4月1日、エイプリルフールに木曽駒ヶ岳に登りました
中央アルプス木曽駒ヶ岳は、標高2956メートルという3000メートル近い高山でありながら、駒ヶ岳ロープウェイで2612メートルまで一気に標高を上げることができるため、比較的気軽に登山を楽しめることで人気の山です。
とは言え「比較的気軽に登山を楽しめる」のは、雪がない7月中旬~10月上旬ぐらいまでのお話。
駒ヶ岳ロープウェイは通年運行しているので、高山にしてはコースタイムが短めなことは変わりないとは言え、冬の間は本格的な雪山登山の装備が必要となりますし、難易度も上がります。
今回、千畳敷カールの目の前にある「ホテル千畳敷」に前泊して、残雪期の木曽駒ヶ岳に登ってきましたので、レポートしたいと思います。
予約難易度の高い週末のホテル千畳敷を2ヶ月前になんとか予約
首都圏から公共交通機関利用で木曽駒ヶ岳を登る際、7月中旬から10月上旬のいわゆる登山適期であれば、毎日アルペン号なる登山バスを利用して、土曜日や日曜日の早朝に、麓の駒ヶ根に着くことができます。
しかし、冬期は毎日アルペン号の運行はないため、麓の駒ヶ根か、あるいはロープウェイ千畳敷駅直結の「ホテル千畳敷」に泊まらなければ、余裕を持って登る計画が立てられません。
どうせなら日本最高所のホテルである「ホテル千畳敷」に泊まりたい!と思いつつもなかなか週末の予約難易度が高く、今回も1月中旬ごろに、なんとか3月末日の予約をもぎ取ることができました。あとは晴れてさえくれれば。。。
登山前日、バスタ新宿から駒ヶ根行きの高速バスに乗る
2018年3月31日の朝、私と同行の山仲間のL氏はバスタ新宿から京王電鉄バス新宿~伊那・飯田線の、朝7時35分発の便に乗車しました。
L氏とは、主に積雪期の登山や、登山口までのアクセスが悪い山に行くときに一緒に行くことが多いのですが、行き帰りの交通機関はお互い勝手に予約するのでバスの席も隣同士ではありません・笑
私は女性専用シートを予約し、幸いにも隣の席は空席だったので1人でのんびりと、車窓から南アルプスなど眺めていました。
駒ヶ根行きのバスはトイレ付きのタイプですが、途中1度だけ、サービスエリアで休憩があります。
土曜日の朝の下りのバスは、多少渋滞で遅延することが多いのですが、今回はまったく遅れはなく、定時どおりの運行で11時30分ごろに駒ヶ根バスターミナルに着きました。
駒ヶ根バスターミナルで路線バスに乗り換えて菅の台バスセンターへ
駒ヶ根バスターミナルは主に、駒ヶ根市行きの高速バスの終点となる停留所で、現地を走る路線バスは駒ヶ根バスターミナルから出るわけではありません。
なので、ここから駒ヶ岳ロープウェイに乗れる「しらび平」方面に向かうためには、路線バスの停留所に移動する必要があるのですが、ターミナルから外に出て辺りを見回してもそれらしい停留所は見当たりません。
というわけで、ターミナルの窓口に行き「路線バスにはどこから乗れるんでしょうか?」と訊ねるとこんな紙をくれました。
バスターミナルから徒歩1~2分ですずらん通りバス停へ、3~4分で駒ヶ根駅前バス停に行けるのですね。
どちらから乗ってもおそらく運賃もほぼ変わらないと思うのですが、違いと言えば「駒ヶ根駅前」バス停のほうが、路線バスの始発停留所だということでしょうか。夏山シーズン中で、混雑が予想されるようなときは、始発から乗ったほうが安全ですよね。
しかし、おそらく今日ならばそんなに混んではいないでしょう!と我々は、最も近い「すずらん通り」停留所へ。
駒ヶ根バスターミナルでは我々以外も登山客らしい人たちが少しはいたのですが、この停留所には誰も来ないなあ。
時刻表を見ると、この時期は1時間1本しかバスは運行していないんですね。
もしやみんな、確実に座れるように駅前の停留所に行ったのかな?私たち、座れるかしら。。。
とは言え、私とL氏はこのまま、まっすぐしらび平に向かうのではなく、途中の菅の台バスセンター周辺で途中下車して昼食を取る予定でいましたので、最悪座れなくても10分少々で降りるから、大丈夫でしょ。。。
なんて言っていたら、バスが来ました。
始発から乗ってきた人もそこそこいましたが、我々2人が座る席はあったので良かった。。。
10分後、予定どおり菅の台バスセンターでバスを降ります。
菅の台バスセンター周辺でランチをいただいた後、再びバスでしらび平へ
