極上の自家源泉を惜しげもなくかけ流している昭和なビジネスホテルが甲府にあった
ホテル昭和は、山梨県甲府市の中央自動車道甲府昭和インターチェンジからすぐの場所にある温泉付きのビジネスホテルです。
甲府は、ビジネスホテルや銭湯で気軽に温泉を楽しめる街で、私もこれまで甲府でいくつもの温泉付きホテルに泊まっていますが、その中でもホテル昭和の湯量と泉質は過去一番ではないかと思うほどでした。
甲府の駅からはやや遠いこともあってこれまで訪れたことがなかったのですが、先日初めて宿泊し、評判どおりのかけ流しの源泉と古いながらも快適な部屋、ちょうどよくおいしい朝食に大変満足しましたので、ご紹介させていただきたいと思います。
一人旅をもっと楽しみたい方に向けたエッセイです。
一人で泊まれるおすすめの温泉宿もたくさん紹介しています。
「ホテル昭和」は甲府駅からは遠いが、甲府昭和インターからすぐの場所にある
ホテル昭和は、中央自動車道甲府昭和インターチェンジからすぐ、東京と長野を結ぶ国道20号・甲府バイパス沿いにあり、車移動であれば非常に便利な場所にあります。
ただし、公共交通機関利用となると甲府駅からは徒歩50分、最も近い鉄道の駅は身延線国母駅となりますがそこからも30分ほどかかります。甲府駅からのバスの便もあまり良くありません。
よほど歩くのが好きな人以外は、駅からタクシー利用が1番現実的でしょう。甲府駅に常駐しているタクシーに乗って約10分、2000円ほどで到着します。
似た名前のホテルがいくつかあるのでタクシー利用時は注意!
甲府駅でタクシーに乗り「ホテル昭和にお願いします」と言うと「ホテル内藤昭和?」と聞き返されました。
どうも、昭和インター付近には「昭和」と名の付く宿泊施設が複数あるようで……「ホテル内藤昭和」のほかにも「甲府昭和温泉ビジネスホテル」なんていう名前の宿もあるようです。「温泉がついているビジネスホテルです」なんて言ったら、こちらのホテルにつれて行かれるかもしれませんね……。
このときは結局、Googleマップを見て「甲府バイパス沿いのスーパーホテルの向かいにあるホテル昭和」と言ったらわかってもらえました。スーパーホテルつよい。
ホテル昭和に到着しました。平面の広い駐車場があります。
ホテル昭和の開業は昭和50年だそうで、それから50年近い月日が流れていますから、建物は新しくはありません。
しかし、中に入ってみると外観からイメージしていたよりも、中はずっと明るく、とても清潔です。
館内は階段移動のみで、3階の部屋には少し安く泊まれる
館内のあちらこちらに絵画が飾られており、階段や廊下にもちり一つありません。じゅうたんもきれいです。
館内にはエレベーターがなく、2階か3階の客室には階段で移動することになります。
階段は2箇所あり、現在は感染症対策のためにフロントに近い階段を「上り専用」とし、もう1箇所を「下り専用」として混雑が発生しないように工夫されていました。
今回は2階の部屋しか空いていなかったのですが、2階の部屋に泊まるか3階の部屋に泊まるかは予約時に選択可能です。
3階の部屋は若干お安くなっているので(2階シングルは5390円から、3階5100円から)かえって人気があるのかもしれないですね。
【部屋】★★★★ 一般的なビジネスホテルの部屋で、古さはあるが不便さはない
今回宿泊したのは2階の禁煙シングルルームです。
よくある感じの「昭和」なビジネスホテルです。(だから「ホテル昭和」だというわけではないですが)
日当たりもよく、暖房もよく効いていて暖かいです。そして……ベッドサイドにあるのはもしや?
ダイヤル式の電話です!懐かしい……。
今の20代の方なんかは、これで電話をかけることができるんでしょうか……?
