温泉ブログ 山と温泉のきろく

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箱根塔ノ沢温泉 福住楼 宿泊記 数多くの文人に愛された文化財の宿に一人泊

かけ流しのお湯とおいしい食事、実は土曜日も1人で泊まれる箱根の名旅館

福住楼(ふくずみろう)は、箱根湯本駅から徒歩15分弱の場所にあり、登録有形文化財にも指定されている1890年(明治23年)創業の歴史ある宿です。

福沢諭吉、夏目漱石、島崎藤村などなど、数多くの文化人に愛された宿で、当時の建物に今も泊まることができます。

建物自体の風格や館内の意匠がすばらしいのはもちろんですが、食事も手が込んでいておいしく、かけ流しのお湯や浴室の雰囲気もすばらしいです。全17室の小規模な旅館ですが、土曜日でも1人で泊まることのできるありがたい宿でもあります。

11月下旬、秋の終わりに宿泊したところ、宿の周辺はちょうど紅葉の盛りでした。すばらしい季節に泊まることができた幸運に感謝しつつ、レポートしたいと思います。

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一人で泊まれるおすすめの温泉宿もたくさん紹介しています。

 

紅葉の箱根でハイキングした後、箱根湯本駅から歩いて福住楼へ

2022年11月下旬、秋晴れの土曜日に箱根湯本駅に降り立ち、バス乗り場に向かいました。

箱根の鷹巣山・浅間山を歩いて宮ノ下駅へ

以前から一度泊まってみたいと思っていた福住楼の予約が取れ、チェックイン時間までせっかくなので近くの山でも歩いてこようと考えたのです。

本当は、箱根湯本駅のコインロッカーにノートPCなどを入れてから、身軽にハイキングしようと考えていたのですが、駅のコインロッカーはまったく空いていませんでした。

まあ、今日は気楽に歩ける道だし、多少荷物が重くても大丈夫でしょう。

箱根湯本駅前のバス停から「箱根町港行き」のバスに乗り、23分の乗車の後「湯坂路入口」バス停で下車します。

ちなみにバスはかなり混んでおり、立って乗るのが嫌だった私は1本待ちました。10~20分間隔でバスが出ているので、座るために少し待っても問題ありません。コインロッカーが空いていなかったりバスが混んでいたり、観光地ならではの面倒事もありますけど、交通の便がいいのはいいですね……。

途中「ユネッサン」などがある小涌園などを通過しますが、途中のバス停で下車する人はあまりいませんでした。みんな終点の箱根町港まで行くのでしょうかね。箱根町港は、芦ノ湖の観光船が出る港です。

