湯口で炭酸が弾ける極上湯と、天草の魚介をめいっぱい楽しめる宿
天草弓ヶ浜温泉は、熊本県上天草市にある1972年に掘削された比較的新しい温泉地です。
今回ご紹介する旅館「湯楽亭」のみで構成される温泉地であり、他に旅館や日帰り入浴施設などはありません。
「赤湯」と「白湯」と呼ばれる2種類の源泉を持ち、宿の方が家族全員で手掘りしたという「洞窟風呂」があることで、お湯にこだわりのある方にはわりと知られている宿かもしれません。
「日本秘湯を守る会」の会員宿でもあり、「九州温泉道」の対象施設でもあります。
2016年の熊本地震の影響で「赤湯」が1度は枯れてしまったそうなのですが、2018年に新たな源泉が湧出し、現在は「新赤湯」を楽しめると聞き、1度伺いたいと思っていた宿でした。
今回初めて宿泊が叶い、思った以上にすばらしい源泉と、天草の魚介を堪能できましたので、ご紹介したいと思います。
一人で泊まれるおすすめの温泉宿もたくさん紹介しています。
- 湯口で炭酸が弾ける極上湯と、天草の魚介をめいっぱい楽しめる宿
熊本駅から「快速あまくさ号」に乗り「さんぱーる」で下車する
弓ヶ浜温泉には電車やバスで直接向かうことは難しいのですが、宿から車で7分の場所にある「道の駅 さんぱーる」まで送迎してもらえるので、さんぱーるまで行けばOK。
熊本市内からさんぱーるに向かうには
・電車で三角駅まで出て、路線バスに20分ぐらい乗る
・熊本駅もしくは熊本桜町ターミナルから「快速あまくさ号」に乗る
のどちらかになります。
快速あまくさ号なら乗り換えなしで所要時間は1時間30分ほど。三角駅まで電車のルートでも、乗り換えがスムーズならほぼ同じぐらいの時間で着きます。料金は電車+路線バスのほうが若干安いです。
今回は熊本駅前で1杯飲んでからの出発だったので眠かったこともあり、寝ていこうと思ってバスのみにしました。
12時38分に熊本駅前5番乗り場から快速あまくさ号に乗車。快速あまくさ号は交通系ICカードでの乗車が可能です。


朝1番の飛行機で熊本空港に着いていれば十分間に合います。
約1時間30分の乗車の後、14時過ぎに道の駅さんぱーるに着きました。
熊本駅前でも曇りでしたが、さんぱーるに着いたときは少し雨が降っていました。
さんぱーるから送迎車で宿に向かう途中、人気のドーナツ屋さんに寄ってくれた
さんぱーるから湯楽亭までは徒歩でも40分と出ていたので、天気が良ければ海を眺めながら歩こうかな……と思っていたのですが、雨だったので諦めて素直に宿に電話しました。
送迎は予約制ではなく、当日にさんぱーるに着いたら電話する方式です。バスはけっこう遅れますからね……。
電話すると、10分ほどで女性のスタッフの方が迎えに来てくれました。
車に乗せてもらうと唐突に「ドーナツはお好きですか?」と聞かれ、正直面喰らったのですが、なんでも宿に向かう道すがらに、おいしいドーナツ屋さんがあるとのこと。
「良かったら寄っていきましょうか?」と言われたのですが、正直なところ今お腹は空いていないし、夕食だって少なくはないんでしょう……?と思って答えあぐねていたら、私の心中を見透かしたかのように
「夕食も朝食もとっても多いので1個全部食べるのはやめておいたほうがいいと思うんですけど、2口ぐらい食べてあとは明日のおやつにしては?翌日ぐらいまではもつので」
と言われ、それならば……と、寄っていただくことに。


