そう、私は写真に興味がない女
登山や温泉に関する本の書評をブログに載せたいなあと以前から思っていたのですが、今回、これが初めての書評エントリーとなりました。なぜか、登山でも温泉でもなく、写真の本。こちらについてです。
イラストレーター&キャンプコーディネーターであるこいしゆうかさん。女子向けのアウトドア雑誌やコンテンツではお馴染みの彼女が出した写真本は、写真に興味のない私の心にどう響いたのでしょうか……。
- そう、私は写真に興味がない女
「違いがわかる」からこそ「もっと良くなりたい」と思えるのではないか
それにしても、我ながら記事のタイトルがだいぶひどいなと思いますが、何を隠そう私は写真に興味がありません、そうほとんど。たぶん、右脳がだいたい寝ているんだと思う。。。
写真だけじゃなく絵・デザイン・造形などすべてについて、ちがいがわからない
写真だけではなく、美術品や絵、骨董品、Webデザインから人の顔の造形にいたるまで、 細かい違いがぜんぜんわかりません。美術館に行っても楽しめないタイプの人間ですね。
あからさまな違いがあればわかるんですよ。
たとえば「新垣結衣ちゃんと隣の席の女子はどっちがかわいいか」はわかります。でも「隣の席の女子と向かいの席の女子はどっちがかわいいか」はわかりません。
いつもしっかりメイクしてる子がすっぴんで来たらさすがに気づきますけど、メイクの方法をガラッと変えたぐらいでは「今日のメイクいつもと違うね」とは気づきません。デザインの変化や良し悪しに無頓着なのです。
たとえば、友人に長くキャバ嬢をやっていた子がいるのですが
彼女は私と違って顔のデザインにこだわりがあるため、昔から「おでこにもうちょっと丸みがあったらよかったのに……」とか「このほうれい線がもう少し薄くなれば……」などとよく言っていました。
私は、そういう微妙な違いもよくわからないので「自分の顔がもっとこうなれば……」という欲求もないのですよね。だから、メイクも下手だったんじゃないかなーと思います。
今はさすがに、キャリアが長くなったのと仕事で美容系のサービスを作ったりしたので人並みにメイクできているはず、と思っているのですが……。
メイクうまいわけじゃないのにこんな記事書いたの?と思われるかもしれませんが・笑
登山時のメイクは、美しく見せると言うよりも「汚くくずれない」「日焼けをしない」などがポイントなので、この記事は大丈夫です!!たぶん。
ライターにはちゃんと修正指示が出せるけど、デザイナーにはうまくできない
仕事で、ライターさんに原稿を依頼したり、デザイナーさんにデザインやイラストの依頼をすることも多いのですが、提出された制作物をチェックするときに「やっぱ私はテキスト側の人間だな……」という現実を突きつけられます。
原稿については、自分で言うのも変ですが「ここをこうすればもっと良くなる」ということが概ね明確にわかるので、ちゃんと指示が出せるのです。
でも、デザインやイラスト、そして写真についてだと「なんかちょっと違うかも」と思っても、その「なんか」が何なのかが見当もつかないことが多くて。
「よっぽどひどいやつ」と「すんごいすばらしいやつ」の違いしかわからない。100点満点で20点以下と95点以上の違いはわかるけど、30点と60点の違いはあんまりわかりません。
しかし「なんか違うんだよなーそれが何だかはわからないんだけど」と言う修正指示は、出されたほうも困ると思うので、諦めて他の人に「どう思う?」って投げてしまったりします。本当はこんなことではいかんと思うし、とは言え10年以上やってる仕事なのにずっとこうなんだから、この先急にデザインセンスが養われる可能性って低くない?
そんな感じで、できればデザインに関わる仕事はなるべく避けたいとさえ思っている私です。
ブログを始めるまで写真は撮りっぱなし、1年ぐらいSDカードに入れたままだった
最近はブログに写真を載せるために、撮影した写真も比較的早く整理するようになりましたが、以前は、撮ったら撮りっぱなしで1年ぐらいSDカードに入れっぱなしとか、よくやっていました。
そんな私ですが、実は登山を始めた2011年からずっと、OLYMPUSのPENというミラーレス一眼を使っています。
当時はまだ、スマホのカメラも今ほど良くなかったですし、手持ちのコンデジで撮った写真はあまりきれいじゃないなあと思っていて。
そんなとき、型落ちでかなり安くなっていたPENのレンズキットを試しに購入してみたら、こんな私でも明確にわかるくらいの違いが感じられたんですよね。なので、以降ずっと使い続けています。技術も腕も知識もなくても、なんとなくそれなりの写真が撮れるような気がするので。
まあでも、コンデジからミラーレス一眼に変えたことですっかり満足してしまい、それ以降「もっと写真がうまく撮れるようになりたい」と思うこともなかったのです。だって、違いがわからないから。
「こういう写真を撮りたい」という目標がないのだから、がんばりようがないのですよね。
それに、山に登っていると時折、何も考えずにシャッターを切っただけなのに、それなりに美しい写真が撮れる瞬間もあって。
それだけで私は、十分満足していたのです。
そんな私がなぜ、写真の本を読もうと思ったのか?