湯坂路入口で降りたのは私だけでした。バス停から数十メートル戻った場所に登山口があります。

ここから「鷹巣山」「浅間山」の2つのピークを踏んで、箱根登山鉄道の宮ノ下駅の近くに下山します。

登山道もよく整備されているし、紅葉やススキも眺められて、気軽に歩ける楽しい縦走路でした。

宮ノ下駅近くの線路に下山し、宮ノ下駅から箱根登山鉄道に乗って箱根湯本駅に戻ってきました。

箱根湯本駅から函嶺洞門を眺めつつ徒歩15分弱で福住楼に到着

箱根湯本駅から福住楼までは、のんびり歩いて15分弱。

駅前の賑やかな通りを過ぎて早川を渡ると、途端に山の温泉地らしい、緑の多いエリアに入ります。

狙ったわけではなかったのですが、折しも紅葉が盛りにさしかかろうという頃で、色づく木々を眺めながら歩いていきます。

昔からの箱根駅伝好きなら立ち止まらずにいられない「函嶺洞門」も、紅葉に彩られていました。 

函嶺洞門に名残惜しく別れを告げ、もう1度橋を渡ります。

川の周辺の紅葉も、いい色づきですねー。

橋を渡ってすぐのところに福住楼はあります。

後で知ったのですが、川の向こうの紅葉が福住楼の浴室から見えるんですよね。本当に良い時期に来ました。

ちなみに、以前ご紹介した「元湯環翠楼」は、福住楼の数軒先にあります。

環翠楼もすばらしい宿でした。

歴史を感じさせる玄関から中に入り、チェックインします。

【部屋】★★★★★ 川端康成が好んだ「桐三」の部屋に宿泊

今回宿泊したお部屋は「桐三」の部屋です。

川端康成が好んで滞在したという部屋で、ややコンパクトで川に面していないのが特徴だそう。

ちなみに、公式サイトには全17室のお部屋が紹介されていますが、じゃらんや楽天などでは大人数で泊まれる「桐六」や「竹五」などの予約プランはないようです。公式サイトからなら「竹五」は予約できるけど「桐六」のプランはない……ので、今は稼働していない部屋もあるのかもしれないですね。

客室のマップは公式サイトに掲載されていますし、じゃらんや楽天トラベルからでも泊まりたい部屋を指名して泊まることができるので親切だなと思います。

やや急な階段を上った2階に「桐三」の部屋はあります。

階段周辺の手すりや壁の飾り窓も、凝ったデザインでおもしろいですね。

階段の踊り場みたいな不思議な場所に「桐三」の部屋の扉があります。ちなみに客室内には踏込がないので「スリッパは扉の外で脱いでください」とのこと。

戸を開けると広縁という、ちょっと不思議な作りです。

桐三の間の窓はこの広縁の窓のみなのですが、川に面していないのでとても静か。

以前、在華坊さんが宿泊されていた川沿いの部屋に比べると眺望は圧倒的に良くないですが……川端康成は川に面しておらず静かなことでこの部屋を気に入っていたんだとか。私も川の音は夜になると気になってしまうタイプなので、川端の気持ちもわからなくはない……。

窓の外はルーフバルコニーのようになっていて、苔むした石が置いてありなんだか不思議な雰囲気です。

客室内で座って外を見ると、宿の建物の向こうに紅葉した木々が見えてきれい。

客室は10畳ほどの和室で、昔ながらの日本旅館らしい部屋。
肌寒い季節だからか座卓の周辺にラグが敷いてあり、これが暖かくて快適でした。

部屋の隅にこの季節には使わないであろう扇風機や、今日は使わない(私1人なので)余分な座布団が置いてあったりするところは、ちょっと雑然として見えるかもしれません。でも、何というかこの、あまり明るくなくてちょっと雑然としている感じが、旅館の部屋というよりも作家の書斎っぽい感じもしますね。

昔の建物のままだから、あまり収納がない造りなのかも。

部屋の奥にはお茶セットとポット、アルコールスプレー。

テレビに内線電話に空気清浄機など、設備は一通り揃っています。Wi-Fiの利用も可能です。

部屋の隅にまとめて置いてある浴衣とアメニティ類。

持ち帰っていいものと持ち帰ってはいけないもの、客室には置いてないけれど希望すればもらえるものなどがまとめて書いてあり、親切ですね。

広縁には空の冷蔵庫と冷水の入ったポットもあります。

客室に置いてあった冊子には、客室についての説明書きと、過去に福住楼に宿泊した文化人についての説明書きがありました。

各客室の紹介文と共に「この部屋は誰のお気に入りだったか」や「その方が泊まられたときのエピソード」などが書かれているので、読みものとして楽しめました。

この部屋を好んだ川端康成は、夜中に執筆していつも夜食のお茶漬けを頼み、朝になると編集者がやってきて、入口の戸に挟んである原稿を持っていったそうな。

入口の戸は、その頃から変わっていないのでしょうか……?

