彼女も嫁もいない素敵な登山男子と山中で偶然出会えるか
女が1人で山に登っていたら、登山が好きな男性と知り合えるのではないか、というテーマの記事の後編です。長くなったので「山で婚活できるかな」というサブタイトルを付けて、エピソードごとに3つに分けました。
多くの方に読んでいただいたマネ会への寄稿に対して「登山を趣味にしている男性と出会えなかったの?」という疑問を持たれた方が多かったようなので、それについてのアンサー記事になります。
前編はこちら↓ 「登山を趣味」にしている人との出会いを、自ら求めてみたことについてのレポートです。
後編の本記事では「わざわざ飲み会に行ったり会に所属したりと婚活的なことをしなくても、山で偶然知り合えるのでは?」に対するアンサーを書いてみたいと思います。
山に泊まればたしかに出会いはある
日帰り登山ではそれほど可能性は高くありませんが、山小屋やテントに泊まれば、はっきり言ってかなりの確率で出会いはあります。
山中に宿泊する場合、山小屋であれば「15時にはチェックインしているのが望ましい」と言われたりします。山では不測の事態が起こってコースタイムより時間がかかってしまうこともあり得るので、せめて15時には着くように計画を立てて歩くことが望ましい、ということだと自分なりに解釈しているのですが。
山小屋の場合、15時にチェックインし、18時ぐらいから夕食が始まることが多いです。その間約3時間。
18時から夕食が始まって30分ぐらいで食べ終わり、消灯が20時~21時ということが多いですからその間2時間。消灯時間まで合計5時間、その間、正直そんなにやることはないです。
もちろん、翌日に備えてとっとと寝てしまうのもありなんですが、まあ、そこでがんばって起きていれば、同じように暇にしている登山者同士で交流が生まれることもある、というわけですね。
それはテント泊でも同じで。テントだと山小屋の人に怒られることも少ないので、日暮れギリギリに滑り込んでくる人もいますが、早く着いたほうがいい場所に張れますから、お昼過ぎに着いてテントを張ってしまう人もけっこう多いです。私もできる限りそうしたいタイプ。夕食時間の縛りもないので、その後はひたすら暇です。
とは言え、もとより一人でいることが苦にならない、というか正直「1人大好き!」なので、いくら時間があったところで酒を飲みながら本でも読んでいればあっという間に時間は流れていくのですが。
でも、彼氏ができる前は「もしかして出会いがあるかも」と思って、会話が生まれそうなタイミングがあれば流れに乗っかるようにしていました。
まあ、会話が生まれたところで、コミュ力がある男性登山者は実は既婚、ということもまた多いのです。それは山でなくとも、たとえば下界の酒場での出会いでも同じことが言えるわけですが。。。
「ああ、結婚されてるんですね」というオチは、ありすぎてあんまりおもしろくないので、ご紹介するのは山中での「独身男性」との邂逅についてです。
そういえば、山と食欲と私の2巻に収録されている「夢見る大人ココア」もそんな話でした。
山と食欲と私にも、けっこう鮎美ちゃんの出会いめいたエピソードが出てきますよね。
出会えそうなのに出会えてないところがリアルだなーと思っていつも読んでます。
登山歴2年目の8月 常念山脈テント泊縦走中の偶然の出会い
登山を始めて2年目の春、前年から「コッヘル」「ガスバーナー」「シュラフ」「マット」などを徐々に買い集めていた私は「テント」と「大型ザック」を買い足してついに、テント泊を始めました。
そして夏までに、大菩薩嶺や尾瀬、八ヶ岳など、1泊で行ける山でテント泊の経験を重ね、夏休みにはテントでを担いで3泊4日する縦走計画を立てたのです。初めての長期縦走です。(3泊したら長期って言っていいですよね)
