双色の源泉 山水館信濃
山水館信濃は、白濁の硫黄泉である「乗鞍高原温泉」の源泉と、透明な「わさび沢温泉」の2種類の源泉を共にかけ流し楽しめる、高原の宿です。
源泉のすばらしさもさることながら、囲炉裏端でいただける山の食材を使った料理も魅力的で、実は登山を始めたばかりの頃に一度宿泊しているのですが、それからずっと「また泊まりに行きたいなあ」と思い続けていた宿でした。

2017年の6月に再訪がかない、乗鞍岳登山の前泊として宿泊しましたので、レポートしたいと思います。
山水館信濃は、小規模旅館やペンションが点在する乗鞍高原の中でも評判の高い宿
乗鞍高原は、すぐ近くにある白骨温泉と比較すると、温泉地としての知名度は高いとは言えないかもしれません。
宿泊施設も、公共の宿の「休暇村乗鞍高原」は比較的規模が大きいものの、それ以外は小規模旅館や温泉付きのペンションがほとんどで、大型ホテルなどは皆無です。
スキー場が近いので、もっと開発が進んでも良さそうな気もしますが、白馬なんかに比べると地味な感じですね。でも、それが悪いというわけではもちろんなく、私はそんな乗鞍高原が大好きです。
今回宿泊した「山水館信濃」には、実は約6年前、2011年の9月にも1人で宿泊しています。
予約サイトでの口コミの評価も高く、何よりも白濁硫黄泉と炭酸水素塩泉の両方に入れる宿は、乗鞍高原温泉で2軒だけなんです。
前回泊まった2011年のときもかなり印象が良く、ずっと「また泊まりに行きたい」と思っていたんですが、休前日の一人泊ができない宿だったのでなかなかタイミングが合わず、予約できなかったのですよね。
しかし今回、旅行サイトをチェックしていたら6月初旬の週末、土曜日なのに1人泊のプランが出ていました!
おそらく、まだ畳平までのバスが通っていない時期でしたので、シーズンオフという扱いだったんでしょうね……即座に予約してしまいましたよ。
宿泊当日は松本から乗鞍高原行きにバスに乗り、観光センター前で下車。お昼過ぎでまだチェックインには早い時間だったこともあり、まずは日帰り温泉の湯けむり館に立ち寄りました。
お湯もすばらしく、併設のレストランでいただける食事もおいしい日帰り温泉施設です。
山水館信濃は15時からチェックイン可能ですので、それまでの時間を湯けむり館で過ごし、徒歩で移動します。
徒歩、約15分というところでしょうか。
観光センターの裏側の道を白骨温泉方向にまずは向かいます。

まっすぐ行くとあと6.7kmで白骨温泉ですが、この看板が出ている分岐を左に曲がります。

新緑が美しい道をしばらく歩いていくと……。

電柱のすぐそばに「左に曲がると山水館信濃」がある旨が書かれた看板がありました。

川を渡って奥のほうに山水館信濃はあります。

川を渡って右へ。

このあたりは、かわいらしい見た目のペンションが点在しています。
ペンションも、乗鞍高原温泉を引いているところが多く、旅館より安く泊まれることが多いのでけっこうおすすめです。私も以前、温泉付きのペンションに宿泊したのですが、洋食メニューの食事がなかなかおいしかったです。
見えてきました!山水館信濃です。

早めにチェックインして、温泉三昧したいと思います♪

外観はログハウス風ですが、中身は旅館です。
山水館信濃にチェックイン
フロントで予約している旨を告げ、チェックインの手続きを。

こちらに前回泊まったのは2011年の9月、6年近く前なんですが「宿泊したことがある」という記録は残っていたもようです。お部屋に案内される際に
「以前も泊まられたことありますよね?お風呂などの案内はよろしいですか?」
と訊ねられました。
ですが、いつ宿泊したかまでは記録が残っていなかったのか「前回お泊まりになったのはいつ頃なんですか?」と聞かれましたw
「5年ぐらい前ですかねえ」
と答えると「まあ、それは、思い出していただきありがとうございます!」とw
いや、私はもっと早くに再訪したかったんですよ!
でも、休前日に1人で泊まれないことが多いのでね。。。気づいたら5年以上経ってしまいましたよ。
整然と整えられた玄関。

フロントの前には、ソファや囲炉裏などがありました。

せっかくの広いスペースですが、特にこちらで待ったりお茶をいただいたりすることはなく、すぐにお部屋に案内していただきました。

前回もそうでしたが、今回も、宿泊するのは「東館」という、創業当初からある旨のお部屋です。
フロントの裏にある階段から2階に上り、絨毯敷きの廊下を奥へ。

「こごみ」の部屋に本日は宿泊します!

