温泉ブログ 山と温泉のきろく

山好き女子の温泉と食と山旅の記録です。

山と温泉のきろく


※当サイトのリンクにはプロモーションが含まれます

道後温泉 旅館常磐荘 宿泊記 道後温泉本館から徒歩1分!大正9年創業の歴史ある小旅館に1人泊

土曜日も1人泊OK!道後温泉本館と同じ湯をかけ流しで楽しめる全5室の宿

旅館常磐荘は、西日本を代表する温泉地である道後温泉のシンボル「道後温泉本館」からすぐの場所にある、全5室の小旅館です。

大正時代の建物を改装しながら大切に使っており、館内や客室には昔ながらの風情があります。

食事は朝夕部屋食で、漁師でもあるという大旦那が見立てた新鮮な魚料理をいただけます。
道後温泉本館と同じ源泉をかけ流している浴室は、空いているときに貸切で利用する方式。そして、土曜日も1人で泊まることができます!

一人旅に優しい道後の宿、旅館常磐荘についてレポートしたいと思います。

◆ お知らせ ◆
2020年10月に著書が発売となりました。 一人旅をもっと楽しみたい方に向けたエッセイです。
一人で泊まれるおすすめの温泉宿もたくさん紹介しています。

 

早朝の飛行機で松山空港に着き、松山市駅から歩いて道後温泉へ

2022年12月、土曜日の早朝に羽田空港から朝1番の飛行機に乗り、松山空港へ。

12月は、朝6時半ぐらいではまだ外は薄暗いですね。

8時45分に松山空港に着いた後は、15時の宿のチェックイン時間まで何も決めていなかった私です。だいたいいつもそんな感じです……。

とりあえず空港からバスで松山市駅へ。駅ビルが高島屋だ……松山は都会ですね。

まだ午前9時30分なので、喫茶店でモーニングでも……と思ったけれど、いい店が見つからずスタバへ。

隣に「坊ちゃん列車ミュージアム」が併設されている、ちょっと珍しいスタバでした。

小一時間スタバで過ごした後、松山市の中心街「大街道」のあたりでお昼を食べようと思い、徒歩で移動します。

歩いていく途中に、松山城が見えました。

山の上にあるのはいいなあ。ロープウェイで行けるんですよね。
昼食後に時間があったら行ってみようかな。現存12天守の一つですしね。

1929年に建てられたという愛媛県庁舎も格好いい。

20分ほどで大街道に着き、目星を付けていた寿司屋でランチと昼酒。

早起きしたものでお酒を飲んだら眠くなり……結局松山城には行かずに、寿司屋のすぐ近くのスタバで食後のコーヒーを飲みつつうとうとしてから、また歩いて道後温泉に向かいます。

大街道から道後温泉までは20分少々。

途中で、坊ちゃん列車とすれ違いました。普通の路面電車はわりと空いていたのに、坊ちゃん列車はびっくりするほど混んでいた。

きっと私は、あれに乗ることはないんだろうな……。

そうこうしているうちに道後温泉駅に着きました。

道後温泉駅は、駅舎の中にスタバがある駅です。

今日は朝からスタバばかり見るなあと思いながら、駅を素通りして本日の宿に向かいます。

松山市駅から道後温泉には路面電車で行くのが楽です

松山市駅から道後温泉駅まで、私は散歩がてら歩いてしまいましたが、路面電車に乗れば20分で着きます。

徒歩だと45分なので、一気に歩くとちょっと長く感じるかと思います。寄り道しながら行くのでなければ路面電車に乗るのが無難でしょうね。

伊予鉄道 道後温泉駅から徒歩5分、道後温泉本館からすぐ

本日のお宿、旅館常磐荘は道後温泉駅から徒歩5分の場所にあります。

道後温泉本館の目の前にあるので、まずは道後温泉本館を目指せばOK。

工事中で、やたらカラフルな色合いになっている道後温泉本館。派手だし、観光客みんながここを目指して歩いているのですぐわかりますね。

正面から見るとこんな感じ。

わりと空いているタイミングで撮影した写真ですが、混んでいるときは正面玄関前にかなり人が並んでいました。
現在は工事のため、1階の「霊の湯」のみの営業となり、コロナ禍での人数制限もあって混雑が激しいようです。