行き先は常念山脈。中房温泉から燕岳に上がり、常念岳、蝶ヶ岳と縦走して上高地に下山する、晴れていれば常に槍ヶ岳や穂高連峰を眺めながら歩けるというすばらしいルート。
さて、その4日間で私を待ち受けていた出会いとはどんなものだったのでしょうか。
1日目、中房温泉から燕岳まで
縦走1日目は、毎日あるぺん号に乗って登山口の中房温泉へ。
「北アルプス三大急登」の一つに数えられる合戦尾根を、60Lの大型ザックを担いでひたすら登ります。
合戦尾根の途中にある「合戦小屋」では、名物のスイカで喉を潤し。
そういえば……燕岳にはこれ以降も何度も登っているのですが、混み合う夏は避けてしまうため合戦尾根でスイカを食べたのはこの一度きりですね。。。
燕山荘までは午前中のうちに到着し、ややガスが出てきたのですが、眺望があるうちに燕岳を往復。
あまり広くない山頂でなんとか記念撮影を撮ったところ。
この頃は、どこに行くにもハイドレーション使ってたなあ。。。
燕山荘に戻って、ティールームでケーキセットなどをいただき。
レアチーズケーキ。なかなかのお味でした。
で、テント場に戻るとガッスガスになっていましたね。
下から2段目の段の、でかいオレンジのテントの右隣にある緑色のテント(エアライズ2を当時は使用していました)が私のテントです。
このオレンジのでかテントがくせ者でねー。学生のサークルだったんですが、夜中まで超くだらない話で盛り上がってて、周りに怒られても静かにならなくて、本当に迷惑でしたね。。。
学生の団体って、夜7時に就寝して朝2時に起きて夜明け前に出ていくような体育会登山部も多いんですけど、チャラいところは本当にうるさいんですよねー。夏休みだったんですね。。。
というわけで1日目の出会いは特になし。
2日目、燕山荘から常念小屋まで
2日目は、雲は多いながらもすばらしい日の出と共に始まりました。
燕山荘から3時間半ほどの稜線歩きののち、常念山脈の最高峰である大天井岳へ。
この日も雲は多いもののまずまずの眺望です。
真夏なのでときどき日が陰るぐらいでちょうどいいですね。
大天井岳の山頂直下にある大天荘は、食事がおいしい山小屋として有名なんですよね。
特に、昼食メニューの「インディアンカレーランチ」が有名とのことで、いつかゆっくり泊まってみたい小屋です。
大天井岳に登頂後、3時間弱でこの日の宿泊地「常念小屋」へ。
常念小屋は、常念岳の鞍部である常念乗越にある山小屋で、docomoのアンテナが立っているのでとにかく携帯の電波が最高に強いのが特徴です。
こんな感じで、背中に槍を背負っている小屋なんですよね。素敵。
ここでもテントを設営した後、食堂で生ビールと焼き鳥などいただきます。
午後3時ごろの食堂はかなり混み合っており、相席になったテント泊の方たちと「どこから登ったの?」というような会話を少し交わします。が、特に「出会い」というほどの盛り上がりはなく、16時ぐらいに食堂を追い出されたのでテントに戻りました。
実際、山での出会いはこういう感じが一番多く「食事どきに隣り合わせたので少しお話ししたけど、特別に仲良くなるようなことはなく、別れていく」のが普通です。
たまに「そこまで話が盛り上がったわけでもないのに、翌日一緒に歩こうと言われ困惑する」ようなこともありますが、その場合は出会いというよりはこの記事のような感じになってしまうわけで。
お互いに、加減が難しい、のです。
この日は、テントで夕食を食べた後に外に出てみると、夕焼けがすばらしく美しかったですね。
雲が少し多めなのが、逆に雰囲気あってよかったです。
常念岳も赤く染まっていました。
明日は常念岳を登るぞ!というわけで2日目も特に出会いはなく終了!
