選んだ12軒の宿はすべて1人で宿泊した宿です
2017年から毎年、1年間に泊まった宿を振り返って「部屋」「風呂」「食事」というそれぞれの側面において「この宿はすばらしく良かった!」と印象に残っている宿をそれぞれ1位から3位まで紹介する、という記事を更新しています。
1位から3位までなら9軒のはずですが、全部門3位は2軒選出しているので全12軒ご紹介しています。甲乙付けがたかったので無理に3位決定戦をするのは諦めました。
過去7回分の記事は下記になります。
2024年版で選んだ宿も、すべて1人で宿泊した宿です。12軒の宿のうち6軒は、休前日でも1人で宿泊可能な宿です。私自身もそうですが、土日休みの勤め人で、できれば土曜日に1人で泊まれる宿が知りたい……という方が多いのではないかと思いますので、各宿についていつなら1人で予約可能かを付記しています。ちなみにですが「休前日に1人泊のプランが出ていない」6軒の宿についても、まめにチェックしていると土曜日に1人泊のプランがスポット的に出ることがあり、そういうタイミングで予約した宿もあります。
一人旅で利用しやすい温泉旅館については、発売中の著書にもたくさん掲載していますので、ぜひ、お手に取っていただけますと幸いです。
- 選んだ12軒の宿はすべて1人で宿泊した宿です
- 2024年「部屋と建物」が良かった温泉宿ランキング
- 2024年「風呂」が良かった温泉宿ランキング
- 2024年「料理」が良かった温泉宿ランキング
- 【おまけ】「部屋・風呂・食事」すべての満足度が高かった、絶対再訪したい宿をまとめた記事を公開しました
「部屋と建物」「風呂」「食事」の項目ごとに良かった宿ランキングを作った
普段、温泉旅館の宿泊レポートを書く際に私は、★5つを満点として「部屋」「食事」「風呂」について自分なりに採点し、最後にサービスや総合的な印象などを含めて「再訪したい度」を決めて、ご紹介するようにしています。
そのため、この記事ではそれに倣い「部屋」「食事」「風呂」という観点で、最高に印象に残っている宿を1位~3位まで発表します。項目ごとのランキングなので「お湯はいいけど、食事はちょっと……」な宿であっても「風呂ランキング1位」になり得るということです。
ただ、実際に「いい宿だったか」「また泊まりたいか」ということを考えるときは「部屋」「風呂」「食事」のどれかが突出していい宿だけではなく「すべてが平均的に良い」宿や「サービスが良い」「コスパがいい」宿が上位に来ることも多いものです。
昨年同様「いろんな要素を総合的に見たランキング」は、別の記事でまたご紹介したいと思います。
2017年~2023年に泊まった宿の総合ランキングは下記です。
2024年「部屋と建物」が良かった温泉宿ランキング
宿泊レポートの中では「部屋」という項目名ですが、実際には
・建築物としてすばらしく「ここに泊まれるのか!」という感動がある
・設備が整っており、住みたいぐらい快適に過ごせる
という2軸で見ているため「部屋と建物」が良かったランキングとしています。
選んだ4軒の宿のうち3軒は過去にも宿泊したことがあり、1軒は2024年に初めて宿泊した宿でした。いい宿には再訪したいタイプなのです。
部屋と建物第3位 北海道「ピリカレラホテル」
部屋が良かった宿3位に選んだのは、北海道の白老町にある全6室の温泉付きホテル「ピリカレラホテル」です。
2023年11月に初めて宿泊したのですが、あまりにも気に入ってしまい2024年の11月に早くも再訪してしまいました。
全室温泉浴室付き、全6室のプチホテルですが土曜日も1人泊可能、かつ休前日の割増料金もなく、土曜日も平日と同じ金額で泊まれます。
また、1室に泊まれるのが2人までなのですが、1人で泊まる際の料金は「2人で泊まったときの1人分の料金と同じ金額」です。つまり「ツインのシングルユースだけど割増料金なし」という……ひとり旅愛好家にとって本当にありがたい宿です。
徒歩圏内にアイヌの村を再現した野外文化博物館である「ウポポイ 民族共生象徴空間」があり、宿泊前後に立ち寄る方が多いようです。
白老駅からホテルまでは徒歩15分。前日までに連絡すれば駅まで送迎してもらえますが、私は途中にあるコープさっぽろや宿の目の前にあるセイコーマートに立ち寄りつつ、のんびり歩いていきました。
「2024年下半期に泊まって良かった温泉宿」や「1人でも温泉付きの部屋に泊まれて食事がおいしいご褒美温泉宿」の記事でもご紹介しています。
極上モール泉の温泉浴室付きの快適な客室!夕食はフレンチ、朝食はイクラかけ放題
昨年も今年も「部屋」部門で選出しているのですが、食事も温泉もすばらしく、どの部門でご紹介するか迷ってしまう宿です。
チェックイン時にいただける焼き菓子も手作りでおいしい。
客室は50平米のツインの洋室です。「全室スイートルーム」と謳われていますが、スイートルームを想像していると少し印象が異なるかもしれません。ですが、1人で泊まるならもちろん、2人で泊まるにも十分過ぎる広さです。
2023年の宿泊時は、リビングスペースにソファがある洋室に宿泊しましたが、今回は琉球畳の敷かれた畳&掘りごたつスペースのある和洋室です。


掘りごたつの橫にも小さめのテレビがありますが、ベッドの前にも大きなテレビが設置してありました。こたつでだらだら&PC作業をしたり、ベッドでごろごろしたり、マッサージチェアを使ったりしてゆったりと過ごします。


客室にはコーヒーや紅茶がたっぷり飲めるようセットしてあり、冷蔵庫内のソフトドリンクも無料です。
そして客室風呂!


2人で浸かるには少々狭めですが、1人ならゆったり浸かれる広さの浴槽に、茶褐色のモール泉が常時かけ流されていました。湯上がりは肌がツルツルになる美肌の湯です。
また、客室の風呂には腰かける段差などはないのですが「浴室内で使用するための椅子」が用意されており、半身浴も楽しめるようになっています。


化粧水などのアメニティも上質なものが揃っており、ドライヤーは、2023年に泊まった部屋はPanasonicのナノイーでしたが、今回はRefa。


客室風呂のほかに45分間無料で貸切利用できる、開放感抜群の貸切露天風呂もあるのもうれしいポイントです。
そして食事も大変おいしい!「鉄板フレンチ」と「和食」から選択でき、前回も「鉄板フレンチ」を選びましたが今回も鉄板フレンチ。
ワインのペアリングをオーダーし、食事と一緒に楽しみました。「ペアリングデミ」という「シャンパン、白ワイン、赤ワイン」の3杯のペアリングプランがあったのが手頃で良かったです。白と赤については好みを聞いて出してくれました。


前菜の「北海道産きのこのケークサレ ブルーチーズのソース」がもう抜群においしくて、シャンパンをあっという間に飲み干してしまいました。
野菜のプレッセ(テリーヌ)も美しくおいしく。


鉄板焼きのセオリー通りに焼く前のお肉を見せてくれ、目の前で焼いてフランベしてくれるサービスも。


〆のご飯はもちろんガーリックライス!白老牛のスープをかけてスープご飯にしていただきました。


食後には、ラウンジで20時から23時まで食後酒をセルフで楽しめるサービスも。


朝食ではイクラを「ストップ」と言うまで好きなだけかけてくれます。
1年ぶりの宿泊でしたが、今回も快適な部屋と湯と食事を存分に楽しみました。日本酒のラインナップも豊富ですし、朝食の和食も大変おいしいので、次は夕食で和食も食べてみたいです。(しかし、鉄板フレンチが魅力的すぎる)
部屋と建物第3位 兵庫県「有馬温泉 ホテル花小宿」
もう1軒、部屋がよかった宿3位に選んだのは兵庫県有馬温泉の「ホテル花小宿」です。
土曜日も1人で泊まれる宿で、レビューの評価も大変高いのでいつか泊まってみたいと思っていたのですが、2024年の12月に初めての宿泊が叶いました。
有馬温泉の中心街にある全9室の小旅館で、有馬温泉駅からは徒歩8分と徒歩圏内。