そんな私がなぜ今更、初心者向けの写真の本を読もうと思ったかと言うと、最近、タケルさんという今日が誕生日らしいおじさんが、写真についての新しいブログを始められまして。
で、始まる前「鉛筆の削り方から教えてくれるサイトだ」と聞いていたので楽しみにしていたんですけど……。
えんぴつの削り方おしえてくれるやさしいフォトサイトの初期コンテンツをぽつぽつ書いてるんだけど、ノリノリで壮大なこと書いてて巨匠感漂う文章になってるんdねすけど大丈夫なの、これ?
— タケル Ten Key Less (@TKL) 2018年2月16日
でも、始まってみたら案外、私にとっては高度でして、恥ずかしながらついていけなかったのですよw
で、悔しいので「もっとレベルの低い本でも読んで勉強するか」と思ったのでした。
たくさんの初心者向け写真本からこの本を手に取ったわけ
何か1冊読んでみるかー、と思ったとき、最初に候補に考えたのは「写真のことが全部わかる本」です。これ。
「センス&知識ゼロからの写真のはじめかた、教えます。」というのが泣かせるフレーズですよね。
レビューの評判も良いようだし、よーし、じゃあこれを購入するか……と思ったのですが、土壇場で考え直しまして。
たぶん私、プロの写真家の人が描いたんじゃない本のほうがいいんじゃないかしら。。。
思い起こせば、私が登山を始めたころに一番参考にして、ある意味心のよりどころのように思っていた本は、鈴木ともこさんのコミックエッセイ「山登りはじめました」でした。
スポーツが得意なわけでも、人より体力があるわけでもない、職業はイラストレーター/漫画家の鈴木さんが、最初は高尾山に登るだけでもつらそうだったのに、木曽駒ヶ岳、立山と徐々にレベルアップしていき、1巻の最後では富士山に登頂する。2巻ではさらにレベルアップし、屋久島で宮之浦岳を縦走する。
この本があったから私は、登山を続けられたようなところがあるのです。
「山登りはじめました」の写真版のような本はないのかしら?
そうして、たどり着いたのが「カメラはじめます!」だったのです。
「カメラはじめます!」は写真版「山登りはじめました」っぽいと思った
まず「カメラはじめます!」の著者はこいしゆうかさん。
こいしゆうかさんは、イラストや漫画のお仕事をされているので私のような左脳に偏った人間ではないとは思うけれど、写真の専門家ではありません。
そして「カメラはじめます!」 には、監修のカメラマンの方がいるのですが、その方のお名前は偶然にも「鈴木知子さん」と言い、山登りはじめましたの著者と読み方は同姓同名なのです。
おまけにこの本の9割以上は漫画です。これなら中身にあんまり興味がなくてもとりあえず読める!!
というわけで、読んでみましたよ。
覚えることは3つだけ!初心者・機械オンチ・センス0でも大丈夫
↑これが「カメラはじめます!」の帯にでかでかと書かれているキャッチコピーです。
本書の著者であり、主人公でもあるこいしゆうかさんは友人に
「今年の夏、スコットランドでキャンプしない?」
と誘われます。
友人は英語ができるので、旅行の手配はすべてやってくれるとのことなのですが、その代わりにこいしさんに
「一眼レフできれいに写真を撮れるようになって欲しい!」
という条件をつけます。なぜなら、この前一緒にハワイに行ったときにこいしさんが撮った写真が、あまりにもひどかったから。
「実は昔カメラに挑戦したことはあるのだけど、なんかうまく使いこなせなくて挫折したのよね…」
と思いつつ、カメラ売り場に来たこいしさんは、そこで、すず先生こと、フォトグラファーの鈴木知子さんと偶然出会います。
そして、カメラ選びから上達のコツまでを教えてもらう……というのが主なストーリーです。
カメラ選びのポイントはこれだけ!
カメラ売り場ですず先生は「カメラを選ぶ際はここだけ見ればいいよー」というポイントを4つ教えてくれます。
それは
・大きさ、重さ、質感
→手にフィットする?持ち運びやすい?