3日目、常念岳を登り、蝶ヶ岳ヒュッテまで
3日目はまず常念岳へ!雲も少なめで、良い感じではないでしょうか。
常念岳って、常念乗越から見て頂上っぽく見えるところは山頂ではなくて、そこからさらに少し登らなければならないんですよね。写真ではなだらかそうに見えるけど、山頂周辺は岩だらけで、案外疲れます。
しかも縦走なのですべての荷物を抱えて登っていますから尚更ですね。
着きました!山頂です。
しかし、背後に見えるはずの槍穂はちょうど雲に隠れてしまっています。空は晴れているのに。。。
雲が少しでも晴れないかなあ……と長めに休憩をとって待ちましたが、そう期待通りにはいきません。稜線上で風も少しあり、あまり長くとどまっていると体が冷えてしまうので、諦めて蝶ヶ岳方向に向かって歩き出します。
いったん常念岳の尾根を2500メートル地点ぐらいまで下っていくのですが、この岩場の下りが、山と高原地図では「コースタイム30分」とされているのですが、なかなかどうして時間がかかるんですよね。たぶんここ、1時間ぐらいかかってしまったと思います。
単調な岩の多い道を、ペンキ印を見ながら歩いていくのですが、このあたりで私、印を見落として変なほうに下ろうとしていたんですね。縦走3日目で少し疲れていたし「コースタイムより遅れている」という焦りもあったんだと思います。霧もだいぶ出てきましたしね。
途中で自分で気づいて「あれ?おかしいな、たぶんこっちではないんだな」と思って元の道に近いところまで戻ってきたところで、元のルートのほうからこちらを見ている人影に気づいたのです。
「ルート、たぶんこっちですよね?」
と声をかけられ、見るとテント泊用のザックを背負った、単独の男性登山者でした。仮にJさんとしましょう。常念山脈のJです。
「ああ、やっぱりそっちでしたか。途中で『間違えたな』と思って戻ってきたところだったんです。戻ってこれてよかった」
と私が言うと
「僕も『もしかしてそっちかな、いや違うか』と思って通り過ぎようとしたら人がいるのが見えたので気になって。ちょっと間違えやすいですよねここ」
と言われ、それで少し立ち話しました。
私は、常念山脈を「燕山荘」「常念小屋」「蝶ヶ岳ヒュッテ」で3泊して上高地に下りる計画でいましたけど、Jさんは初日に燕山荘をスルーして「大天荘」まで歩いてしまい、翌日「蝶ヶ岳ヒュッテ」に幕営して2泊で上高地に下りるという計画。男性は特に、常念山脈は2泊で縦走する方も多いんですよね。
お互いに今日は蝶ヶ岳ヒュッテが目的地だとわかったので「じゃあきっと、テント場でまた会いますね」と言って、私は「お先にどうぞ」と先を行ってもらうよう促しました。常念岳の山頂で長めに休憩をとったとは言え、Jさんはずっと手前の大天荘から歩き始めているのにもう追いつかれているんですから、彼のほうが歩くのが速いに決まっていますから。
じゃあ、お先に失礼します、お気をつけて。と言って彼は先を歩き始め、私は「テント場でまた会えるなら少し楽しみかも」なんてどこかで思っていました。
この、前を歩いてる人がJさんです。こんなにガスガスだったんですね……。
けど、テント場で会うよりも早く、再会することになるのです。
道を間違えそうになった常念岳の尾根を下り終わって、蝶ヶ岳に向かう上りに入る前に、稜線上ではなく草地や樹林帯のアップダウンを1時間ぐらい歩くところがあります。その樹林帯の中で彼は昼食休憩をとっていたんですよね。
通りかかってまた少し言葉を交わし、いったん私が先を歩くことになりました。私は、行動中は菓子パンをかじるぐらいであまりしっかり昼食休憩は取らないタイプなんです。小屋についたらビールと何かつまみたいし、消化に負担もかかるので行動中はあまりお腹いっぱいになりたくないんですよね。
で、Jさんのほうがやっぱり歩くのは速いのでまたそのうち追いつかれるんですが、ちょっと言葉を交わして「じゃ、お先に」という感じですぐに別れます。このへんが何というか「わかってる人だな」という感じでした。単独登山者は基本的には1人で歩きたいんですよね、余程のことがないかぎりは。(私だけ?)