この日は朝1番の新幹線で新神戸に着いて有馬温泉に向かい、六甲山を歩いてからチェックインする予定でした。それで、登山に不要な荷物をチェックイン前に預かってもらえるかを前日に電話で問いあわせたところ「有馬温泉駅に着いたらお電話いただければ迎えにあがります!」と言われ、なんと午前10時過ぎに宿の方が駅まで迎えに来てくださいました。


その後は荷物を預かってもらい、身軽に六甲山ハイクを楽しむことができました。
有馬温泉は六甲山の登山口やロープウェイ乗り場が徒歩圏内にある温泉地なので、このサービスは大変ありがたかったです。
小上がりのある洋室は雰囲気もすばらしく、貸切で金泉を楽しめるのもうれしい
六甲山登山を楽しんだ後、15時過ぎに温泉街に戻ってきてチェックイン。


ホテル花小宿は2階建ての木造建築で、館内はしっかりとリノベーションが施されています。
宿泊したのは2階の洋風の2ベッドルーム。フローロングの部屋ですが、壁際に小上がりがあってクッションが置いてあるのでこちらでゴロゴロできるのも良いです。


部屋の奥の引き戸を開けると、恐らくリノベ前に和室だったときに広縁だったと思われるスペースが。このスペースもきちんと手を入れられていて、テーブルと椅子が置かれ、レースのカーテン越しに優しい光が注ぐ、くつろぎスペースになっていました。


また、ライティングデスクとチェアもあり、PC作業がしやすいのもうれしい。
テレビはやや小さめですが、なんだかとてもレトロな雰囲気のテレビです。昭和レトロなブラウン管テレビに見えますが、ちゃんと地デジが映ります。しかも、昔懐かしい捻って回すタイプのチャンネルが飾りではなく、回すとちゃんとチャンネルが切り替わるうになっていたので驚きました。


冷蔵庫やお茶セットも完備されており、冷蔵庫も部屋の雰囲気に合うように木目調で、冷凍庫付きの冷蔵庫なのもうれしい!
各種お茶のティーパックやコーヒーカプセルも各部屋に置かれています。


コーヒーは廊下にあるマシンで淹れていただく方式でした。
浴室は、かけ流しの金泉が楽しめる小浴槽と、ミストサウナがセットになった貸切風呂が2室あり、予約制ではなく空いているときに鍵をかけて入る方式。チェックインから翌朝11時まで夜通し楽しめます。


客室数が9室に対して貸切風呂が2室なので、夕食前や朝の時間帯は混み合いますが、深夜早朝などを狙えばゆっくり楽しめます。各階の廊下に空き状況を示すライトがあるので、チェックして入りに行く仕組みです。予約はできないのでタッチの差で入れなかったりということもありました。
花小宿から徒歩数分の場所にある姉妹館の「陶泉 御所坊」の大浴場も、チェックイン日の20時まで利用できるので、夕食前の時間帯はそちらを利用するのも良いかと思います。
食事はオープンキッチンのカウンターのある食事処でいただきます。
兵庫県産の食材を使ったお酒によく合う料理で、大変おいしかったです。


〆のご飯が、普通のご飯とお味噌汁か、兵庫県産の播州百日どりのチキンカレーから選べるとのことで、もちろんチキンカレーに。スパイシーで本格的なカレーでした。
朝食も同じ食事処で。


京言葉で「おくどさん」と呼ばれる釜で炊かれた炊きたてのご飯と、炭火で焼かれた焼き魚、美しい色合いのサラダなど、しっかりと手のかかった朝食を大変おいしくいただきました。
部屋と建物第2位 神奈川県「湯河原温泉 源泉 上野屋」
部屋と建物が良かった宿2位に選んだのは、神奈川県湯河原温泉の「源泉 上野屋」です。
2022年の9月に初めて宿泊してとても気に入り、2014年12月に2度目の宿泊が叶いました。
JR湯河原駅から奥湯河原駅行きのバスに乗り10分ほど。「温泉場中央」というバス停が最寄りですが、1つ手前の「公園入口」で降りて、「湯元通り」という石畳の雰囲気ある道を歩いて向かうのがおすすめです。


公園入口バス停からでも徒歩5分ほどで、江戸時代から300年以上続くという湯河原一の老舗旅館、源泉上野屋に着きます。
少し前まで1名での予約は取りにくかったのですが、現在は直近1ヶ月ぐらいの平日であれば、比較的予約が取りやすいようです。また、1ヶ月以上先の予約であっても、電話予約であれば1名でも受けてもらえるようですので、どうしてもこの宿に……!という場合はチャレンジしてみるのも良いかと思います。
磨きあげられた登録有形文化財指定の宿は、快適度も高く湯も極上!
源泉上野屋の建物は、大正~昭和初期に建てられた3つの棟に分かれており、すべての棟が登録有形文化財に指定されています。


玄関棟は比較的新しく感じるのですが、昭和11年ごろ築とのこと。


客室のある木造4階建ての本館は昭和5年ごろ築。エレベーターがないので急な階段を上り降りしなければなりませんが、廊下も階段もどこもかしこもピカピカに磨きあげられていることに驚きます。
前回はトイレが客室外にある部屋に泊まりましたが、今回はトイレ付きの部屋に宿泊。トイレ無しの部屋のほうが1000円ぐらい安く泊まれるのですが、やはり客室に付いていたほうが便利ではあります。
客室は純和風の造りで光がたくさん入る日当たりの良い部屋。天井も高くゆったりとした造りです。
文化財指定の古い建物のお宿は、見る分には趣があって良いけれど快適性は高くないことも多いものですが、源泉上野屋は急な階段の上り下りさえ気にならなければ、至極快適に過ごせる宿です。
ちなみに、がんばって階段を登っていった最上階には湯河原の街並みを見下ろせる眺望抜群の展望足湯もあります。


元は客室だったのだと思いますが、タオルも常時設置され、隣の部屋はお休み処のようになっています。とても雰囲気の良い足湯ですが、最上階で行くのが面倒だからかいつ行っても誰もおらず1人でのんびりできる、穴場の足湯です。
もちろん、足湯だけでなく浴室、そしてお湯もすばらしいのです。
1階に男女別の大浴場があり、こちらは時間帯で男湯と女湯が入れ替わります。
大浴場は内湯のみですが、3階には貸切露天風呂が2室あります。外の風を感じながらの湯浴みを楽しめます。


貸切風呂は宿泊客が多い日は予約制になるそうですが、私が泊まった日は2回とも「空いているときに鍵をかけて入る」方式でした。
ちなみに源泉上野屋はお湯も大変良いです!湯河原でこれまでいくつかの宿に泊まっており、かけ流しでお湯の良い宿にばかりを選んでいるのですが、中でも源泉上野屋さんのお湯は特に濃い感じがします。源泉が熱いので、浴槽にお湯を溜めるときだけ加水しているそうですが、以降は源泉のみを投入する方式だとのこと。湯口にびっしりと付いた白い結晶も、源泉の濃厚さを物語っているように思います。
食事処でいただく食事は、個室というわけではないですが他の席との間にはしっかりと仕切りがあるので視線は気になりません。。


海が近い湯河原なので魚がおいしい!お刺身やアワビの酒蒸しをつまみに日本酒飲み比べをいただいた後、湯河原で醸造されているHUMANS BEERがあることに気がつき、後半の肉料理と一緒にいただきました。


