花巻・台温泉 心の湯宿 吉野屋旅館
台温泉吉野屋旅館は、20軒ほどの旅館が軒を連ねる台温泉にある、全4室の小規模旅館です。
台温泉は小さな旅館が多いのですが、その中でもかなり部屋数は少ないほうだと思います。ですがこちらの宿、とにかくコスパが良い宿でして、しかも朝夕部屋食の一人泊に優しい宿なんです。
お湯よし・食事よし・コスパよしの三拍子揃った吉野屋旅館さんについて、レポートしてみたいと思います。
1泊2食付き6500円・一人泊でも休前日でも料金アップなしの吉野屋旅館
吉野屋旅館さんのある台温泉は、在来線の「花巻駅」から路線バスで25分ほど乗ったところにあります。岩手県交通で運行している「花巻温泉郷行き」のバスに乗り、終点が台温泉です。
台温泉は小さな温泉街ですが、その手前にある「花巻温泉」には温泉病院や大型旅館もあるため、バスの運行には比較的恵まれており、1時間に1本程度は走っています。
終点でバスを降り、温泉街を歩きます。
以前宿泊した「中嶋旅館」さんは、台温泉街でも最も奥に位置する旅館でしたが、吉野屋旅館さんは温泉街のかなり手前のほうにあります。
なので歩き始めてすぐに見つかりました。
こちらです。向かって左手にあります。
チェックインは15時からですが、この日は14時50分着のバスで台温泉に着きましたので中に入って名前を言うとすぐに、部屋に案内していただくことになりました。
吉野屋旅館の宿泊料金は、1人泊でも休前日でも料金アップなし!
吉野屋旅館さんの宿泊料金は1室1人泊or2人泊の場合は6500円。3人以上だと少し割安になって6000円になりますが「1人泊ゆえの料金アップ」はありません。
しかも、休前日であっても連休中であっても、1人泊NGな日はありません。しかも、休前日など特定日の料金アップもありません!
これは非常にありがたいことです……。「湯治宿」を謳っている宿でも「1人泊の場合は休前日は連泊じゃないとNG」なこと、いくらでもありますからね。。。かなり、一人泊に優しい宿だと思います。
また、1泊6500円という料金は2食付きの料金・かつ食事がゴージャス版の料金です。「ビジネス・湯治プラン」という食事少なめの料金であれば5500円、朝食のみなら5000円、素泊まりなら4000円で宿泊可能です。ただし台温泉街には食事が取れるようなお店も、コンビニもありませんから、どこかで食べてから遅い時間にチェックインするのでなければ食事付きで予約したほうがいいと思います。
また、吉野屋旅館さんは全4室の小さな宿ですが、民宿に近い感じの小さな宿だとネット経由の予約に対応していないことも多いものです。その点吉野屋旅館さんは、じゃらんや楽天トラベル経由の予約にもきちんと対応しているので、気軽に予約ができるのもいいなと思いました。
【部屋】★★★☆ お部屋は快適だがアメニティは最低限
チェックイン後すぐに案内していただきました。お部屋は2階です。
6畳間です。室内はきちんと掃除が行き届いています。
部屋の広さは予約時に指定することはできません。宿泊人数に合わせて宿のほうで決めていると思われます。
ポットが湯沸かし機能付きじゃないのはちょっと残念ですが……。
朝、コーヒーを淹れて飲もうとするとお湯がぬるくなっているのでね。。。
というわけでチェックイン早々にコーヒーを淹れます。
食事の項目で紹介しますが、実は朝食後にサービスでコーヒーが出ましたので、心配無用でしたw
液晶テレビ。灰皿が置いてあるので禁煙の部屋ではないのでしょうが、特にたばこ臭さなどを感じることはありませんでした。
浴衣と歯ブラシ、フェイスタオル。
室内の設備で気をつけておいたほうがいいのは、こちらのお宿、バスタオルは置いていないということです。
私は、日帰り入浴用にいつもPackTowl(速乾性が高く、畳むとコンパクトになるタオル)を持ち歩いているのでそれを使ったのですが。
知らずに来たら「バスタオルないのか……」とがっかりしてしまう人もいそうです。バスタオル必要な方は、吉野屋旅館さんに泊まるときは持参しましょう!