この戸に原稿を挟んだのかな?などと当時のことについて思いを巡らすのも楽しいですね。

そうそう、福住楼の素敵なところが、お茶うけが箱根ちもとの「湯もち」なこと。

白玉粉で作った柔らかいおもちに、練り羊羹を切り入れて柚子を香らせた和菓子です。
箱根では有名なお菓子だと聞いていましたが、実はこの日初めて食べまして……おいしかったので翌日にお土産にして買って帰り、後日楽天で取り寄せまでしてしまいました。

洗面所・トイレは共同なので気にならない方向け

歴史ある建物を、昔からの姿のまま大切に使っている福住楼は、客室内にトイレや洗面所がなく、共同のものを利用することになります。

洗面所は館内のあちこちにあるようですが、私が泊まった「桐三」のお部屋は「寝湯」以外の4つの浴室に近く、浴室の前にある洗面所が便利だったのでこちらを利用しました。

使い捨ての紙コップやカミソリなども置いてあり、いつも清潔に整えられていたので特に不自由は感じませんでした。

ちなみに、この洗面所の前は風呂上がりの休憩スペースを兼ねているようで、座って休める椅子と、おそらくこの宿唯一と思われる自動販売機が設置されています。

アサヒスーパードライと缶酎ハイのほか、ソフトドリンク各種を購入できます。ソフトドリンクはほぼ市価と同じ価格でした。

トイレも館内に数ヶ所あり、桐三のお部屋のすぐ前にもありました。

トイレの前には手洗い場とペーパータオル、アルコールスプレーなども設置してあります。

トイレの中も、なんというか風格ある造りです。もちろんウォッシュレット付きでとても清潔。

ただ、男女一緒の共同トイレなので、その点が気になる方はいるかもしれません。私はそんなに気にならないですが、気になる方はそういう宿だということを心に留めた上で予約されると良いかと思います。

館内を歩いて回るのも楽しい

私は建造物や庭にそれほど興味がなく、寺社仏閣や美術館にも足を運ばないタイプですが……福住楼の建物は雰囲気があって「こんなところに泊まれるのか!」と、ワクワクしてくるような造りです。

窓枠や戸のデザインが、場所によって異なっていたり。

窓から見える苔むした中庭も美しい。

鯉が泳ぐ池が見えたり、時間帯によって光の入り方が違うので、雰囲気ががらりと変わるのもおもしろかったですね。

売店ではオリジナル商品でしょうか?スリッパなどを販売していました。

「電話室」の中までは見ないでしまったのですけど、今も公衆電話が置いてあるのでしょうか……?

取ってきた写真を眺めていると、このあたりをもう少しじっくり見ておけば良かったとか、別の季節にも行ってみたいなという気持ちが盛り上がってくる宿でした。

【風呂】★★★★☆ 時間帯で男女が交換となる浴室と貸切風呂3室

福住楼には、時間帯で男女が交換になる共同浴室が2箇所と、予約制で貸切で利用する浴室が3箇所、計5箇所の浴室があり、館内で湯巡りを楽しむことができます。

5つの浴室のうち「寝湯」以外の4つの浴室は1箇所にまとまっており、宿泊した「桐三」の浴室の近くだったので深夜早朝でもお風呂に行きやすくて便利でした。

チェックイン後、お部屋まで案内していただく際に仲居さんから貸切風呂の予約の仕方を教えていただきました。

予約表に部屋の名前を記入して予約しますが、基本的には「15時から21時の時間帯で1箇所」と「朝6時から9時25分の時間帯で1箇所」を予約可能です。

22時から朝5時50分までは、空いていればどの浴室に何度入ってもOKとのこと。つまり3箇所の貸切風呂すべてに入るためには、お酒を控えめにして夜に入りに行くか、早起きして早朝に行くかになりますね。

ちなみに、貸切風呂の場所や予約の仕方、客室内の案内などをしてくださった仲居さんの案内が、非常に丁寧かつ無駄がなくてすばらしい接客だなと感じました。

チェックインから19時まで女湯となる「岩風呂」

まずは、チェックインから19時まで女湯となる「岩風呂へ。

浴室が4箇所集まっているエリアの1番奥にあります。

浴室の手前には洗面所や鏡台があり、ドライヤーが使えるようになっています。いわゆるパウダールームですね。

ドライヤーは、Panasonicの定番ドライヤー、ターボドライ1200でした。ちなみにこちらのパウダールームも特に男女で分かれているわけではなく共同で利用しますので、女性の方はそのつもりでいましょう。