朝食は鯵の干物と湯豆腐がつく、旅館の朝食の見本のようなメニュー。
おいしくいただいてチェックアウトした後は、湯河原から便のいい低山の「幕山」でハイキングを楽しみました。


2月の梅で有名な山ですが、12月初旬のこの日は天気も良く寒すぎず、紅葉まで楽しむことができました。
こちらの記事↑内でも、2月に源泉上野屋さんに泊まって幕山に登るプランをご紹介しています。
部屋と建物第1位 熊本県「人吉温泉 芳野旅館」
部屋と建物が良かった宿の第1位は、2024年6月に宿泊した熊本県人吉温泉の「芳野旅館」です。今回が3度目の宿泊になります。
1度目2度目の宿泊でも、登録有形文化財指定の趣ある客室とおいしい食事、肌に優しい温泉などが気に入って「また必ず泊まりに来たい」と思っていた宿なのですが、その後2020年の豪雨で宿の建物も大きな被害を受け、長期休業を余儀なくされました。
芳野旅館は2022年11月に復興リニューアルオープンし、今回リニューアル後初めて泊まることができました。現在は土曜日も1人泊のプランが出ています。
ちなみに人吉温泉の最寄り駅である人吉駅に乗り入れていたすべての電車も、2020年7月の豪雨以降運休したままです。現在は公共交通機関利用だと鹿児島空港からバスになるかと思います。私は「高速きりしま号」を利用しましたが、2024年の10月からは「つばめエアポートライナー」という予約制の乗合直行バスも利用できるようです。
かつての趣を残したまま、美しく快適に生まれ変わっていたことに感激!
玄関とフロント周辺は、元々の建物の雰囲気を残しつつも、美しく生まれ変わっていました。ピカピカに磨かれた廊下が美しい。


客室に案内していただく際、広々とした洋間にテーブルと椅子が置かれた洒落た会議室のような部屋の前を通りましたがこちらは「ラウンジ」だそうで。特にドリンクサービスなどがあるわけではないのですが、自由に使って良いとのことでした。
今回宿泊したのは「南天の間」です。
芳野旅館には15室の部屋があり、すべての部屋の造りや装飾が異なるそうです。予約の際に「この部屋に泊まりたい」という希望があれば「客室を選べるプラン」で予約することもできますが、宿泊料金がアップしてしまうので、私は「部屋おまかせプラン」で予約していました。


部屋に入ると次の間のような空間があり、明かり取りの窓が花のような形になっているのが素敵ですね。
客室はシンプルな和室ですが、ところどころに凝った意匠があったり「壁に埋め込まれた木は○年前のもの」というお話を聞けたりしたのが楽しかったです。


布団はチェックイン時から敷いてあり、寝具は上質で寝心地も良好。
広縁がゆったりと取られていてソファとテーブルが設置してあり、風呂上がりにだらだらするのにちょうど良い空間でした。


客室内にトイレと洗面所も設置されており、水回りはリニューアルの際にすべて新しくなったようで、快適に利用できました。
客室に置いてあった、イラストの館内見取り図を眺めつつ「今度はこの部屋に泊まってみたいなあ」などと考えたり。


それから、中庭!
豪雨災害後に庭がめちゃくちゃになってしまった写真を見てショックを受けていたので、美しく再生されたお庭をホッとしながら眺めていました。
肌に優しい源泉のすばらしさは変わらず。大浴場は元の浴槽を一部残しつつも、きれいに改装されていました。


また、新しく設置された貸切風呂は広々としていて、美しい庭を眺めつつの湯浴みが楽しめました。貸切風呂は、チェックイン日は予約制で、翌朝は空いていれば好きなときに入ってOK、という方式だったので、夕方と朝で別の貸切風呂に入らせてもらいました。
人吉温泉は球磨川で獲れる鮎が有名な温泉地ですが、今回は6月の宿泊で、初めて鮎の季節に泊まることができました。


芳野旅館はもともと料亭から始まった料理旅館ですので、食事はいつ泊まってもおいしいのですが……今回は鮎のお刺身や鮎の天ぷらなど鮎料理を目一杯楽しめたのも嬉しかったです。
食事は朝夕食事処でいただきますが、この食事処も天井が高くて開放感があり、雰囲気の良い食事処でした。


もともと大好きだった宿が豪雨災害を経て、さらにパワーアップしてリニューアルを遂げていたことに感激した1泊でした。現在は土曜日も1人で泊まれますので、きっとまた泊まりに行きたい宿です。
2024年「風呂」が良かった温泉宿ランキング
「風呂」の良さには「お湯そのものの良さ」と、浴室がきれいで新しい・露天風呂からの眺めがいい・アメニティがしっかりあるなど「浴室の環境の良さ」の2つに分かれるのではないかと思うのですが、ランキングでは特に「お湯」を重視して選びました。
選んだ4軒の宿のうち2軒は過去にも宿泊したことがあり、2軒は2024年に初めて宿泊した宿でした。いい宿には再訪したいタイプなのです。
風呂第3位 福島県「猪苗代沼尻温泉 沼尻高原ロッジ」
お湯が良かった宿第3位に選んだのは、福島県の沼尻温泉にある「沼尻高原ロッジ」です。2020年の10月に初めて泊まり、お湯と食事のすばらしさに「絶対また泊まりに来よう」と思っていた宿ですが、2024年11月に4年ぶりの再訪が叶いました。
かつては登山家の田部井淳子さんがオーナーを務めたロッジで、その後福島県内で旅館を営む会社にオーナーチェンジしました。私は2度ともオーナーチェンジ後に泊まっているのですが、すばらしい宿でした。
最寄り駅の猪苗代駅まで、宿泊3日前までの予約・行き帰り共に1便のみですが送迎もあります。
私が泊まった2024年の11月には土曜日も1人で予約可能でしたが、現在は1人泊のプランが出ているのは平日のみのようです。しかし、平日であれば「半露天風呂の温泉付きの客室」などグレードの高いお部屋も1人で予約可能なので、休みを取ってもまた泊まりに行きたいと思っている宿です。
メタケイ酸豊富な酸性硫黄泉に浸かり、美食と山の時間を味わう
宿泊したのは最もリーズナブルに泊まれるスタンダードツインルーム。客室内に浴室はついていませんが、洗面所とトイレはあり。水回りを含めて客室内はとてもきれいです。ファブリックの素材や色合いが暖かみがあって素敵でした。


沼尻高原ロッジでは客室にテレビは設置されていません。あとは時計もなかったように思います。山の中で時間を気にせずのんびり過ごしてもらいたいという配慮からとのこと。テレビがなくて退屈だと思う方はフロント申し出ればiPadのレンタルが可能です。Wi-Fiはしっかりありました。
さて、浴室です。男女別の大浴場のみですが、夜通しの利用が可能で、お湯、浴室の雰囲気共にすばらしいです。泉質はph2.1の強酸性で、メタケイ酸が豊富だそう。


高温の源泉が浴槽に落ちるまでに適度に冷めるような工夫がされており、源泉100%の濃いお湯が楽しめます。
沼尻高原ロッジの源泉は、安達太良山麓に毎分1万3400Lというものすごい量が自然湧出している「沼尻元湯」源泉です。
沼尻登山口から安達太良山に登る途中にその元湯源泉が川になって流れているところを眺めることができます。
実は私は登山と温泉は好きだけど、野湯にはそんなに興味ないタイプ。(女1人なので野湯は危険度も高くなるし、登山は登山で楽しんで、温泉は宿でゆっくり浸かりたい)なので沼尻元湯にも行ったことはないのですが、テレビでもしょっちゅう取り上げられますし、野湯好きの方にはお馴染みの温泉なのではないでしょうか。
沼尻元湯まで行かずとも、沼尻高原ロッジでは紅葉を眺めつつかけ流しの元湯源泉に浸かれる……すばらしいことです。
また、沼尻高原ロッジには客室にポットなどのお茶を淹れる設備は備わっていないのですが、その代わりチェックイン日の15時から24時までと、チェックアウト日の7時から10時までの間、ラウンジでフリードリンクサービスがあります。
ラウンジはソファやテーブル、照明などのインテリアも凝っていて素敵です。コーヒーや紅茶、ちょっとしたお菓子などのほか、15時から22時までの時間帯はワインやウィスキーなどアルコールの提供もあります。


