「今年からゆるく登山を始めてみたい」と思っている方へ、12の山旅のご提案
最近「初心者向けの低山を紹介してほしい」という依頼を立て続けにいただいたので、春がきて「今年は登山を始めてみよう」と思っている人も多いのかなと思い。
私なりの「今年からゆるく登山を始めてみたい」と思ってみたい人に向けたガイドを作ってみよう!と思い、この記事を公開することにしました。

依頼をいただく場合「首都圏近郊の低山で」リクエストされることが多いのですが、個人的には「初心者こそ登山口が高いところにある高山に行くのがおすすめ!」と思っていまして。
さらに「温泉と一緒に楽しめる」となれば登山だけではなく「日帰り登山を含めた旅」として楽しめるプランを提案したいなと思い、もう少し広いエリアを対象にご紹介したいなと考えました。
そこで本稿では
・初心者でも気軽に登れるゆる山(標準コースタイム3時間程度)
・登山後に立ち寄りやすい日帰り温泉
・登山前後に泊まるのにおすすめな温泉宿
をセットにして12ヶ月分、12のプランをご紹介することにしました。
紹介する山のエリアは、宮城県、新潟県、長野県などに及んでいますが、すべて「東京から日帰りすることも可能なプラン」です。「おすすめ温泉宿」に泊まって一泊の旅として楽しんでいただくのがベストではありますが「日帰りできる山が知りたい」という要望が多いので「日帰りも可能な山」をご紹介しています。
4月で紹介されている山に5月以降に登っても問題ありませんが、4~10月で紹介している山(5月を除く)は11月以降は間違いなく雪が積もりますので、冬に登るのは避けたほうが良いでしょう。11月~3月で紹介している山は、冬でも雪が積もることは少ない山です。
また、手前味噌ですが「私なりの一人旅に優しい温泉宿の選び方」や「登山を始めて間もないころの山の選び方」などは、出版した著書に詳しく書いていますので、ご興味のある方は手に取っていただけたらうれしいです。
本稿は「東京出発」ですが、ひとりで泊まれる全国の温泉宿を知りたい方にはこちらの記事がおすすめです。
- 「今年からゆるく登山を始めてみたい」と思っている方へ、12の山旅のご提案
- 「レインウェア」「LEDヘッドランプ」「防水の靴」を揃えて「登山地図アプリ」をインストール
- 【4月】新潟県「坂戸山」に登り、六日町温泉へ
- 【5月】神奈川県「鷹巣山・浅間山」に登り、箱根湯本温泉・塔ノ沢温泉へ
- 【6月】栃木県「茶臼岳」に登り、大丸温泉・那須湯本温泉へ
- 【7月】長野県「霧ヶ峰」に登り、上諏訪温泉へ
- 【8月】長野県「乗鞍岳」に登り、乗鞍高原温泉へ
- 【9月】宮城県「栗駒山」に登り、須川温泉・須川高原温泉へ
- 【10月】長野県「入笠山」に登り、甲府温泉へ
- 【11月】山梨県「大蔵経寺山」に登り、石和温泉へ
- 【12月】神奈川県「金時山」に登り、仙石原温泉へ
- 【1月】静岡県「葛城山・城山」に登り、大仁温泉・伊豆長岡温泉へ
- 【2月】神奈川県「幕山」に登り、湯河原温泉へ
- 【3月】静岡県「大平山」に登り、伊東温泉へ
- 登山はそれだけでも楽しいが、温泉と組み合わせると楽しみが何倍にもなる
「レインウェア」「LEDヘッドランプ」「防水の靴」を揃えて「登山地図アプリ」をインストール
今年から登山を始めたい人向けの記事ということで、最初に少し装備のお話を。
今回ご紹介する山はすべて、コースタイム短めで危険箇所が少ない、地元の小学生が遠足で登るであろう山が中心です。
なのでそこまで本格的な装備がなくても登れることは登れますが、急な雨に備えて「レインウェア上下」と「防水のシューズ」はあったほうが良いと思います。
また、下山が遅くなってしまったときの備えとして「LEDヘッドランプ」と、スマホの充電切れに備えてモバイルバッテリーは持っていったほうが良いでしょう。
装備については詳しくはこちらの記事↑をご参照ください。
登山地図アプリは、無料版なら現時点ではヤマレコが良さそう
また、初心者向けの山とはいえ「登山地図」は必ず持ちましょう。紙の地図よりも初心者には見やすいと思うので、登山地図アプリをインストールすることをおすすめします。
「YAMAP」「ヤマレコ」「山と高原地図」などが有名ですが、山と高原地図は情報が詳しいので見ていて楽しいですが利用は基本的に有料です(500円/月 or 4800円/年)。
また、用意されている地図はメジャーな高山が中心で、今回紹介する山にも山と高原地図には載っていないものもあります。
なので「ヤマレコ」か「YAMAP」を入れておくといいでしょう。
どちらがいいかは好みなのですが、YAMAPの無料ユーザーは「1ヶ月にダウンロードできる地図は1枚のみ」という厳しい制限がついてしまったようなので、とりあえず無料で利用してみよう!と思うのであればヤマレコが良さそうです。ヤマレコであれば地図のダウンロード数に制限はありません。(保持できる地図は2枚までなので、以前ダウンロードした地図を都度削除すれば何度でもダウンロードできる)
それと、登山計画書は必ず提出しましょう。
登山口で紙を提出したり、管轄の警察署にメールなどで提出する方法もありますが、提出方法が県によって異なるので「コンパス」というサービスを利用するのが便利です。
ヤマレコで登山計画を作成した場合は、そのままコンパスに登山計画書を提出することができますし、コンパス上で登山計画書を作成→提出することもできます。
コンパスで提出した登山計画書のURLを、家族など登山届けを出す身近な方に共有しておくと良いでしょう。
【4月】新潟県「坂戸山」に登り、六日町温泉へ
いきなり新潟か!と思われたかもしれませんが……駅から登山口までのアクセスも良く、周辺に温泉がたくさんあり、登りやすくて眺めもいい初心者向けの山です。
薬師尾根コースで上り、桃の木平を経由する城坂コースで下山するのがおすすめです。標準コースタイムは上り70分、下り60分ほどでしょうか。高尾山にロープウェイを使わずに登ったことがある方なら問題なく登れるかと思います。
最寄り駅はJRとほくほく線の六日町駅。六日町駅は上越新幹線の越後湯沢駅から2駅と交通の便も良いです。


六日町駅東口の商店街を抜けて橋を渡っていくと、向かう先に見えるのが標高634メートル。かつては「坂戸城」という山城として栄えた坂戸山です。
最もよく登られている「薬師尾根コース」はゆるやかな坂道から始まり、後半は階段になりますが全体的に良く整備されており、あちこちでお花も楽しめます。