岩風呂の脱衣所。

脱衣カゴと体重計が置いてある、シンプルな脱衣所です。

温泉分析表が掲示してありました。

源泉が60度以上あり高温のため加水していますが、加温・循環・消毒なしのかけ流しです。

浴室へ。

おや、岩風呂というよりは、ローマ風呂のような雰囲気。

丸や四角の窓がある壁で区切られた場所に、シャワー付きの洗い場が2つありました。こちらは現代的な造りで、清潔。シャワーの水量も問題ありません。

体を洗って浴槽へ。おお!たしかに岩風呂だ。

岩壁の岩の間から源泉が流れ落ちてくるタイプの浴室です。

お湯はキリッと熱くて気持ちが良い。新鮮さが感じられるアルカリ性単純温泉。

しかし、不思議なデザインの浴室ですね。

壁にはタイルで描かれた壁画が。
みんな貸切風呂に行ってしまうのか、岩風呂は意外と空いていて快適な湯浴みを楽しめました。

19時から翌朝9時30分まで女湯となる「大丸風呂」

19時から翌朝9時30分まで女湯となる「大丸風呂」には、翌日の朝に入りに行きました。

暖簾をくぐって脱衣所へ。

やっぱり、扉の意匠が凝っていておもしろいですね。脱衣所はこちらも脱衣カゴがあるのみ。

いざ、浴室へ。

写真で何度も見た光景が目の前に広がります。

洗い場は手前の壁際にありました。

木の床の中に釜が埋め込まれているような、不思議な浴室。

湯口は竹筒です。そして窓の外には紅葉が。

源泉は常時けっこうな量が投入されていました。
紅葉と、雰囲気ある浴室を心ゆくまで楽しみました。

貸切利用の「小丸風呂」

貸切で利用する「小丸風呂」は大丸風呂の隣にあります。

脱衣所も大丸風呂とそっくりです。
というのも以前は、大丸風呂と小丸風呂は「浴槽が2つある浴室」として脱衣所がつながっていて行き来できたのだそうですが、コロナ禍以降完全に分けて「小丸風呂」が貸切利用になったのだそう。