・シャッター音
→自分が押したとき気持ちがいいと感じる音のものが良い。
・デザイン
→スペックよりも愛着を持てるデザインかが大事
・ファインダーがあるか
→ファインダーがあることのメリットは「被写体に集中しやすい」「撮ってる感がある」
の4つです。
しかし、ファインダーがあることのメリットがというのはどうなんだろう……と思ってしまいました。というのは私自身「ファインダーってあったほうがいいの?」と、その存在理由がわからない状態でして、できればもっと明確な理由が知りたかったのですけどね。
あと、シャッター音ってそんなに気になるものなんですかね。あんまり気にしたことなかったな。
デザインが重要というのはたしかに頷ける気がします。
ずっとPENを使い続けているのは、デザインが好きというのはけっこう大きいので。
先生は「この4つにこだわって買えばOKだよ!」と言うのですが、そこにカメラ屋の店員さんが現れまして。
「タッチパネル機能」「Wi-Fi転送機能」「バリアングル液晶モニター」はあったほうがいいよ。とアドバイスします。そして、一番気にしなくていいのは「画素数」だと。
ポスターぐらい大きくプリントするのでなければ、画素数は800万画素あれば十分なので、最近のデジカメならどれでも大丈夫ですよ、とのことで。
しかし、私の持っているPENには「タッチパネル機能」「Wi-Fi転送機能」「バリアングル液晶モニター」の3つが付いているにも関わらず、どれもまったく使っていないので「ほんとにいるのかいな」と思ってしまいましたね。。。
このほかに「カメラと一緒に購入するものリスト」とか「センサーサイズって何?」というような解説もあり、これは普通にためになりました。
「フルサイズ」ってよく聞くけど、何なのかぜんぜんわかってなかったのでね。。。
自分が使っているOLYMPUSのミラーレス一眼が「マイクロフォーサーズ」だということは知っていましたが、それも「レンズの種類」だと思ってました。間違いではないのかもしれないですがね。。。
いつものオートを卒業するための、カメラのコツは3つだけ
カメラを買って公園であれこれ撮影してみたけれど、思ったような写真が撮れずに落胆しているこいしさんに、すず先生は「カメラが写す現実と理想のギャップを埋めるため」に、「オートモード」や「シーンモード」で撮影することは卒業しよう!と伝えます。
ただし「マニュアル(設定をすべて自分で決める)で撮る必要はない。こだわりオートモードを使えばいい」教えるのです。
こだわりオートモードとは?
本書で「こだわりオートモード」とされていたのは
・P(プログラムオートモード)
・A or Av(絞り優先モード)
・S or Tv(シャッタースピード優先モード)
のことです。
すず先生が言うには「この中でもAモードは簡単なのにいろんな自由がきく万能なモードで、実はプロが使っているのもだいたいこれ」とのこと。そうなの?プロの人ってマニュアルで撮っているんじゃあないの?
で「いつも使うモードをA(Av)モードに設定」し、そこから3つのコツを教えていくのですが、そのコツとは。
(1)ボケ具合を変えられる
(2)明るさを変えられる
(3)ホワイトバランスで色を変えられる
でした。
あれ、案外普通だな。私、明るさとホワイトバランスは変えてましたよ。
だって山の上って日差しがめちゃくちゃ強いから、最低限明るさだけは変えないと、まともな写真が撮れないんですもの。
でも、3つのうち2つをもう実践しているのだから、残りのコツは1つだけ。これなら私でもできるかも……。
(1)~(3)を実践するための方法をいくつか説明し……
それから「一発で写真があか抜けるための法則」としていくつかの代表的な構図を説明し……
夕日や夜景の取り方撮り方を説明する中で「シャッタースピード」について解説します。
「逆光と順光」についてと、お花を撮るとき、食べ物を撮るとき、人物を撮るときのコツをごくかんたんに解説し……。
最後に「物撮りのコツ」をわりとしっかり説明して、すず先生からのレクチャーは終わりでした。
いい写真、心を動かす写真って何?
物撮りの章はちょっと導入がおもしろかったのですが、友人の写真展に行ったこいしさんが「いい写真、心を動かす写真って何なんだろう」と考えるところから始まります。
写真についていろいろ教えてもらって少しは上達したつもりでいたけれど、今の自分の写真を誰かに見せたら、誰かの心を動かせるのだろうか?否!できない!!
ただキレイに撮るんじゃなくて、もっと人の気持ちを動かせるような写真を撮りたいよ!どうしたらいいの?
という、こいしさんの疑問に対してのすず先生の答えが
「メルカリで物を売らない?」
だったのです。
商品の良さが伝わる写真が撮れればネットでの販売にも有利なわけよ。
つまりそれは「人の心を動かした!」ということになると思わない?と。
なんかすごいこじつけっぽくない?
