多くの失敗を経て、現在の装備にたどり着いた
「それどこ」というメディアに先日「山の基本装備」をテーマにした記事を寄稿させていただきました。
srdk.rakuten.jp上記の記事では、私が基本装備を初めて購入した際の失敗エピソードなどを交えつつ「この春、登山を始めたい人」に「これだけは揃えて欲しい基本装備アイテム」と「基本装備アイテムを選ぶ際に気をつけたほうがいいポイント」を、私なりの視点で紹介させていただきました。
記事中でいくつか具体的な商品名も紹介させていただいてますが、私が今使っているアイテムが必ずしも「初めて購入する装備」にふさわしいわけではないため「私の現在の愛用品」を紹介しているわけではありません。
商品名をは明示せずに特徴だけ紹介したり、これまで使ったことのあるアイテムの中で「高コスパで癖が少なく性能がよかったもの」を紹介している場合が多いです。
興味ある方がどれだけいるかわかりませんが、7年前に登山を始めた私が現在どんな装備を愛用しているかを、この機にまとめてみたいと思います。
ショップスタッフや知人の言うこと、本やネットに書いてあることが正解とは限らない
私が登山を始めた7年前、私の周囲には登山をする知人はおらず、登山雑誌や書籍、そしてアウトドアショップの店員さんの言葉を頼りに、けして安くはない装備を買いそろえました。
けれど実際に使ってみると「使えないことはないけどなんか違うな」と思ってしまったことも多々あり、だましだまし使いつつ装備を買い換えることを繰り返して、納得のいく基本装備が揃うまでには結局、3年ぐらいかかったと思います。
「それどこ」に寄稿した記事には、その失敗の歴史と、失敗から学んだ教訓についてを主に書いているのですが、この記事では「失敗の末に行き着いた『私なりの正解』」についてを紹介したいと思います。
もちろん、私にとっての正解が、お読みいただいた方にとっての正解となり得るかはわかりませんが、それどこの記事と合わせて読むと、よりお楽しみいただけるかと思います。
いわゆる「三種の神器」と呼ばれる装備
30L前後のザック:グレゴリーのアンバー34/ドイターACTライト30+5
「私なりの正解を紹介する」と言っておいていきなり正解2つかよ!と思われたかもしれません。。。思われても仕方ないですが、私、本当にザック大好きで、上の2つも両方所持しているので紹介させてください。
グレゴリーのアンバー34は、商品名は出しませんでしたけど、それどこの記事でも写真を掲載していたザックです。これ↓
素材がしっかりしていてウエストベルトも30Lクラスのザックにしてはがっしり目。値段は安くはないですけど、グレーの布地にピンクのアクセントカラーというカラーリングがとてもかわいくて、ザックカバーも付属だし、かなり気に入って使っています。
雨蓋のポケットがちょっと小さめだったり、サイドポケットが浅めで、縮めた状態で55cmのトレッキングポールを収納しようとすると盛大に頭が出てしまうなどの細かい不満点はあるものの、背負い心地が良く、デザインがかわいくてテンションが上がるので細かい不満は別にいいや……と使っています。
ただ、グレゴリーのアンバー(同デザインの男性版モデルはスタウト)は、2017年に大きくモデルチェンジし、私が使っているタイプは1世代前のモデルになってしまいました。現在のモデルはこちら。
私が愛用しているグレーのカラーリングのモデルはなくなってしまい、そのほかにも全体的に軽量化がはかられて、前モデルとはかなり、コンセプトの異なるザックになってしまいました。ザック自体の重量も、前モデルは1.4kgほどあったのが、現モデルは1kgギリギリぐらいまで軽量化されています。
現在流通しているモデルも良いザックだとは思いますが、私の好みとしてはもうちょっとガッシリ目のザックがいいなあと思い、実はつい最近、購入してしまいました!というのは今まさに、セールでかなり安くなっているんです!ドイターのACTライト30+5SLです。*1
実店舗でも値引いているお店が多いので、気になる方はぜひ店頭でチェックしていただきたいです。定価は2万円ぐらいですけど、今だと1万3千円ぐらいで買えるところがあります。私はそのぐらいで買いました。