階段の途中には見晴らしの良い場所もあり、振り返れば魚沼の街並みと水田と、遠くの山並みが。

遠くに見える平らな山頂の山は、苗場山でしょうか。
山頂碑の背景には八海山を眺めることができます。山頂の標高は634メートルで、東京スカイツリーと同じ高さです。


山頂は広場のようになっていて休憩しやすく、お弁当を広げてのんびりするのにちょうど良いです。

冬以外はどの季節に登っても楽しめる山ですが、山頂直下に咲くカタクリの花が4月中旬ごろから見頃を迎えるため、4月の山としてご紹介しました。
休憩時間を含まなければ2時間ほどで登って下りることができる山です。真夏以外はこれからの季節も楽しめますが、来年の4月に温泉旅館への宿泊と共に計画していただけたらと思います。
日帰り入浴なら「割烹旅館 日章館」へ
登山後に日帰り入浴するなら、登山口と六日町駅の中間エリアにある旅館「日章館」がおすすめです。


日帰り入浴の営業時間は10時から20時までと長く、料金は大人800円。
シャワーやドライヤーなどの設備も整っており、浴室は清潔でかけ流しの湯を楽しめます。私は休日の午後に2度訪れましたが、他のお客さんはおらずゆったりと楽しめました。穴場だと思います。
宿泊するなら「魚沼の隠れ温泉 くつろぎ庵」がおすすめ!
六日町は越後湯沢からもすぐなので、越後湯沢に泊まって登山を楽しむこともできます。私自身も、前日越後湯沢の貝掛温泉に泊まってから六日町に移動して坂戸山に登ったこともあるのですが……六日町温泉にすばらしい宿を見つけたので、その宿と組み合わせての登山を強くおすすめしたいです。
「魚沼の隠れ温泉 くつろぎ庵」という全3室の宿で、土曜日も1人で泊まることができます。
2023年に初めて泊まって「2023年に泊まった食事が良かった温泉宿」の2位に選出しました。
そして翌年早くも再訪し「2024年上半期に甲信越・北陸エリアで泊まって良かった温泉宿」にも選出しています。
最寄り駅は六日町駅ですが、六日町駅のほか越後湯沢駅・浦佐駅など、近隣の駅から予約制で送迎してもらえるのもありがたいサービスです。
浴室は「露天風呂付きの大浴場が2ヶ所」というシンプルな構成ですが、お湯もいいし露天風呂の開放感も抜群!


夕食までの時間帯は予約制で貸切利用となるのですが、この間は脱衣所に設置された冷蔵庫に入っているビールやソフトドリンク、アイスなどを露天風呂に浸かりながら楽しむことも可能です。飲み物には有料のものもありますが、スーパードライのミニ缶はサービスで無料でいただけました。
また、全3室の宿ですが満室ではなかった場合、夕食後の時間帯も浴室は貸切で利用できます。私は2度泊まって、2度ともずっと貸切で利用できました。
そしてこちらの宿、食事が夕食も朝食も本当にすばらしいのです……!
山の宿ですがそんなことは関係なく、魚介もおいしい。


魚沼の地酒呑み比べと共に楽しみました。春の宿泊では裏の山で採れた山菜が、山菜や小鉢のおつまみとなって夕食に並びました。


ファンが多いという〆のお粥は「お粥」の常識を覆すおいしさ。
私、中華粥以外のお粥はそんなに好きじゃないのですけど、この宿のお粥はお替わりしたくなるおいしさでした。米、炊き方、薬味、何がすばらしいのか……きっとすべてがすばらしいのでしょう。
朝食では、炊きたての魚沼産コシヒカリを目一杯いただきます。


朝食のおかずもシンプルながらすべてがおいしく。
「チェックアウト後に坂戸山に登る」と伝えたところ、土鍋に残ったご飯をおにぎりにしてくださいました。
坂戸山と合わせて楽しめば、きっとすばらしい旅になることと思います。
【5月】神奈川県「鷹巣山・浅間山」に登り、箱根湯本温泉・塔ノ沢温泉へ
5月におすすめしたいのは、神奈川県の箱根エリアにある「鷹巣山(たかのすやま)834メートル」と「浅間山(せんげんやま)801.5メートル」という隣り合う2つの山を縦走するコースです。
箱根という人気の温泉地に遊びに行きつつ登山も楽しめるということで「これから登山を始めたい」という方にぴったりのプランではないかと思います。
縦走登山というと大変そうに思えるかもしれませんが、上って下りて2時間かからないですし、箱根登山鉄道の宮ノ下駅に直接下山するルートなので気軽に楽しめることかと思います。また、このルートは山と高原地図の「箱根」エリアにも収録されています。
登山口は「湯坂路入口」という箱根湯本駅から25分ほどバス停です。バスの時刻表はGoogleマップに対応しています。


バス停からすぐの場所に登山口があり、広く明るいよく整備された登山道を15分ほど登っていくとあっという間に鷹巣山の山頂に着きます。


私は11月に登ったので紅葉の季節でしたが、5月なら新緑が美しいことでしょう。鷹巣山から浅間山の山頂までは20分ほど。浅間山の山頂は広く、ベンチもあるのでここで休憩を取るのもよさそうです。
浅間山の山頂からは宮ノ下温泉に向かう下山ルートを歩きます。最後は少し急な坂もありますが道はよく整備されています。箱根登山鉄道の線路に突き当たればゴールは近いです。遮断機や信号などはありませんので自分で気をつけて渡ります。


ここまで来ればあとは宮ノ下駅まで5分ほど。宮ノ下駅周辺には飲食店やカフェもいくつかありますので、下山後にランチを楽しむのも良さそうですね。
日帰り入浴なら「太閤湯」「箱根湯本日帰り温泉 和泉」へ
日帰り温泉は、下山した宮ノ下で入るか、あるいは箱根登山鉄道で箱根湯本駅まで戻ってきて入るのがいいでしょう。
宮ノ下には「太閤湯」という温泉銭湯があり、地元の方が多い共同浴場で、露天風呂などはないシンプルな施設ですが、料金は400円と安くお湯もかけ流しでなかなか良いです。
ただ広くはないですし、石けんやシャンプー類も自分で用意する必要があるので、ゆったりお風呂に入りたいなら箱根湯本まで戻ったほうがいいかなと思います。
箱根湯本駅から徒歩8分の場所にある日帰り温泉「和泉」は、入浴料金は1250円で、昭和っぽい施設ですが清潔でお湯はとてもいいです。
食事処などはありませんが、駅から徒歩圏内ですので食事をとる場所には困らないと思います。
宿泊するなら塔ノ沢温泉の「福住楼」「環翠楼」がおすすめ!
宿泊するなら、塔ノ沢温泉におすすめの温泉宿が2軒あります。
塔ノ沢温泉は箱根湯本駅から箱根登山鉄道で1駅の「塔ノ沢駅」が最寄りですが、箱根湯本駅から歩いても15分ぐらいです。
まず、数多くの文人に愛された登録有形文化財指定の宿、福住楼。
予約時に宿泊する部屋を指定することができます。私は川端康成が好んで宿泊したという、川の音が聞こえない静かな「桐三」の部屋に宿泊しました。客室の詳細については宿泊レポートをお読みいただければと思います。
浴室は、時間帯で男女が交代となる「大丸風呂」と「岩風呂」、そして予約制で貸切で利用する浴室が3箇所あり、館内で湯めぐりを楽しむことができます。

