板室温泉大黒屋 保養とアートの宿
板室温泉は栃木県那須塩原市にあり、10軒ほどの温泉宿で構成されるこぢんまりとした、静かな温泉地です。那須七湯の一つに数えられ、開湯は平安時代という歴史ある温泉地でもあります。
今回ご紹介する大黒屋さんは、その板室温泉を代表する旅館と言っていいのではないでしょうか。
創業460年以上、現在のご主人は16代目という歴史ある旅館ですが「保養とアート」をコンセプトとし、リピーター率は70%以上だとか。
一人泊専用のシングルルームが何部屋も用意されているということで、一人旅歓迎の宿としても以前から名前を覚えており、いつか行ってみたいと思っていました。
2018年の4月に、ようやく宿泊が叶いましたので、レポートしたいと思います。
- 板室温泉大黒屋 保養とアートの宿
那須塩原駅から送迎タクシー(要予約)で板室温泉大黒屋へ
4月上旬の週末、午前中のうちに東京から宇都宮に移動した私は、駅前にあるお気に入りの餃子屋さんに開店と同時に飛び込み、まずは餃子とビールをいただきました。
朝10時の開店と同時に入らないと、週末はずっと行列しているので。。。
餃子とビールで朝食兼昼食を終えた後は、各駅停車で那須塩原駅に向かいます。
那須塩原で電車を降りたら西口を出まして。
左側にあるエレベーターを下ると、右手に白いワゴンと、 白い紙を手に持った男性が立っていますね。あれが大黒屋さんの迎えの車です。
立っている男性に声をかけて名前を告げ、車に乗り込みます。
板室温泉大黒屋の送迎
大黒屋では、事前予約制で那須塩原駅まで送迎をしていますが、事前予約が必要&有料です。
というのも、大黒屋さんの車で送迎しているわけではなく、提携のタクシー会社による乗り合いタクシーの送迎なのです。
迎えの送迎タクシーは
(1)那須塩原駅12時35分発、大黒屋13時着
(2)那須塩原駅16時35分発、大黒屋17時着
の2回で、同じ経路なのですがなぜか料金が異なり(1)は1000円、(2)は2000円です。
なぜ料金が違うんでしょうね……なんとなく、(1)の時間帯よりは(2)の時間帯のほうが乗る人が少なそうではありますけど……頭数が少ないことが多いから?
ああそうか!板室温泉までは那須塩原駅から路線バスも出ているのですけど、それが14時45分那須塩原駅発の便が最終*1だからではないでしょうか、きっと。終電後に出る深夜バスは値段が高い、みたいな理屈でしょうかね。
ちなみに、路線バスの運賃は1150円です。そして、那須塩原駅発のバスがなくなった後も、お隣の黒磯駅からは板室温泉行きのバスが出ており、そちらの終バスは土曜日だと17時10分黒磯駅発、17時45分板室温泉着です。
板室温泉のバス停は大黒屋さんの目の前にありますので、遅くなった際は黒磯駅発のバスを利用するというのもありだと思います。
また、帰りの送迎タクシーは11時15分大黒屋発の1本のみで、こちらも料金は1000円です。
ちなみに、行きの送迎タクシーの予約は、楽天トラベルなどの予約サイトの通信欄に「行きは何時の送迎を利用したい」と書いておけばOKです。実は今回、確認の電話などがなかったので心配になって前日に電話したのですが「予約されていますよ」とのお返事でした。
また、帰りの送迎タクシーについては通信欄には書かなかったのですが、チェックアウトの際に「帰りもタクシーを利用されますか?」「はい、お願いします」でOKでした。
帰りについては、もし「前日までに申し出ないと帰りのタクシーは利用できない」のだとしても、10時50分に板室温泉を出る那須塩原駅行きの路線バスがあるのでまあいいや……と思っていたのですが、案外柔軟な対応なんですね。
さて、板室温泉の郵便局が見えたら送迎タクシーは左折し、大黒屋さんに着きました。
車で通る道すがらも、大黒屋さんの庭にも桜が花盛り。
東京ではもうすっかり葉桜の季節でしたので、うれしかったですね。
整えられた広い庭の中に、整然とたたずむアートの宿。
では、中に入ってみたいと思います。
この日は、偶然にも私と同じ名字のお客さんが他にもいて、しかも一緒に送迎タクシーで到着したようで、フロントで名字を言うと、何度も名前を確認されました・笑
チェックイン手続きを済ませると、お部屋に案内していただきます。
今回予約したのは「松の館」の2階、シングルベッドルームです。
同じ棟の中に同様の1人泊専用の洋室、シングルベッドルームが3部屋あります。
ちなみに「梅の館」「竹の館」の和室にも、やや割高にはなりますが、宿泊することはできます。
階段を上って2階へ。エレベーターはありません。
廊下は、そんなにモダンとかアートとかいう雰囲気ではなく、普通の小ぎれいな温泉旅館という感じ。
今回宿泊したのは角部屋の206号室です。角部屋うれしい!