シングルルームですが、ベッドはシモンズのセミダブルで広々。寝心地も良かったです。
ベッドの上には浴衣と帯とタオル類が置かれていましたが、実はチェックイン時にフロントで「女性の方に色浴衣かパジャマのサービスがある」と言われて、色浴衣を選んでいたんですよね。(サービスでフェイスマスクもいただきました)
浴衣が2枚になってしまった……パジャマにすれば良かったかしら。パジャマは、ビジネスホテルによくある感じのもののようでした。
ちなみに、浴衣とスリッパで館内を歩いてもOKです。
ベッドサイドには、布団のみでは寒いとき用のブランケットも置いてありました。
その他設備も、標準的なものはすべて揃っています。
冷蔵庫に電気ポット。煎茶にコーヒーカップ。
有線LANケーブルもあり、無線LAN接続も可能です。つないで見ましたが回線速度は良好で、動画なども問題なく見れました。
ドライヤーに、加湿機能付き空気洗浄機も。ドライヤーは現在、感染症対策のため浴室の脱衣所には置いていないので、室内で使用することになります。
スリッパに何かくっついているなあと思ったら、部屋番号が書いてあるクリップでした。
脱衣所でスリッパを脱いだ際に、自分のスリッパがわからなくならないようにするための目印ですね。
古いホテルはコンセントが足りなくて難儀することがありますが、壁際とデスクで4箇所のコンセントがあり、特に問題なく使えました。
部屋についているユニットバス。
ウォッシュレットのトイレも清潔です。
ブラシやカミソリ、綿棒などのアメニティ、シャンプー&コンディショナーとボディシャンプー、ハンドソープ。
建物は古いながらも、きちんと設備は整えられてあり、快適に滞在できる部屋だと思います。特に、ベッドの寝心地が良いことと、Wi-Fiが快適に使えることは重要ですね。ワーケーション利用にも良さそうだなと思いました。
【風呂】★★★★☆ 時間交代制なのは惜しいがお湯はビジホとして最高レベル
さて、お楽しみの温泉浴室です。
ホテル昭和には温泉浴室が一つしかないため、男女交代で使うことになります。チェックイン時にこちらのタイムスケジュールを手渡されました。
おお……「もし早めの時間帯が女湯だったらもったいない」と思って15時でチェックインしたんですけど、15時から17時30分までが男湯なので、あまり意味なかったですね……。
温泉旅館の混浴風呂なんかでもありがちですが「17時30分~19時」という、夕食時間帯が女湯になっています。うーん、となると夕食は19時30分ぐらいからどこか予約したほうがいいかな。(旅先で1人で夕食を外食するときは17時台など早め時間に入店するか、あらかじめ予約してから行くようにしています)
21時からまた女湯になるけど、19時半から夕食食べて、飲んで帰って来たらこの時間帯に入るのは厳しいなあ。ああ、男湯の時間帯と交換したい。
その日の宿泊者に男性が多いか女性が多いかでタイムテーブルは変わることもあるようなのですが、通常、土日はこちらのタイムテーブルなことが多いようです。あらかじめ夕食の予定を組んでおきたい場合などは、前もってその日の浴室利用時間帯について確認しておいたほうが良いかもしれないですね。
浴室は1階のフロントの裏側、朝食をいただく食堂フロアの奥にあります。
大浴場の入口前にもその日のタイムテーブルが書いてあり、入口のドアにも「只今女性時間」と書かれた札が掛けられていました。
ドアを開けると、給水機とスリッパ置き場があります。
かつてはこちらに、日帰り入浴者用の玄関があり、宿泊者以外も浴室の利用が可能だったそうなのですが、現在は感染症対策のために日帰り入浴は休止しています。
脱衣所へ。
白いソファや壁紙など、リゾートホテルのような雰囲気に整えられていました。
脱衣カゴも、感染症対策のため混雑しないよう間引いて置かれています。
浴室入り口にはシャンプー&コンディショナーが4種類置いてあり、浴室においてあるものとは別に、こちらから好きなものを利用することが可能です。
洗面所スペースにはティッシュとハンドソープ、個包装の綿棒しか置かれていませんが、こちらは感染症対策のためのようです。
ドライヤーは各部屋にあるものをお使いください、と貼り紙がされていました。
現在は宿泊者のみ浴室を利用できるので、これで何ら問題ないですね。
では、いざ浴室へ。
浴室の案内図がありました。中央に熱めのお湯の浴槽、奥にぬるめのお湯と水風呂。サウナ、そして、冷凍室……?
