鳴子温泉 義経ゆかりの湯 姥乃湯
姥乃湯は、開湯400年以上という古い歴史を持ち、かつ、4つのまったく異なる源泉を有する宿です。
歴史の古い宿はこれまでにも何軒か訪れたことがありますが、特徴の違う源泉が4つある宿は、かなり珍しいのではないでしょうか。
2016年12月に日帰り入浴でおとずれ、3つの浴室を貸切状態で楽しんできましたので、レポートしたいと思います。
2018年9月に再訪し、前回入れなかった露天風呂にも入浴できましたので、追記しました!(2018年10月16日追記)
姥乃湯の4つの源泉は、日帰りでもすべて楽しめるのか?
鳴子温泉を旅した初日、駅前の喫茶店、まるゆさんで「温玉カレー」のランチをいただきながら私は、次に日帰り入浴する宿をどこにするか考えていました。
外観はちょっと寂れたように見える喫茶店ですが、中はきれいに改装されていてメニューも多く、味もよかったです。
カレーを食べながら決めました。今日最後に日帰り入浴するのは「姥乃湯」さんにしようと。
4つの異なる泉質の源泉を持つ姥乃湯さんには一度行ってみたかったし、湯めぐりチケットのシールがちょうど2枚残っていましたので、姥乃湯さんで使いきることができるなと思ったのです。
昼食を終えたときは14時前だったんですが、姥乃湯さんでは、男女交代制になっている露天風呂が15時から女湯に変わるのです。なのであえて15時ぐらいに行こうかなと目論み、もう一軒気になっていた喫茶店、コーヒーハウス純に立ち寄りました。
レトロな雰囲気の店内で、サイフォンで淹れたてのおいしいコーヒーをいただいて1時間ほどまったりしまいた。
さて15時です!姥乃湯さんに向かいますよ♪
姥乃湯のアクセス&日帰り入浴の営業時間&料金
姥乃湯さんは、鳴子温泉駅から徒歩6分、温泉街とは逆の方向に歩いたところにあります。
敷地はけっこう広く「旅館部」と「自炊部」に分かれています。
日帰り入浴の営業時間は朝9時から16時まで。入浴料金は大人550円、子供350円。湯めぐりチケットを利用した場合、必要なシールの枚数は大人2枚、子供1枚です。
旅館 姥乃湯は1人でも泊まりやすい?
姥乃湯さんは「旅館部」と「自炊部」の営業をしており、建物や料金がそれぞれ異なります。
口コミサイトやブログなどの情報だと、自炊部の建物はかなり古く、湯治初心者にはかなり難易度が高そうでした。たとえば「一部の部屋を覗いて部屋に鍵がかからず障子のみ」「コンセントも旧型なので変換プラグを借りる必要がある(有料)」「テレビも有料」などの情報があり……数年前の口コミもあるので今は変わっているかもしれませんけれど。
おそらく、こちらの赤い屋根の建物が自炊部ではないかと思います。
姥乃湯さんの公式サイトの「料金・予約」のページを見ると、2名宿泊・3名宿泊の際の「1泊2食付き」「1泊朝食付き」の料金の説明はありましたが、1人泊や素泊まりの価格は書いてありませんでした。そして、公式サイトからは現在はネット予約ができないようです。(リンクはあるけれど、そこからは予約できないもよう)
楽天トラベルからは予約が可能でした。自炊部はいつでも1人泊可能で、休前日の料金アップもなし。1泊の料金が素泊まり3200円、アメニティ付き4200円、2食付きで6800円です。2名泊、3名泊ですと、1名あたりの宿泊料金が200~300円ずつ安くなるようですが、料金的にはかなり1人泊しやすい宿と言えるんじゃないかと思います。
ちなみに、じゃらんでも予約はできるのですが、なぜかじゃらん経由だと自炊部で1泊の予約はできないのです。(1人泊でも2名以上でも)2泊以上のプランしか出ていなくて……。
なので、自炊部を予約する場合は楽天トラベルで予約したほうが便利だと思います。
そして、本当に不思議なのですが、楽天トラベルには旅館部のプランが出ていないのです!なぜ??