噂のシングルベッドルームはどんなお部屋なのでしょうか?
【部屋】★★★★☆ 1人ではもったいないほどに広く、整然として美しく快適な部屋
宿のスタッフに案内されて部屋の中へ。
ちなみにこちらの宿のスタッフは、若い方が多いです。
ちなみに館内用のスリッパは革製で、履き心地がとても良い。
お部屋……広い!!
これがシングルルームとは。
10畳ぐらいはあると思います。和室ならかなりの人数が泊まれる広さですが、この広さを1人泊専用の部屋にしたのは思いきった選択だと思います。
しかしなぜなんでしょうか。室内に剣道部の部室の匂いがほんのりとします。ほんとうに、どうして???
夕方ぐらいにはあまり気にならなくなったのですが、鼻が慣れたのか、それとも掃除に使っている用具の問題で、匂いが残っていたのでしょうか。私はそこまで匂いに敏感なほうではないはずなんですが……。
いっそ、お香の香りでもしたほうが部屋の雰囲気には合うと思うのですけどそれはそれで、好き嫌いが分かれる香りですしね。
細長いテーブルの上には、桜が一輪飾られていました。
窓の外にも桜、部屋の中にも一輪の桜。
なんというか、気が利いているなと。
窓が大きいので、庭がよく見えます。
2階なので、着替えのときはブラインドを閉めないと不安になる、窓の大きさでした。
ちなみにブラインドはとても開け閉めがしやすいタイプのものでした。たまに、閉め方開け方がわかりにくいやつもあるので。。。
一輪挿しの桜もきれいだなー。
こちらはベッド。
ベッドには西川のムアツ布団を敷いているそうで、大変寝心地もよかったです。
ベッドサイドにちゃんとコンセントがあるのも良かったですね。ベッドでスマホをいじりながら充電できるので。
クローゼット。
↑この写真の右端に液晶テレビの端っこが写っていますが、この部屋、ちゃんとテレビはあるのですけどなぜかテレビが映っている写真がこれしかなくてですね。
普通に、部屋の隅にテレビは置いてありました。撮るの忘れましたけど。。。そんなに大きなテレビではないですが、普通に見れました。
浴衣とバスタオルとフェイスタオル、羽織に足袋ソックス。
冷蔵庫には冷水とお醤油が。
お茶セットは充実しています。
コーヒーのドリップパックと紅茶のティーパックが2~3個ずつ。
ほうじ茶と緑茶は急須で淹れます。
バスケットの中には食器。コーヒーカップにコップにお茶碗。
銀色の缶の中には黒飴が。
そう言えば、こちらのお宿には茶菓子的なものはありませんでしたね。チェックイン時にラウンジでお茶とお菓子を……とかでもなかったし。この黒飴がお茶菓子の扱いなのかな。
なんか意地汚いようだけど、お茶菓子がどんなお菓子か、新しい宿に泊まるときは楽しみなんですよね。
気を取り直して(?)洗面所とトイレなどチェック。
トイレはウォッシュレト付きで清潔。
で、トイレの個室の中に洗面所があるという造り。
洗面所にはティッシュと歯ブラシ、カミソリ、コップ、タオル。
一点、不思議だなと思ったのが、お部屋の中に箱ティッシュが、洗面所にしかなかったこと。
コーヒーをこぼしたりしてお部屋でティッシュを探したら、あれ?ない。。。
そうか、洗面所にあるやつだけなのね、と。
私、けっこうなんだかんだでお部屋でティッシュ使うんですよね。部屋の中にあったほうがありがたいのだけど。。。まあ、洗面所から箱ごと持ってくればいい話なんですが、せっかくウッディな雰囲気で統一された室内に、このプラスチックの白い箱を持っていくのなんか微妙だなって思ってしまって。
できれば、部屋のインテリアに合うケースに入った箱ティッシュが、室内にあればありがたいなと思いました。洗面所は、タオルがあれば逆にティッシュはいらないと思うのですよね。
あと、同様に謎だったのがこの洗面所の下にあるゴミ箱が「ペットボトル空き缶用」で、室内にあるゴミ箱が「燃えるゴミ用」だったこと。
ティッシュが置いてあるところに燃えるゴミ用のゴミ箱があったほうが、良くないか……?