ドリンクの客室への持ち込みは禁止なので、部屋でコーヒーを飲みたい私はそれだけは少し残念なのですが、アルコールを持ち込み可にすると大変そうなので仕方ないのでしょうね。
夕食は18時からレストランで一斉スタート。


福島県産の地酒の品揃えも良く、地物食材がふんだんに使われたすばらしい料理の数々を楽しみました。品数が多く、いろいろなものを少しずつ楽しめるメニュー構成で、たくさん食べても胃が重くならないのがうれしい。
朝食も同じレストランで。
サラダの野菜が新鮮なのがわかるお味で、和食のおかずはもちろん抜群においしかったです。
チェックアウト後は猪苗代駅まで送っていただいたのですが「駅からバスで五色沼に向かう」と話したら、五色沼の駐車場まで送ってくださいました。


この日送迎を利用したのが私だけだったからというのもあると思いますが、ありがたかったです。紅葉の五色沼を楽しむことができました。
風呂第3位 大分県「由布院温泉 杜の湯 ゆふいん泰葉」
お湯が良かった宿第3位に選んだのは、大分県の由布院温泉にある「杜の湯 ゆふいん泰葉」です。
2023年3月に初めて泊まり、約1年半後の2024年10月に再訪しました。2023年の「お湯が良かった宿」でも3位に選んでおり、2年続けての選出となりました。
由布院駅から宿までは車で5分少々。歩くと30分弱というところ。


前日までに電話かメールで予約すれば駅から送迎してもらえますが、私は当日まであまりしっかり時間を決めていなかったので、駅からのんびり歩いて行きました。宿に近づくにつれて由布岳がどんどん大きくなっていくのを眺めつつの散歩はなかなか楽しいです。
1人で泊まれるのは平日のみですが、平日であれば露天風呂付きの部屋にも泊まることができます。前回宿泊した際に泊まった、母屋の1階にある露天風呂付きの部屋がとても気に入った(大浴場やフリードリンクコーナーが近くて離れより少し安い)ので、今回も同じ部屋に宿泊しました。
メタケイ酸豊富なとろとろ浴感の青みがかった美肌の湯
宿泊した「母屋1階露天風呂付き客室」は、8畳の和室に広縁付き。広縁から露天風呂に出ることができます。
露天風呂は1人入ればいっぱいのコンパクトサイズ。2名以上で浸かることは難しいと思いますが、1人なら十分ゆったり浸かれます。
ゆふいん泰葉のお湯は時間が経つと青くなる「青湯」なのですが、客室風呂は浴槽のサイズが小さめなので青く変化する前にすべてのお湯が入れ替わってしまいます。


ですがその分お湯の鮮度は抜群です。湯口についた温泉成分の結晶を眺めつつ、湯浴みを楽しみました。
客室風呂のほかに、館内には男女別の大浴場も設置されています。撮影禁止ですが、清掃前の時間帯に許可をいただいて撮影させてもらいました。
内湯は、部屋風呂よりはやや青みが強めに感じられます。
そして、露天風呂はうっすらと濁りの感じられるミルキーブルー!


開放感のある露天風呂で、爽やかな風を感じつつ、メタケイ酸豊富な美肌の湯を楽しみました。
ゆふいん泰葉の源泉は湧出温度が97.6度と非常に高温ですが、高温の源泉を源泉管理設備にいったん貯めて冷まし、適温になってから各浴室に配湯することで源泉100%のまま、適温の湯が楽しめるようになっていました。そのため、どの浴室もやや熱めの適温で、とろとろ感の強い濃厚な源泉を楽しめます。
また、母屋の大浴場の前のスペースには宿泊者専用のフリードリンクコーナーがあり、コーヒーのほかペットボトルのお茶やジュース、レモンサワーなども自由に飲むことができます。


お風呂上がりにこちらでいただいても良いですし、部屋に持ち帰って楽しむのもOKです。
また、離れの近くにある小浴室は男湯と女湯があり、日中は日帰り入浴客にも開放されています。
日帰りでおとずれたときにこちらの浴室を利用し、とろとろ浴感の湯に感動して「いつか泊まってみたい」と思った思い出深い浴室。こちらの浴室も宿泊客も利用可能です。浴槽が小さめだからこちらも青みは薄めですね。
このほかに、母屋の2階にも貸切風呂があり、客室風呂がない2階の部屋に泊まった方は無料で1回40分利用可能とのこと。母屋の1階の露天風呂はコンパクトなので、2人以上で入りたい場合は客室風呂がない部屋か、客室風呂が広めの離れに泊まるのが良さそうです。
食事も朝夕共に個室食事処での提供となり、1人でも気兼ねなく食べられます。


特に夕食では、大分県佐伯市で養殖されている「美人鰤」や、最後のご飯と一緒に大分の郷土料理「りゅうきゅう」が提供されるなど、郷土色もあっておいしくいただきました。
食事もサービスも良い宿ですが、やはりとろとろの青湯が忘れられない宿です。
風呂第2位 岐阜県「炭酸泉の宿 泉岳舘」
風呂が良かった宿第2位に選んだのは、岐阜県下呂市小坂町にある湯屋温泉の「炭酸泉の宿 泉岳館」です。
最寄り駅の飛騨小坂駅まで、事前予約制で送迎があります。ずっと泊まってみたいと思っていた宿だったのですが、2024年8月に初めての宿泊が叶いました。


迎えに来てくださった宿の若主人と思しき方がお話好きな方で「宿の裏にある、鮎が獲れる川がとてもきれいなのでぜひ散歩に行ってみてください」とのこと。
チェックイン後に散歩に出てみたら、本当にきれいな川でした。
下呂温泉と高山の間にあり、下呂も高山も外国人観光客だらけだというのに、飛騨小阪駅は本当に静か。
ここはこのままであって欲しいな……と思い、宿泊後にこんな記事をnoteに書いています。
驚くほどの泡付きはまるで天然のサイダー!源泉しゃぶしゃぶ、源泉粥も楽しめる
客室は8畳の和室の奥にベッドが2台設置された和洋室。


お茶うけは源泉の蒸気で蒸すお饅頭。黒糖味のあんで大変おいしい。
源泉は客室の前の廊下に飲泉所があっていつでも飲むことができます。源泉は12度の冷鉱泉で、真夏の宿泊でもとても冷たかったです。


ウェルカムドリンクとして「梅シロップ」が客室に用意されており、これを源泉で割っていただきます。「ゲロルシュタイナー」のような、硬度の高い天然炭酸泉の味がしました。
浴室は男女別の大浴場と、予約制で貸切で利用する露天風呂が1室。
大浴場は内湯のみですが、これが本当にすばらしい浴室でした。2つの浴槽に注がれる源泉は共に加温されていますが、右側の浴槽は40度程度、左側の浴槽は36度ほど、人肌のぬる湯です。


このぬる湯の浴槽がものすごい泡付きで、湯面にずっと泡が出ているので、雨が降っているのか?と思ってしまうほどでした。
内湯なのに?雨が降っている?と思ったら炭酸泉の泡だった😅 pic.twitter.com/eA9CuLsQwo
— 月山もも🍶#ひとり旅本 10刷 (@happy_dust) 2024年9月3日
加温具合もちょうどよく、浸かっているとあっという間に1時間ぐらい過ぎてしまうという恐ろしいお湯。男湯女湯の交換はありませんが、夜通しの利用が可能なのがうれしいですね。
ちなみに、泡の出方は日によって異なるらしく、以前も泊まったことがあるという方の話では「今日はかなり泡がたくさん出ている」とのこと。別の日に行ったらまた印象が違ったかもしれませんが、この日の泡付きはすごかったです。
このほかに、予約制で30分利用できる貸切露天風呂もあります。