元は魚屋さんだったという建物を改装し、首都圏から移住した方がやっている麻こころ茶屋というお店でした。この日は金曜日で、平日の昼、しかも雨だというのに何組かのお客さんが並んでいました。晴れていれば海を眺めながら食べたりできるんでしょうね。
スタッフの方のおすすめだという「黒糖きなこ」をテイクアウトし、車に戻ります。
それから5分ほど乗って、湯楽亭に着きました。
こちら↑も翌日に撮った写真なので、空が晴れていますが……チェックイン日は雨だったので、宿の中からスタッフの方が出てきて、傘をさしてくれました。
チェックインしたときには気づかなかったのですが、宿の前に壺?がたくさん並んでいて、壺に今日泊まるお客さんの名前が書いてありました。
受付で名前を書いてチェックイン。
夕食の時間などを決めて「女性の方は色浴衣をお選びいただけます」と言われて浴衣の置いてあるほうを見ると……。
浴衣のすぐ橫の棚に、毛並みのいいきれいな黒猫がごろんと橫になっていました。(写真には写っていません)
あら!猫のいる宿なのね。かわいいーー!
と思ったら、案内係の方が「こらこら!またこんなところに!」と言って黒猫ちゃんを追い出していました。あらーそのままでもいいのに……と思ったら、黒猫はこの旅館の子ではなく、隣の子なんだそうです・笑
そしてこの旅館の子は別にいました。サビ猫のゆなちゃんです。
「客室にお邪魔してしまうかもしれませんが……猫はお嫌いではないですか?」
と聞かれ、ひそかに訪問を楽しみにしていたのですが、部屋には来てもらえず残念。というか普通はドアを閉めているから部屋には入ってこれないですよね……。
翌日朝にロビーに行ったら出会えてうれしかったです。
【部屋】★★★★ 少し音は響くけれど室内は快適、蛇口から温泉が出る
湯楽亭は2階建て、全16室の宿です。
今回案内いただいたのは1階の101号室。ロビーに近い位置にあり、浴室もロビーから向かうのでお風呂に行きやすくて良いですね。
建物は新しくはないと思われ、廊下や客室の扉などは古めの旅館らしい雰囲気ですが、ドアを開けると……。
おお!なんか部屋はきれいっぽい。そしていい匂いがする!


匂いがこもりやすい入口ドアの橫に茶香炉が置いてあったのでした。
中に入って部屋に入る前、手前右側に水回りの設備が。洗面・バス・トイレ付きです。
洗面所にはハンドソープと歯ブラシ、ドライヤーあり。


ドライヤーは風力弱いやつだけど、大浴場の脱衣所にはいいドライヤーがあったのでそちらを使えば問題なし。
浴室のドアには「部屋のお風呂(シャワー)をお使いになるときはフロントにご連絡ください」との貼り紙が。


部屋のお風呂はあまり使う人がいないのでしょうね。
ただこちらの宿、客室の風呂とシャワー・洗面所の蛇口にも温泉が配湯されているんだそうです。
トイレはやや古さは感じるもののウォッシュレット付きだし清潔に掃除されていました。
では、お部屋のほうへ。
8畳和室に広縁。畳や壁、天井などはきちんと手を入れられているようで、古さは感じられません。
床の間の壁が鮮やかな赤系の色で、アクセントになっています。花が生けられているのもうれしいですね。
テレビも大きめなんですが……夜にテレビをつけてぼんやり見ていたら、たまに映像が乱れるのが少し気になりました。まあ、宿でそんなにじっくりテレビを見るわけではないので良いのですが。
クローゼットの中には羽織とタオル類が。
浴衣は、色浴衣コーナーで選んだこちら。


タオルのバッグの中には足袋ソックスとフェイスタオルが入っていました。
黄色いタオルって珍しいなと思ったんですが、赤湯の源泉が色がついているので、白いタオルよりも源泉がついたとしても目立ちにくいからかもしれませんね。
ちなみに、歯ブラシのみ洗面所に置いてありましたが、それ以外のアメニティ類はフロントで必要なものをいただく方式です。
「カミソリ」「ヘアーバンド」についてはフロントに用意がある旨が客室内の小冊子に書いてありました。私はいつも必要なものをすべて持参しているので、何があったかはチェックしておらず……きっとヘアブラシはあるんじゃないかな……と予想。
綿棒とコットン、化粧水などは脱衣所に用意がありました。


お茶菓子は天草サブレと海老のせんべいの2種類。
そして広縁が広いです!
椅子もソファーのような座り心地の良いものが2脚置いてあり、緑がまぶしい庭を眺めることができます。
広縁の隅には冷蔵庫、グラス、金庫、電気ポットが並んでいます。
冷蔵庫には冷やした温泉水が入っていました。