なので旅館部に泊まりたいときは、じゃらんを利用したほうが良いです。(2017年3月10日現在)
ちなみに、旅館部に宿泊する際も4畳半の和室のみ、1人泊可能です。シーズンにもよるようですが、土曜日でも宿泊できることが多いよう。平日2食付きで9180円からのようなので、旅館部についても、まあまあ1人泊しやすい宿だと思います。
敷地内にあった建造物。硫化水素ガスを逃がすためのもののようです。
本当に敷地内に源泉があるんだなあと、期待が高まります!
日帰り入浴の受け付けをすると「今入れる浴室は3つ」と言われる
旅館部の玄関から中に入り、日帰り入浴の受け付けをします。
玄関前には「4つの源泉」について簡単に説明した、ホワイトボードの看板がありました。
果たして、4つのお風呂に入れるでしょうか?ドキドキ。
旅館部入り口のガラス戸から中を覗いたところ。
入って左手の帳場で日帰り入浴の受け付けをすると、あっさりと「今入れるお風呂は3つです」と言われてしまいましたw
内湯の3つには入れるそうですが、露天風呂は入れないとのことで。。。
ちなみに、露天風呂の時間交代は
【混浴】9:00~15:00
【女性】15:00~21:00
【男性】21:00~翌9:00
となっています。
混浴の時間って基本的に男湯のようなものだから、深夜帯も男湯というのは少々厳しいんですよね。。。今日泊まる宿を決めるとき、姥乃湯さんも最初は候補にしていたんですけど、それを知って泊まるのはやめたんでした。まあ、深夜を男湯にするのは、防犯上の理由もあるのかもしれませんけどね。
露天風呂には入れないとは言え、550円で3つの泉質のお風呂に入れるのはなかなかすごいことです。気を取り直して内湯巡りを楽しみたいと思います!
旅館の中で湯めぐりできる! 姥乃湯の浴室は1フロアに集まっていた
玄関で靴を脱いでスリッパに履き替え、廊下を奥にまっすぐ進みます。
途中に貼ってあったさまざまな掲示物。
ドライヤーは脱衣所にはなく、フロントで借りることになるようです。「日帰り入浴時は150円でドライヤーが借りれる」ようですが、宿泊のときは無料で借りれるんですよね……?きっと。
奥まで歩いてきて、玄関方向を振り返って撮った1枚。
2階はおそらく、客室でしょうかね。
4種類の泉質についての案内は、館内にもありました。
廊下の突き当たりにちょっと広くなっているところがあって、昔なつかしのぶら下がり健康器?のようなものが置いてありました。
右手に見えるドアと、左手に見えるのれんが「単純泉」の男湯と女湯。
そして、さらに廊下を奥に歩いて行くと、「硫黄泉」のこけしの湯です。
今回は、まず「こけしの湯」に入ってみることにしました。
まずは硫黄泉の内湯「こけしの湯」へ
薄暗い廊下をさらに奥まで進み……
「こけしの湯」ののれんをくぐると、男女別の浴室のドアが現れます。
女湯の脱衣所はこんな感じ。
脱衣カゴとイス。
やはりドライヤーは置いてないけれど、洗面台はあり。
湯治宿なので当然かもしれませんが、アメニティの類いはなし。
ではいざ!こけしの湯へ。
おお……すばらしい。。。
硫黄泉なので当然硫黄の香りがしますが、鼻につく嫌な香りではなく、いい香りです。
新鮮なお湯だから?