と最初は思ったのですが、物撮りのコツをいろいろと教えてもらって「ああでもないこうでもない」「本当はこんな風に撮りたいのに」と悩むうちに、こいしさんは気がつくのです。
きっと「こんな風に撮りたい!」は「伝えたい!」なんだ!
そのために光を使ったり、カメラに自分の希望を伝えて、思い通りに撮れたときはうれしいし、そのときに今よりもっといい写真が撮れるかもしれないってこと?
これを読んで私は思いました。
ダメだ、私「こんな風に撮りたい」のイメージがない。
私の写真が人の心を動かす日は遠そうだな……いや、別に心を動かす写真を撮りたくてこの本を読んだわけじゃないから、いいのか。。。
すず先生にいろいろと教えてもらって、無事にスコットランドに行くことができたこいしさん。
最終章ではスコットランドで撮影した写真が掲載されているのですが、なぜかそれが全部白黒写真なのがすっごく残念でした!どれほど上達したのか、成果を見たかったのですけどね。。。
「カメラはじめます!」は超初心者の女子にはおすすめできると思う
こんな私でも最後まで読めたし、内容も概ね理解できました!すばらしい。。。
実は、写真に関する本を読んだのはこれが初めてではないんですよ。これまでに他の著者の本を何冊も買ってはいるんですが、最後まで読めた試しがなかった。
「カメラはじめます!」は内容にいくつか「本当に?」と突っ込みたくなるようなポイントはありましたが、突っ込みを入れられるということは、内容は理解できたということでもあります。それだけでもこの本の価値はあるんじゃないかなあと。
それと「現像」についてまったく触れられていないのが、超初心者向けという感じでいいなと思いました。だって、カメラの選び方や種類も、撮影の仕方もわからない状態で「現像」の話をされてもね。頭がパンクしてしまうのでね……。
あくまで「カメラ」の使い方に絞ってくれたところが、私にはありがたかったです。
そして、私以外の多くの女子にとっても「現像」よりは、この本で取り上げられていた「人物」「物撮り」「夜景」などを簡単にきれいに撮る方法のほうが重要だったりするんではないかなあと。
読みやすく、理解しやすく、必要な情報が載っている。超初心者の女子にはこの本、おすすめできますよ。
この本の内容を登山中に活かせるか?
現状、私がミラーレス一眼で写真を撮るのはほぼ、山行中です。
料理写真もよく撮りますが、スマホで十分なんですよね。食事中にカメラをしょっちゅう出すのも気が引けるので。。。
山以外の旅行では、広角レンズのついたコンデジとiPhoneしか使いません。
じゃあ、山でミラーレス一眼を使う際にこの本に書いてある内容を思い出して「この景色をどんな風に撮りたいか?」を考えて、その上でボケがどうとかシャッタースピードがどうとかあれこれやるかと言うと……そんなんやっていたら時間がかかりすぎるのではないか?という懸念を感じました。
午前中のうちにその日の行程を歩き終えてしまうぐらいに俊足だったり、あるいはゆるハイクばかりならいいのでしょうけど、けしてそんなこともないので。公共交通機関利用なのでバスの時間も気になりますしね……。
「しまった!写真を撮っていたら思った以上に時間を食ってしまった!!」
なんてことになって、慌てて下山したら事故も起こしかねません。
おそらく行動中は今までどおり、あんまり何も考えないでササッと撮ったほうがいいよなあと。
人は多いけどなかなか! pic.twitter.com/xiZSihqlFX
— 月山もも (@happy_dust) 2017年10月1日
この写真はiPhoneでなんとなく撮ったものですが、けっこう気に入っているものの一つです。
もし、山の中でこの本を活かすとしたら、テントや山小屋などに泊まっての登山のときでしょうか。その日の目的地に到着してからのんびりと、周辺の山々やお花なんかを撮影して、午後から夜までの時間を過ごす、というのがいいんだろうなと思いました。
幸い「カメラはじめます!」はKindle化されていますから、スマホにダウンロードしておけば山中で読めますしね。
もしかしたら「どんな風に撮りたいか」を意識的に考えて撮ることを、山で泊まる度に繰り返せば、いつかは「あまり何も考えずにさっと撮る」写真のレベルも少しは上がり、私自身今よりもっと、写真に興味を持つ日が来るのかもしれません。
そうして「カメラはじめます!」に書いてあることがもはや当たり前になって、もっと深く写真について知りたい!と思う日が来たらそのときは、あの本を手に取ったり、あのブログを頭から読んでみようとするのかもしれません。いつになるかはわからないけれど!