金庫は「100円を入れて施錠し、開錠時に返却される」という、脱衣所のロッカーではよく見るけど金庫では珍しいタイプ。
設備は問題なく揃っており、快適なお部屋でした。
ただ、一つ難を言えば少し音が響くかも……。この日は10数名の女性の団体様が宿泊していまして(ラッキーなことに浴室ではまったく出会わず、朝食会場で出会って驚いた)日付が変わるころまで話し声が聞こえました。団体さんだったからかもしれませんが……。団体さんは広間で食事をされていたので、夕食時まではとても静かだったんですよね。
なのでチェックイン後は温泉水を湧かして持参したコーヒーを淹れ。
宿に向かう道すがらに買った、黒糖きなこのドーナツをふた口ほどいただいて、ゆったりと過ごしました。
【風呂】★★★★★ 濃厚で熱い炭酸水素塩泉とぬる湯の交互浴が楽しめる
湯楽亭の浴室を利用できる時間は「15時~23時まで」と「6時から10時まで」です。
かつ、朝食時間帯の「朝8時~9時まで」は清掃が入るため、利用できません。
浴室は毎日夜に男湯と女湯が交換になります。
深夜は入浴できませんが、源泉利用状況によると「毎日湯を抜いて清掃している」とのことなので、夜も清掃時間なのかなと思います。
湯楽亭の浴室は1階の、ロビーの奥にあります。
別棟になっているようで、非常口の照明がある扉を開けて外に出ると、左右に浴室の扉があります。
ここに、コカコーラの自動販売機と貴重品ロッカーが置いてありました。


しかし、貴重品ロッカーには鍵がついていなくて使えないような……?と思いましたが、脱衣所に入ったら鍵のかかるロッカーがあったので、こちらのロッカーは今は使われていないのかもしれません。
湯楽亭の浴室では「赤湯」「白湯」と呼ばれる(たぶん読み方はさゆではなくしろゆだと思う)2種類の源泉が楽しめるのですが、温泉分析表が客室に置いてある冊子の中にありました。
「赤湯」は泉温50度ほど、ph6.6の含二酸化炭素ーナトリウムー塩化物・炭酸水素塩泉。


「白湯」は泉温33度、ph8.0のアルカリ性の単純温泉です。
源泉の利用状況は浴室の前に掲示してありました。


高温の赤湯は12~3月、白湯は10~4月の間加温することもあり、浴槽は毎日湯を抜いて清掃、加水・循環・消毒はしていません。
宿泊日は5月……ということは加温はしていない可能性が高そうです。
このほかに「2つの浴槽を行き来して温冷浴するといいよ」というおすすめと、2018年に新たに掘削された「新赤湯」のセールスポイントなどが掲示されていました。
新赤湯は、高温なのにかなり多くの炭酸ガスが含まれており、かつ、高濃度の炭酸水素イオンを含んでいるとのこと……楽しみです!
日帰り入浴営業時間帯は宿泊予約状況によって変わるそう
外来での日帰り入浴も受け付けています。
日帰り入浴の営業時間は、基本的には「午前10時~15時」と「18時30分~20時」ですが、宿泊客が少ない日であれば午前10時から20時まで通しで営業しているとのこと。
定休日はないけれど、工事や宿泊予約がないときは休業するため、向かう前に電話で確認してほしい旨記載がありました。
基本的には宿泊客のチェックイン前と、夕食のタイミングで日帰り客を受け入れているため、日帰り客で浴室が混雑してゆっくりできない……ということはなさそうです。
チェックイン当日は向かって左側の浴室へ
チェックイン当日は、向かって左側の浴室が女湯でした。脱衣所の向かって左側に洗面台、右側の脱衣棚には鍵をかけることもできます。


洗面所には化粧水、乳液、クレンジングとシャワーキャップ、綿棒とコットンなどが設置してありました。
ドライヤーがない……?と思ったら、洗面台の隅にあるボックスの中にまとめて入れてありました。



Panasonicのイオニティなど、ちゃんと風量のあるドライヤーのほか、カールブラシ付きのヘアアイロンまで置いてあります。
では、浴室へ。
脱衣所から入ってすぐの浴室は左側に洗い場、右側は岩風呂風の浴槽になっていて、ぬる湯のアルカリ性単純泉「白湯」が満たされています。
シャワーからも源泉が出るのがうれしいですね。洗い場には馬油シリーズのシャンプー&コンディショナー、ボディーシャンプーが。
体を洗って湯に浸かります。源泉は30度前後と聞いたけれど、体感ではもう少し温かく感じます。加温は4月ぐらいまでと書いてあったけど、まだ少し加温しているのかな……?