手前に洗い場がある、浴室の造りも同じです。

壁の向こうに大丸風呂があります。

金属の枠の部分が、大丸風呂はゴールドっぽい色でしたけど、はブロンズカラー。

小丸風呂には早朝に入ったので、隣の大丸風呂にも誰もおらず、すばらしいお湯を静かに楽しみました。

貸切利用の「家族風呂」

貸切利用の「家族風呂」は、岩風呂の手前にあります。

左側の、青いのれんがかかっているのが家族風呂です。

脱衣所もコンパクトで、脱衣カゴが2つ。

浴室は、壁や浴槽など洋風っぽさも感じられる不思議なデザイン。

小さな浴室ですが、シャワー付きの洗い場はちゃんとあります。

浴槽もコンパクトで、1人で入るのがちょうどいい大きさ。
お湯が入れ替わるのが早いためか湯の新鮮さが感じられるし、意外に1番落ち着く浴室でした。

貸切利用の「寝湯」

「寝湯」は、他の浴室から離れた場所にあります。こちらには夜遅めの時間に入りに行きました。

部屋から遠い浴室なので、途中の廊下が暗かったら嫌かも……と思いましたが、寝湯に続く廊下は深夜もしっかり照明が点いていました。

この広間は、スリッパのまま歩いてOKとのこと。

広間を渡った後、こちらの廊下を突き当たりまで歩き、左手に寝湯があります。

ドアを開けるとすぐ左手に浴室の扉があり、奥に脱衣所がありました。

寝湯は、共同の洗面所やパウダールームから遠いので、脱衣所に洗面所があり、ドライヤーも置いてありました。

では、浴室へ。

おお……これまた不思議なデザイン。

浴槽の左側が、寝湯として使えるよう浅く長くなっており、右側は全身浴ができる普通の深さになっていました。

お湯が熱いので寝て楽しむのは難しいかなと思ったのですが、足を伸ばして半身浴するとちょうど良かったです。
寝湯の部分は寝やすいように浴槽の底が緩やかなカーブになっていて、こだわりが感じられました。

【食事】★★★★☆ 朝夕部屋食、旅館の食事の見本のような丁寧に作られた料理

福住楼では食事は朝夕ともにお部屋に運んでいただきます。
夕食は18時か18時30分スタート。朝食は8時か8時30分スタートで、希望時間をチェックイン時に伝えます。開始時刻の約30分前に、準備のために部屋に入る旨をお知らせいただきました。

バラエティに富んだ福住楼のドリンクメニュー

ドリンクメニューは、こう言っては何ですが、昔ながらの和風旅館にしてはかなりバラエティに富んでいます。

生ビールはエビス。自家製のブランデー梅酒がちょっと気になりますね……。

日本酒は300mlの瓶でいただけるものが5種類、1合でいただける普通酒が1種類、4合瓶が1種類。

ワインは、フルボトルでイタリアワインと日本ワインが赤白それぞれ1種類ずつ。

ハーフボトルでフランスワインと日本ワインが赤白1種類ずつ。ハーフの日本ワインは「ポレール箱根」というサッポロビールで出しているワインのようです。

ウィスキーや焼酎もボトル・グラスで用意があり、さらにカクテルも。

コアントローベースのカクテルまでメニューにある日本旅館って、なかなかないような気がします。今営業しているかわかりませんが、もともと館内にバーがあったようなので、それゆえでしょうか。

ソフトドリンクも各種。コーヒーやダージリン紅茶やカモミールティのポットサービス、お菓子付きの抹茶セットまであります。チェックイン時から部屋に置いてあるメニューですので、夕食前に1杯、あるいはお茶を飲みたい!というオーダーも可能です。

追加オーダーできるおつまみは乾き物だけのようですが、つまみでお腹をいっぱいにせず食事を楽しむのがいいでしょう。

福住楼の夕食は、きめ細かい泡が盛り上がった生ビールにまずびっくり

お風呂あがりだったのでまず1杯目はビールかな……と、生ビール小をオーダー。

部屋食で生ビールをお願いすると、泡は消えかかっていることが多いものですが……福住楼の生ビールはきめ細かな泡がこんもりと盛り上がった状態で提供されました。

こんな階段の多い宿で、どうやってこれだけの泡をキープしているのでしょう。注ぎ方、運び方、サーバーのお手入れまで徹底してやらないとこうはならないのではないでしょうか。すばらしいなー。

鍋料理を含め、5~6種類の料理がまずは並びました。

そしてとりあえずビールだ!いただきます!

うわーめちゃくちゃおいしい。
実は、苦いビールがあんまり好きじゃなくて……生ビールがエビスだとちょっと敬遠してしまったりするのですけど、頼んで良かったです。注ぎ方でぜんぜん違うんだな。