というわけで、もろもろ、少し導線が悪いなと思ってしまった次第です。
浴衣と一緒に置いてある歯ブラシですが、使ってみたらケース付きで、これは気が利いてるなと思いました。
1人泊ならコップに挿しておいても良いですけど、何人かで泊まるとき際に人数分のコップがないとき、夜歯磨きした後歯ブラシをどうするのかって微妙なんですよね。ケース付きならそのまま洗面所に置いておけます。素敵。
戸棚の中に、宿の案内冊子がありました。綴じ方から何からとてもおしゃれ。
そう、大黒屋さんはチェックインは13時から可能なのです。チェックアウトは10時30分までに。
寝具は、こだわりの西川のムアツ布団。
「もちつき」や「アートを語る会」など、季節のイベントもさまざま企画されているようです。
この日の夜は「夜桜の会」がある旨を、客室に案内していただいた際に教えていただきました。(残念ながら強風で中止になりましたが。。。)
図書室やサロン、器の展示室など気になる館内施設が。
後で行ってみよう。
旅館全体の構造が、イラストで紹介されていました。今回泊まるのは「松の館」です。
「ひのきの湯」に一番近いのはうれしいですね。
他に「梅の館」と「竹の館」があります。
宿泊した「松の館」を外のお庭から見るとこんな感じでした。私は、2階の右端の部屋に宿泊しました。
実は、窓がかなり大きいので庭を歩く人から見えるのではないかと心配していたのですけど、こうしてみると窓辺ギリギリにでも立たない限り、2階の室内は見えないようですね。
1階はカーテンかブラインドを閉めないと見えちゃうようですが。
部屋ではWi-Fiは利用できないが、共用部分ではWi-Fi利用可能
まずは図書室へ。フロントのすぐ近くにあります。
書き物机が4卓と、壁際には書棚が。
この図書室では、FreeWi-Fiを私用することができます。
ただ、残念なことに自室ではWi-Fiを利用することはできません。
じゃらんの旅館案内のページには「室内でWi-Fiを利用したい場合はポケットWi-Fiの貸し出しがある」との記載があるのですが、館内にはどこにも、ポケットWi-Fiレンタルについての案内はありませんでした。
他サイトの口コミで「ポケットWi-Fiを借りたけど速度が遅くて使い物にならなかった」というものも散見したので、あまり積極的に貸し出しているわけではないのかもしれません。
書棚に並んでいる本のラインナップはこんな感じ。
アートの宿を名乗るだけあって、アート系の本も少し。
雑誌は家庭画報。
ちょっと、私の趣味とは合わないラインナップでした。年配客が多いことに少し納得したり。
こちらがサロン。喫茶室としての利用も可能です。
サロンの隅にはガラスの食器が展示されていたのですが、この日の午後は、この食器を作ったガラス工芸家の方がサロンに来られていて、ワークショップのようなことをやられていたらしいです。
私は、あんまり興味がないので行きませんでしたが。
もしかしてここ、野点もできるんでしょうかね。そんな雰囲気。
館内からサンダルで出られるお庭もありました。
「野鳥の森」と呼んでいるようです。
どれどれ、とちょっと出てみます。
なんだか、この砂利を整えるの、大変そう。。。
小鳥が来るのかはよくわからないけれど、子供が喜びそうなお庭ですね。(適当ですまん)
さて、館内を概ね堪能したところで、お風呂に向かいたいと思います!
【風呂】★★★★★ 趣の異なる2つの浴室に深夜も入浴可能
板室温泉大黒屋の浴室は4つ、と冊子では紹介されているのですが……。
実際には内湯の「たいようの湯」の外に「露天の湯」があり、「ひのきの湯」と一緒に「アタラクシア」があるので、2つの浴室と言っても差し支えないと思います。4箇所別々にあったら着替えが大変ですので、2つで良かったです。。。
ぬるめでかけ流し。アルカリ性単純泉のやさしいお湯ですね。
では、まずは露天風呂付きの「たいようの湯」に行ってみたいと思います!
陽の光であふれる大浴場「たいようの湯」へ
宿泊した松の館からたいようの湯に行くには、サロンの横の通路をまっすぐ行きまして……。
左手に「太陽風呂」の看板が見えました。
左手にあるのが女湯で、突き当たりが男湯、男女の浴室の交代はありません。
たいようの湯の脱衣所。
脱衣かごと洗面台のシンプルな造り。鍵付きのロッカーなどはなし。
おお!アメニティが 無印良品のやつだ!これまあまあいいお値段ですよね。
ドライヤーや綿棒などの入れ物もシルバーと白で統一されています。
無印の化粧水・乳液・クレンジングも、見た目がシンプルだから選んだんだろうなあ。
では浴室へ!右の扉が内湯で、左の扉が露天に通じるドアです。まずは内湯から!