私は、工事が始まるよりも以前に道後温泉本館に入ったことがあり、霊の湯にもそのとき浸かったので、今回は無理に入らなくていいかな……。

道後温泉本館の正面玄関が向いている方向に少し歩くと、道の左手に本日のお宿「旅館常磐荘」が見えました。

建物の側面の壁を見ると、いかにも古そうに見えますが……中はどんな感じでしょうか。

15時になったところでチェックインします。

【部屋】★★★★☆ 客室内にテレビや冷蔵庫はないが、館内は清潔で独特の風情がある

ガラスの引き戸を開けて中に入ると……館内は意外と言っては失礼かもしれませんが新しく、とてもきれいです。

靴を脱ぎ、体温を測った後に2階の部屋に案内していただきます。

階段は古い建物らしくやや急ですが、階段・床・壁・部屋の扉などすべて新しく改装されており、見た目には古さは感じられません。床がきしんだりということもなし。

本日泊まる部屋は、階段のすぐ横にあるこちらの部屋です。

きびきびとした気持ち良い接客の女将さんが部屋に案内してくださいました。

客室はこぢんまりとした6畳間ですが、1人なら十分な広さです。建物は古いけれど、部屋の中は古びた雰囲気はまったくありません。

女将の入れてくれたお茶をいただいて一休み。お茶菓子は坊ちゃん団子です。

ポットは魔法瓶タイプ。茶櫃の模様が渋くて格好いいな。

天井は傾斜しているタイプ。梁や天井もリフォームされているのか、新しく見えます。

浴衣と帯と羽織、足袋ソックスの橫に置いてあるのは……ヘルメット?

特に説明はなかったのですが、有事の際に使うものなんでしょう。準備が良いのはありがたいことですね。

そして……壁際に置いてあるこちらは、ちゃんと現役で使われている電話です。

恐らく内線のみだと思いますが、夕食後にこちらの電話を使って下膳をお願いしました。使うときちょっと緊張した。

その他の備品類は、鏡台の周りにまとまって置いてありました。

建物の古い宿はコンセントが少なくて難儀したりしますが、2個口コンセントが2つあったので不自由なく使えました。

壁際に置いてあるのはラジオです。テレビはないけど、全室ラジオ付きという……。
そして、ドライヤーはPanasonicのナノイーでこちらは最新式。お風呂が貸切利用のみなので、脱衣所ではなく客室で身支度をしたほうが良いですね。

アメニティ類もしっかり揃っています。バスタオルとフェイスタオル、タオルを入れて持ち運ぶカゴに、タオル用の袋まで。

浴室にもシャンプー類はありましたが、パウチのシャンプー&コンディショナー、ボディシャンプーも。外湯に行くとき用ということでしょうかね。綿棒にフェイスパック、そして耳せん。

耳せん……?

実は、この日泊まったのは「【道路側:眺望あり】和室6畳」の部屋でした。窓からは道後温泉本館につながる路地を眺めることができます。

なかなか風情ある眺めではありますが、古い建物で防音性は良くないので、道を歩く人の声や車の音などはかなりはっきり聞こえます。

楽天トラベルの予約ページにもこの部屋については

窓を開けて右側に覗き込むと、道後温泉本館が見えるお部屋。バス・トイレ共同利用。大正時代の建物を活かした改装をしたため、音に敏感な方のご宿泊はお勧めいたしません。

という説明書きがありました。安眠の備えに、客室アメニティとして耳せんを置いてくれているのですね。ありがたいことです。

ちなみに私は、お酒を飲むと多少の音など物ともせずに寝てしまうので、この日も耳せんを使うこともなく寝てしまいましたが、たしかに音はけっこう聞こえました。

深夜に目覚めたときはもう静かでしたが、道後温泉本館は23時まで営業しているので、そのぐらいの時間までは人の声が聞こえそうですね。
「眺望なし」の部屋を選べば往来の音は聞こえにくそうですので、早寝したい方はそちらを選んだほうが良いかと思います。