実はもともとACTライト45 + 10 SL という、同モデルでもう少し容量大きめのものを避難小屋泊などで使っていまして、地味だけどかなり使い勝手がいいなと思っていたんです。それで「サイズ違いで日帰り登山用に、もうちょい小さめのがあってもいいな……」と狙っていたところ、今回セールになっていたのでつい、購入してしまったというわけで。
買ったばかりではありますが、同モデルのサイズ大きめのものはガンガン物を詰めても重さをあまり感じさせない包容力があります。それと、1気室or2気室を、ザック内のファスナーできっちり切り替えできるのも良いです。
大きめのザックならわりとありますけど30Lぐらいのザックで2気室にできるモデルって本当に少ないんですよね。このへんは本当に好みですが、私は2気室のザックが好きなので30Lのザックにこの仕様が付いているなんてすばらしい!と思って。
ドイターはほんとに質実剛健でいいザックがあるので、あんまりお洒落感なくて敬遠されることも多いですけど、だまされたと思って一度店頭で背負ってみてもらいたいです。けっこう背負うとかわいかったりしますよ。女性用モデルにくっついてる花は、すぐ取っちゃいますけど。。。
レインウェア:THE NORTH FACE クライムライトジャケット&パンツ
それどこの記事では「モンベルのストームクルーザー」をお勧めしたのに、自分はノースフェイス着てるのかよ。と思われたかもしれません。寄稿記事内でもノースフェイスのウェアの写真出しちゃってるしな。。。↓これ
ストームクルーザー、本当にすばらしいレインウェアだと思うんですけど、私にはなんか、パンツのサイズが合わなかったんですよね。けっこうサイズ展開豊富なはずなんですけど、ショップで試着して段差を上ったり屈伸したりすると、なんかしっくり来なくて。で、いくつか試着してしっくりきたのがノースフェイスのクライムライトパンツだったんです。
ジャケットもデザインがシンプルでよかったので、揃いで買ってしまいました。
それどこの記事にも書きましたが、私はまだ、レインウェアの新素材を試す気にはなれないので、ゴアテックスファブリクス3レイヤーのものの中から選んで、この結論になりました。
レインウェアは素材も重要ですけど、雨のとき以外に防寒用に着ることもあるので、デザインが気に入るかどうかがけっこう重要だと思うんですよね。クライムライトジャケットはその点、シンプルなデザインで良かったです。(ちょっと丈が短いけど)
ミッドカットの登山靴:LOWAのタホー プロ
「LOWAのミッドカットの登山靴を愛用している」と寄稿記事にも書きましたが、モデルの名前は「LOWA TAHOE PRO(タホープロ)」です。これもう、本当に大好き!
私の私物の画像は、ワックスをかけてテカテカに磨かれた状態のうえに、靴紐も変えてあるので元のモデルが何だったかわかりにくかったかもしれませんが、LOWAの定番モデルですね。
こちらのモデルの何がいいって、この、いかにも「革製登山靴」という見た目がいいし、履き心地が良いし、何よりもモデルチェンジしないのがいいです。
「この靴最高!ずっとはき続けたい!」と思っても、モデルチェンジしてあれこれ変わってしまうことが多いんですが、タホーはぜんぜん変わりません。ずっと変わらずにいてほしいですね。
もしものときに身を守るための装備
ヘッドライト:ペツル ACTIK アクティック
壊れにくいのでペツルがおすすめなんですが、私が現在愛用しているモデルは、ペツルのACTIK(アクティック)です。
2017年の最新モデルです。
「壊れにくいのになぜ最新モデルを使っているのか」と思われたかもしれませんね。5年ぐらい愛用していた旧モデルを、山小屋に忘れたからです。しょんぼり。
でも、5年ぶりに購入したら恐ろしいほど進化していたのでうれしかったです。お値段は4000円台とまあまあお手頃な価格帯、300ルーメンという十分な光量、電池持ちも私の使い方なら十分だなと思いました。そして何よりも、別売りの充電池を購入すれば、乾電池を購入することなく充電して繰り返し使えます。
別売りの充電池はこちら↓
ちなみに、ペツル以外で購入候補になりやすいブラックダイヤモンドのヘッドライトも以前使ったことがあるのですけど、かなり壊れやすくてですね……。電池の入れ替えをするときに中身を見ると一目瞭然なんですけど、ペツルのほうが内部構造がシンプルで見るからに壊れにくそうなんですよね。山仲間の評価も概ね私と同様なので、きっと、ペツルを選んでおいたほうが幸せになれると思います。