浴槽も広く、屋根があるので雨が降っても大丈夫だけど、緑を眺められるし開放感もしっかりある良い露天でした。お湯については、こちらはしっかり加温されていますし、泡付きなどは特に期待できません。個人的には内湯だけ入れればいいかなとも思いましたが「どうしても露天風呂に入りたい!」という方は一定数いると思いますので、ちゃんとリクエストに応えられるようにしているんだろうなと思ったりしました。
浴室は食事処で。障子で仕切りがしっかりとあり、半個室のような造りになっていました。下呂の地ビールや地酒を飲みつつ、鮎の刺身や塩焼き、飛騨牛の源泉しゃぶしゃぶなどを楽しみます。


源泉しゃぶしゃぶは、野菜やきのこの種類が豊富で、地物の取れたての野菜をしっかり揃えているところがすばらしいなと思いました。
朝食も同じ食事処で。飛騨の朝食と言えば……の朴葉味噌、温泉湯豆腐、源泉粥などをいただきます。


食後は源泉で淹れたコーヒーを。炭酸の効果なのかわかりませんが、まったくと言っていいほど苦味がないコーヒーで驚きました。
10時30分に駅までの送迎をお願いしていたのですが、他に送迎利用のお客さんがおらず、電車の時間まで余裕があるということで「巌立峡(がんだてきょう)」という、このあたりで有名な景勝地に立ち寄ってもらい、遊歩道を歩いて滝を見てきました。


こちらでお勧め&車で送っていただかなければ立ち寄ることのない場所だったと思うのですが、溶岩流の岩盤も滝もかなり見応えがありました。
また必ず泊まりに行きたいすばらしい宿なのですが、実は今回ご紹介した12軒の宿のうち、この宿だけが現時点ではひとり泊のプランが出ていません。
ただこちらの宿、以前から「ひとり泊のプランが出ているとき」と「出ていないとき」がある宿で……。冬なら出ている!というような規則性も特にないようなので、ときどきプランが出ていないかチェックするしかないのですが……。2024年も春の時点では出ていなかったのですけど、夏になったら出ていて、結局私は土曜日に1人で泊まっています。
なので今日時点では1人で予約できないかもしれませんけど、この宿については掲載することにしました。気になった方はときどきチェックしていただければ、いつかまた1人泊のプランが出ることもあると思います。
私も、1人泊のプランを見つけたときはメンバーシップの掲示板で報告しますので、会員になってくださっている方は、掲示板をチェックしてみてください。
風呂第1位 鹿児島県「紫尾温泉 四季の杜 紫尾庵」
風呂が良かった宿第1位に選んだのは鹿児島県の紫尾温泉の宿「四季の杜 紫尾庵」です。
2024年の2月に初めて宿泊が叶いました。
紫尾温泉には「しび荘」という2食付き1万円台で1人で泊まれる、湯も食事もすばらしい宿がありまして、紫尾庵はこのしび荘のお隣にある姉妹館です。
しび荘で十分かなと思っていましたが、1度は紫尾庵にも泊まってみたい!と思って予約したところ、思った以上にすばらしい時間を過ごすことができました。湯はもちろん、食事もおいしく部屋も快適、土曜日も1人で泊まれるのもうれしい。また必ず泊まりたい、すばらしい宿でした。
しび荘については宿泊レポートを書いていますのでこちらをご参照ください。
ちなみに紫尾温泉は、公共交通機関利用だとアクセスがいいとは言えず……鹿児島空港から空港連絡バスで45分ほどの宮之城バス停で降りて、あとは送迎かタクシー利用(片道3000円ほど)になります。
お安く泊まれるしび荘は基本的に送迎は行っていないのですが、紫尾庵は事前予約制で送迎してもらえますので、公共交通機関利用の場合、トータルの価格差は6000円ほど小さくなりますね。
夕食前まではしび荘の大浴場を利用し、夜~朝まで部屋風呂三昧を楽しむ
紫尾庵は全8室。すべての客室が離れで、かけ流しの温泉浴室がついています。
部屋のタイプによって浴室が内湯だったり露天風呂だったり、部屋の造りも少し異なります。料金も少し異なりますので、予約の際はよくチェックしたほうがいいでしょう。


私が泊まったのは「TypeB」の内湯付きの浴室です。
冬の宿泊だったので、内湯のほうが良いかなと思い。TypeBの客室は1名もしくは2名で泊まれる部屋ですが、2名でもゆったり入れそうなぐらいに内湯の浴室は広めでした。
お湯は紫尾温泉のとろとろ!濃厚な源泉が常時かけ流されています。
深夜早朝でもいつでも極上の湯に浸かれるのはやはりうれしいですね!
それから、大好きな「しび荘」の大浴場も利用可能です。紫尾庵の宿泊客は「7時から21時まで」利用することができます。
庭を通り、小さな橋を渡るとすぐに着きます。
しび荘の大浴場は、しび荘に宿泊しても22時から6時の間は利用することができません。これだけが少し残念だなと、宿泊したときに思っていまして。
それが紫尾庵に泊まれば、夕食前まではしび荘の湯に目一杯浸かり、深夜早朝は客室風呂に浸かれる!これはすばらしいのでは……?
と思って泊まりに来たのですが、思ったとおりすばらしかったです。
しび荘の大浴場は(女湯の場合)、楕円形の浴槽に熱めの湯が、四角い浴槽に人肌のぬる湯の源泉が注がれており、交互浴が楽しめるのがすばらしいのです!


紫尾庵の部屋風呂は、こちらの2つの源泉を混ぜ合わせて適温に調節しているとのことで、部屋風呂も当然すばらしいのですが、入り比べができるのもうれしい!
ph9以上という高アルカリの硫黄泉を、大浴場と部屋風呂で、目一杯楽しむことができました。
しび荘の食事も、ボリュームたっぷりで大変おいしいのですが、紫尾庵も、もちろん負けてはいません。


個室に一品一品運んでいただく夕食は日本酒ともよく合う繊細なお味。鹿児島県の宿だけど、日本酒の品揃えがなかなか良いのもうれしいですね。


朝食も同じ個室食事処で。夕食のときは暗くて気がつきませんでしたが、大きな窓から美しく整えられた庭を眺めることができました。
2024年「料理」が良かった温泉宿ランキング
今回選んだ4軒中3軒が再訪の宿、1軒が2024年に初めて泊まった宿でした。
やはり、料理がとびきりおいしい宿には繰り返し泊まりたくなってしまうようです。
料理第3位 新潟県「魚沼の隠れ温泉 くつろぎ庵」
第3位に選んだのは、新潟県南魚沼市の六日町温泉の宿「くつろぎ庵」です。
昨年のこのランキング記事でも「食事が良かった宿」の2位に選んでいます。2023年10月に初めて宿泊しましたが、2024年の4月に早くも再訪してしまいました。土曜日も1人泊のプランが出ています。
六日町駅から車で5分ほどの丘の上にある、全3室の本当に隠れ家のような宿です。
最寄り駅の六日町駅からはもちろん、最寄りの新幹線駅である越後湯沢駅・浦佐駅からも送迎してもらえるのがありがたいです。(宿泊3日前までに要予約)
山の中だけど魚のおいしさは前回同様!春の宿泊だったので山菜料理がすばらしかった
2023年の宿泊時にはあまりよく見ずに予約し、1人でめちゃくちゃ広い部屋に泊まることになってびっくりしたのですが(泊まる部屋は予約時に選べるのだが、どの部屋も料金は同じなので詳細を見ずに選んでしまった……)今回はちゃんとコンパクトな部屋を選んで予約しました!