熱くもなく冷たくもない、人肌のぬる湯です。
単純泉ですがアルカリ度が高いためかとろみを感じさせるような浴感があり、無理せず長湯できる温度で大変気に入りました。
白湯をしばらく堪能した後は、廊下を通って赤湯の内湯へ。
中央に大きな浴槽がある、木造りの湯小屋です。
こちらの源泉が出るシャワー付きの内湯にも洗い場がありました。
入る前に浴槽の湯面を見ると……すごい量の湯の花が浮かんでいて、浴槽の縁は源泉の成分がついて形が変わっています。


浴槽の真ん中には恐らく以前湯口だったと思われる、まるで火山のような塊がありますが、現在の湯口はこちらではなく……。
旧湯口の横にパイプが伸びていて、浴槽内に直接お湯を送り込んでいました。
しかし、こんな海沿いの街に、長湯温泉みたいな高濃度炭酸水素塩泉の炭酸泉が湧いてるからびっくりする。
— 月山もも🍶#ひとり旅本 9刷 (@happy_dust) 2023年5月20日
湯口で炭酸が弾けてる。 pic.twitter.com/Wqi06M95N1
こちらの動画のように、常時かなりの量の源泉が注がれています。
温度は41度ほどとわりと熱めなので、湯につけた肌への泡つきはあまり感じられないのですが、湯口ではパチパチと炭酸ガスが弾けるのが感じられました。
こちらのお湯も適温で、ゆったり浸かることができるのがうれしい。
さて、赤湯の内湯を満喫した後は洞窟風呂へ……。
内湯の奥にありました。本当に洞窟だな……。
狸の置物のところには「今はあんまりお湯の色が赤くないけど、湧出当時はもっと赤茶色だったから赤湯と名付けたんだよ」との説明書きがあり。


そして、この洞窟に入っていくのはちょっと勇気が要りますね……。
中に入ってみると、本当に洞窟です!これを手で掘ったってすごいですね……。
源泉成分が底に沈殿していて、常連の方はこちらでパックをしたりするそうです。
洞窟の中はちゃんと照明もついていて、内湯よりも泉温は温めなので、慣れれば長湯できるのかもしれない……けれど私は、なんとなく落ち着かなくてあまり長居せずに出てしまいました。
内湯の赤湯と白湯がかなり気に入ったので、行ったりきたりしてかなり長湯してしまいました。
翌朝女湯になっていた、向かって右側の浴室
さて、翌朝は向かって右側の浴室へ。
毎日夜に男女の浴室が交換となるので、チェックイン日は左が女湯、というわけではありません。
また、左右の浴室の構成や景観も、若干の広さの違いはありますがそこまで大きな差はありません。どちらの浴室でもすばらしいお湯を楽しめます。
で、何が違うかと言えば、右側の浴室のほうが若干広いです。
脱衣所も少し広く、左の浴室にはなかったベビーベッドが置いてありました。


アメニティの種類はだいたい同じ……だけど、化粧水なんかのメーカーはちょっと違いますかね。


ドライヤーは、なんとこちらはPanasonicのナノイー!いいドライヤーだ。
あとは、カールアイロンがありました。
浴室へ。
こちらもまずは、白湯の内湯。


基本は32度に調整しているけれど、夏は無加温となり28度ぐらいだとのこと。
飲んでもおいしい源泉です。
ぬる湯でまったりと、長湯を楽しめます。
そして赤湯の内湯。
こちらも、旧源泉の湯口は閉鎖されていて、新しい湯口から勢いよく源泉が投入されていました。
なんとなく、昨日の浴槽よりもこちらの浴槽のほうが投入の勢いが強いような気もします。
湯口に近寄ると、まるでジャグジーのようにボコボコと泡だっていました。
できるだけ湯口に近づいて炭酸ガスのパワーを感じたい気もするけれど……。
あんまり近くでボコボコいっているのも落ち着かないので、このぐらい離れたところで浸かっていました。
そして洞窟風呂。
まずは洞窟の前に露天があります。
こちらのほうが、昨日の左側の浴室の露天よりも少し、開放感がありますね。そして露天はぬるめ。