駒ヶ岳ロープウェイ周辺はマイカー規制を敷いているため、自家用車でロープウェイ乗り場のしらび平に行くことはできません。菅の台バスセンターの周辺にはかなり広い駐車場があるため、マイカーで駒ヶ根まで来た方はここに車を置いて、しらび平行きのバスに乗るというわけです。
夏の間運行している夜行バス「毎日アルペン号」も、この菅の台バスセンターを経由するので、私自身毎年のようにここを経由して木曽駒ヶ岳に向かっています。お馴染みの場所です。
食事に行く前に、チケット売り場でバスとロープウェイのチケットを購入します。
冬の間は、このチケット売り場が開いている時間帯はかなり短いのです。
午後2時ぐらいにはもう、閉まっていたと思います。ただ、ここでチケットを買えなければバス代は車内で現金精算すればいいし、ロープウェイの往復チケットはロープウェイ乗り場で買えるのですけどね。。。
ロープウェイとバスの往復チケットがセットになって、大人1枚3900円。発行日から3日間有効です。
ちなみに、菅の台バスセンターの窓口はクレジットカード精算もできました。
で、この後はブログに既に書いていますが、明治亭中央アルプス登山口店でランチをいただきまして。
それから再度、菅の台バスセンターからバスに乗って、しらび平へ。
路線バスと同様、冬期は1時間に1本しか運行していない(臨時便も出ているかもしれませんが)ロープウェイに乗って、千畳敷を目指します。
しらび平まで来ると、自販機のジュースの値段もちょっとだけ上がりますね。
なぜだかあまり値段の変化がないものと、だいぶ値段が上がっているものが混在していますが。。。
ロープウェイで千畳敷まで上がるともっと値段が上がりますので、買い忘れたときはここで買っておいたほうがいいですね。
ロープウェイの乗車率も、夏に比べればグッと低いです。すかすかです。
夏場は、普通に身動き取れないぐらいには詰め込まれますからね。。。
乗りながら窓から下のほうを眺めていると、最初は、雪解けが進みつつある樹林帯が見えます。
しばらく立つと雪も徐々に増え、おや?あれは稜線?もう千畳敷に着いちゃうの?
それにしては雪が少ないような。。。
と思ったらまだでした!どんどん雪の斜面になってきまして。
着きました!
ロープウェイ千畳敷駅、かつ、本日宿泊するホテル千畳敷です。
チェックイン前にホテルの周りをウロウロして、写真を撮りました。
予報では、明日よりも今日のほうがさらに天気が良いことになっていたんです。
もしかしたら明日は、ここまでくっきりと南アルプスを見ることはできないかもしれない。。。
きれいだなあ。。。
千畳敷カールのほうまで来てみると、おや、あの祠は夏の間は登山口になっている場所じゃあないの。
すっかり埋まっていますね。それとこちら側の斜面は雪崩が起こりやすいため、冬の間は祠側の道は使われていないというお話。(少しだけトレースはありましたが)
実は今回雪の木曽駒ヶ岳登山を計画したのは、1月にOKPさんのブログを読んで「やっぱり雪の木曽駒いいなあ!」と思ったからなんですが。
しかし、OKPさんが行かれたときはこの祠はぜんぜん埋まっていなかったのに、残雪期とは言え、1月よりも今のほうが雪は多いということか。。。
ひとしきりそのへんをうろうろして写真を撮りまくり、iPhoneでパノラマ写真なんかも撮ってみまして。
飽きたところでホテルにチェックインしました。ホテル千畳敷の宿泊記についてはこちらの記事に書いています。
さて、本稿の本番はここから、宿泊翌日の登山についてです!
翌朝、ホテルでおいしい朝食をいただいた後に登山開始!
ホテル千畳敷の朝食は7時から。それより早く登り始めたい場合は、お弁当に替えていただくこともできるそうです。
ただ、我々は「朝食を食べて8時出発でも問題ないでしょう」ということで、しっかり朝食をいただいてから出発しました。
冬の間は、建物内にアイゼンを付け外しできるスペースができていました。なんて至れりつくせりなんだ。。。真冬に山小屋泊したときに、早朝、外でアイゼン付けるのけっこうつらいですよね。寒くて。
ちなみに、ホテル千畳敷に宿泊した際は、登山に必要のない荷物は登山中無料で預かってもらえます。ただ、当然ですが貴重品は自身で管理する必要があります。
私は今回、ノートPCやらiPadやら持ち込んでいたため、ロープウェイの駅にある有料のコインロッカーに預けました。コインロッカーは300円で利用できますし、高山だから値段が高いとかいうことはありません。もちろん、ホテルの宿泊者以外も利用可能です。
午前8時、登山開始!