また、建物が古いので外の音が聞こえにくい部屋であっても廊下を歩く音や階段の上り下りの音はやや響きます。その点は理解したうえで予約されることをお勧めします。

トイレ・洗面所は共同だがきれいにリフォームされている

トイレ・洗面所は客室にはありませんが、同じフロアにあるので階段の上り下りなしで利用可能です。

洗面所はこちら。

客室同様新しくリフォームされているようで、黒いタイル張り。蛇口の形もレトロでおしゃれです。

トイレも同様にリフォームされています。

ウォッシュレット付きで新しくきれいでした。

【風呂】★★★★ 道後温泉本館と同じ源泉をかけ流し&貸切で楽しめる

浴室は1階に1箇所。
利用できる時間は15時から23時と、朝は7時から10時まで。
予約制ではなく、空いているときに中から鍵をかけて利用します。1回の利用は40分ぐらいを目安にお願いします、とのことでした。

脱衣所のドアが空いていれば利用可能です。浴室に向かう途中の廊下にウォーターサーバーが設置してありました。

私は早めにチェックインしたこともあってか、ちょうど空いているタイミングで利用できましたが、入りたいときに空いていなかった場合は「フロントに内線いただければ、空いたタイミングでお知らせしますよ」とのことでした。

脱衣所は、洗面所と脱衣カゴのみのでシンプルですが、こちらもしっかりリフォームされているようで、壁や床もきれいです。

浴室へ。

内湯のみで浴槽は大きくありませんが、1人ならゆったり浸かれる広さです。

シャワー付きの洗い場が2箇所。シャンプー&コンディショナーとボディシャンプーあり。

浴槽の広さから言っても、同時に利用できるのは2名まででしょうね。
体を洗って浴槽へ。

道後温泉本館と同じ源泉とのことなのでアルカリ性単純泉ですね。温度は40度ほどで熱くもなくぬるくもない適温でした。
小さな浴槽ですがかなりのオーバーフローがあり、循環なしのかけ流しで楽しめます。

道後の宿は循環のところが多いので、宿のお風呂でかけ流しのお湯に浸かれるのはうれしいですね。

浴槽が小さいからか湯が入れ替わるのが早いようで、新鮮さが感じられる良いお湯でした。

【食事】★★★★☆ 朝夕共にお部屋でのんびりいただける

常磐荘では、食事は朝夕ともに部屋食で、お部屋でのんびりいただくことができます。
食事の開始時刻は、夕食は18時から19時まで、朝食は8時から9時までの間で選択できました。

常磐荘のドリンクメニュー

紙に書かれたメニューがなく、口頭でご説明いただきました。
瓶ビール、日本酒、焼酎、自家製の梅酒、ポンジュースがあるとのこと。

ポンジュースはいかにも愛媛らしくて良いですね。

夕食は漁師でもある大旦那が吟味した鯛尽くしの会席

「【鯛づくし】漁師の大旦那が吟味☆新鮮な愛媛の県魚をフルコースで」というプランで予約していました。

ちなみに、現在はこの「鯛づくし」プランは出ておらず「お任せ会席」のみになるようです。季節限定だったのかもしれませんね。

お品書きがなかったので記憶とメモを頼りにご紹介します。

最初に運ばれてきたのは「しめ鯖」とお刺身の盛り合わせです。

お酒は日本酒を1合いただきました。

松山市内(2005年までは北条市だったところ)にある雪雀酒造のお酒「雪雀」です。

刺身は「あおりイカ」と「鯛の湯引き」と「鯛の刺身」でした。

どれも新鮮で、湯引きと刺身で食感や味の違いが楽しめるのもいいですね。

しめ鯖の締め方もちょうどよく、お酒がすすむお味。

焼き物は鯛の塩焼き。焼きたてを持ってきていただきました。

お刺身で食べることは多いけど、意外と塩焼きをいただくことの少ない鯛。
シンプルな塩焼きで、鯛自体のおいしさがよくわかります。

サザエの壺焼き。

「出汁がおいしいので良かったら」と説明いただいたので飲んでみると、梅が入っていて爽やか。ワタの苦みと梅の酸味が合わさって、これまで経験のないおいしさでした。

揚げ物も熱々、かつたっぷりな量でうれしい!

鯛の唐揚げです。鯛をこういう調理法でいただくのも初めてかもしれません。
鯛の身自体は淡泊な味わいなので、味のついた衣でカラッと揚げるのはいいですね。酒がすすむ。

野菜の炊き合わせ。

あっさりとした出汁で炊いてあります。鯛尽くしの中であっさり野菜の煮物ってちょうどいいバランス。

茶碗蒸し。出汁の旨みが濃くておいしい!