と言ってもかなり広々としていますが……。今回もお茶うけの「生クリーム笹団子」をおいしくいただきました。お茶うけがおいしい宿は大抵、料理もおいしいですよね。
3室の中ではコンパクトな部屋を選んで予約しましたが、縁側が広くてゆったりとくつろげるスペースがあり。ここで風呂上がりにのんびり本など読むのも楽しい時間です。


また、この部屋は共同の足湯が目の前にあったので、部屋に備え付けてあった足湯用のタオルを持って、山並みを眺めつつ足湯を楽しみました。
くつろぎ庵の浴室は2ヶ所あり夜10時までは予約制で貸切利用となります。貸切利用中は露天風呂でビールや日本酒(有料のものと無料のものがある)を飲むことができます。


夜10時以降は2つの浴室がそれぞれ男湯と女湯になるのですが、宿泊した日は宿泊客が2組だったので、そのままチェックアウトまで片方の浴室を貸切で利用することになりました。滞在中いつも1人で広い内湯と露天風呂(すべて源泉かけ流し)をゆったりと使うことができました。
くつろぎ庵では、食事は朝夕共に部屋か個室の食事処でいただくことができ、場所は選ばせてもらえます。私は朝夕共に部屋に運んでもらいました。


はじめに、前菜、お造り、酢の物など冷たい料理が並びます。
前菜は「赤海老つや煮」「地場産こごみ白和え」「にいがた和牛たたき」「バイ貝煮付け」「すずきのなめろう」など、見るからにお酒が進みそうな料理ばかり!小鉢の中は「しめ鯖もずく寄せ」です。
これは日本酒を頼まなければ……と「魚沼地酒の呑み比べセット」から1種類を注文。松竹梅の3種類でしたが、せっかくなので「松」を選んだところ、呑み比べに含まれていないお酒の中からおちょこで1杯、サービスしていただきました。
また、今回は4月の宿泊で、宿の裏山で山菜がたくさん取れる時期だったそうで、取れたての山菜を使った料理が3品並びました。
左からアサツキ、せり、わさびの葉です。アサツキとせりは塩で、わさびの葉は醤油味。ほのかな苦みがお酒のつまみにぴったりで、この小鉢でかなりお酒が進んでしまいました。


お刺身は「中トロ、甘えび、鰆」で、山の宿だけど魚がものすごくおいしいのも前回同様です。
お刺身の後に提供されたのは「地場産猪肉使用 特製ハンバーグ」です。ポン酢か黒ごまソースでいただきます。猪肉、癖がなくてほどよく脂がのっていて本当においしい。「ジビエ」のイメージを覆すお味でした。


天ぷらは舞茸と海老、そして地場産の山菜がたっぷりと。揚げたてで出してくださいました。
そして、前回もそのおいしさに驚いた「〆のお粥」と、デザートのフルーツもいただいてごちそうさまでした。
食事は、囲炉裏のある食事処に用意してもらうことに。
焼き魚やだし巻き卵、サラダなど野菜のおかずもすばらしくおいしかったのですが、何と言ってもここはやっぱり、釜炊きの魚沼産コシヒカリでしょう!


部屋ごとに食事の時間に合わせて炊き上げているそうで……1人なのにこんなにたくさん炊いてくれて、全部は食べられないけれど、どうしましょう……。
と思ったら「チェックアウト後に坂戸山を歩かれるということだったので……おにぎりにしましょうか?」と言っていただきました。なんてありがたい……。
そう、最初の宿泊から1年も経たずに再訪したのは、六日町駅から徒歩圏内にある低山「坂戸山」に登るためでした。以前も登ったことがあったのですが、GW前ごろの時期のカタクリの花が美しいのだと聞き、次はその季節に来てみようと思っていたのです。


チェックアウト後は駅まで送ってもらい、不要な荷物をコインロッカーに預けた後に坂戸山に向かいました。山頂直下に咲く見事なカタクリの群生を眺めて、おにぎりにしてもらったコシヒカリを食べて、思い出深い春の休日となりました。
「くつろぎ庵に泊まって坂戸山に登る」プランは、こちらの記事↑で4月におすすめの旅としてご紹介しています。
料理第3位 新潟県「松之山温泉 酒の宿 玉城屋」
第3位に選んだ2軒のうちのもう1軒は、新潟県の松之山温泉にある「酒の宿玉城屋」です。
2021年に初めて宿泊してその年の「料理が良かった宿1位」。2022年に再訪してその年も「料理が良かった宿2位」に選出しています。


一見すると普通の温泉宿なのですが、食事とお酒へのこだわりがとにかくすごいのです。ウェルカムドリンクのクラフトジンからもうめちゃくちゃおいしい。
2024年3月が3度目の宿泊でしたが、3回泊まってようやく、宿泊レポートを公開することができました。アクセスの詳細などはこちらの記事をご参照ください。
現在は土曜日も1人泊のプランが出ています。
本格的なフレンチと日本酒ペアリング、お風呂上がりの日本酒飲み放題もすごい
玉城屋さんは全8室の小規模な旅館ですが、8室中6室がかけ流しの露天風呂付きの客室です。
今回は露天風呂つきの部屋で最もコンパクトな、8畳和室の「松」の部屋に泊まりました。


ウェルカムスイーツは苺のミニタルト。これも大変おいしかったです!
3月上旬の宿泊でしたが、豪雪地帯の松之山温泉にはまだまだ雪がしっかりと残っていました。
客室露天風呂からは雪見露天が楽しめました。
大浴場は1階にあり、洗い場も広々、内湯と露天風呂あり。


客室に温泉が付いている部屋が多いからか、大浴場はわりといつも空いています。大浴場も夜通しの利用が可能です。
大浴場の前に湯上がりのお休み処的なスペースがあるのですが、ここにお茶やお水と一緒に「レストランで開栓して、少し時間が経ってしまったお酒」がたくさん置いてあり、宿泊客はすべて無料で楽しむことができます。


「開栓して時間が経った」と言っても、そんなに長い時間が経ったわけではないのでしょう。どのお酒も大変おいしくて、つい飲み過ぎてしまいそうになります。
しかし、ペアリングプランで予約したので、夕食前に飲み過ぎてしまってはもったいない……と思い、気になったお酒を1杯だけいただきました。
夕食は2階にあるレストランで。
こちら↑は朝食のときに撮影した写真ですが、壁面にお酒の瓶と酒器が大量に並び、明るく開放感のあるレストランです。
夕食は新潟県産の食材のみで構成される「里山フレンチ」のフルコースです。
聞いたところによると、宿泊される方の7割ほどが「日本酒とフレンチのペアリング」を楽しむそうなのですが、フレンチには和風なテイストはほぼ入りません。本格的なフレンチです。ですが日本酒とフレンチがおもしろいぐらいに合うのです。
アミューズと一緒に提供される1杯目は宿オリジナルの日本酒「醸す森」の純米吟醸に、ルレクチェの果汁とガスを注入した、日本酒カクテルのようなお酒です。


このように、日本酒にハーブやフルーツで風味や味を加えたお酒もありますが、多くは新潟県産の地酒を冷酒や燗酒で、フレンチに合わせていただきます。鮮やかな緑色の小鉢に入っているのは、春菊のソースがかかったバイ貝の茶碗蒸し。
白い花が咲いたような一皿は「蕪のスライス花びら仕立て」で、スライスした蕪の下には蕪のムースが敷いてありました。蕪は「松乃井」の純米大吟醸といただきました。


また、低温で長期醗酵させた自家製のパンも、もっちりとしていて味わいが濃く、おいしい。
燗酒にした「君の井」と共にジビエの「猪のしゃぶしゃぶ風」が登場。山葵と、松之山でとれたクレソンと共に。癖がなくさっぱりといただけました。