陽の光がたくさん入る、明るい浴室です。
「たいようの湯」というネーミングも「太陽光がたくさん入る」ところから来ているんだそう。
シャンプー&コンディショナー、ボディシャンプー、固形せっけんあり。
シャワーの水圧も十分で、問題ありません。
体を洗い、芦野石で出来ているという浴槽にゆっくりと身を沈めます。
お湯は41度ぐらい、やや熱めの適温。
実は、こちらのたいようの湯と、外の露天風呂は加温されています。
外には露天風呂の屋根と、桜が見えます。露天風呂に入りながら桜が眺められるんですね……素敵。
ただ、露天風呂はあまり広くなさそうなので、先客があがってから向かうことにしようかなと。露天の混み具合が内湯から見えるのは便利ですね。
芦野石ってなんなんだろう?と思ったら、那須町芦野地区で採石される石なんだとか。
加工しやすい石だそうで、湯口の石にも細工がしてありました。
お湯は絶え間なく湯口から流れてきます。
天井が高いので湯気が籠もることもなく、快適な浴室です。
しばらく内湯で湯浴みを楽しんでいると、露天風呂が空いたようなので露天に向かうことにします。
「露天の湯」では桜と渓流を眺めながら湯を楽しむ
露天風呂に続く通路を抜けると……
見えました!露天風呂です。
屋根がついているので、雨や雪の日でも一応入れそうですね。寒そうだけど。。。
この日は天気も良いので快適です。
お湯は内湯よりもぬるめ。38度ぐらいでしょうか。一度入ると出にくい温度ですね。。。
お湯に浸かりながら、川の流れも眺められます。
川沿いの桜も。。。
桜の季節を狙ってきたわけではないのですが、かなりベストシーズンに来たのではないでしょうか。
いい眺め。。。そしていいお湯です。
宿の方のお話では、通常だとこのあたりの桜はあと2週間ばかり後に咲くことが多く、桜目当てのお客さんはその頃に予約を入れているそうで。。。今年は暖かいから2週間も早く咲いてしまったんだとか。
東京の桜はとっくに終わっていたし、このへんももう終わりかけかなあなんて思っていたので、意外でした。
あまり特徴のないお湯ではありますが、石には温泉の成分が白くこびりついています。
しかし、露天風呂は湯口がどこにあるかわからなかったな。。。お湯の温度は常に同じぐらいでキープされていましたので、おそらく湯口は浴槽の中にあると思われます。
露天の浴槽はそれほど広くないので、他のお客さんが入ってきたところで入れ替わりであがりました。
脱衣所には温泉分析書が貼ってありました。
ph9.6もあるんですね!アルカリ性らしいヌルヌル感はあまり感じられなかったけれども。
脱衣所には、宿周辺のおさんぽおすすめコースが貼ってありました。
夜桜鑑賞会の案内も。この日は、中止になってしまいましたが……。
周辺の神社やお地蔵様の紹介も脱衣所にありました。
部屋にあったほうがゆっくり見れるような気もしますが……あの部屋の中にこのカラフルな印刷物があるのはそぐわないような気がするので、まあいいか。
では、一休みしてからもう一箇所の浴室にも行ってみたいと思います!
加水も加温もないかけ流し風呂「ひのきの湯」へ
ひのきの湯に向かう際は、まずはフロントによって「アタラクシア」用の浴衣を受け取ってから行くと良いと思います。
脱衣所が一緒なので、ひのきの湯で体を洗ったり温まってから、そのままアタラクシアに行くのが良いかなと。
早朝など、フロントにスタッフが常時いない時間帯には、浴衣があらかじめフロントに出してありました。
ではひのきの湯へ。
ひのきの湯は、松の館の1階にあります。
こちら。右側の赤いのれんが女湯です。浴室の男女入れ替えはありません。
脱衣所。
おお……こちらの脱衣所はログハウス風の壁で、雰囲気ありますね。
というか、脱衣所から既に「ひのき」風ということ?
たいようの湯と比べると洗面所のスペースは狭めですが、アメニティ類はまったく同じものが揃っています。
ちなみにアメニティについてですが「櫛・ブラシ」が、お部屋にもお風呂にもありません。
私はいつも持っているので困らないのですが、櫛がないと困る方は持参したほうがいいでしょう。
左の扉が「ひのきの湯」で、右の扉が「アタラクシア」です。
温泉分析書は、たいようの湯に貼ってあったものと同じでした。
ただ実は、源泉は同じだけど使用状況はたいようの湯とひのきの湯では異なっていて。
ひのきの湯は内湯のみで浴室も狭いのですが、お湯は加水も加温もしていない、源泉かけ流しなんだそうです。
では、入ってみたいと思います!