一番好きな山菜が「こごみ」なので、部屋の名前がこごみだったのが、ちょっとうれしかったです。
【部屋】★★★★☆ 創業当初からの古い建物だが、洗面トイレ付きで何の不自由もない
創業当初からある東館の8畳間が、今回のお部屋です。
そういえば、予約したときは最も狭い「6畳間」のプランで予約したはずだったんですが、空きがあったのでしょうか。値段はそのままで8畳間に案内されました。
案内していただいた後、お茶をいれてくださいました。

お茶請けは、ひめたけの味噌漬け?と、とちの実せんべい。
姫竹のほうはお酒のつまみとしても良さそうですね。
ただ、山水館信濃では、客室に冷蔵庫があるのは一部の部屋のみのようで、私の泊まった部屋には冷蔵庫はありませんでした。なので、外でお酒を買ってくると、部屋で冷やすことはできません。
テレビはけっこう大きめ。

私は吸いませんが、灰皿が置いてあるので禁煙ルームではなさそうです。
煙草の匂いなどは特に気になりませんでした。
部屋の隅には、小さな鏡台と箱ティッシュがありました。

古い部屋ですが、室内にきちんと洗面台があります。

化粧水・乳液・クレンジングがお部屋にしっかりあるのはすばらしいですね!
洗面台も新しく、ちゃんとお湯も出ます。
トイレも各部屋についていて、ウォッシュレット付きです。

清潔に掃除されていました。
浴衣とバスタオルとフェイスタオル、歯ブラシ、シャワーキャップ。

基本的なものは揃っています。
ポットは、残念ながら湯沸かし機能がついていないもの。

ただし、夕食時に布団を敷いていただくタイミングで新しいポットと交換されており、夕食後に熱いお湯でコーヒーが淹れられたのはよかったです。
今回のお部屋コーヒーは、水戸で買ったザザコーヒーでした。
部屋の窓からの眺め。

絶景!というほどではありませんが、新緑が美しくて気分がよかったです。
室内にあった冊子には、乗鞍高原春山バスの案内がありました。室堂の「雪の大谷」みたいな感じで、乗鞍高原から乗鞍岳方面に向かうバスも、高い雪の壁の間を通っていくのです。

部屋まで案内してくださった仲居さんに「明日、春山バスで乗鞍岳に登るつもり」という話をしたところ
「実は、昨日雪が降って路面が凍結してしまったので、今日は乗鞍高原からのバスも終点まではいけなかったんですよ。平湯からのバスは終日運休で」
とのこと!マジですか……。
手前のバス停から歩くことになると、けっこう距離が伸びるので、できれば明日は終点まで運行してほしいんだけどなあ……明日は凍結しないよう、祈るしかありません。。。
ちなみに、本日の宿泊料金は土曜日の1人泊、朝夕2食付き、スタンダードな食事のプランで13000円でした。
宿泊したのは8畳間でしたが、もともと6畳間に宿泊するつもりの予約で13000円でしたので、 8畳間で予約をするともう少し高いと思います。
さて、お部屋でお茶をいただいて少し休んだところで、お風呂に行ってみたいと思います!
【風呂】★★★★☆ 24時間入浴可能な大浴場の硫黄泉はすばらしいお湯。浴室内の設備は多少、傷みも見られる
山水館信濃の大浴場は、チェックインからチェックアウトまで夜通し入浴することができます。
貸切湯もあるようなのですが、50分1000円の別料金でしたし、特におすすめもされなかったので申込みませんでした。
こちらの宿の温泉の特徴は、なんと言っても、泉質の異なる2つの源泉を、大浴場の露天風呂と内湯で楽しむことができることです。

単純硫黄泉の「乗鞍高原温泉」と、マグネシウム・カルシウムー炭酸水素冷鉱泉の「わさび沢温泉」です。
大浴場にはタオルは備え付けられていないので、お部屋のタオル類を持っていざ、お風呂へ!

階段を下りて1階へ。
大浴場に向かう途中に、自動販売機があります。

ビールとチューハイと、ソフトドリンク。
種類はあまり多くありませんが、部屋に冷蔵庫がないため、冷たいビールを夜飲みたい!というときはこちらから購入することになりますね。
1階に下りたら、建物の奥のほうに向かいます。

途中で、廊下を右に曲がり、突き当たりに貸切風呂が2つ。その手前に男女別の大浴場がありました。

浴室の前には給水器もありました。

貸切風呂がどんな感じなのかもちょっと気になるのですが……。

後ろ髪をひかれつつ、大浴場に行ってみます。
こちらが、女湯の脱衣所です。

右手に洗面台、左手に脱衣カゴというシンプルな造りです。
脱衣所内に鍵付きのロッカーはないので、貴重品は持ってこないほうがいいでしょう。
新しくてきれいな洗面台が並んでいます。