最後のお肉料理の妻有ポークは「睡夢」という今回初めてお目にかかる日本酒と共に。「睡夢」の中でも、赤ワイン樽で熟成した「ふくろう」と、白ワイン樽熟成の「はりねずみ」から選ばせてもらえたので、はりねずみを。焼きりんごのような風味がして、お肉料理ともよく合いました。この「睡夢」という日本酒も、玉城屋さんが監修しているお酒だとのこと。
デザートは「越後姫」とカスタードクリームが入った焼きたてパイ、ホワイトチョコレートの濃厚なアイス。フレンチらしくデザートはしっかりとボリュームがあり、この他にフルーツと、焼き菓子、コーヒーが出ました。
玉城屋さんは、料理と酒、それぞれに本当に質が高くてすばらしいのですが、質だけでなく「量がちょうどいい」ところもすごいなと思います。料理にしろお酒にしろ、こだわりを持って提供している宿はどうしても、量が多くなりがちだと思うのです。なので食事が終わると「食べ飲み過ぎて苦しい……」となってしまうことが多いのですが、玉城屋さんはいつも「大満足でお腹いっぱいだけど、ギリギリ苦しくはない」ところでピタッと止まる。相性なのか、ちゃんと見極めて出しているのかわかりませんが……3度泊まって3度ともそうだったので、いつもすばらしいなと思っています。
朝食は同じレストランで、魚沼産コシヒカリをたっぷりといただける和食です。
5種類の飲み物は「コールドプレスジュース」「ドクダミ茶」「雪下人参ジュース」「吉乃川の甘酒」「しそジュース」です。どれも自然な甘さで、食事と一緒に無理なくおいしくいただくことができます。
このほかに、野菜たっぷりのけんちんと、鬼おろしが添えられた焼き立てのだし巻き卵が出ました。


和食の朝食って、いわゆる「ご飯のお供」と呼ばれるような塩辛いおかずが多くて、ご飯がおいしい!というわけではなくてもご飯を食べ過ぎてしまう……ということがよくあります。しかし玉城屋さんの朝食は、塩辛いおかずがほぼなく、どの料理も自然な味わいで、ご飯なしでそのままでもぜんぜんおいしくいただけるのです。それなのにご飯はご飯でおいしいからたくさんいただいてしまうという……最強の和朝食ではないかと思います。
「朝食がおいしい温泉宿」という記事でもご紹介しています。2024年もおいしかったです!
料理第2位 鹿児島県「妙見石原荘」
料理が良かった宿の第2位として選んだのは、鹿児島県の妙見温泉にある「妙見石原荘」です。
2020年に初めて泊まり、2024年6月に2度目の宿泊が叶いました。鹿児島空港あるいはJR国分駅からバスが通じています。
前回も食事、お湯、サービス等々いずれもすばらしい宿でしたが、2度目の今回は食事が前回泊まったとき以上にすばらしく感じられたので、食事が良かった宿で2位に選出しました。
ちなみに、少し前に婦人画報という雑誌の「温泉宿アワード」という企画で、こちらの宿がグランプリを受賞しているのですが……実は私も石原荘を推薦させていただきました!
おすすめ宿を何軒か推薦したのですが、推薦者が多かった宿がグランプリになったのでしょうか。詳しくはわかりませんが推薦した宿が賞を獲ってうれしかったです。1人で泊まれるのは平日のみですが、また再訪したいすばらしい宿です。
鹿児島県産の旬の食材を存分に味わえる食事、湯もサービスもすばらしい
チェックインは、大きな窓から新緑を眺められる1階のロビーで行います。


6月の宿泊だったので「水無月」という和菓子が知覧茶と一緒に提供されました。和菓子も自家製だそう。
客室は8畳の和室にリビングスペースが付いた和洋室。


石原荘の客室の中では最もお安く泊まれるお部屋ですが、それでも十分すぎるほど広く、快適です。
浴室は、宿泊する棟とは別棟にあります。ちょっと不便に感じますが「源泉が湧出している場所からなるべく近いところに浴室を造った」というこだわりのためにこういう配置になっているのだそうです。そう聞くと、ちょっとぐらい歩くのなんてどうってことないと思えてきますね!


浴室棟の入口には湯上がりラウンジがあり、コーヒーやお茶をいただくことができます。この日は「フルーツ紅茶」もありました。
浴室は男女別の大浴場(内湯のみ)と、混浴の野天風呂。大浴場の壁にはローマを思わせる壁画が彫られています。


野天風呂は湯浴み着着用OKで、フロントに申し出れば湯浴み着は借りることができます。目の前に天降川を眺められる迫力満点のロケーションかつ、お湯もすばらしいので、他に誰もいないタイミングで入りに行くのがおすすめです。(だいたい誰もいません)
このほかに予約制の貸切風呂が2つ。1つは無料で入れて、もう1つは30分1000円の有料です。


有料の「睦実の湯」は、やはり天降川を間近に眺められる露天風呂なので、混浴の野天風呂に抵抗がある方はこちらに入ると良いかもしれません。
さて、お待ちかねの夕食です。掘りごたつの個室でいただきました。
前菜と共に提供された食前酒が、竹筒に入った日本酒だったことにびっくり!ちなみに銘柄は長野県上田市の「山三」というお酒でした。そして前菜の、とうもろこしのあんがかかった無花果がおいしい!


ドリンクメニューを眺めると、鹿児島なので焼酎はもちろんたくさんあるのですが、日本酒もかなりしっかりとしたラインナップでうれしい!
迷ったすえ「飛露喜」の純米大吟醸をオーダーしました。
お刺身は高海老、地蛸。白身は「アラクエ」と伺ったのですが、おそらく「九州では『アラ』と呼ばれている、本州では『クエ』と呼ばれる魚」だと思います。醤油ではなく、煎り酒と紫蘇を合わせたものでさっぱりといただきました。


メニューに載っていなかった油物は、赤茄子の天ぷらとミョウガのレモン漬け。揚げ物なのにとても爽やかな味わい。
黒毛和牛の炭火焼きは、赤玉ねぎやオクラ、赤紫蘇と一緒に、黒酢のソースでいただきます。火の通し方が絶妙で感動……。


鱸の油焼き。淡泊な魚のはずなのに、しっかりと歯ごたえがあっておいしい!
こだわりの料理が続いたあとの〆のご飯がすごかった!土鍋を開けた黒さつま鶏と小芋がたっぷりとのっていて、ご飯が見えないほど!


お腹いっぱいなのに、おいしすぎてたくさんお替わりしてしまいました……。
最後のデザートはつぶあんときな粉の入った抹茶アイス最中。水ようかん。
お腹いっぱい!すべておいしくいただきました。
朝食は夕食とは別の席でいただきました。朝食もすべて手抜きなし!板前さんがしっかりと手をかけて作ったことが感じられるお味です。
美しいだし巻き卵。とびきり新鮮な野菜のサラダ。かんぱちの塩麹焼き。さつま揚げ。


釜炊きのご飯も、蓮根と夕顔と三つ葉のお味噌汁も大変おいしかったです。
料理第1位 山形県「山形座 瀧波」
2024年料理が良かった宿第1位に選んだのは、山形県の赤湯温泉の「山形座 瀧波」です。以前から1度泊まってみたいと思っていた宿ですが、2024年10月に初めて泊まることができました。
全室温泉浴室付きで、山形のデザイナーズ家具をしつらえた部屋もすばらしく、料理もお酒もサービスもすばらしかったです!ですが中でも感動を覚えたのは料理だったので、料理部門で選出しました。