サバイバルシート:AMKサバイバルブランケット+ビバークツェルトソロ
サバイバルシートについては、それどこの記事内でも紹介した「AMKヒートシートサバイバルブランケットを愛用しています。ある程度耐久性があって、テントマット代わりにも使えますし、繰り返し使えますので。
ただ、最近はサバイバルシートと似たような用途で使用するものではありますが、手のひらサイズのツェルトもお守り代わりに持っていくことが多いです。
特に、雪山登山のときは必ず持っていきますね。テントのようにして使うことはできない小さなツェルトではありますが、くるまるとかなり保温性が高まりますし、サバイバルシートよりはずっと丈夫なので、ご来光待ちのときなんかも、より、気軽に使いやすいです。
急な天候変化にも対応できる装備
レインスパッツ:コロンビアのゲイター
レインスパッツは、厳冬期の雪山登山で使うものは別ですけど、無雪期の雨の日に使うならそんなゴツいものじゃなくていいと思っています。レインパンツやトレッキングパンツの汚れを防ぐだけのものなので、ゴアテックス素材である必要もないんじゃないかなと。
それよりも「雨が降ってきた!よし付けよう」と思ったらすぐに付けられる作りが単純なものが私のフェイバリットです。
という観点で選んで、もう何年も愛用しているのがコロンビアのゲイターです。
現行商品はこれですね。
この商品が他のレインスパッツとどこが異なるかというと「デザインがかわいい」点と「靴の下を通すベルトがない」点です。
まず、私は雨天時だけでなく前日が雨で足場の悪いときにもスパッツをつけたいので、見た目のかわいさは重要です。コロンビアのゲイターは、他のブランドのレインスパッツとはまったく異なる、レッグウォーマーのようなかわいさがあります。
そして、靴の下を通すベルトがなく、靴紐にフックで引っかけるだけなので装着が楽なんです。ベルトなかったら外れてこないものかなと最初は思っていましたけど、きちんとフックをひっかけておけば全然はずれなかったです。
こんな感じで、雨の日以外も使っています。
ザックカバー:特にこだわりなし
最近は、ザック購入時にカバーが付属していることも多くなりました。
サイズが合ってさえいれば何でもいいと思いますが、宿泊を伴う登山では特に、忘れるとけっこう大変なことになる、かつ忘れやすいアイテムなので、最後に「ちゃんと入れたか」を必ず確認するようにしています。
40Lぐらいのザックについてはモンベルのザックカバーを使用しています。色数豊富で、値段もお安めなので。
最低限揃えたい、登山用ウェアのおすすめ
ベースレイヤー:スマートウール&ibexのタンクトップ&Tシャツ
完全に好みも問題だと思いますが、私は、登山ウェアのベースレイヤーは「メリノウール派」です。汗をかいてもさらっとしているし、匂いにくいのが何よりすばらしい!
特に「スマートウール」と「ibex」のものが好きです。モンベルのものも使ったことがあるのですが、ibexのものと比べるとモンベルは、汗をかいた後にやや、冷えるような感じがしました。やはりここでも餅は餅屋なのかもしれません。
Tシャツはメリノウールじゃなかったとしても、肌に直接付くインナーウェアをメリノウールのタンクトップにしておくと、体温の調節が容易になる気がします。
夏の間はこんな感じで↑メリノウールの半袖Tシャツを着て、アームカバーをしているのですけど、このときもそうですが、Tシャツとアームカバーの間に隙間ができて、二の腕だけ日焼けしてしまうことがあります。もうちょい袖丈眺めの半袖Tシャツがあればいいのですが。。。
ミドルレイヤー:マムート アルティメットフーディジャケット
ミドルレイヤーとは、インナーとアウターの間に着る「中間着」のことで、それどこの記事ではここで「薄手のフリース」を紹介しました。値段的にもお求めやすいですし、使い勝手も良いからです。
ですが私自身は最近は、フリースを持っていくこともありますけれどミドルレイヤーとして一番愛用しているのはマムートのソフトシェル、アルティメットフーディジャケットです。
正直ちょっとお高いのですが、これが本当に便利で。
