教えてくれました。たしかに少し酸味があり、不思議な食感のお漬物です。でもこれはこれでご飯に合う。
そして、ここまで完全に「ご飯がすすむ和食」だと思って食べていたのですが……サプライズのようにここで、焼きたてのガレットが提供されます。
2年ぶりだったので忘れていました!このガレットが、しろうま荘の名物メニューなのです。恐らく「卵料理」の代わりにこのガレットなんだと思うのですが……かなり本格的な味わいです。
卵焼きでも温泉玉子でもオムレツでもなく、蕎麦粉のクレープに包んでベーコンエッグをいただく……考えたら蕎麦粉を使っているのも信州らしいですし、野菜ももちろん白馬産のもの。地産地消メニューな上に、最近増えている外国人のお客さんにも恐らく受けがいいのではないでしょうか。今回も、大変おいしかったです。
食後のコーヒーもフリードリンクでいただけます。
シャインマスカットとりんご、そしてブルーベリージャムを添えたヨーグルトをいただき、コーヒーをゆっくりと飲んで、ごちそうさまでした!
【再訪したい度】★★★★★ 予約の取りやすさと程良く親しみやすい接客が心地良い宿
飛び抜けて「ここがすばらしい!」というポイントがあるわけではないのですが(あえて言うならば朝食のガレットは突き抜けているかも)部屋・風呂・食事どれを取ってもそつが無く、満足度が高い宿です。
女将さんや英孝ちゃんはじめ、宿のスタッフの方々のサービスが、馴れ馴れしすぎず素っ気なすぎないのも個人的に気に入っています。
1人泊用の狭めの部屋があって休前日も一人泊可能なので、私以外にも1人泊のお客さんがいることが多いのですが、ほどよく気遣って貰えるので一人でダイニングで食事をしていても、居心地の悪さを感じることは少ないのではないかなと。(人によるとは思いますが)
チェックアウト後は、宿の車で白馬駅まで送っていただきました。
台風は去った後ですが、強風のため八方尾根スキー場のゴンドラリフトは、この日は運休していたそうですが、八方尾根や栂池高原の散策の前後に泊まるのにちょうどいい宿だと思います。また行きたいです。