洞窟はどこだ……?と思ったら、露天の奥に。
うわー、本当に探検気分ですねこれは。


源泉の成分が、やっぱりすごい。
しかし、やはり長居はできず「なるほどこんな感じか」と確認して、出てきてしまいました。
探検気分を味わえた……。
そしてやっぱり、赤湯と白湯を内湯で行き来して堪能しました。
お湯はすばらしく、浴室も工夫が感じられるし、いろいろな楽しみ方ができるすばらしいお風呂だと思います。
【食事】★★★★☆ 夕食の刺し盛りのボリュームにびっくり!魚介三昧が楽しめる
ここまで宿泊料金の値段について触れていませんでしたが、湯楽亭は平日のみ2食付きで1人で泊まることができ、料金は19800円です。休前日は1人泊は素泊まりか朝食付きのみの提供となります。
2食付き1万円台後半で泊まれる宿ですが料理は料金に見合わないほどの質とボリュームでした。
今回、夕食は部屋食でしたが、プランに部屋食と書いてあるわけではないので常にそうなのかはわかりません。宿泊当日は大人数のグループがいたので、その方たちが広間で食事をしていまして、それで個人客は部屋食になった可能性もあります。
湯楽亭のドリンクメニュー
飲み物メニューは部屋に置いてあった冊子の中から注文しました。
瓶ビール、生ビール、焼酎各種、日本酒、梅酒、ハイボール、ワインなど一通りのものは揃っていました。
「岩泉のむヨーグルト」は、岩手県産のヨーグルトなのですが、非常においしいからということで、こだわって仕入れているそうです。(岩手で飲んだけどたしかにおいしいと思う)
日本酒は、阿蘇の地酒「れいざん」を1合からいただけるほか、2合瓶の冷酒があるということだったので、今回は2合瓶をいただくことにしました。
夕食は、たっぷりのお刺身に丸ごとの鮑、ワタリガニまで
今回部屋食でご提供いただき、まずは前菜などと食前酒を持ってきていただきました。
お品書きはこちらです。
飲み物はお品書きにあった「冷酒(純米酒)」の2合瓶をお願いしたのですが……。


あれ?本醸造で、純米酒ではない……熊本県酒造研究所で醸造されている「香露」というお酒でした。まあ、細かいことは気にしない。
そして、ややあって持ってきていただいたこちらがお刺身の盛り合わせです!
どーん!という感じで出てきました。見るからに新鮮そうです。
ではいただきます!
香露の本醸造も、すっきりと飲みやすいお酒で、これは魚介に合いますね。
先付けは、説明がなかったのですが大根と何らかの魚卵をあっさりとした味で炊き合わせたもの。


小鉢は南蛮漬けです。どちらもおいしい。
前菜盛り合わせ。お品書きと少し違うものも混じっている気がする。
左上は「おから寄せ」「ミミガー」、右上は「海老の含め煮」左下の「蝶大根」などはお品書きどおりですが、真ん中はエンドウ豆で左下に空豆があるけど、お品書きには書いていないのでした。……まあ、こういうこともある。すべておいしかったので問題ないです!
そしてお刺身へ!
イカ、かんぱち、かつお、車エビ、鯛……あと2種類ぐらいあった気がします。車エビはちょっと殻をむくのが大変でしたが、ものすごく新鮮でした。イカもねっとり甘い。
そして、台物は「鮑のバター焼き」です。


「お好きなタイミングで火を付けてくださいね」とマッチを置いていってくれました。チャッカマンじゃなくマッチなのは珍しいな……。
鮑の上にはバターがひとかけらのっており、固形燃料でじっくり蒸し焼きにしていただきました。小さいけどまるごと鮑!やはりうれしい!取り皿がなくて、陶板の上ではちょっと食べにくかったのはまあ、ご愛敬ですね。
次に、小ぶりなワタリガニ(焼き目がないけど水っぽさがないので蒸し焼きかな)が丸ごと出てきて、食べ方を教えていただきました。