素材は厚手のジャージのような感じで、しなやかでずっと着ていても疲れることがないのですけど、それでいて耐風性・撥水性もあり、アウターとしても優秀なんですよね。
色味もかわいくて気に入っています。
今使ってるやつがだいぶ傷んできてしまったので、いい色のが出たら欲しいなあ。。。
ボトムス:THE NORTH FACE アルパインライトパンツ
2017年に買ってよかったものの記事でも最高に褒め称えたのですが、やはり、ボトムスはノースフェイスのアルパインライトパンツが一番のおすすめです。
今「黒」「紺」「ベージュ」の3色を持ってるのですが、グレーも欲しいなーと狙っているぐらい好きです。
動きやすさとパンツとしてのラインのきれいさを見事に両立していて、なんというか、シルエットが「アウトドアウェアっぽくない」んですよね。普通に街で履けます。
最近、在庫もこなれてきたのかたまに少し安くなっていることもあるので、しょっちゅうチェックしています。
スポーツタイツ:ワコールCW-X スタビライクスモデル
それと私は、ロングパンツを履くときでも下に必ずスポーツタイツを履いています。
CW-Xのスタビライクスモデルの、黒1色のものです。
CW-Xにはさらに上位モデルの機能性タイツ「ジェネレーター」もありますが、私は昔からスタビライクスモデルを履いていて特に不自由を感じていないし、ずっと使い続けています。ジェネレーターという上位モデルが出たことで、スタビライクスモデルが安く買える機会も増えましたしね。
見た目も「いかにも機能性タイツ!」って感じじゃないので、ハーフパンツのときも合わせやすいのです。
ソックス:スマートウールの中厚手のもの
ソックスは、やはりメリノウールのものを愛用しています。スマートウールの中厚手のものが好きです。
靴下の厚さがしょっちゅう変わると、靴の履き心地も変わってしまうので、必ず同じ厚さのものを買い求めるようにしています。
帽子:カリマー レイン3Lハット
帽子は、季節に合わせて素材違いでいくつか持っているのですが、無雪期に愛用しているのはカリマーの撥水性のあるハットです。
レインウェアのフードを被ると視界がめちゃくちゃ狭まるので、少しの雨ならできるだけ被りたくないのですが、でも頭が濡れるのは避けたい……というときに、この帽子が役に立ちます。デザインもかわいいので、雨の日以外も、もちろん活躍します。
手袋:日本野鳥の会のグローブ
手袋ももちろん、季節によって「防寒」「日除け」など役割が変わりますので何種類も持っているのですが、無雪期の山で気に入って使っているのが、日本野鳥の会のアウトドアグローブです。
「おしゃれ軍手」という感じの商品なんですが、色やデザインがとてもかわいいし、丈夫で、手のひらの部分に滑り止めも付いています。しかも600円と安いのです。
通販でも購入可能ですが、山岳地帯のビジターセンターでもたまに売っています。
私が今使っているグローブは、火打山の麓のビジターセンターで購入しました。
Bと鳥をかけてあるマークが、かわいいですよね。
登山装備が揃ったら最初に行きたい山
「それどこ」の記事で文字数が足りなくて書けなかったのですが、登山装備が揃ったら最初にどこに行ったらいいの?ということについて。
持論ですが「地元の小学生が遠足で行く山」に行ってみるのがいいんじゃないかと思います。もちろん、雪のない季節に。
東京なら高尾山でしょうし、神奈川なら丹沢大山や箱根の金時山などでしょうか。北関東なら筑波山、長野なら霧ヶ峰とか。
ちなみに私の地元、山形県の鶴岡市あたりだと羽黒山か金峰山(きんぼうさん)ですね。
関西方面なら伊吹山や六甲山とかですかね。。。そのあたりはあまり詳しくはないのですが。
小学生が遠足に行く山は、登山者もそこそこ多いですし、道やトイレも大抵整備されています。まずはそういう山に登ってみて、そこから一歩一歩、少しずつ難しい山を登って徐々にレベルアップしていく。その過程が私は本当に楽しかったです。
いきなり難しいところに行ってしまうのは、危険なだけじゃなく、もったいないと思います。レベル上げ無しに、いきなり魔王の城からスタートするようなものですからね!
ゆる山歩きを、まずは楽しんでみるのがいいんじゃないかなーと思います。
*1:SLと付くのは女性向けのモデルです。