部屋の洗面台にあったのと同じ、化粧水・乳液。クレンジングの3点セットがここにも置いてありました。
大浴場の内湯、そして今回は入らなかった貸切湯は、単純硫黄泉の乗鞍温泉、そして露天風呂のお湯はマグネシウム・カルシウム炭酸水素冷鉱泉とのこと。

硫黄泉のほうが古くからある源泉で、わさび沢温泉は平成14年に新しく掘削された源泉なんですね。
伊香保温泉の「黄金の湯」と「白銀の湯」なんかもそうですが、こういう場合って大抵、古くからある源泉のほうが濃厚ないいお湯だったりしますけど……さて、今回はどうでしょうか?
脱衣所にあった源泉分析表は、硫黄泉のほうだけでした。

源泉46.4度、ph3.12の酸性硫黄泉です。
近くの白骨温泉も硫黄泉ですが、あちらはほぼ中性のお湯だったと思います。近くてもぜんぜん違うんですね。
では、いざ浴室へ。

木造りで、窓が多い内湯。

おお……白濁の硫黄泉。。。
5年以上ぶりなのでほとんど忘れていたんですが、いいですね!
湯口からは新鮮なお湯がどんどんかけ流されています。
お湯の温度は40度強というところでしょうか。適温です。
浴槽にはちょうどいい段差もあり、半身浴もできます。すばらしい。
しかし、実は来る前から旅行サイトの口コミなどを読んで知ってはいたのですが……こちらの浴室、一点だけ問題があるのです。

それは、洗い場のシャワーの調子があまりよろしくないこと。
アメニティは、けっこういい感じのシャンプー&コンディショナー・ボディシャンプーが設置されており、何の問題もないのですが……。

強酸性の硫黄泉って、カランや蛇口を傷めてしまうらしいですね。
おそらくそのせいで、この宿のシャワーも、そんなに古いものではなさそうなのですけど、あまりお湯の出がよくなかったり、お湯を出すと笛を吹いているような音がしたりするのですw
特に、2人以上が一緒にシャワーを使うとその影響が顕著なようで……私の後に入ってきた方たちは、2人で一緒にシャワーを使いながら「まるで何か演奏でもしてるみたいね」と苦笑いしていました。
実は「シャワーの調子が良くない」ことは事前に口コミで知っていたので、私はチェックイン前に立ち寄った日帰り温泉で、先にしっかり頭を洗ってきていました♪
さて、内湯を存分に楽しんだ後は露天風呂へ!
おお……木の塀はあるものの、緑に囲まれていてなかなかの開放感です♪

入浴目線だとこんな感じ。
木々の緑が美しいです。
お湯も、内湯同様にどんどん注ぎ込まれています。
特に源泉使用状況の表示は見当たらなかったのですが、露天風呂のお湯は冷鉱泉とのことだったので、湧かしているのかもしれません。
お湯の良さでは内湯に軍配が上がりますが、露天風呂も開放感があってなかなかよかったです。露天のお湯はかなりぬるつきがすごくて……特に浴槽の底が半端なくぬるぬるしていたので「これ、ちゃんと洗ってるんだよね?」と心配になるぐらいでした。
きっとあのぬるぬるは温泉成分で、浴槽はちゃんと掃除されているのだと信じたい。
【食事】★★★★★ 6月初旬は朝食も夕食も山菜づくしで大満足
食事は朝夕ともに食事処でいただきます。
夕食は18時30分からの一斉スタート。食事の用意ができると部屋に電話がかかってきますので、食事処に向かいます。

食事処は、1階のフロントの奥にあります。
山水館信濃の夕食
電話がかかってきてすぐに食事処に行ったら、一番乗りでしたw

囲炉裏端でいただきます。1人だからか、1番端っこの席にしていただいたようです。心遣いがうれしい。
む……天ぷらが最初から置いてあるのはちょっと残念だな。
ドリンクメニューはこちら。

ビール、ワイン、果実酒、日本酒が揃っています。
焼酎のメニューもけっこう豊富です。というかむしろ、日本酒より焼酎のほうが種類多いのでは。。。

別注で馬刺しや岩魚のお造り、信州プレミアム牛の鉄板焼きなどを注文することができます。1人前から注文できるし、お値段もわりと良心的ですね。
一合でいただけるお酒は「大雪渓」と「乗鞍岳」だったので、まずは「乗鞍岳」の純米酒を。