小さいので足の部分とかはあまり身はないけれど、卵がたっぷり詰まっていて、カニを食べるのが下手な私でもおいしくいただきました。
茶碗蒸し。ほんのり甘く、具は海老や銀杏が入っています。
そして「天草鯛」の塩焼きです。
小ぶりだけど、コースの終盤に1人でいただくには十分すぎる大きさです。塩加減もちょうどよく、おいしい。
揚げ物は最後に、揚げたての熱々を持ってきていただきました。
天草大王のから揚げです。天草大王とは、熊本県内でのみ生産されている肉用地鶏だそう。もうかなりお腹いっぱいだけど、おいしいので食べてしまう。
最後にご飯と、お吸い物でも味噌汁でもなく「蕪のスープ」です。ちょっと珍しい。
蕪を裏ごしして作っていると思われる、クリーミーなスープで「これ、ご飯を入れておじやっぽくしたらおいしいのでは?」と酔った頭で考え、やってみたらおいしかったです!
おいしいスープのせいで、ご飯もしっかり一膳いただいてしまいました。
最後にデザートは、いちごときんかん、チョコレートケーキ。
チョコレートケーキはかなり濃厚で、おそらく手作りされてるんだろうなと思いました。
食事の後は布団を敷いていただき、さてダラダラしましょうかねと思ったらドアをノックする音が……。
「遠いところから来ていただいたので、サービスです!」と、まさかのソフトクリームのサービスが。
この固め濃厚なソフトクリーム……別注メニューにあったクレミアですね!
これはぜひ、コーヒーを淹れて一緒にいただきたい!と思ってお湯を湧かしていたら溶けてきちゃいましたが……大変おいしくいただきました。
旅館の夕食というと、どうしても牛肉の料理が出がちですが、本当に魚介がたっぷりで、お肉は地鶏のみという徹底ぶりがすばらしい。魚介好きにはたまらない夕食だと思います。
朝食は鰺の干物とアレンジ納豆、たっぷりのあら汁
朝食は朝8時から9時までの間に、1階フロント奥の広間でいただきます。
席に着いたときに並んだいた料理はこんな感じです。
よくある固形燃料で熱するタイプの料理はなく、シンプルながらも品数豊富でおいしそう!
ほうれん草のお浸しの隣には、食前にいただくスムージー?が。少し酸味があり、爽やかな味わいでした。


野菜サラダにはごまドレッシングをかけていただきます。
豆腐は田楽になっているのかな……?水分少なめのどっしりとした味わいのお豆腐を、甘めの味噌とネギでいただきます。


きんぴらは蕗ですね。これもおいしい。
納豆はひきわりで、温泉卵、ごま、青ネギ、鰹節と一緒に混ぜていただきます。
家ではよくやるけど、旅館でこういう感じで出てくるのは珍しいですね。温泉卵とひきわり納豆、優しい味わいです。