特にこちらの「大丸風呂」が、浴室の雰囲気も湯もすばらしかったです。
食事は朝夕共に部屋食で。夕食では、部屋まで持ってきてもらったにも関わらず、モコモコの泡がいつまでも消えない生ビールに感動!


朝食は「旅館の朝食」の見本のような料理が並びました。
空室があれば土曜日も1人で泊まることができます。お安い宿ではありませんが、箱根の宿泊料金がインフレを続けている中でこちらの宿は以前とあまり変わっていないので、私もまた再訪したいと思っている宿です。
福住楼は本当にすばらしい宿なんですが、歴史ある建物を大事に残している宿なので、客室にトイレや洗面所がなかったり、露天風呂がなかったりと好みが分かれる部分もあります。
露天風呂に入りたい、部屋にトイレや洗面所があったほうがいい!という方には、福住楼のすぐ近所にある「元湯環水楼」をおすすめします。
歴史ある建物を残しながらも、露天風呂を増設したり、水回りを新しくするなどの改修を加えている宿です。客室に温泉浴室が着いている部屋もあり、どの部屋にも1人で宿泊することが可能です。

客室の水回りは新しいものになっていますが、館内の共同の洗面所は昔のまま残されており、レトロな雰囲気の館内を見て回るのも楽しいです。
浴室は時間帯で男女が交換となる内湯と露天風呂。空いているときに利用できる貸切風呂もあります。


露天風呂は別棟にあり、1度外に出て移動する必要がありますが、22時から4時までの深夜帯は空いていれば貸切で利用できるとのこと。


食事はこちらも朝夕部屋食で。
生ビールの泡の勢いは福住楼ほどではありませんが、環水楼の食事も大変おいしかったです。
【6月】栃木県「茶臼岳」に登り、大丸温泉・那須湯本温泉へ
6月は、栃木県にある那須岳の主峰「茶臼岳」への登山がおすすめです。
東北新幹線の那須塩原駅か、東北本線の黒磯駅から那須ロープウェイ行きのバスに乗り、終点で下車。

おすすめは上りでロープウェイを利用し、茶臼岳に登頂後は峰の茶屋を経由してロープウェイを使わずに下山するルートです。
茶臼岳は標高1915メートルと2000メートル近い山ですが、ロープウェイで標高1684メートル地点まで行くことができます。
ロープウェイを降りた瞬間に、高山かつ火山らしい絶景が広がり、圧巻です。


山頂までは40分ほど。
岩場の上りが続きますが、慎重に歩けば大丈夫。

山頂では360度の絶景を楽しむことができます。
峰の茶屋までの下りはやはり岩場の下りですが、そこからの下山路はなだらかで気持ちよく歩ける道です。


ただ、那須岳は悪天候だと強風の通り道となるため、天気が良ければ天国のような山ですが、天気が微妙な日は潔く温泉旅に変更したほうが良いです。目安は「ロープウェイが運行しているかどうか」で、山の上のほうが強風だとロープウェイは運休するので、そのときは無理に登らないことをおすすめします。ロープウェイの運行情報はXでも確認できます。
日帰り入浴なら「那須湯本温泉 中藤屋旅館」へ
下山後に日帰り入浴をする場合は、那須塩原駅に向かうバス路線上にある那須湯本温泉が第一候補となります。
那須湯本温泉では「鹿の湯」が有名ですが、シャワーなどがなく浸かるのみなので下山後の入浴にはいまいちかもしれません。
おすすめはお湯が良く、シャワーなどの設備も整っていて入浴料金も600円とお安め、そして営業時間も長い中藤屋旅館です。

那須湯本の湯はとても熱いのですが、中藤屋さんでは投入量で湯温を調節し、かなり熱い浴槽と熱めの適温の浴槽を2つ用意してくれているところもとても素敵です。
設備などの詳細は以前レポートしています。
中藤屋さんは残念ながらひとり泊の受け入れがないのですが、日帰りでゆっくりとすばらしいお湯を楽しめるのがありがたいですね。
宿泊するなら「大丸温泉旅館」がおすすめ!
宿泊するなら、那須ロープウェイからバスで1つ目、歩いても20分ほどの場所にある大丸温泉がおすすめです。
宿泊レポートも公開しています。

宿泊レポートはだいぶ前に2人で泊まったときのものですが、1人で泊まれるのは畳にベッドを置いた和ベッドルーム。


窓際に置かれたソファの座り心地も良く、ライティングデスクもあってとても快適なお部屋です。
浴室は男女別の内湯のほか、広い混浴露天風呂(男女共湯あみ着着用必須)、女性専用露天風呂、そして空いているときにいつでも貸切利用できる内湯など館内で湯めぐりができるほど。


夜通し入浴が可能&飲泉所もあります。
食事は朝夕共に個室食事処で。


日本酒の飲み比べセットが複数あり、前菜の種類が多くお酒が進むメニューです。
1人で泊まれるのは平日のみですが、直前に空室がある際は土曜日にプランが出ていることもあります。那須岳登山の前後に泊まりやすいこともあり、私自身もう5回も宿泊しているお気に入りの宿です。
【7月】長野県「霧ヶ峰」に登り、上諏訪温泉へ
7月におすすめなのは上諏訪駅からバスでアクセス可能な霧ヶ峰です。
朝1番の特急あずさで上諏訪駅に着き、標高1800メートルという高所にあるバス停「車山肩」で下車します。
そして歩き始める前にまずは、バス停の目の前にある山小屋「ころぼっくるひゅって」のカフェへ。

人気のトーストはすぐに売り切れてしまうので、歩き始める前に立ち寄るのがおすすめです。
ただ7月は霧ヶ峰が最も混雑する季節なので、トースト目当てなら別の季節のほうがいいかもしれませんが……。
7月の霧ヶ峰がなぜおすすめかと言うと、車山肩周辺のニッコウキスゲが美しいからです。