では、身支度も整えたところで出発したいと思います!
こちらが冬期の登山口です。
夏場なら「剣ヶ池」方面の遊歩道の入り口になっているところですね。
人が誰もいないよーーーーー!
ちなみにここ、夏だとこんな感じです。
この画像も、始発のロープウェイで上がってきたばかりのタイミングで撮っているので誰も写っていませんね。
でも本来は、登山客やら観光客やら、人がわさわさ歩いている場所なんです。
実は、冬期の駒ヶ岳ロープウェイは、9時5分にしらび平を出る便が始発でして。そして我々が登り始めた時刻は朝8時。つまり、今日ロープウェイ来る人たちは、あと1時間ばかりは登ってこれない。
そして、我々同様に、昨夜ホテル千畳敷に宿泊した人で今日の登山を予定していた人たちは(多くはツアー登山の人たちでした)朝食をホテルで食べずに夜明けと同時ぐらいに出発していた模様で、既に千畳敷カールの上のほうまで行ってしまった後だったようです。
誰もいない!!テンション上がりますね!!!
と思ったら、本来の登山道よりも向かって右側の斜面を、なぜか登っている人がいました。
あそこ、夏場は登山道じゃないんですけど、冬なら実は登りやすかったりとかするんでしょうか。。。
「あんなところ登れるのかね?雪崩とか大丈夫なの?」と言い合いながら、私たちは多くの人が登っている、八丁坂と呼ばれる急な登山道を登ります。
まあ、どっちにしろ急なんですけどね。。。
たまに振り返って、少し小さくなったホテル千畳敷を撮ってみたり……というのはこの坂、けっこうしんどいのですよ。だからときどき撮影のために立ち止まって小休止したいのです。
夏に来たときも、ほとんど同じところで撮ってました。
冬よりは夏のほうが登りやすいとは思いますけど、夏にここを歩くとき、私はテント泊装備を担いでいるので、急な登りはやっぱりそれなりにしんどいのです。。。
と思ったら、今朝早くに出発した、ツアー登山の人たちがもう下山してきました!!
おそらく「初級雪山講座」的なツアー登山だと思うんですけど、アンザイレンして滑るように降りてきてまして、真ん中あたりの人はちょっとつらそうでした。 人のペースで歩かなきゃならないのって、しんどそうだよなあ。。。
そう、実はこの日、とても暖かかったんです。風もほとんどなくて。
カメラやiPhoneを操作するために手袋をはずしても冷たさを感じない程度に暖かかったです。なので、朝8時の段階で既にやや雪が緩みかかっていて、下りはアイゼンを付けていてもあまり効かないというか、体重の重みで滑りそうになるんですよね。
下っていく人たちを見ながら「私たちが下山するころにはもっと気温上がってるねー。こわいねー」と言い合っていました。
ちなみにこのあたり、周りには小さな雪崩の跡が山ほどありまして。
下りのことを考えると、できればこれ以上気温は上がってほしくない、というのが本音だったり。さて、どうなることやら。。。
とは言え、もうだいぶ登ってきたんじゃない?
などと言いながら、何度も振り返って写真を撮ります。(きついから。。。)
そして、気づけば、なんだこの斜度。
雪の壁が前方に立ちはだかる、というようなところを直登します。
でも、私の記憶が確かならば、おそらくもう間もなく乗越浄土に出ます!
乗越浄土に出る直前が、本当に急坂なんです。夏道だとジグザグに登って行くからそこまで感じませんけど、冬だと直登なんですね。
8時55分、乗越浄土到着
乗越浄土です。8時55分に着きました。
夏道のコースタイムが1時間というところですから、まあ予定どおりでしょう。
誰もいない。。。
いやしかし、きれいだなー。
帰り、ここを下るんですか……。なんか、崖から降りるみたいな雰囲気なんですけど。。。
ちなみに夏だとこんな感じでした。
休み休み来てそんなに疲れてはいませんし、ここからしばらくはなだらかな道ですので、あまり休憩も取らずに歩き始めます。
あれ?ぜんぜん誰もいないと思っていたけれど、あの小屋のところに人がわさわさいますね。
ここは、夏だとこんな感じ。
小屋は「天狗荘」という営業小屋ですね。冬期は営業休止中ですが、小屋の影にテントを張ってテント泊をしていた人たちがいたんですね。
しかし、トレースがたくさんついているのは、天狗荘に向かう方向ではなく、宝剣山荘に向かう方向のようです。では宝剣山荘へ……あれ?