ちなみにこちらの記事↓で紹介しているのですが、Packタオルは温泉旅に持っていくとかなり重宝します。
旅館なので布団敷きはセルフではないのですが、食事後に敷いてくれるのではなく、食事の前に「布団出しちゃいますね~」と宿の方がやってきて、こんな感じで置いていきました。
あとは自分で、好きなタイミングで広げれば寝られます。
小さな宿なので、食事後に敷きに来るには人手が足らないのかもしれないですね。
それと、お部屋の設備について気をつけておいたほうが良いのは「部屋に箱ティッシュが置いてないこと」です。
民宿やペンションだとたまに箱ティッシュない宿ありますが、ないと困る方もいると思いますので必要な方は何かしら、持参したほうがいいでしょう。正直なところ、宿泊料金を考えると「部屋にティッシュがないなんてあり得ない!」とはとても言えないですw
それと、お部屋に冷蔵庫はありません。見たところ、共同の冷蔵庫のようなものもないようでした。館内に自動販売機などもないので、冷たい飲み物を飲みたいときは難しいかもしれません。深夜以外なら、宿の方にお願いすれば注文可能かもしれませんが、特に案内はありませんでしたね。
また、部屋にティッシュはありませんが、Wi-Fiは完備です。
室内にはパスワードが書かれたものがなかったのですが、共用の洗面所に行ったら置いてありました。
トイレと洗面所は共用ですが、きれいだし、トイレはウオッシュレット付きだし問題なし。
洗面所は、洗面所というよりはキッチンのシンクっぽいですが。
清潔なので問題なし。
そんなわけでお部屋については、料金を考えると「まあ良いかな」というところなのですが、ちょっと気になったのは共用部分がちょっと、雑然としているところでしょうか。
小さい宿や民宿だとありがちなことですし、私はそこまで気にするほうではないんですけど、それでもちょっと気になってしまったので、たぶん気になる人は気になるポイントだろうなと思いました。
【風呂】★★★★ 内湯のみだが熱めの源泉はとても良い
浴室は1階にあります。男女別の内湯で、時間による浴室の交換はありません。
宿泊客は24時間入浴可能なのですが「入浴中の事故防止のために深夜の入浴は控えてほしい」旨をチェックイン時に伝えられました。
また、9時~21時までは日帰り入浴も受け付けているそうです。
ちなみに、脱衣所にはドライヤーがなく、部屋にも置いてないのですが、浴室の先にある洗面所のところに置いてありました。
脱衣所。
ちょっと狭いので、4人とか入るとけっこう窮屈でしたね。(夕食前にたまたま、そういうタイミングがあった)
源泉分析表が貼ってありました。
ナトリウムー塩化物・硫酸塩泉。源泉73.2度。ph8.3。
源泉利用状況はこちら。
源泉が熱いので加水することはあるそうですが、消毒なしのかけ流しです。うれしい♪
さて、浴室へ。
浴室の手前と奥に、シャワー付きの洗い場があります。
洗い場には、リンスインシャンプーとボディシャンプーあり。
こちらが浴室の手前にある洗い場です。
シャワーは新しく、きちんと使えるものでした。
奥にも洗い場が2つ。
こちらは「シャンプー」と「リンスインシャンプー」と「ボディシャンプー」でした。
内湯のみの小さな浴室ですが、全4室の宿と思えば十分です!