車山肩までは車で行けるので、ニッコウキスゲを見に来た&ころぼっくるひゅってに来た人で大混雑していますが、歩き始めると意外と静かです。


霧ヶ峰の最高峰「車山」は標高1924メートルの山ですが、車山肩のバス停で1800メートルの高さなので、1時間も歩かずに山頂に着きます。
車山周辺を周回して、車山肩に戻ってくるルートが最もお手軽ですが、余裕があれば蝶々深山、物見石を経由して八島湿原まで歩くのがおすすめです。

八島湿原の周辺は高山植物も多く、車山肩周辺とはまた違った景色を楽しめます。
日帰り入浴なら「片倉館」へ
霧ヶ峰登山後のおすすめの日帰り入浴施設は、上諏訪駅から徒歩8分の「片倉館」です。

昭和3年竣工の歴史ある建物の中には「千人風呂」と呼ばれる、大理石造りで100人は同時に入れるという広々とした浴室があります。
入浴料は大人850円。シャワーやシャンプー類、脱衣所のドライヤーなどはしっかり備わっていますので登山後の入浴にもおすすめできます。
館内には食堂や休憩室もあり、外観の印象よりも庶民的でのんびりくつろげる施設です。
宿泊するなら「民宿すわ湖」がおすすめ!
上諏訪温泉には良い温泉宿がたくさんありますが、おすすめはやはり、かけ流しの湯に浸かれて2食付き7300円から宿泊可能な「民宿すわ湖」です。
1年半前は6700円からでしたが、この1年ぐらいでものすごく物価が上がっているのに、600円しか値段が上がっていないのもすごいです。
人気の宿なので希望の日程で空室があるかはわかりませんが……部屋の畳なども徐々に手を入れて新しくしているし、寝具も清潔で寝心地良く。


お安く泊まれる宿は広縁が雑多な雰囲気になりがちですが、先日泊まった部屋はティータイムを楽しめそうな素敵な空間になっていました。冷蔵庫や延長コードなどの設備も各部屋にしっかりと備わっています。
浴室は男女別の内湯と、空いているときに貸切で利用できる露天風呂。


男女の交換はなく女湯はちょっと狭かったり、貸切露天風呂は予約制ではないので満室の日だとなかなか空かなかったりということはありますが、宿泊料金を考えたら満足度120%です……。
そして食事もすばらしいのです。夕食はたっぷりのすき焼き。


固形燃料ではなく、1人でもカセットコンロで鍋ができるのがうれしい。
食後のコーヒーは豆を挽くところから淹れることができるところも気に入っています。
人気があって週末はなかなか予約できませんが……上諏訪・下諏訪温泉には他にも良い宿がたくさんあるので、こちらの記事↑を参考にしていただければと。
【8月】長野県「乗鞍岳」に登り、乗鞍高原温泉へ
8月におすすめなのは、北アルプスの3000メートル峰、乗鞍岳です。
最高峰の剣ヶ峰は標高3025.7メートルの3000メートル峰ですが、標高2700メートルの「畳平」までバスが運行しているため、往復3時間ほどの登山で山頂を踏むことができます。
ただ、今回ご紹介する12の山の中で唯一この乗鞍岳だけが「早朝に都内を出発して現地で登山と温泉を楽しみ、当日のうちに帰宅する」という日帰り山旅はやや難しい山です。朝一の特急あずさで松本に着き、松本からバスで乗鞍高原に着くと12時前。乗鞍高原で畳平行きのバスに乗り換えてさらに50分かかるので、畳平に着くのは13時ごろになってしまいます。着いてすぐに登り始めたとしても下山するのは16時と、ちょっと余裕がありません。
なので、乗鞍岳に登る際は、この後ご紹介する温泉宿に泊まって翌朝に登るか、あるいは前日の夜に松本駅周辺で前泊し、朝一番の乗鞍高原行きのバスで移動すれば余裕を持って歩くことができます。
他の山はすべて、日帰り旅でもある程度余裕を持って登れる山なのですが、その中に乗鞍岳を入れたのはこの山が本当にすばらしい山だからです。もう、バスを降りた瞬間から絶景なので……。


8月の登山でもまだまだコマクサも咲いています。畳平周辺は高山植物の花畑が咲き乱れているので、もし「どうしても当日中に帰りたいけど、足の速さには自信がない」ときは、畳平周辺を時間が許す限り歩いてみるのもいいと思います。


もちろん、山頂までがんばることができれば、雲海や雲の中を歩いていくような高山でしか見ることのできない景色に巡り会うこともあります。


できることなら、夏休みの旅として松本か乗鞍高原に宿を取り、1泊してじっくり登っていただきたい山です。

難しい山ではないので、登山者の中には「乗鞍岳は1度登れば十分」と仰る方も多いですが、こんな楽に絶景を楽しめて、高山らしい山歩きが楽しめる山はなかなかありません。私自身は季節を変えて何度も登っている大好きな山です。
日帰り入浴なら「湯けむり館」へ
下山後の日帰り入浴は、畳平に向かうバスが出る「乗鞍観光センター」のすぐ向かいにある「湯けむり館」がおすすめです。


浴室・脱衣所は清潔でシャワーやドライヤーなどの設備も問題なし。
青みがかった白濁の硫黄泉をかけ流しで楽しむことができます。
また、併設のレストランで地ビールを飲みつつピザを食べられるのも良いのですが、どうも湯けむり館は2025年の4月にリニューアルオープンしたそうで、レストランの名前も変わっているようです。以前とはメニューも変わったようなので、新しくなった湯けむり館にも足を運んでみたいです。
宿泊するなら「泊まれる温泉Bar136」がおすすめ!
乗鞍高原で宿泊するなら「乗鞍観光センター」バス停から徒歩10分の場所にある「泊まれる温泉Bar136」がおすすめです。宿泊レポートも公開しています。
観光センターから徒歩圏内には1人で泊まれる温泉宿があまりないのですが、2022年に新しくオープンしたこちらの宿は土曜日も1人で泊まれますし、食事もお湯も抜群に良く、お値段も2食付き1万5千円からとリーズナブル。


客室にはエアコンはありませんが、お部屋はとても清潔です。冷蔵庫は共同のものを利用できますし、Wi-Fiは高速でした。
かつては男湯と女湯だった露天風呂付きの2つの浴室を、予約制で貸切で利用します。