おお……浴槽が檜造りというだけでなく、湯屋全体がもしやひのき?
壁の向こうはどうやら男湯ですね。でも、こちらの浴室も天井が高くていいですな。
実は、部屋を案内していただく際に「ひのきの湯は洗い場が多くないので体や頭を洗うときはたいようの湯を使ったほうがいい」というお話があったのですが。
たしかに、ひのきの湯の洗い場は2つだけのようです。スペースもやや狭め。
その話を聞いていたので私も、先にたいようの湯に行ったんですよね。なのでこちらではささっと流すだけで浴槽へ!
浴槽が2つあるのは湯音が2度ほど異なるからだそうです。
手前の浴槽のほうが温いんだそう。なのでまずは手前へ。
ああー!これはいいお湯です!申し訳ないけどたいようの湯とぜんぜん違う。。。
高アルカリ泉らしいぬるつきも十分にあり。。。ひのきの浴槽がぬるぬるします。
お湯の温度は、ぬるめのほうで40度ぐらいです。そこまでぬるくはないな。
きれいに整えられたお庭を眺めながら「他に誰も来ないでくれー」と祈りつつ、湯浴みを楽しみます。
というのはやはり、浴槽がちょっと狭いんですよね。
たぶん、他に誰か入ってきて同じ浴槽に入ったら、かなり窮屈なことになってしまいます。
しかし、おそらく源泉の量を考えると、お湯本来の良さを楽しむならこの浴槽の大きさがベストということなんでしょうね。
まあでも、世の中にはそこまで「お湯の良さ」や「湯づかい」にはこだわりなく「広くて眺めがいい露天風呂があればそれでいい」という人もかなり多いと思いますから、「加温ありの広い内湯&露天風呂」と「源泉そのままの小浴室」を両方作ったって、すごく「わかっていらっしゃる」という感じがしました。
この「湯温の異なる浴槽が2つ」という造りも、すごく良いです。
熱いほうの浴槽に直接源泉が注がれていて、少し冷めてからもう1つの浴槽に流れ込む方式ですね。
他の方がやってきて体を洗い始めたので「ではそろそろあがりますか」というタイミングで熱いほうの浴槽にも浸かってみましたが、なんというか仕上げにぴったり!の熱くて新鮮で良い湯!!かなり気に入りました。
というわけで、誰もいない状態でひのきの湯をゆっくりと楽しみたく、深夜にもう一度来ましたよ。
なんと、夜は浴槽の上には灯りがつかず「庭のライトアップ」が浴室内を照らしているという間接照明。。。おしゃれ。。。
ちなみに、洗い場の上にはライトが点きました。よく考えられてるねえ。。。
ほのぐらい中で、極上のお湯を楽しめて、最高でした!
しかし、深夜に同じことを考えて入りに来た人がいたらかなりしょんぼりしたと思うんですけど、誰も来なくてよかったです。
低温の岩盤浴?「アタラクシア」でひとやすみ
では次に、ひのきの湯に併設している「アタラクシア」へ。
アタラクシアって何のことなんだろう?と思ったんですが、どうやら哲学用語のようで「心が乱されない状態」のことを言うようです。
フロントで借りた白い浴衣を着て入ります。こちらは、何度でも新しい物を借りれます。
ちなみに、利用するときは素っ裸ではなく「下着を着けた上から浴衣を着てください」とのことでした。何でも、気持ちよくなって寝てしまい、見えてしまう人がいるから、とのことなんですが。
でも、正直「見えてもよくない?」と思ってしまった私です。男女別々の部屋なわけですし。。。でなかったら、有料でもいいのでエステとかで用意している紙パンツとかあればいいなって思いました。
だって、風呂上がりに新しい下着をつけた状態で汗をかくの嫌だし、だからと言ってお風呂に入った後にさっきまでつけていた下着をまたつけるのも嫌というかね。つまり快適に過ごすには「予定していた枚数+アタラクシアに入る回数」ぶんの下着が必要になっちゃうわけです。まあ、知っていたら持ってきますけど、それもなんか面倒というか。。。紙パンツを売ってくれたらそれで解決するので、どうにかお願いしたいです。
アタラクシアで、寝転びたいときは脱衣カゴの上にある、この枕を使うといいのでしょう、たぶん。
私は枕の存在に気づかず、タオルを丸めて枕にしていました。。。
入る際の注意書き。
深夜は入浴できません。
本の持ち込み不可はわかったけれど、理由が「印刷インクが体に影響するため」とは……?
なんか、あまりスピリチュアルが入ってくるとちょっと引いてしまうのですが、いったん忘れて。
では、アタラクシアに入ってみたいと思います!