洗い場にはカランのみ。石けんなどは何もなし。
まあ、さっき2時間ほど前にも温泉に入ったばかりだし!とかけ湯して入ります。
白濁の硫黄泉ですが、光の加減によってか、ほんのり青っぽく見えるような気がします。
いい湯だわー。
浴槽は、おそらくもともと普通の黒っぽい木なんだと思うのですが、温泉成分で真っ白に染まっています。
東多賀の湯も白濁の硫黄泉だけど、あそこともまた少し、雰囲気の異なる源泉です。
東多賀の湯は、長湯すると湯あたりしそうなものすごい力強さだったけど、姥乃湯の硫黄泉は比較的マイルドで、泉温も熱すぎず41度ぐらいでしょうか?長湯できそう。
湯口はこんな感じ。
新鮮な源泉が常に流れ続けていました。
そう言えば、お湯の温度がかなりちょうど良かったんですけど、加水はしているんでしょうかね?それとも源泉投入量で調節しているのか。
こけしの湯では温泉分析表が見つからず、後から宿のホームページを見たら「100%源泉かけ流し」と書かれていたので、おそらく加水はしていないようです。
泉質は「含硫黄-ナトリウム-炭酸水素塩-塩化物泉」で、phは7.1。あまり多くない中性の硫黄泉ですね。
本当にいいお湯で、私自身が硫黄泉大好きということもあり、かなり気に入りましたよ。
次は義経伝説の源泉 単純泉の「亀若の湯」につかる
こけしの湯を出ると簡単に服を着て、次はこけしの湯の手前にあった、単純泉の「亀若の湯」へ向かいます。
浴室ごとに脱衣所があるので、何度も着たり脱いだりは少々面倒ですが、仕方ないですね。
のれんがかかっているほうが、女湯の「亀若の湯」です。
「単純泉」の貼り紙がありますね。
脱衣所の作りはこけしの湯とほぼ一緒です。
こちらの脱衣所は、カゴがプラスチックカゴでしたが。。。
ちなみに亀若の湯には温泉分析表がありました!
あれ……公式サイトには「亀若の湯は単純泉」とあるのですが、こちらでは「芒硝泉」となっています。どっちなんだ。。。
加水・加温・循環ろ過・消毒すべてなしです。
ちなみに「義経伝説」というのは、義経が平泉へ逃げる途中で、同行していた正妻が産気づいて、産湯に使われたお湯だ、というような伝説のよう。
ではいざ、亀若の湯へ!
おお……いいですねえ。。。
タイル張りの浴室。。。
ていうかこのお湯、単純泉ですかね?かなり茶色っぽいんですけどw
湯口に近寄ってみました。
やはり、ほんのりと赤茶けたお湯に見えますね。湯口には温泉成分が結晶化したものが、びっしりとこびりついています。
石けんなどは何もありませんが、カランはあり。
でも、お湯は出なそうなんですよね。。。
浴槽に浸かります。こちらの源泉は姥乃湯の源泉の中でもっともぬるいんだとか。
でも、そこまではぬるく感じませんでしたね。40度前後ではないでしょうか。
お湯の中につかっている足を写してみました。濁りのあるお湯なことが伝わりますでしょうか。
腰掛ける段差もあるので、肩までつかったり半身浴したりを繰り返して、長湯できますね~。
結局単純泉なのか芒硝泉なのかよくわからなかったのですが、亀若の湯もすばらしいお湯でした。
最後に炭酸水素塩泉の「義経の湯」に入る
義経風呂は、亀若の湯から廊下をほんのちょっと歩いた先にあります。
右手に「旅館にお泊まりの方以外の方のご入浴はご遠慮ください」とありますが、現在はこちらのお湯も、日帰りで利用できるそうです。(それで替わりに露天風呂に入れなくなったのでしょうか……)
のれんの向こうには、洗面所と喫煙スペース。
しかし、お風呂あがって脱衣所を出たら煙草の煙でいっぱいだったりしたら、ちょっと嫌だなって思う人多そうですねw
このあたりは、煙草に対してもっとおおらかだった時代の名残でしょうか。
左のドアが男湯、右のドアが女湯です。
脱衣所は、先の2つとほぼ同じ。
ではいざ、義経の湯へ!