ログハウス造りの湯屋は雰囲気があり、湯は酸性硫黄泉のかけ流しです。
食事は「泊まれる温泉Bar」というだけあって、お酒の進むバーらしいメニューです。


前菜盛り合わせも、スープもメイン料理も量はしっかりとあり、ビールもカクテルもすべておいしかったです。

お酒の種類は無限にありそうだし、朝食のフレンチトーストもすばらしい、近々また泊まりに行きたいと思っている宿です。
【9月】宮城県「栗駒山」に登り、須川温泉・須川高原温泉へ
9月におすすめの山は、紅葉の名所として名高い栗駒山です。
宮城県・岩手県・秋田県の県境にある山ですが、6月から10月末までのあいだは東北新幹線の一ノ関駅から、登山口となる須川高原温泉まで路線バスの運行があります。
2025年の時刻表はまだ出ていないようですが、一ノ関駅を9時台に出発する岩手県交通運行のバスがあり、早朝に東京駅発の新幹線に乗ってくれば乗車可能です。
須川高原温泉に着くのが10時過ぎで、栗駒山のコースタイムは4時間ほど。帰りのバスは16時ごろに須川高原温泉を出ますので、登山と温泉を楽しんで日帰りすることも可能です。
ちなみに、栗駒山の紅葉は9月下旬から10月上旬ごろに見頃を迎えますが、その時期は平日でもかなりの混雑が予想されます。土日などは渋滞で時間通りに目的地に着かないことも考えられますので、紅葉の盛りの時期の週末に日帰り登山を計画するのはあまりおすすめできません。
かと言って、紅葉時期はもちろん、この後紹介する周辺の温泉宿も激混みだと思いますので、紅葉時期を狙うなら平日に行くか、紅葉にはまだ早い9月上旬ごろまでに計画するのが良いかと思います。

登山口には須川温泉の源泉が川になって流れています。下山後の温泉も楽しみです。
須川高原温泉から登る栗駒山の標準コースタイムは4時間ほど。今回ご紹介する12の登山ルートの中では最も長いですが、木道か、あるいはなだらかな稜線歩きで危険箇所もなく、天気が悪くなければ無理なく歩ける山です。


山頂では360度パノラマの展望が楽しめます。


ちなみに、7月ごろに来ると高山植物が楽しめますので、7月もおすすめです。
日帰り入浴なら「須川高原温泉」へ
登山口周辺には2軒の温泉宿があり、どちらの宿も日帰り入浴を受け付けています。
バス停と登山口の目の前にある須川高原温泉は、毎分6000Lの湧出量を誇る山の温泉宿。
浴室は大浴場・中浴場・露天風呂があり、それぞれ脱衣所が分かれています。大浴場の奥には小さな露天風呂もあり。


入浴料金は800円ですが、浴室1箇所ごとに別途料金がかかりますので、登山後ならドライヤーやシャワーなどの設備が整っている「大浴場」に入るのがおすすめです。「露天風呂+大浴場」で1200円というセットプランもあります。
現在はまだ冬季休業中で、営業は5月中旬ごろからです。以前宿泊でもお世話になりました。
エアコンや冷蔵庫、テレビなどはありませんが、客室は清潔ですし、山の宿らしい風情を楽しめました。
宿泊するなら「須川温泉 栗駒山荘」がおすすめ!
須川高原温泉から歩いて数分の場所に「栗駒山荘」なる温泉宿があります。


絶景露天風呂で有名な宿ですが、お湯もいいし、設備も整った人気の宿です。
洋室のシングルルームがあって1人泊が可能ですが、人気の宿ゆえ空室はいつも少なめ。私は都合がつきそうな日に空室があるとすぐに予約してしまいます……。
館内ではWi-Fiも利用できますし、少し前に改修されて客室内にエアコンがつきました。


食事も朝夕共に大変おいしく、お酒の種類もなかなかのもの。ステーキが鉄板などで自分で焼くタイプではなく、野菜と一緒に絶妙な焼き加減で焼き上げられた状態で提供されるのも個人的にはポイント高いです。(自分で焼くステーキは、なかなかちょうどいい火加減で焼けないので……)
人気の宿ゆえ8月までの日程だと空室は既に少なめですが、9月ならまだ予約が取れそうです。私自身これまで3度宿泊しているお気に入りの宿なので、日帰り入浴も可能ですが、予定があえば宿泊して楽しむのがおすすめです。
【10月】長野県「入笠山」に登り、甲府温泉へ
10月におすすめの山は、南アルプスの北端にある標高1955メートルの山、入笠山です。
冬はスキー場となる富士見パノラマリゾートのゴンドラリフトを利用して、標高1780メートル地点まで一気に標高を上げることができます。また、特急あずさの停車する富士見駅からゴンドラリフトまでも無料のシャトルバスが運行しているのがありがたいですね。


10月中旬以降は紅葉も楽しめます。ゴンドラリフトを降りた瞬間に目の前に八ヶ岳が。
山頂までの道のりでは入笠湿原も通過し、バラエティに富んだ山歩きが楽しめますが、コースタイムで言えばほんの1時間ほどで山頂に着ける手軽さも、この山の魅力です。


山頂からは八ヶ岳や南アルプス、富士山や諏訪湖などの絶景が楽しめます。
山頂からの帰り道にはヒュッテ入笠なる山小屋があり、ボリュームたっぷりのランチや小屋で焼き上げたパンなどが食べられるのもうれしいポイント。


ヒュッテ入笠のランチは、天気のいい週末だと昼過ぎに売り切れ続出となるので、確実に食べたければ登頂前に、少し早めのランチを楽しむのが良いかと思います。
日帰り入浴なら「ゆーとろん水神の湯」へ
入笠山登山後に日帰り入浴するなら、富士見パノラマリゾートから徒歩15分と徒歩圏内にある「ゆーとろん水神の湯」がおすすめです。


ph10.3の高アルカリ性の硫黄泉をかけ流しで楽しめます。
広い露天風呂にはいくつもの浴槽があり、加温していないぬる湯の源泉を楽しめるのがすばらしいです。館内には食事処や整体もあります。
こちらの日帰り温泉を利用した場合、帰りは「駅まで徒歩(30分以上かかる)」か「富士見パノラマリゾートに戻ってシャトルバスを利用」か「タクシーを呼ぶ」ことになります。タクシー利用の場合は台数が少ないので、お風呂に入る前に予約をしておいたほうが確実です。
宿泊するなら「シャトレーゼホテル談露館」がおすすめ!
入笠山のすぐ近くのエリアにはこれといった温泉地がないので、入笠山登山と温泉宿への宿泊を一緒に楽しむのであれば、いっそ電車で甲府駅まで来てしまうのがおすすめです。(7月のところで紹介した上諏訪・下諏訪温泉に向かう手もありますが)
甲府の温泉と言えば、駅からバスで10分ほどの場所にある湯村温泉が有名ですが、湯村温泉で最もおすすめの宿は人気があってなかなか空室がないので……。
それならばいっそ甲府駅から徒歩圏内にある温泉ホテル「談露館」に宿泊するのがおすすめです。
2023年にシャトレーゼに買収され、2024年に「シャトレーゼホテル談露館」としてリニューアルオープンしています。
リニューアルオープン後に宿泊したところ、浴室や客室は大きく変わっていませんが、ウェルカムスイーツとしてシャトレーゼのケーキがいただけたり、シャトレーゼのアイスが滞在中食べ放題というサービスが追加されていました。