前菜は海老、その奥があんきも。奥は鱈の子でしょうか。お品書きがないのでちょっと曖昧。

あんまりおいしくて生ビールをすぐに飲み終わりそうなので日本酒もお願いしました。

箱根山の純米吟醸。地元のお酒だし、中辛フルーティで好みの味わいです。

小鉢はフグの皮の酢の物。これは日本酒が合うだろう!と思ったんですがやはり、合いました。

お刺身盛り合わせは、イサキ、まぐろ、帆立、海老、フグの5種盛り。箱根は山ですが、小田原がすぐそこですし魚も新鮮です。

鍋料理は「豚肉のすき焼き」。

ボリュームもしっかりあり、甘めの出汁(すき焼きなので割り下か)も良いお味です。

焼き物は「鰆の幽庵焼き」、そして「鯛の蒸し物」と続きます。

揚げ物の「河豚の竜田揚げ」は熱々で持ってきていただきました。から揚げとはまた異なる食感でめちゃくちゃおいしいです。

煮物はさっぱりと「湯葉巻き」でした。

揚げ物と煮物が来たタイミングで、ご飯と赤だしも持ってきてくださいました。

デザートは柿と、りんごのワイン煮だったでしょうか。

品数多く、魚が多めだけど調理法や味付けのバラエティが豊富で飽きが来ない、そしてお腹いっぱいだけど苦しくならないすばらしい夕食でした。

福住楼の朝食は、まさにこれが旅館の朝ごはんという見本のよう

朝食は8時からお願いしました。
本当は朝食の準備の前に布団を上げることになっていたのですが「そのままにしてもらってもいいですか……?」とお願いして敷いたままにしてもらいました。

まさに旅館の朝ご飯!というおかずが目白押しで並びます。

つやつや光るご飯。

かまぼこにわさび漬け。

切り干し大根にしらすおろし、そしてネギトロ!海の宿じゃなくても、ネギトロがあるとうれしくなってしまいますね。

鍋の中身はもちろん湯豆腐。豆腐のほかにネギとえのきだけも入って具だくさん。

焼き魚は鰺の開き!

卵焼きも美しく、味も良く、すべて丁寧に作られたのがわかる味でした。

【再訪したい度】★★★★★ 別の季節に、別の部屋にも泊まってみたいと思う宿

建物のすばらしさは言わずもがな、料理も丁寧に作られていておいしく、お湯も良く夜通し温泉に浸かれる、個人的には非の打ち所がない宿です。

ただ、私はまったく気になりませんが、女性の方には「男女共同のトイレ」や「男女共同のパウダールーム」「洗面所が室内にない」ことが気になる方もいるかもしれません。なので、宿泊する際は「そういう宿だ」とわかった上で泊まってほしいと思い、記事中でもしつこいぐらい触れました。
すばらしい宿なのに「トイレが男女一緒だなんて耐えられない!」ということでマイナス評価のレビューがついたりすると、切ないのですよ。

あと、昔の建物なのでエレベーターはなく階段も多いしわりと急です。でも階段の周りの柵?なんかの意匠がいちいち美しいので、そういうのを楽しみながら館内散策するのが良いと思います。

今回は、わりと直前に思い立って空いている部屋を予約したのですが、今度は前もって計画して、また別の季節にも訪れてみたいです。

【1人旅に優しい度】80点:土曜日でも連休でも1人で泊まれて、部屋食だし貸切風呂も楽しめる

泊まりやすさ 20/20
人気の宿なので直近の日程では予約が取りにくいが、少し先の日程なら土曜日でも連休でも1人で予約可能。
更新日時点で、海の日の3連休の空室もまだありますね。

食事場所の配慮 20/20
部屋食なので人目を気にせずいただける。

プランの選択肢 15/20 
かなり広い部屋に1人で泊まれないぐらいで、1人で泊まっても何人で泊まっても予約できるプランは同じ。

ドリンクオーダー  10/20
グラスでいただけるのは焼酎やウィスキー、カクテル、生ビール、梅酒など。
日本酒は300ml提供、ワインはグラスワインがないけど、まあまあ楽しめるほうだと思う。カクテル多いのはちょっと楽しい。

フリーWi-Fi完備 15/20
Wi-Fi利用可能。速度も特に問題ないレベル。

◆ お知らせ ◆
2020年10月に著書が発売となりました。
一人旅をもっと楽しみたい方に向けたエッセイです。
一人で泊まれるおすすめの温泉宿もたくさん紹介しています。