お、浴室が左寄りか右よりかの違いはあれど、パッと見は先ほどの亀若の湯と同じような、タイル張りの浴室です。
けど、こっちのお湯は透明ですね……。
実は、義経の湯が単純泉、ってことはないよね??
そして、義経の湯がほかの2つの内湯と違うところ!
ボディシャンプーとリンスインシャンプー、固形石けんが置いてありました!
もともと、宿泊者専用のお風呂だったからでしょうか。
カランからもお湯が出ますよ!
つかってみます。亀若の湯よりは若干、熱めかな。
でも、おそらく41~42度でしょうか。熱めの適温という感じ。
そんなに下調べしていたわけではないのですが、最初が硫黄泉で、最後は熱めで泉質がマイルドなお湯に最後に入るというのは順番としてベストだった気がします。
こちらの浴槽にも段差がありますが、亀若の湯と比べてやっぱりお湯は透明ですねー。
温泉の香りも強烈なものではなく、ほんのり香るという感じ。
湯口の岩についた温泉成分の結晶も、亀若の湯に比べると控えめでした。
いやー、しかし、いいお湯でした。
「実は義経の湯が単純泉なんじゃないの?」疑惑がありましたが、上がって着替えて脱衣所の外に出たら、分析表が貼ってありました。
ナトリウム-硫酸塩・炭酸水素塩泉、とのこと。phは7.6で、ほぼ中性です。
当然のように、加水・加温・循環ろ過・消毒は、オールなし。
義経の湯も本当にいいお湯でした!3つのお風呂をはしごして満足です!
2018年9月に再訪して露天風呂に入浴!
さて、前回訪問した2016年の12月のときは、受付時に「今入れるのは3つのお風呂」と言われてしまい、露天風呂は清掃中だったのか案内されなかったのですが……。
それから約1年半後の2018年の9月に、また姥乃湯さんに日帰り入浴に来まして、このときは14時ごろに受付したところ「今日はすべてのお風呂に入れます。ただ、露天風呂は15時までは混浴です」というお言葉をいただきました。
なので、14時から15時までの1時間で「こけしの湯」「亀若の湯」「義経の湯」の3つの内湯をたっぷり堪能し、15時になったところで露天風呂に向かいます。
露天風呂の場所はちょっとわかりにくいのですが、亀若の湯の前の、マッサージチェアなんかが置いてあって、お風呂あがりのおじさんたちが煙草を吸っている場所があるのですが。
この奥に、露天風呂に続く扉があるのです。
奥にある、勝手口っぽい扉の上に「露天風呂」と書かれているのがわかりますでしょうか。
扉を開けて外に出ると、ちょっと通路がありまして、その奥にのれんが。
のれんをくぐると、脱衣所です。
脱衣所から浴槽のほうに出てみると……。
おおー!良いですねえ。こぢんまりとした浴槽ではありますが、景色も見えるし、開放的です。浴槽内のお湯が青みがかって見えるのも素敵!
成分の濃そうなお湯が次々と流れ込んできます。
ややぬるめで、長湯できそうなお湯でした。
露天風呂は「啼子の湯」というのですね。
ナトリウム・炭酸水素塩・硫酸塩泉。ph7.5の、ほぼ中性のお湯。
肌への刺激が少なく適温で、湯上がりはしっとりする良いお湯でした。
【再訪したい度】★★★★★ 次回はもっと時間をたっぷりかけて楽しみたい
今回「露天風呂に入れるかも?」と考えて15時からの日帰り入浴になってしまったために、1つの浴室であまりゆっくりすることができなかったのがちょっと残念でした。
とは言え、3つのお風呂を楽しめて550円はお安いと思いますし、この日はすべての浴室が貸切状態で楽しめたのも良かったです。次回はもっと時間的にのんびりできるときに来て、すべてのお風呂をじっくりと堪能したいなあと思いました。
姥乃湯をあとにした私はいよいよ、宿泊地の旅館すがわらへ向かいます!
みんな大好き旅館すがわら。泊まるのは7年ぶりですw