客室は以前と変化ありませんが、ビジネスホテルと比べると格段に広く、シングルルームでも大きなソファが設置してあります。


こぢんまりとした浴室は以前と何ら変わっていませんが「甲府の街中にこんないいお湯が湧いているのか!」と入る度に感動する湯のすばらしさは健在です。また、日帰り入浴の受け入れを止めてしまったので(かつて日帰りでも何度も利用させてもらったので少し残念ではありますが)現在は温泉浴室を利用できるのは宿泊客のみとなりました。
2食付きでの宿泊も可能で、朝食・夕食共に館内のレストランでいただきます。
夕食は、品数豊富で盛り付けなども凝っていておいしかったです。甲府の街中にある宿なので外食できる店はありますが、週末だと予約なしでは入れないお店も多いので、館内のレストランで夕食を食べるのも気楽で良いと思います。


また、ホテルの1階にはYATSUDOKIカフェというシャトレーゼ系列のカフェがあり、朝9時から営業していますので、朝食は宿で食べずにカフェを利用するのも良さそうだなと思います。
【11月】山梨県「大蔵経寺山」に登り、石和温泉へ
11月におすすめの山は、特急かいじの停車駅でもある「石和温泉駅」から徒歩でアクセス可能な大蔵経寺山です。
その名の通り「大蔵経寺」というお寺の背後にある山です。お寺の裏山ですね。
駅を出るとすぐに、山の姿を見つけることができます。登山口までは駅から徒歩10分ほど。


登山口付近にはどんぐりの実がたくさん落ちていました。
案内板に従って歩いていくと、1時間ほどで山頂に到着。山頂は眺望もないので長居せず。


紅葉の小径を下っていくと、途中に富士山が眺められる(はずの)展望スポットがあります。


葛飾北斎の「富嶽三十六景」の一つに数えられる「甲州伊沢暁」という浮世絵は、この場所から眺めた朝焼けに染まる富士山を描いたとされているのだとか。
この日は残念ながら雲に隠れて富士山は見えませんでしたが、この展望スポットは開けていて昼食休憩を取るのにもちょうどいい場所です。
11月の晴れた日は、奥多摩あたりは混雑でごった返していますが、大蔵経寺山は眺望もアクセスも良く、登りやすいにも関わらず歩き始めから下山まですれ違ったのは数名のみ。静かなゆる山歩きを楽しむことができます。

下山後、温泉を楽しんだ後は駅併設の観光案内所にある「駅なかワインサーバー」で、甲州ワインの有料試飲を楽しむのがおすすめです。
日帰り入浴なら「旅館深雪温泉」へ
下山後の日帰り入浴は、毎分1415Lという圧倒的な湯量を誇る温泉宿、旅館深雪温泉がおすすめです。
こちらの宿、本当にすばらしいお湯なので、できれば泊まって楽しんでいただきたいのですが……最近、特に1人での宿泊はなかなか予約できなくなってしまったので。


日帰り入浴の営業時間は、じゃらんのブログで随時更新されているようですので、ご確認の上お訪ねください。
宿泊するなら「日の出温泉」がおすすめ!
宿泊する場合は、大蔵経寺山の登山口近くにある温泉宿、日の出温泉がおすすめです。
残念ながら現在は、土曜日の1人泊の受け入れがなくなってしまったようなのですが……2食付き1万5千円以下で1人で泊まれて、お湯も食事もサービスも良い宿です。

浴室は内湯のみ(露天風呂もあるがお湯を張っていない)ですが、2つの浴槽があって熱めとぬるめ、温度の異なる2種類の源泉が楽しめるのがうれしいポイントです。


熱めのほうが石和温泉の共同源泉で、ぬるめが自家源泉だったと思います。


朝夕の食事は量もたっぷりあり、馬刺しなど甲府の名物料理も並び、甲州ワインを飲みつつ楽しむことができます。
【12月】神奈川県「金時山」に登り、仙石原温泉へ
12月は春にも足を運んだ箱根で今度は別の山に。
標高1212メートルの金時山に「金時神社」から登って、仙石原に近い「金時登山口」に下りるルートがおすすめです。
金時山は1月以降は少し雪が積もることもありますが、12月の時点で登山道に雪があることはめったにありません。しかし季節は冬ですのその年の気候によっては「絶対ない」とは言い切れませんから、登山前にヤマレコで直近に登った方の登山記録を見て、登山道の状況を確認しておくことをおすすめします。(ヤマレコユーザーは登山道に雪があったら間違いなく写真をあげます)
登山口となる金時神社の前には「金時神社入口」というバス停があり、新宿から直通の高速バスもこの停留所に泊まります。あるいは、箱根湯本駅から「仙石」バス停までバスで来ても、バス停から徒歩10分弱で金時神社に着きます。
樹林帯の登山道を登っていくと、道中に真ん中で2つに割れた巨岩「金時宿り石」などがあり、楽しみつつ登っていきます。


2時間弱で山頂に着きますが、山頂から眺められる富士山の眺望が圧巻の美しさです。


いつ登ってもいい山ですが、富士山は雪がついている季節が特に美しいので、12月の晴れた日なら雪化粧をした富士山を眺めることができるのです。
山頂は開けていて、茶屋やトイレもありますのでゆったりと昼食を楽しめます。


帰りは芦ノ湖や、明神ヶ岳に続く縦走路を眺めつつ、1時間少々で仙石原に着きます。
日帰り入浴・宿泊共に「マウントビュー箱根」へ
仙石原エリアには意外と日帰りで楽しめる温泉が少なく……。
宿泊施設としてもおすすめの「マウントビュー箱根」が日帰り入浴を11時から15時まで受け付けていますので、登山口に近い仙石原周辺で日帰り入浴するならマウントビュー箱根がおすすめです。
15時を過ぎてしまいそうだったり、もう少しゆっくりお風呂を楽しみたい場合は、箱根湯本駅までバスで戻って、5月のところで紹介した「日帰り温泉和泉」に行くのも良いかと思います。
マウントビュー箱根は、大浴場の露天風呂と、有料の貸切露天風呂で白濁の硫黄泉を楽しむことができます。