何よりもお湯が素晴らしいですしね。
左の蛇口には温泉成分がこびりついています。
お湯はかなり熱めだったので、ちょっと水を足して快適な湯音にさせてもらいました。
浴槽には腰をかける段差もあるので、熱いお湯ですが、案外長湯できます。
ぬるぬる感もあり、強いパワーを感じさせる新鮮なお湯でした。
夕食前など混み合う時間帯を避ければ、全4室の宿ですし、独占できることも多いです。
【食事】★★★★★ 朝夕共に素晴らしい食事!ボリュームも味も満足度最高。
吉野屋旅館さんの真骨頂は、なんと言っても朝夕ともにボリューム&味ともにすばらしい食事です!
お酒はそれほどメニューは多くないようでした。日本酒が飲みたいと伝えると、口頭で2種類ほど銘柄を伝えられたので、そのうち1種類を熱燗でいただくことに。飲み過ぎなくてちょうどよかったですが。
吉野屋旅館の夕食
夕食は、お部屋に御膳を運んでもらい、いただきます。
宿のホームページに掲載されていた写真そのままの料理が並びました。
どーんと。
松前漬けと菜の花のおひたし。
おひたしには貝も入っており、味も良いです。日本酒に合う!
お刺身と焼いた海老。
そして、吉野屋旅館さんの名物「松茸の土瓶蒸し」です。6000円以上のプランで宿泊すると、土瓶蒸しがついてきます。
秋限定というわけではなく、どの季節に泊まっても松茸をいただくことができます。この料金で、どうやって入手しているんでしょうか。。。
なんでも「先代は、かつて〝マツタケ狩り名人〟と呼ばれた地元で評判の存在」だったとのことで、それでずっと、松茸の土瓶蒸しを提供し続けているんだそうです。具もたっぷり入っており、大変おいしかったです!
ぶりの照り焼きと、山形産黒毛豚の陶板焼き。
ちょっぴり牛を焼くよりも、たっぷりの豚を焼くのはぜんぜんアリですね!
ぶりもおいしかった!思わず熱燗おかわりしました。
最後に〆はご飯とお蕎麦。
漬けものや、デザートの苺もおいしかったですよ!
食べた後は御膳を外に出しておく方式なので、下げに来てくれるのを待たずにくつろぎモードに入れるのも良かったですね。
吉野屋旅館の朝食
さて朝食です。朝食も部屋まで持ってきてくださいます。
焼き魚、サラダ、おひたし、温泉卵に筋子、焼き海苔、ご飯とお味噌汁と漬けもの。
やはり、温泉卵があるとうれしいですねー。
筋子もおいしい筋子で、ご飯がすすみました。
食後は、ホットコーヒーを持ってきてくださいました。
夕食も朝食も大変おいしかったです!
ごちそうさまでした。
【再訪したい度】★★★★☆ この値段でこの食事はちょっとあり得ないすばらしさ
連休中の宿泊だというのに、6500円でこの料理……心配になるほどのボリュームで、しかもどれもおいしかったです!
家族経営っぽい小宿で、安く休前日でも一人泊できて、お湯も良い。なんだか、山形県の赤倉温泉のいづみ荘さんを思い出しました。
再訪したい度を満点にしなかったのは、冷蔵庫とティッシュが部屋にないのはやはりちょっと不便だったこと。台温泉はコンビニもないので……「ないから買いに行こう」というわけにもいかないのがつらいw
それと、館内の共用部分の雑然とした感じがちょっと気になったことでしょうか。家族経営の小さな宿なのでまあこのぐらいは……と思う部分もあるのですが、前述のいづみ荘さんや、鳴子の阿部旅館さんなんかは、共用部分もとてもきれいだったんですよね。
とは言え、温泉も食事もすばらしいし、Wi-Fiもしっかり完備されていますし「こういう宿だ」と知っていて準備してくれば(ティッシュとかタオルとか持参して)、花巻観光の拠点として「使える宿」だと思います。
食事のレポートを書いていたら私もまた、泊まりたくなりました。特に一人泊するのにおすすめの宿ですね。