黄土なんですね。岩盤浴でも黄土を使っているところたまにありますよね。
床に横になって休むのが推奨らしいです。
室内は清潔で、サウナのようにカラカラではないけれど、蒸気を入れて湿度を高くしているわけでもない。
温度計と湿度計がありました。
湿度20%強ってけっこうカラカラですね!
温度は41.7度。
岩盤浴は43度~46度ぐらいで設定されていることが多いから、それに比べると少し低いかな、という感じ。
無理なく寝れる、と言えばたしかにそうかも。
30分ほど横になっていましたが、私はそこまで汗はかきませんでした。
湿度が低いというのも関係ありそうな気が。岩盤浴で汗びっしょりになるのって、湿度が高めだからというのもあるように思うんですよね。
でも、そこまで汗をかかなかったからか、岩盤浴を出た後のぐったり感のようなものもなく、すっきり、さっぱりしたような気がします。
アタラクシアについて感想をまとめると「悪くはないけど、やみつきになるほどでもない。紙パンツほしい」というところでしょうか。
浴室は、日中に1日おきに清掃しており「どちらの浴室も使えない!」状態にならないようにしているようです。
日曜日は清掃無しなのは、土曜日の宿泊客が多いことを想定してでしょうね。よく考えられてますね。
深夜の入浴の後は、夜桜を眺めつつ雪っこを飲んだ
深夜にひのきの湯を堪能した後は、那須塩原駅で購入して、冷蔵庫で冷やしていた「雪っこ」をいただきます!
甘酒のように真っ白。
いただきます!
甘く濃厚でとろみがありおいしい!!
サイダーで割るとおいしいと聞いたので、次回やってみたいです。。。
強風のため夜桜を見るイベントは中止されましたが(たいまつを灯すイベントなんだそうです。それは止めたほうがいいね。。。)庭の桜はライトアップされていてきれいでした。
夜桜を眺めながら雪っこを飲んで、満足!
深夜に喉がかわいたら……自動販売機へ
ちなみに、今回は飲み物をあらかじめ購入していましたが「深夜にのどが乾いた!何か飲みたい!」というときは、たいようの湯の手前に自動販売機コーナーがありました。
コカコーラのソフトドリンクと。
アサヒのビールとチューハイです。
大黒屋さんは深夜も廊下や階段に非常灯を点けてくれていたので、お風呂に行くのに真っ暗でこわい……ということもなくてよかったです。
【食事】★★★★☆ 吟味されたお料理を朝夕部屋食でいただける
大黒屋さんでは、夕食も朝食もお部屋でいただきます。
チェックイン時に指定した時間に、係の方が食事を運んできてくれるのですが、夕食時のドリンクを食事開始と同時に持ってきてもらうためには「夕食をお願いした時間の30分前までに電話で飲み物をオーダーしてください」と、お部屋に案内していただいた際に説明がありました。
ドリンクメニューはあらかじめ部屋に置いてあり、もちろん、食事時以外でもオーダー可能です。というわけでまずはドリンクメニューの紹介から。
大黒屋のドリンクメニュー
ご注文はフロント7番まで。お食事どきの注文は30分前までにお願いします。とここにも書いてあります。
まずは日本酒と焼酎のメニュー。
日本酒は栃木県と福島県のお酒で、いずれも純米酒。こだわりが感じられます。また、1種類を除いては1合から注文できるのは1人旅にはうれしいですね。
焼酎は芋と麦で、芋は鹿児島県産のものが多いですが、栃木県産のものも一種類ありました。
次にワインのメニュー。
グラスでいただけるのは赤・白1種類ずつで共に国内産のワイン。
その他、赤・白・泡共にハーフボトルとフルボトルが数種ずつラインナップされ、赤と白に関しては、フランス産、イタリア産、国産のものがそれぞれ揃っていました。
ビールは生ビールはなく瓶ビールでの提供ですが、那須の地ビールである「那須高原ビール」がヴァイツェンとピルスナーと2種類あるのは素敵。
ハイボールはサントリーの知多。
ウィスキーはその他にも数種揃っています。
梅酒は栃木の鳳凰美田です。
ソフトドリンクも、こだわりが感じられるラインナップ。
すだちサイダーはお風呂上がりに良さそうですね。
大黒屋の別注料理メニュー
ドリンクメニューと一緒に、別注の料理のメニューもお部屋に置いてありました。
こちらは、夕食時のみの提供で、オーダーストップは19時30分とのこと。
しかし……「佳肴盛」は字面で「たぶんおつまみか前菜の盛り合わせかな」と思いますが、鶯宿梅ってなんだろ。梅干しでしょうか?焼酎にでも入れるの?