食事は和食のコースですが、宿の近所にある有名なお肉屋さん「相原精肉店」で仕入れたローストビーフやステーキがつくプランもありました。


私は前回泊まったときは、相原精肉店のローストビーフ付きのプランで予約したのですが、現在はローストビーフのプランは出ていないようです。(ステーキはあるのですが)
おすすめプランとしては、1日目のチェックイン前に金時山に登り、下山後そのままチェックインしてマウントビュー箱根に宿泊し、翌日は箱根観光をするというのが、登山も温泉も観光も楽しめて満足度が高いのではないかと思います。
【1月】静岡県「葛城山・城山」に登り、大仁温泉・伊豆長岡温泉へ
4~10月に登りたい山として紹介した山の多くが雪に包まれる1月ですが、伊豆エリアの山であればその心配はほぼありません。ただし都心で雪が降るときは伊豆でも降っていることが多いですから、念のため登山道の状況は見ておいたほうが良いでしょう。
1月におすすめする「葛城山」と「城山」に「発端丈山」を加えると「伊豆三山」と呼ばれたりします。発端丈山も合わせて縦走しても良いのですが、少しルートが長くなってしまうのと「城山」の登山口は大仁温泉に近く、「葛城山」は伊豆長岡温泉に下山できるので「公共交通機関利用で温泉と合わせて楽しむ」という計画に合わせて2山での縦走としました。

大仁温泉から城山に登るルートは、かつて長嶋茂雄さんがトレーニングのために好んで登った道だそうで、登山口に向かう道路上には「長嶋茂雄ロード」の道標がありました。
大仁駅から登山口までは徒歩20分ほど。道もよく整備されています。


標高342メートルの低山ながら、山頂からの眺めはなかなかのものです。
大仁駅から城山までが1時間少々で、城山から葛城山の山頂までがのんびりあるいて1時間30分ほど。葛城山山頂には「伊豆パノラマロープウェイ」が運行しているのでこちらを利用すれば登山のコースタイムは3時間弱になります。葛城山の山頂は富士山の眺めが良く、1月はロウバイが咲いているのもうれしいポイントです。


ロープウェイで葛城山の山頂だけ来る方も多いので、カフェや撮影用のスポットが用意されており、観光地化されています。

城山から登っても葛城山から登ってもコースタイムは変わりませんので、下山後の計画によってどちらから登るか決めて良いかと思います。

伊豆パノラマロープウェイを下りると伊豆長岡温泉です。
日帰り入浴なら「弘法の湯 長岡店」へ
伊豆長岡温泉で泊まって大仁温泉で日帰り入浴しても、大仁温泉で泊まって伊豆長岡温泉で日帰り入浴してもどちらでも良いのですが、私はこちらの「弘法の湯 長岡店」で日帰り入浴することが多いです。

日帰り入浴料金はややお高めなものの、時間制限はなく、岩盤浴にも入り放題。浴衣やタオルなどもすべてセットになっています。
お湯も大変良いし、館内で食事もできますので、長時間滞在してのんびり過ごしたい施設です。宿泊施設も併設されており、素泊まり7700円~ひとり泊可能です。
宿泊するなら「
大仁温泉 旅館 一二三荘」がおすすめ!
城山に近い大仁温泉なら「旅館一二三荘」が湯も食事も良く、料金もかなりお安いのでおすすめです。
浴室は男女別の大浴場のほか宿泊者専用の貸切風呂が1室あり、予約制で空いていれば何度でも利用できます。(最初の予約の時間が終わったら、次の予約を取る方式)


貸切風呂には小さな露天風呂もついており、線路沿いに立つ宿なので露天風呂に入っているとすぐ近くを電車が通り抜けていくのが楽しいです。
また食事も、量もたっぷりあり、味も大変良かったです。


ビジネスプランなら1万円以下、スタンダードな食事のプランでも1万円前後で2食付きで泊まれる宿なのですが、とてもそうとは思えない、お酒がすすむ料理が次々と並びます。


朝食も、伊豆の宿らしく鯵の干物がおいしかったです。

こちらの宿も日帰り入浴を受け付けており、入浴料金も500円とお安く日帰りで訪れる方も多いのですが、貸切風呂と食事がすばらしいので、ぜひ泊まって楽しんでいただきたい宿です。
【2月】神奈川県「幕山」に登り、湯河原温泉へ
2月は、神奈川県の湯河原温泉にほど近い「幕山」がおすすめです。
なぜこの時期がおすすめかというと、幕山の登山口は「幕山公園」という梅林で有名な公園なのですが、ここで毎年2月~3月初旬ごろまで「梅の宴」なるイベントが開催されるのです。
湯河原駅から幕山公園まではバス便がありますが、梅の季節以外はかなり本数が少なく、行きはバスで来れても帰りは少し離れたバス停まで歩くことになります。しかし梅の季節であればバスがかなり増便されるので、公共交通機関利用でも無理なく楽しめるのです。
もちろん、梅の盛りの季節は梅林の中から登山をスタートできるというお楽しみもあります。


標高626メートル。1時間ほどで登頂できる低山ですが、道すがらに相模湾を眺められる眺望ポイントもあります。

山頂は広場のようになっていて、昼食休憩を取るのにもちょうどいいです。


公園の周辺が人でいっぱいでも、山頂まで来る人はそんなに多くないので、静かな山の時間を楽しめます。

帰りは増便されている湯河原駅行きのバスで戻ります。
日帰り入浴なら「こごめの湯」へ
幕山登山後におすすめの日帰り温泉は、湯河原駅から奥湯河原駅行きのバスで10分ほどの場所にある「こごめの湯」です。
入浴料1100円。内湯と露天風呂があり設備の整った日帰り温泉施設です。
お湯は特筆すべきことはなく、混雑する日は塩素臭が気になることもありますが……9時~21時と営業時間が長いこと。そしてこごめの湯から徒歩5分ほどの場所にある「ビールスタンドかどや」に風呂上がりに立ち寄れるのが良いのです。


お湯重視であれば「ままねの湯」で日帰り入浴させてもらうのもおすすめです。(お湯はとても熱いですが……)
宿泊するなら「源泉上野屋」「Albergo 湯楽」がおすすめ!
湯河原でおすすめの宿は2軒あり、どちらも人気の宿なので直前の予約は困難です。前もっての計画・予約をおすすめします。
まず、登録有形文化財指定の趣ある建物の宿、源泉上野屋。


エレベーターはなく急な階段での移動となりますが、客室内や水回りなどはとてもきれいで快適。
熱めのお湯も大変すばらしく……。高温の源泉なのでお湯を張るタイミングでだけ加水しているそうですが、以降は源泉をそのままかけ流しているとのこと。


ひょうたん型の湯口の周辺には源泉の成分がびっしりとこびりついていました。
時間帯で男女が交換となる共同浴室のほか、空いているときに貸切で利用できる露天風呂が2ヶ所。