おお……これは、ビジネスホテルの浴室とは思えない、まるで歴史ある湯治場のような風情ある浴室です。
真ん中の熱め浴槽。
浴槽の中ではやや褐色に見える源泉が、常時大量にかけ流されています。
浴槽に投入されたばかりのときは透明なようですが、少し時間が経つと茶色っぽいにごり湯になるようで、源泉の成分の濃さが感じられます。
脱衣所などには源泉の分析表は見当たらなかったのですが、公式サイトに温泉分析書が掲載されていました。
加水も加温もする必要がない、45度という絶妙な温度の自家源泉が、毎分165.8L湧出しています。phは7,6とほぼ中性。「弱黄色澄明、無味無臭」とあり、味や香りはなくやや黄色っぽく色づいて見える源泉のようです。
真ん中の浴槽に入ってあたりを見渡すと、浴室内にはサウナもありました。
ビジネスホテルのサウナルームとしては広さもまずまずで、中でテレビを見ることもできます。
浴室の奥にはサウナの後にうれしい水風呂も用意されていますが、そのほかにも「冷凍室」なる部屋もあるようです。
冷凍室の中はなんとマイナス15度に冷やされており、サウナ後に入るにはショックが大きすぎるのではと思うほど。サウナ後の利用だけでなく、熱い源泉に入った後に冷凍室に入って交互浴を楽しむのも良いかもしれませんね。
水風呂の橫には、若干加水されたぬるめの浴槽がありました。
熱めの浴槽が42度、ぬるめ浴槽が40度ぐらいでしょうか。
「単純温泉」という括りになっていますが、泡つきとつるつるとした浴感があり、「無味無臭」と分析書にはあったものの、モール臭も感じられるすばらしいお湯です。
浴室が女性時間帯になった直後の17時30分~18時はやや混み合いましたが、18時30分ごろには空いていて、ゆっくりと楽しむことができました。
男女交代制、かつ女性の入浴時間が短めなことが本当に惜しまれますが……すばらしいお湯を楽しめて幸せな気持ちになりました。
【食事】★★★★ 無料の朝食は味も種類の多さも良い
ホテル昭和には1階に食堂があり、宿泊者全員がこちらで朝食をいただくことができます。
飛沫防止のための仕切りもあり、テーブルとテーブルの間の距離もあります。また、食事は自室に持っていって食べても良いそうです。
感染症防止対策だと思いますが、パンはすべてラップに包まれ、サラダなどのおかず類の皿にもすべてラップがかけられていました。
バナナやフルーツもあり、パンにつけるジャムやバターの種類も多いです。
ゆで卵にドーナツ、シウマイ、漬けもの。
スープと味噌汁が日替わりで提供されるそうですが、この日はクリームスープでした。
コーヒー紅茶のほかにオレンジジュースや麦茶もあり。
コーヒーはこちらのコーヒーメーカーで淹れたてをいただけます。
こちらが、この日いただいた朝食です。手作りっぽいおにぎりがなんだか懐かしい感じでおいしかったです。給食を思い出させるあんこの入ったコッペパンも、クラムチャウダーっぽいクリームスープもいい。
食後にはドーナツをいただきつつコーヒーを。
エスプレッソではなくドリップ式のコーヒーで、味も良かったです。
ドーミーインのような豪華な朝食バイキングも良いですが、無料で手作り感溢れる料理が並ぶホテル昭和の朝食、私はかなり気に入りました。
ちなみに、プラス390円で和定食の朝食の提供もあるようです。
無料の朝食はおにぎりになりますが、定食では炊きたてのご飯が提供されるようなので、ご飯が食べたい人は定食を申し込むのが良いのかもしれません。私は、無料の朝食で十分かなと思いました。
夕食がとれる飲食店が徒歩圏内にたくさんある
ホテル昭和では夕食の提供はしていないのですが、近隣の飲食店と提携した「夕食付きのプラン」で予約することもできます。
夕食を提供しているのは下記の4店舗です。
◎定食屋の「い志川」……各種定食と自慢の手打ちうどんのセットです。(毎週火曜日定休日)
◎焼肉の「TAMAYA」……上質のお肉で有名です♪ホテル昭和専用メニューの中から選んで頂きます。(毎週木曜日定休日)
◎居酒屋「ハタゴヤ」……ホテル昭和専用メニューの中からお選び頂けます。(無休)
◎くら寿司……お好きなお寿司を召し上がれ!!