樹林帯を出て蝶ヶ岳に向かう上りはまた岩の多い道になるんですが、その中で1箇所だけちょっと手強い岩場がありました。
危険ではないし空身ならたぶん楽勝なんですが、足がかりが頼りなく、腕の力で自分の体を持ち上げないと乗り越えるのが難しいポイントだったので、重いザックを担いでいると大変だったんですよね。
で、少々手こずったもののなんとか乗り越えてまた歩き始めると、少し先でJさんが立ち止まっていまして。
「さっきの岩場けっこう大変だったから、ちょっと心配になって。
でも、ここまで1人で来た人だから大丈夫だろうとも思ったし、失礼かなとも思ったんだけど、もしなかなか来なかったら手を貸そうかと思って」
というわけで、待っていたんだそうです。
「たしかに、最初『どうやって登ればいいんだろう』ってだいぶ迷いましたよー」
みたいな話をして、なんかもう、そこからは一緒に歩くことになりました。
蝶槍から蝶ヶ岳ヒュッテまでの1時間弱の道のりは、道幅も広めで傾斜も緩やか、誰かと一緒に歩くのも心地良い感じの道なのです。
やっぱりちょっとガスってましたけどねw
景色も見えず、立ち止まって写真を取りたいようなポイントもあまりなかったので、よく知らない人と一緒に歩くのが苦にならなかったのかもしれません。
蝶ヶ岳ヒュッテに着いて幕営の受付をした後は、特に示し合わせるようなことはせず、お互い好きな場所にテントを張りました。
私は当初の予定どおり、食堂で1人、缶ビールとおでんをいただきます。
蝶ヶ岳ヒュッテは生ビールないんですよね。
で、ほろ酔いで「そろそろ夕食の支度でもするか」と思いながらテント場に戻ると、Jさんに「夕食これからなら一緒に食べない?」と言われ、一緒に夕食を食べることに。
私の夕食はこんな感じでぜんぜん色気はありませんw
縦走3日目だからフリーズドライの組み合わせになるんですよね。麻婆春雨丼と味噌汁。
食事をしながらゆっくりと、これまで登ってきた山の話や仕事の話なんかをしたんですが、彼はもともと九州出身で、少し前まではオーストラリアを働きながら旅していたんだそうです。
「すべての大陸で働きながら旅してみたいんだよね。で、日本に帰ってきてお金をためてまた別のところに旅に出る、みたいな感じ」
今は九州に帰ってきている時期なのだけど、夏休みの旅行ということで北アルプスに来たんだとか。「九州からだと登山口まで来るのが遠くて、北アルプスに来るのはせいぜい年1回」とのこと。
Jさんは明日の午後「上高地ー大阪」間を走るさわやか信州号で帰り、私は「上高地ー新宿」間のさわやか信州号で帰る予定だったんですが、大阪行きと新宿行きのバスが上高地を発車する時刻はまったく同じでした。
「すごい偶然だね」
「明日も一緒に下りる?」
という話になり。
それもいいな、と思ったのですが彼は蝶槍の方向に少し戻って、横尾に下りるルートを歩きたいと言い、私は始めてのテント泊縦走でかなり疲れていたので、最短ルートの蝶ヶ岳ヒュッテから直接徳沢に下りる、長堀尾根を下りるつもりでいました。
標準コースタイムで言えば少しの時間差ではあったのですが、3日間で景色は十分見たので、もう徳澤園のソフトクリームと上高地で温泉にゆっくりつかることのほうに心を奪われていたんですよね。
「じゃあ俺は横尾に下りて君は徳沢に下りることにしよう、最悪バスターミナルで会えるし」
「そうだね。たぶんJさんのほうが歩くの早いから、徳沢から上高地の間で追いつかれるんじゃないかな」
ということで、翌日の予定が決まったところでこの日はお開きに。
蝶ヶ岳は槍ヶ岳の展望がすばらしい場所ですが、この日の夕方は槍ヶ岳の周辺には雲がかかり、穂先だけがうっすらと見えている状態でした。
最終日、蝶ヶ岳から上高地へ
縦走最終日である4日目のこの日は、最終日にふさわしく、クリアに晴れてくれました。
前日は曇っていたので、蝶ヶ岳の山頂碑での記念撮影も後回しにしていたんですが、ヒュッテを出発する直前に記念撮影をし。
Jさんと「じゃあ、また後で会いましょう」と言ってそれぞれに下山し始めました。
しかし、長堀尾根は思っていたより手強い尾根でした。樹林帯の急坂で、終始薄暗く、木製の段差はよく滑り……。
写真だと普通の尾根道ですが、私はもう二度とこの尾根は歩きたくないです……数年後に残雪期の蝶ヶ岳に登ったときは横尾から往復しました。
やっとのことで徳沢に着き、いただいたソフトクリームのおいしかったこと!