という感じで、ややわかりにくく、積極的に頼みたいとは思えない別注メニューでした・笑
別注料理のメニューはおしゃれじゃなくても、写真があったほうが頼みたい気持ちにはなりますよね。まあ、ホテルのルームサービスとかは特に写真なかったりしますから、それに倣っているのでしょうかね。
大黒屋付属のカフェ「水琴亭」のメニュー
大黒屋の1階のサロンはカフェとして軽食やドリンクメニューを提供しており、営業時間内であれば電話で注文してお部屋に持ってきてもらうことができます。
営業時間は9時から16時まで。連泊の際の昼食も注文できますし、13時に早めにチェックインして、おやつをいただくのも良さそうですね。
ワインとガーリックトーストのセットなんてものもあります。
私も「寒天ぜんざいとか頼んでみようかな」とも思ったのですが、夕食の差し支えになりそうなので今回はやめておきました。
夕食の前に地ビールを一杯
軽食は我慢したけれど、風呂上がりのビールは飲みたい!
ということで、夕暮れが近づいてきた18時ごろに、ビールをお部屋に持ってきてもらうことにしました。
フロントに電話して「夕食時の飲み物とは別に、すぐにお部屋に持ってきてほしい」旨を伝えます。
すぐに持ってきてくれました!
伊豆高原ビールのヴァイツェン。ボトルのラベルのデザインが外国のビールっぽい。おしゃれですね。
お風呂上がりに暖かい部屋で、満開の桜を眺めながら地ビールをいただく。
最高のひとときでした。
お部屋でいただく夕食
ビールをだいたい飲み終わったあたりで、夕食の時間です!
実は、夕食のメニューもチェックイン時からお部屋に置いてありました。
料理の内容を見て、別注料理を頼むか、おやつを食べるか、お酒は何を注文するかを決められるのでありがたいですね。
料理は、焼物以外は一気に提供されます。
料理メニューを見て「これは最初から日本酒でしょ!」と思い、料理メニューの隅っこに書いてあった「とちぎの地酒 利き酒セット」を注文しました。
60ml×3で、全部で一合。ちょうどいい量ですね。
では、いただきます♪
前菜盛り合わせ。左上から時計回りに「春野菜 木の芽味噌和え」「ゆきやなぎ」「赤貝辛子酢味噌がけ」「海老おかき」「穴子寿司」
春らしさもあり、どれもお酒がすすむ味です。
小鉢の蓬豆腐。
ほんのりとよもぎの香りがするお豆腐は、チーズが入っているかのように濃厚でした。
筍の土佐煮は、なんと蛍烏賊入り!素敵!春だわ。。。
お刺身は高知県の本鮪と、勝浦の鰹の藁焼きです。
藁焼きの皮の焦げ目が美しい。。。
山の中のお宿ではありますが、お刺身も十分においしいです。
強肴として、那須高原和牛肉の陶板焼き。
陶板焼きってときどき、肉だけ一気に焼けてしまって、野菜になかなか火が通らなかったりしますが、大黒屋さんの陶板焼きは、お肉に厚みがあるからか、陶板が良い陶板(?)なのか、ちょうど良い火加減でお肉も野菜も焼くことができました。
いい感じに火が入って、おいしかったです。
食事の後半に持ってきていただいた、焼物の「鮭の千草焼」
千草焼とは、卵に細かな具材を混ぜて焼いた物だそうですが、これが大変良い味付けで、おいしかったです!
付け合わせの空豆や山菜も、見た目にも楽しく、おいしかったし。
焼物と一緒に、ご飯のおひつも持ってきていただいたので、好きなタイミングでよそっていただきます。
ちなみに、ポットの中に入っているのはお茶や冷水ではなく、なんとお吸い物の出汁です。
お吸い物のお椀自体は食事が始まったときから置かれていたのですが、お椀の中には具材だけが入っており、出汁はかかっていなかったのです。
具は海老真丈でした。
自分の好きなタイミングで、ポットの出汁をかけていただくというわけです。
お酒もなくなってきたので、ご飯を少しよそって、漬けものと、お吸い物と一緒にいただきました。
大変おいしいお吸い物だったのですが、欲を言えば、食事の前半にお吸い物が来て、ご飯と一緒にお味噌汁が出てきたらもっとうれしかったかも!
お吸い物は〆の汁物としてではなく、お酒と一緒に食事の前半で楽しみたい……。
食事が終わったらフロントまで電話をください、と言われ、電話をするとデザートを持ってきてくれて、同時に食事の御膳を下げてくださいました。
デザートはかぼちゃのプリン。
なめらかでおいしいプリン。お部屋に置いてあったドリップパックでコーヒーを淹れて、一緒にいただきました。
ごちそうさまでした!