焼き魚は鰺の干物。干物も厚みがあっておいしく、添えられた辛子明太子もご飯のお供に持ってこいでした。
そして……席についた後に持ってきてくださった、ご飯と、お味噌汁はあら汁です!
かなり身の部分が残っているあらで、たっぷりのネギと一緒においしくいただきました。
朝食会場の端にはドリンクコーナーがあり、温泉水で入れた玄米茶やびわ茶、コーヒーや紅茶を自由にいただくことができます。
コーヒーの横にはチョコレートのサービスもあり、お部屋で飲んでもOKとのことだったので、部屋に持ち帰りました。
広縁の椅子に座り、新緑の庭を眺めながら、食後のコーヒーを楽しみました。
朝食後に海まで散歩して雲仙岳を眺めた
朝食後はもう一風呂……と思いきや、8時~9時まで浴室の清掃時間だったので、ちょっと外に出て散歩してくることに。
宿から徒歩3分ほどで、海に出ました。釣りをしている人がいます。
そして、海の向こうに見えるのは……雲仙岳じゃないですか!
こんなに近いんですね……。
江戸時代に、雲仙岳の火山性地震の影響で、横にある眉山という山が山体崩壊を起こして流れ出た土砂のせいで熊本に津波が来た(島原大変肥後迷惑)と聞いたけれど、なるほど納得。
島原側から見たときは、熊本側には目立つ山がないからこんなに近いと思わなかったな。
手前に見える山は、古くは島原の乱で天草と島原の代表者が談合を行ったことで「談合島」とも呼ばれる湯島ですね。
現在は野良猫がめちゃくちゃいる島として知られているようです。
さんぱーるから徒歩10分の場所にある江樋戸港から定期船が出ているそうで、ちょっと気になる。
チェックイン日は雨でしたが、翌朝晴れたことで散歩と景色も楽しむことができました。
この後は10時でチェックアウトし、またさんぱーるまで送っていただきました。
【再訪したい度】★★★★★ 湯もよく食事もサービスも良くとても気に入った
実は、天草に来たのはもともと別の宿が目的で……せっかく熊本まで行くのだからもう1泊どこか泊まりたいな、と思って、もともと泊まりたかった宿から比較的便の良い場所で探してみつけたのがこちらの宿でした。
「大洞窟」が売りの宿ですが、個人的には洞窟風呂ってここに限らずそんなに好きではなくて、黒川の新明館とかも正直あんまり魅力感じないな……と思っていた私です。
なので湯楽亭の洞窟風呂にも期待はしていなかったのですが、洞窟風呂はやっぱりそんなに好きじゃないけれど、交互浴を楽しめる内湯がかなり気に入りました。
そして食事も思った以上においしい&大ボリュームで、サービスも、高級旅館のそれではありませんが、居心地の良いものでした。
内湯がめあてだと天気も気にしなくていいし、次は梅雨とかに計画しようかな、などと考えています。
宿の方の話だと、夏の間は目の前の海で泳げるし、遠浅でクラゲもいないから夏がおすすめ!とのこと。私はあんまり海で泳いだりはしないけど、いいところですね……。
宿の車でさんぱーるに着いたあと、乗るバスが来るまで40分ほど時間があったので、また海へ。
さんぱーるから道を1本渡るとすぐ、海なのです。
しかし、宿の前の海からは雲仙岳が見えたけれど、車で10分移動しただけでここからはもう、見えないんですね……。
あまりにも天気がよくて、一瞬「なんで私は今日、山じゃなくて海にいるんだろう」などと考えてしまったけれど、海がきれいだからまあいいか。
さんぱーるに戻り、産直をうろうろしておやつを買ったあと、前日から気になっていた移動販売のコーヒー屋さんへ。
コーヒーフロートを注文すると、氷は2個ぐらいしか入れずにアイスを2スクープ入れてくれました。


コーヒーも本格的な味わいでおいしかった! バスの待ち時間におすすめです。
【1人旅に優しい度】65点:土曜日は2食付きで泊まれないが、平日なら1人で気兼ねなく楽しめる
泊まりやすさ 10/20
2食付きで1人で泊まれるのは平日のみ。
土曜日も1人泊はできるが、朝食付きか素泊まりのみ。周囲に食事できるところはなさそうなので、土曜日1人で泊まるのは難しそう。
1人泊の料金アップは少なめ。2食付き2万円以下で泊まれる。
食事場所の配慮 15/20
常時そうなのかはわからないが、夕食は部屋食だったのでテレビを見ながらのんびり食べれた。朝食は食事処だが、テーブル同士の距離はしっかりあったので特に気にならなかった。
プランの選択肢 15/20
休前日や連休に泊まれるプランが1人泊だとない以外は、2人以上で泊まっても1人で泊まっても選べるプランは同じ。
ドリンクオーダー 10/20
生ビールの小サイズや、グラスワイン、グラス焼酎、ハイボールなどあり。
1合オーダーできる日本酒も1種類あり。
日本酒の種類がもう少し多ければうれしいけど、1人でもそれなりに楽しめる。
フリーWi-Fi完備 15/20
客室内でWi-Fi利用可能。速度も問題なく利用できた。
一人旅をもっと楽しみたい方に向けたエッセイです。
一人で泊まれるおすすめの温泉宿もたくさん紹介しています。