しかし、私は徳澤園でゆっくり休憩を取り過ぎてしまったようです。徳沢ー上高地間で後ろから追いついてくるはずのJさんは現れませんでした。
たぶん、私が徳沢を出発するよりも早く徳澤園を通過してしまったんでしょうね。
というわけで出会わないまま上高地に着きました。
このあたりのどこかで彼も、昼食をとったり日帰り入浴をしていたと思うんですが。
私は、河童橋を渡って先日ブログでも紹介した上高地温泉ホテルに向かいます。
上高地温泉ホテルに行くのはこのときが初めてでした。
4日ぶりのお風呂は最高に気持ちよく、頭と体を洗ってお湯につかり、重いザックを担いで疲労がたまっていた背中や腰をねぎらっていると……うそ!バスの出発時刻までもうあまり時間がないよ!!
慌てて荷物をまとめて外に出たものの、上高地温泉ホテルからバスターミナルまでが遠い遠い。
河童橋から歩くとだいたい20分ぐらいかかるんですけど、バスターミナルに直接向かうなら10分ぐらいで着くだろうと勝手にイメージしていたんですよね。もうね、このとき本当に疲れていたんだと思う。実際は河童橋を経由するのと大差ない距離があって、やっぱり20分ぐらいかかるんです。
バスターミナルに着くとさわやか信州号はもはや発車寸前。彼の姿は当然ありませんでした。
本当にアホですね。長風呂しすぎてすれ違ってしまったよ。。。たぶん永遠に。。。
なぜ、蝶ヶ岳ヒュッテのテント場で連絡先を交換しておかなかったんだろうとバスの中で最高に後悔しました。夕食時に連絡先を交換する話は出たんですが、Jさんの携帯がソフトバンクでそのとき電波がなかったので「じゃあ上高地に着いてからでいいか」と後回しにしてしまったんですよね。
まあ、温泉好きの私らしい結末と言えば、そうかもしれないです。温泉ブロガーの鏡だよね!(そんなことはない)
教訓:連絡先は交換したいと思ったときに確実に交換しましょう
「電波がないから後で電波あるところで交換しよう」で終わらずに、こっちのメールアドレスを紙に書いて渡しておくぐらいやっておけばよかった、って後から思いました。
でも、縦走中にもらった紙きれってどこかにいってしまうことが多いから、できればちゃんと交換したかったんですよね。。。
この話を、夏休みがあけてから親しい同僚に話すと
「でもまあ、すぐ外国に旅に出ちゃうようなタイプの人と、ももちゃんが合いそうには思えないけどねえ」
と指摘され。まあ、それもそうなんだけどね!
付かず離れず近くを歩いている人は、迷惑なんじゃなかったの?
しかし、こうやって時系列に沿ってまとめてみると「常念岳の尾根で出会ってから蝶ヶ岳まで」の間、Jさんに追い抜かれたり、また追い抜いたりを何度か繰り返したのは、別に偶然ではなかったのかもしれないですね。
「話し相手が欲しい」ぐらいの気持ちだろうとは思いますが、今思えば「ちょっと待たれてたのかもなあ」と思います。そうでなかったら私よりもずっと、足が速い人だったと思うので。本来なら、一回追い抜かれたらテント場まで出会わなかったんではないかと。
こちらの記事で「一緒に歩こうとしてくる人は迷惑」と書きましたが、結局ケースバイケースなんですよね。
Jさんは「道を間違えそうになったところに現れ」たことで、吊り橋効果とでも言うんでしょうか、最初から印象が良かったんです。
それに、出会ってすぐに一緒に歩こうと提案されたわけではなく、ちょっと言葉を交わしてすぐに離ればなれになって、何度も完全に姿が見えなくなって、最後に「もう、一緒に歩きます?」という感じだったので、それも良かったのかなと。なんかうまいこと空気を読んでくれたような気がします。
たぶん、私が「一人で歩きたいんだ」オーラを出していたら、とっとと先に行ったんじゃないかな、彼は。
連絡先交換できなくて残念だったけど、交換できていたとしても九州と東京では、もう一度会う機会があったかはわからないですし。
もう5年も前のことなのですが、いまだに「登山中の出会い」というと、一番に思い浮かぶエピソードがこれだったりするのは、何かに失望して会わなくなったわけじゃなく「連絡先を交換できていれば!」という後悔で終わっているからなんでしょうね。
書いていてひさびさに、常念山脈を縦走したくなりました。
次回は登山歴3年目、奥秩父の甲武信岳山頂直下にある「甲武信小屋」に宿泊した際の出会いです。