もしかして、あれが宝剣山荘。
ほとんど埋まっていて、なぜか冬期のルートは宝剣山荘の屋根の上を通ることになっていました。どうなってるんだ。。。
屋根の上から眺める宝剣岳。
やっぱり格好いいですねー。冬に登りたいとはまったく思わないけど。
夏だとこんな感じ。
人の多さが段違いですね。
天狗荘の後ろを通って、中岳に向かいます。
雪が緩みかかっているのでアイゼンが効きにくく、地味にしんどいです。
夏山シーズンだとなだらかなピークなんですけどね。
中岳山頂。
ここで、久々に人とすれ違いました。
でも、この先はまたしても誰もいません!!!
夏だとこんな感じです!これでも早朝の、かなり人が少ないタイミングですね。
夏場にいつもテントを張っている、木曽駒ヶ岳直下の駒ヶ岳頂上山荘まで来ました。
標識埋まってますね。
たぶんこの標識ですな。
最後の一登りです!ここもちょっとつらい。でも、ここは夏場のコースタイムが20分のところだから、きっとすぐです。
9時50分、雪の木曽駒ヶ岳に登頂(誰もいない)
着きました!!
ここですよね。
山頂碑があるはずなんですが、埋まっているのか……見当たりません。
とは言え、宝剣岳から続いていく、中央アルプスの峰が美しいです。
北アルプス方面はもやっとしていますね……昨日ならもうちょっときれいに見えたのかもしれませんが。
御岳山もぼんやり。
まあ、これはこれで、春らしくていいかもしれない。
夏山のときの山頂の写真を見ると、祠の右方向に山頂碑らしきものがある。
これだよね?ということで、御岳を背景に山頂碑(たぶん)と共に記念撮影しました。
山頂にいたのは15分ぐらいでしたが、その間誰も登って来ず、そして、いつまででも居られそうなくらい、暖かかったです。
しかし、これ以上気温が上がると帰りがしんどそうなので、そろそろ下山することにします。
10時5分、下山開始
中岳でほんの少し登り返す以外は、あとはずっと下りです。
山頂から20分ぐらいで、宝剣山荘まで戻ってきてしまいました。
このあたりはなだらかな下りなので、雪が緩んでいてもむしろ、歩きやすいんですよね。
乗越浄土まで戻ってくると、急に人が増えました。始発のロープウェイで登ってきた人たちでしょうね。
しかし、えらく軽装な人がいますね。まあ、実際暖かかったんですけども。
乗越浄土は、夏場も「八丁坂を登り終えてホッとする」場所なので、常に人は多いです。
初めて木曽駒ヶ岳に登ったときは、八丁坂がしんどいので「ここからさらに山頂を目指すのか……」とかなり憂鬱になったことを覚えています。
さて、そんな八丁坂を下りますよ!
と思ったら、おおう……。後から後から人が登ってきます。
下り始めのこのポイントだけは、すれ違いがこわいからなるべく、人が途切れたときに下りたいのですけど、なかなか途切れないなー。
ほんのちょっと途切れたところで、なんとか下り始めます。
やっぱり下り始めは急ですね。。。
ピッケルバンドがおかしくなっていたのを直しているの図。油断していると滑りそうになるので慎重になっています。
とは言え、20分も下れば、だいぶゆるやかになって楽しく下れるようになりました。
ここまで来れば雪崩も大丈夫でしょう。
雪の木曽駒ヶ岳に登って、無事に帰ってきました。
11時20分、ロープウェイ千畳敷駅に下山
ホテル千畳敷まで戻ってきたのは11時20分。出発が8時ちょうどでしたから、3時間20分の登山でした。
コースタイムは短めですけど、雪の高山を日帰りするならこのぐらいが気軽だな……などと思ったりも。
アイゼンをはずして、コインロッカーから荷物を回収し、身支度を整えて。
中でコーヒーぐらい飲む時間あるかな?と思ったけれど、ロープウェイの出発時間まであと10分ほどだったので、改札に並ぶことにしました。
正午近い便でも、まだまだ人は登ってきますね。これから登山するんだとしたらちょっと余裕がないですけど。。。
でも、上まで行ってテント泊とか、ホテル千畳敷に泊まるとか、あるいは周辺を散策するならこの時間からでも十分ですものね。
冬の千畳敷に来るのなんて、登山者とスキーヤーぐらいなんじゃないか、と思っていたのですが、案外観光客も多かったです。
11時55分発のバスでしらび平に向かいます。
「ホテル千畳敷が空いてる日がこの日しかなかったから」という理由で決めた日程でしたが、天気にも恵まれて、本当に楽しい登山でした。
さて、この後はしらび平から駒ヶ根に戻って、昼食と温泉を楽しみます!