くら寿司は、ホテルの隣にあるのですが「お好きなお寿司を召し上がれ」ということは、まさか食べ放題になるのでしょうか……?
くら寿司のほかにも、びっくりドンキーなどの飲食チェーンも徒歩圏内に複数あります。
チェーン店以外にも、インド風のカレーのお店やホルモン焼き食堂など、個性的なお店もあちこちにありました。
夕食付きのプランで申し込まなくとも、食事を取る場所に不自由することはなさそうです。
そして私はと言えば……ホテルの近所ではまったくない甲府市役所近辺にあるお気に入りのフレンチビストロ「ボンマルシェ」まで片道50分歩いて行ってきました。
お店の佇まいも、歴史あるフレンチビストロという感じで素敵!
山梨県産のワインを楽しみ、2月に期間限定で提供していたチョコレートフェアのスペシャルコースを楽しんできました。
2週間限定のコース。提供数も限定していたそうで、席の予約時にコースも予約しました。
チョコレートドームに熱々のソースをかけていただくデザートは、ボリュームもたっぷりで見た目も味もすばらしかったです。
行き帰り歩くつもりだったのですが、酔っぱらってふらふら歩いていたところにタクシーが通りかかったので、結局タクシーで帰りました。
しかし、ボンマルシェに行くんだったら談露館に泊まったほうが良かったんでしょうね……。
【再訪したい度】★★★★☆ 温泉浴室が男女交代制なことだけが本当に惜しい!けどまた泊まりたい
建物は古いしお部屋にも昭和感はあるのですが、清潔でサービスも良くWi-Fiもばっちり!だったのでそのあたりはまったく気にならず、快適に過ごすことができました。
難と言えばやはり駅からの遠さ、公共交通機関利用での便の悪さですが、遠くても、タクシー代が別途かかったとしても文句ないぐらい、温泉浴室がすばらしかったです。
甲府の温泉付きホテルではこれまで「談露館」が最高で次が「湯村ホテル」かなあと思っていたのですが(ドーミーインは露天風呂は良いけどお湯は平凡なので)ホテル昭和は談露館に匹敵するほどすばらしいお湯でした。談露館とはまったく違う泉質なのもうれしいですね。
惜しいのは浴室が男女交代制なこと、その1点だけです。
このときは土曜日の宿泊だったので1~2時間ごとの男女交代制だったのですが、公式サイトの記述に
大浴場、サウナは男性・女性とも時間による入れ替え制となっております。
女性のお客様には平日PM9:00~PM10:00、土日1時間30分から2時間くらいの入れ替えによるご利用となっております。どうぞご容赦くださいませ。詳しくはフロントにお問い合わせ下さいませ。
これはもしや、ビジネス利用の男性客が多い平日は、さらに女性時間帯が短くなっている、ということでしょうか?
談露館に比べたら宿泊料金も安いですし、このホテルなら「連泊してワーケーション」的な使い方も良いかも!と思っていたのですが、特に平日に利用するなら、予約前に浴室の女性時間がいつなのかを確認しておいたほうが良さそうです。
とは言え、談露館は混雑時以外は日帰りでの利用もできますが、ホテル昭和は現在日帰りの利用を休止しており、すばらしい源泉に浸かるには宿泊する必要があります。またそのうち泊まって楽しみたい宿であることは間違いなく、良い宿に出会えたなあと思っています。
一人旅をもっと楽しみたい方に向けたエッセイです。
一人で泊まれるおすすめの温泉宿もたくさん紹介しています。