1人で泊まれるのは平日のみですが、きっとまた泊まりたいと思っています。
赤湯温泉の最寄り駅は山形新幹線も停車する、JR赤湯駅。予約制で赤湯駅から送迎があります。
チェックインすると、ラウンジでウェルカムドリンクとスイーツのサービスが。
スイーツはレモンのジェラート。ドリンクは冷酒か、りんごジュース、コーヒー、お茶から選べるとのことで、それならばと冷酒をお願いしたところ……。
「裏雅山流」をけっこうたっぷりめに注いでいただきました。チェックイン早々にテンションが上がります!
「山形座瀧波」は、平日のみ1人泊のプランが出ていますが、予約サイトによっては出ていないこともあるようです。すべてをチェックしたわけではありませんが、たとえば楽天トラベルでは1人泊のプランが出ているのですけど、じゃらんでは出ていないようです。
予約を検討される際「1人泊のプランがないな」と思われたときは、別の予約サイトか公式サイトも合わせてチェックされると良いかと思います。
山形の旬の食材と料理に合うお酒を存分に楽しめる、季節を変えて何度でも泊まりたい宿
山形座瀧波では、泊まりたい部屋を指定して予約することになります。客室は「KURA」「SAKURA」「YAMAGATA」の3つに大きく分かれています。
何度も泊まられている方だと「私はこの部屋!」とお気に入りの部屋を指名して予約することもあるようです。私はそこまでのこだわりはないけれど、檜風呂の部屋と石風呂の部屋があるので、石風呂のほうがいいなと思い「YAMAGATA03」の部屋を予約しました。
フローリングのツインルームで、山形の工芸品を集めた部屋とのこと。
工芸品の良し悪しがあまりわからない人間で恐縮なのですが、お部屋の家具はデザイナーズ家具にありがちな「素敵だけど使いにくい」というものはなく、暖かみがあって使い心地も良かったです。ライティングデスクがあるのもうれしいし、椅子の座り心地もいいのがうれしい。


ソファも座り心地よく、お風呂上がりにだらだらと過ごすにもちょうど良かったです。
お部屋の外にはかけ流しの温泉露天風呂が。


1室ごとの庭のスペースが広く開放感があり、かつ屋根があるので雨や雪の日も落ち着いて入れるのがいいですね。
全室露天風呂付きの宿ですが、男女別の大浴場もちゃんとあります。木造りの雰囲気ある湯屋で、露天風呂は部屋風呂よりもさらに大きな、蔵王石の大岩風呂。


大浴場もあまり混み合わず、いつでもゆったりと湯浴みを楽しめました。
それから、湯上がりにはラウンジでフリードリンクサービスが楽しめます。
ラウンジの隅のほうにドリンクコーナーがあり、コーヒーメーカーやお茶のティーパックのほか、冷蔵庫にはペットボトルの水やウーロン茶、フルーツジュースにペリエ、ハイボールや缶ビールまであり、これらはすべて無料です。


ラウンジは畳敷きのスペースで、足を伸ばして座布団に座ってもいいし、あちこちに置いてある椅子に座っても良いのですが、私はロッキングチェアが気に入ってしまってずっとここにいました。


ラウンジには書棚があって旅に関連する書籍が並んでいたのですが、私の著書もあったので大喜びしてしまいました!
ラウンジのドリンクコーナーでは、夕食後~24時までの時間帯は日本酒やウィスキー、リキュールなどのお酒も用意されています。


ヨーグルトのリキュールが危険なぐらいおいしかったです。
さて、お待ちかねの夕食です。3名以上のグループだと個室になるようですが、1~2名だとオープンキッチンのカウンター席に案内されます。
ちなみにこの日は1人客は私だけでした。
ドリンクメニューは「どの料理にどのお酒が合うか」が明示されているのが本当にすばらしい……。ちなみにここに書いてあるドリンクは(恐らくその日のおすすめだと思われる)ほんの一部です。お酒のラインナップが本当にすごかったです。


お品書きには調理法ではなく、使われている食材の産地が詳しく書かれているというこだわりぶり。期待が膨らみます。
さて、何を飲みましょうか……と迷っていると、アミューズの梨(幸水)のタルトと一緒に、スパークリングワインのサービスが!食前酒的なものでしょうか。量もけっこうたっぷりです。ちなみにこれ以降も、何度か日本酒やカクテルのサービスがあって、お酒が強くない人なら何も頼まなくても満足してしまいそうだなと思ったり。


迷った末、お酒は前菜に合うという新政の「亜麻猫」をオーダー。新政は秋田の酒造ですが、お酒に関してはガチガチに山形県産にこだわっているわけではないのですね。でも、ぜんぜんそれでいいと思う。おいしければ何も問題ないです。


前菜は、天然舞茸の天ぷらに、きゅうりと帆立をパッションフルーツのソースで和えた冷たい前菜など、少量ずついろいろと出てくるのが楽しいです。
秋だったのできのこの吸い物が出たのですが、香りがものすごく良くて。何のきのこが入っているのかのメモを付けてくれたのもうれしかったです。メモには書いていなけれど、少し松茸も入っているとのこと。


蕎麦は打ち立て。新蕎麦の季節なのでこれも香りがすばらしかったですね。
オカヒジキがこんもりと載っているのは、ハタという魚です。


山形地鶏のクロケットは、クロケットもおいしいけれど、付け合わせの生のマッシュルームを花の形に整えたタルトが……見た目が美しいだけでなく味も濃厚で驚きの一品でした。
絶妙の焼き加減で出してくれた米沢牛。おいしすぎて「もう少し食べたい」と思ったら、なんとお替わりがありました!炊きたてのご飯と共に米沢牛のお替わりをいただき。


すり潰した桃とスパークリングワインを合わせたカクテル、そしてデザートをいただいて食事は終わり。


デザートは、スライスしたぶどうの下に、ラムの香りをつけたマスカルポーネチーズとわらび餅が敷いてあるという、見た目以上に凝ったもの。最後までおいしくいただきました。
と思ったら……夜食のおにぎりまであってびっくり!しかしお米が大変おいしいのでありがたく部屋に持ち帰ります……。
翌朝の朝食も同じ食事処で。お味噌汁のほかに芋煮があるのがうれしい!米沢牛のしぐれ煮やおかひじきのお浸しも……どこか懐かしくてすばらしくおいしい朝食です。


朝食の最後には甘酒とヨーグルト。ヨーグルトに添えられたフルーツは「普通のシャインマスカット」と「完熟のシャインマスカット」だそうで。普段食べているシャインマスカットは完熟したものではないのですね……。味の違いを楽しみました。
今回は秋の宿泊でしたが、冬にはジビエがメインになるそうで、ガラリとメニューが変わるそうです。また別の季節に必ず泊まりたい山形座瀧波を、2024年食事が良かった宿1位に選びました!
【おまけ】「部屋・風呂・食事」すべての満足度が高かった、絶対再訪したい宿をまとめた記事を公開しました
2024年は本稿で紹介した以外にも、さまざまなすばらしい宿に出会えました。
ご紹介した10軒は宿泊料金がややお高めの宿が多いのですが、「部屋」や「食事」がいい宿の宿泊料金が高くなりがちなのは仕方のない面もあります。そのためこの後は2024年に宿泊した「2食付き2万円以下で1人泊できる宿」に絞って10軒を選んだ記事を後日更新する予定です。
しかし、昨今の物価上昇に伴い、また1人泊は割高になるということもあって、2食付き2万円を超える宿が全体的に増えました。すごくいい宿なのに「2食付き2万円以下」という括りだと選外になってしまう宿がかなりあるのです。
そのため、noteのメンバーシップ会員向けの記事として「食事、部屋、風呂のいずれかが飛び抜けているわけではないので今回のランキングからは漏れたけれど、すべての満足度が高かった宿」をご紹介する記事を公開しました。
また「メンバーシップには興味ないけどその11軒は気になる」方は記事単体での購入も可能ですが、メンバーシップのスタンダードプランに加入したほうがお安く読めますので、ご検討くださいませ。