さわやかな朝の光の中で朝食を
朝食は8時でお願いしました。時間ほぼちょうどに係の方が現れて、テーブルに朝食のセッティングをしてくださいます。
土鍋の中にはお味噌汁が入っていて、ザルの上の野菜などを入れて具だくさんのお味噌汁としていただくという仕組み。
特別に、めちゃめちゃうまい!というわけではないけれど、なんとなく楽しいし、無理なく野菜がたくさん食べられるのは良いですね。
きのこと小松菜かな、青菜がおいしかったです。
大きめの木のお皿に、オードブルのようにさまざまなおかずが盛り付けられていました。
一夜干しは柔らかく、頭から食べられます。
左下にある白い四角いやつは何かと思ったら、チーズでした。
旅館の朝食にありがちな濃い味付けのものはなく、どれも優しい味わいで、目覚めたばかりの胃にも無理なく、するすると入っていきます。
野菜ジュースはハーブが入っているのか?ちょっと独特の味だけどこれもおいしい。
お豆腐も優しい味付け。
デザートにフルーツとヨーグルト。
フルーツは、きれいに丸くカットしてあって、苺はわかるけど黄色いのはなんだろう?と思ったら、メロンでした。あと、りんごも丸くカットしてあった。
お茶などは特に出て来ないので、食後はやはり、自分でコーヒーを淹れます。
まあ、これはこれで気楽で良いです。
朝食も多すぎず少なすぎず、十分においしくいただきました。
10時30分でチェックアウトし、送迎タクシーを待つあいだ散歩
大黒屋の最終チェックアウト時刻は10時30分ですので、5分前ぐらいに荷物を持ってフロントへ。
お会計をするときに「帰りの送迎タクシーはご利用になられますか?」と聞かれたので、お願いすることに。
送迎タクシーは11時過ぎに玄関に着くとのことで、それまで30分ほど時間があります。
サロンで庭を眺めながらのんびりするのもいいけれど……。
せっかくなのでちょっとそのへんを歩いてくることにしました。大きい荷物はフロントで預かっていただき。。。
履いてきた靴は、チェックアウト時にはお部屋毎にきれいに玄関に並べてありました。
サロンから見えるお庭はこちらですね。
このちょっと先に行くと桜が咲いている川原があります。
4月中旬にさしかかろうとしている時期に、こんな見事な桜が見れるとは。。。
川原には直接下りることもできるので、ちょっと下りてみたのですが。
あれ、案外上のほうから見ているほうがきれいかも・笑
まだ少し時間がありそうだったので、板室温泉の温泉街のほうにも出てみました。
温泉街と言っても、いくつかの宿が道沿いに並んでいるだけで、いわゆる温泉街らしい景色ではないのですが。
でも、こちらも桜はとってもきれい!
しかも誰もいません。
まだ咲き始めて間もない感じの桜の枝。
なんだかとても得した気分になりました。
11時少し前に宿に戻り、送迎タクシーで那須塩原駅に向かいました。
【再訪したい度】★★★★☆ 正直な話、部屋にWi-Fiさえあればまた必ず行きたい
お部屋やお風呂、料理、それぞれの項目で詳細は書きましたが、ところどころ「あれ?」と思うポイントもなくはないのです。でも基本的には静かで、お湯も良く、料理もおいしくとても良い宿だと思います。
私は、現代アートにはまったく興味がないのですが、1人泊専用の部屋が複数あり、しかもあれほど広く快適なのはすばらしいなと。
部屋は広いし椅子とテーブルも座り心地が良いし、文豪のように籠もって、できれば2泊以上逗留して原稿書いたりとかしたい雰囲気なのですが、惜しむらくは部屋にWi-Fiがないこと。
もし、Wi-Fiがあったら「ちょっと値段高めかも」とか「部屋に茶菓子がない」とかうるさいことは言わずに、素直にまた泊まりに来たいと思うのですが。。。
そう、大黒屋さんは1泊2食付きで約2万円前後の宿。それは1人で泊まっても2人以上で泊まっても同じです。ややお高いのですよね。でもそれゆえに、直前でも週末の予約が取れることも多くて。週末が近づいてきたタイミングで、急に旅に出たくなったときの選択肢として、けっこういい宿だと思うんですけどね……だからWi-Fiだけぜひ!
ただ「Wi-Fiを使いたい」のはもしかしたら、部屋でブログを書きたい、仕事をしたいという人のみの限られたニーズなのかもしれません。旅に出るときはスマホもPCも見ないでのんびりしたい、という大人の一人旅には、今のままでも良いのかもしれませんね。
*1:ただし土曜日の場合