もっきりでいただきます。
枡にも乗鞍岳が描かれているのがいいですね!
こちらが、最初から並べられていた料理たち。

こんにゃく、赤カブ、ふきのとうの酢の物。

白いのもカブかと思ったらこんにゃくでびっくりw
私が一番大好きな山菜!こごみの胡麻和えです。

やはり、この季節は山の宿ですね……。胡麻和えはもうちょっと甘めの味付けのほうが好みではあるけれど、おいしいです。
薩摩揚げとぜんまいの煮物。

ぜんまいも好きです。
豆腐、真ん中は何だか忘れたけど山菜を甘く煮たもの。右は山菜と味噌を和えたもの。

山菜づくしでうれしい。
天ぷらも当然、山菜の天ぷら。

うど、はんごんそう、コシアブラの天ぷら。
最初から置いてあってちょっと残念……と思ったけど、十分おいしい天ぷらでした。
塩じゃなくて、天つゆでいただくタイプだったのがよかったですね。塩だと、冷めると本当に食べにくいので。。。
山菜の苦みと、天つゆがあっていておいしかったです。
そして信州サーモンのお刺身。

これが、思った以上に脂がのっていてめちゃめちゃおいしかったです!まさに、とろける旨さ。
今は流通が良くなったので「山の中で海の魚の刺身を出すなんて邪道」とはまったく思わないのですが、山の魚でこれだけおいしいものを出してもらえると、なんというか、ちょっと感動しますね。
このあたりで、最初の冷酒がなくなったので2杯目は大雪渓を熱燗でいただきます。

囲炉裏には、鍋と岩魚がかかっています。

鍋の中身は鴨鍋でした。

こちらはまだ、煮える前の鴨鍋。
いい感じで煮えてきましたので……。

お皿に取って、熱燗と一緒にいただきます。

鍋の甘めの味付けと熱燗がよくあって、幸せ♪
岩魚は、もともとしっかり焼いてあったので、囲炉裏で少し温めたら食べられます。

日本酒を飲みながらだと、岩魚についてる塩がおいしいんですよね。。。
食事の最後のほうで運ばれてきた蒸し物。

蓋を取ると、そばがきでした!信州の味。

これも日本酒に合いますねー。餡かけのあんが、ほの甘くてよいです。
そばがきの後に、冷たいお蕎麦もきました!

蕎麦とそばがきでかぶってるじゃん!と思いつつも、やっぱり信州と言えばお蕎麦!なので、出てくるとうれしいですね。
蕎麦もいただいたのにご飯も出てきます。

ちょっと古漬けの野沢菜漬けがまたおいしくてね……熱燗でいただきます。
デザートは煮りんごでした。

凝りすぎていなくて、どこまでも信州らしい、すばらしい夕食だったと思います。
山水館信濃の朝食
朝食は7時か、7時30分か、8時から、夕食の際に選択します。朝は電話連絡はないので、お願いした時間になったら勝手に食事処へ。
私は、この日登山をする予定でしたのでもちろん7時を選びました。7時からの朝食が選べる宿はなかなか多くないと思いますが、登山の予定があっても朝食を諦めなくていいのでうれしいですね。
前夜と同じ席に座ります。囲炉裏の穴は塞いでありました。

朝食は、最初からこんな感じで並べてあります。ご飯は自分でよそい、味噌汁は席に着いてから持ってきていただきました。
たっぷりの小梅に茄子の煮物、山菜、冷や奴の上には葉ワサビ。

焼き魚のそばについている自家製のふき味噌がめちゃめちゃおいしかったです!!

これだけで、かなりご飯がすすみました。
こちらは何だろう……と思ったら、乗鞍高原の郷土料理で「漬物のステーキ」だそうです。ちょっと珍しいですよね。

朝と言えば朴葉味噌かしら?と思っていたのですが、長野側なのでちがうのか。
でも、この漬物のステーキもなかなかおいしかったですよ。意外とあっさり味で、少し酸味があって、さっぱりといただけました。卵焼きは甘いタイプ。
ご飯、お味噌汁、漬物の3点セットも安定のおいしさでした。

ごちそうさまでした!
ちなみに、こちらの宿は朝食を終えて部屋に戻っても布団は敷きっぱなしです♪
私は、この後登山が控えているのであまりのんびりできなくて残念でしたが、早めに朝食をいただいて部屋でごろごろできたら至福だろうなーと思いました。
【再訪したい度】★★★★★ 次回も山菜の季節にまた、おとずれたい
実は前回来たときも、お湯のすばらしさもさることながら、食事がおいしかったことがかなり印象に残った宿でしたが、今回は、大好きな山菜の季節ということもあり、食事はかなり満足度が高かったです。
食事も、お部屋やサービスも「山麓の宿」として、やりすぎずに、最大限のサービスを提供しているという感じ。「山の中で鮪の刺身」じゃないですけど、「山の宿」らしさがなくなってしまったら、それはそれでおもしろくないと思うんですよね。。。
オンシーズンは休前日の1人泊ができないのが残念ではありますが、6月初旬の山菜の時期なら土曜日1人泊ができるということがわかったので、次回は5年も開けずに、また山菜の季節に来たいものだと思います。
さて、山水館信濃をチェックアウトした後はいよいよ、残雪の乗鞍岳に登りますよ!