最上階には開放感抜群の「天空の足湯」もあります。
お酒の種類もなかなかのもので、湯河原町内に醸造所のあるHUMANS BEERの瓶ビール。


地酒の呑み比べセットもあります。
前菜からしっかりと手の込んだ料理が並び、お刺身の盛り合わせも新鮮で大変おいしかったです。


ネット予約だと直近2ヶ月分ぐらいしかプランが出ていないことが多いですが、確実に予約したければ先の日程も電話予約で受付可能だそうですので、ご検討ください。
もう1軒は、これまで4度宿泊しているお気に入りの宿、オーベルジュ湯楽改め「Albergo 湯楽」です。
名前の変更ができていませんが、宿泊レポートも公開していますので、詳細はこちらをご確認ください。

お湯はすべて源泉かけ流しで、大浴場のほかに予約制の貸切露天風呂も楽しめます。
食事はお酒の種類も豊富で、肉も魚も野菜も何でもおいしいです。


食べられる花で彩られた地魚のカルパッチョは、見た目も味も毎回すばらしい……。
グレードアッププランの「シェフ特選コース」で選択できる、イタリア産トリュフをたっぷりとまぶした土鍋ご飯。


「イタリアンコース」の自家製パンとチーズもおいしく、プランの選択も毎回悩ましいです……。
朝食は基本は和食で、イタリアンプランで宿泊の場合のみ、洋食の選択が可能です。


Albergo 湯楽に宿泊するのであれば、登山はチェックイン前でなくチェックアウト後の腹ごなしにとっておいたほうがいいかもしれません。
【3月】静岡県「大平山」に登り、伊東温泉へ
3月におすすめの山は、静岡県伊東市にある標高578メートルの低山、大平山です。
伊東駅から徒歩で登山口までアクセス可能で、周回ルートのコースタイムが3時間ほどとほどよいのも魅力的。
低山登山は登山道の整備状況が心配なこともありますが、大平山の登山道はしっかりと整備されていました。


迷いやすい樹林帯の中の道にも、わかりやすく案内版が設置されています。
「馬場の平」という展望スポットからは、山焼きで有名な独立峰の火山「大室山」の姿が。大室山は標高580メートルの低山ですが、近くで見ると浅間山のような、いかにも火山らしい姿を楽しめます。


海側には伊東の街並みと、その向こうに伊豆大島の姿も眺めることができます。


山頂は眺望はよくありませんが、山頂の近くには富士山を眺められるスポットもあり、眺望も楽しめて歩きやすく、冬でも雪が積もることはめったにない、おすすめの山です。
日帰り入浴なら「大東館」へ
伊東駅周辺で日帰り入浴をするなら、伊東駅から徒歩12分の場所にあり、営業時間も14時~22時まで長く、かけ流しの湯を楽しめる大東館がおすすめです。

入浴料金は平日800円、土日祝日は1000円。
大浴場のほか、空いているときに貸切で利用できる貸切風呂も日帰り入浴の基本料金のみで利用可能です。
湯温の異なる3本の源泉を持ち、混ぜ合わせることによって適温の湯にしている、加水・加温・循環なしのかけ流しの湯を時間制限なしで楽しめます。
夕食の提供はしていないものの宿泊営業も行っており、土曜日も1人で宿泊可能な宿です。宿泊すれば浴室は夜通し利用可能なほか、部屋のお風呂にも源泉が供給されておりお部屋で風呂三昧も楽しめます。
伊東市内の飲食店も徒歩圏内にありますので、夕食は外食して泊まって楽しむのも良さそうです。
宿泊するなら「マストランプ」「ゲストハウス倭荘」がおすすめ!
伊東温泉で宿泊するなら、まずおすすめなのはフレンチベースのコース料理と貸切利用の浴室がすばらしいプチホテル「マストランプ」です。

宿泊レポートも公開しています。
滞在中は館内にある2ヶ所の内風呂と、開放感たっぷりの露天風呂をいずれも予約制の貸切で利用できます。


1人で泊まれるのは基本的には平日のみですが、かけ流しの露天風呂付きの部屋にも1人で宿泊可能です。
夕食は併設のレストランでいただく、伊豆の食材もたっぷりと使ったフレンチベースのコース料理。


看板メニューの「伊勢海老のブイヤベース」はまさに絶品で、リゾットにしてスープまでいただきました。
朝食も洋食で、自家製ドレッシングのサラダやスープが本当においしい!


焼き立てのパンは4種類から、好きなものを好きなだけ選んでいただきます。
2度宿泊していますが、きっとまた泊まりに行きたいお気に入りの宿です。
もう1軒おすすめなのは、2食付き8500円から1人泊可能な「ゲストハウス倭荘」です。
宿泊レポートも公開しています。レポート公開時はまだコロナ禍の料金だったので、少し高くなってしまいましたが……現在も1万円台前半で、おいしい食事とすばらしいお湯を楽しめる宿です。また、ゲストハウス倭荘はドミトリー以外に個室もたくさんある宿なのですが、1人泊で個室を利用できるのは現在は平日のみのようですね。
廊下にはバラエティ豊富な蔵書の本棚が並び、客室も清潔で快適。


キッチンには大きな冷蔵庫や調理家電、鍋や食器などがしっかりと揃っており、自炊での利用も問題なくできる環境です。
浴室は内湯のみですが、かけ流しです。


こちらの宿、なぜだかとてもお湯が濃いような気がしたのですけれど、なぜなんでしょうね。とにかくとても良いお湯ですし、浴室も清潔です。
食事付きのプランの場合は予約時に好みのメニューを選ぶことになりますが、おすすめは地魚の舟盛りがつくお刺身プランです。


朝食は大きな鯵の干物のほか、手作りの豆腐などさまざまなメニューが並び、朝からお腹いっぱいになりました。自炊も可能ですが食事の質・コスパがすばらしいので食事付きで泊まりたい宿です。
登山はそれだけでも楽しいが、温泉と組み合わせると楽しみが何倍にもなる
私自身はもともと「温泉ひとり旅」が趣味だったところから「ひとり登山」をはじめました。
登山にどハマりしていた5年間ほどは「登山前か登山後に温泉宿に泊まる」などということは眼中になく、すべての休日を山中で過ごせるように都合していました。
しかし、5年間で「是が非でも登りたい」と思っていた山に概ね登ってしまい、次はどこに行こうかと考えたときに「これまで登ったことのある山であっても、温泉宿への宿泊と組み合わせることで楽しみが倍になるのではないか」と思ったのです。

実際に「登山+温泉宿」の旅を計画・実行してみると、何度も登ったことのある山であっても「旅」としての楽しみが何倍にもなりました。さらに、これまであまり興味のなかった低山やゆる山も「温泉宿への宿泊と無理なく組み合わせられる」山として、輝いてみえるようになりました。
これからも、すばらしい山と温泉宿を探して、旅をしていきたいと思っています。
温泉宿や登山についてのブログには書けなかった情報や本音、日記などが読めます。





