茶碗蒸しの中にも鯛の身が入っていました。豪華。

煮物は鯛の兜煮。

意外と食べやすくておいしくいただきました。

〆のご飯も、もちろん鯛飯です!鯛飯はいくつかのタイプがありますが、こちらは鯛を米と一緒に炊いて最後に身をほぐしたものでしょうか。

吸い物も鯛のお吸い物。
鯛飯、ちょっと小骨が気になりましたが、味は大変おいしかったです。
漬けものはコリンキー(かぼちゃの一種で生食可能)とみょうがの甘酢漬け。ありきたりでなくて良いですね。

デザートは、愛媛ですものね、みかんです。
甘くておいしいみかんでした。みかんは煎茶に合いますね。

鯛尽くし会席、満足度の高い夕食でした。ごちそうさまでした!

朝食は愛媛県名物のじゃこ天がうれしい!

朝食は8時に部屋に運んでいただきました。

じゃこ天がある!うれしい。

味噌汁の具はごぼうとさつまいも。昨夜の漬けものといい、ちょっとひねりがあるのが良いですね。ご飯もおいしいです。

しらすに小松菜のおひたし、ひじきと朝食の定番おかずたち。

温泉卵に焼き海苔、漬けものに梅干しとご飯のお供も。

焼き魚は鰆で、あっさりと塩焼きにしてありました。こちらもちょっとこだわりが感じられるメニューですね。

朝食もおいしくいただき、お腹いっぱいで10時まで部屋でだらだらした後チェックアウトしました。ごちそうさまでした。

【再訪したい度】★★★★☆ 食事おいしく湯もよく、接客もさわやかで居心地良い良宿

道後温泉は大型の宿が多く、多くの宿はお湯も循環ですし「観光地の温泉宿だしそんなものかな」と思っていましたが、常磐荘は違います。

道後温泉本館の目の前という最高の立地にありながら、土曜日や連休でも1人で泊まれて、食事は部屋食で1品ずつ持ってきてくれる方式。しかもすべておいしいです。

旅行サイトだと楽天トラベルにしか掲載されていないので、じゃらん派だと見逃しがちな宿なのですが、出会えて良かったと思える宿でした。

お酒の種類が少なめで、持ち込みOKというわけでもないので(部屋に冷蔵庫ないですしね)お酒が好きな方にとっては若干物足りないかもしれません。あとは全5室で浴室1箇所を貸切利用なので、満室のときだと希望の時間に入れなかったりで印象変わる可能性ありますが……その点を踏まえたうえで予約すると良いかと思います。
道後温泉本館の工事が終わって「宿の風呂がいっぱいだから本館行ってきますわー」と気軽に行けるようになるといいんでしょうけどね。今は本館のほうも待ち時間があるような状況なので。

私が泊まった約半年前と比べると、宿泊料金はアップしてしまいましたがこのご時世、仕方ないかなと思います。大人の一人旅にはぴったりの宿です。

【1人旅に優しい度】75点:道後で部屋食、かつ連休でも1人で泊まれる貴重な宿

泊まりやすさ 20/20
6畳の和室には土曜日はもちろん、連休でも1人で泊まれる。
6畳和室には1名もしくは2名で宿泊可能だが、1人で泊まっても2人で泊まっても、1人あたりの宿泊料金は同じ。

食事場所の配慮 20/20
朝夕部屋食で、お部屋に運んでいただける。
時間帯の選択肢もしっかりあってうれしい。

プランの選択肢 15/20 
1名だと12畳の広い部屋には泊まれないが(必要性も感じないけれど)プランの選択肢は1人で泊まっても2人以上で泊まっても同じ。

ドリンクオーダー  5/20
昔ながらの宿という感じで、ドリンクのメニューは少なめ。
日本酒は1合からオーダー可能。焼酎もおそらくグラスでいただけるのではないか。
ビールはおそらく中瓶と思われる。

フリーWi-Fi完備 15/20
客室内でWi-Fi利用可能。速度も問題なく利用できた。

◆ お知らせ ◆
2020年10月に著書が発売となりました。
一人旅をもっと楽しみたい方に向けたエッセイです。
一人で泊まれるおすすめの温泉宿もたくさん紹介しています。