初めてのテント泊では、登山口からすぐ着くキャンプ地を選んだほうがいい
2020年から2021年にかけては「テント泊登山を始めてみようかな」と思う人が、例年よりも増えたのではないでしょうか。
見ず知らずの人と同室になることなくプライベートスペースを保てることはテント泊の最大の利点ですが、そのことの価値がこれまでにないほど高くなった1年だったと思います。「重いし」とか「初期費用が嵩むし」といったデメリットが、この1年に限っては霞んで見えた方も多いのではないかと。
しかし、テント泊装備は特に女性の単特登山者にはやっぱり重たいものです。また女性でなくても初めてのテント泊では忘れ物をする可能性も高いので、リカバリーがしやすいよう登山口から2時間以内で着けるテント場を目指すことをおすすめしたいです。
すぐ着くキャンプ場なんてあまりロケーションが良くないんでしょ?と思われるかもしれませんが、登山口の標高が高い山の場合は、ご来光を目の前で眺められるような眺望のいいキャンプ場に着けることもあります。
とは言え高所では風が強くなりやすく設営に難儀することもありますので、できれば2度目以降のテント泊で選んだほうが良いとは思いますが……。
この記事ではテント泊初心者、あるいは久々にテント泊をする方におすすめしたい「登山口から徒歩2時間以内でつけるテント場」についてまとめました。
また、手前味噌ですが、ひとりで登山を始めてテント泊をするに至るまでのあれこれについては昨年出版した著書に詳しく書いていますので、ご興味のある方は手に取っていただけたらうれしいです。
- 初めてのテント泊では、登山口からすぐ着くキャンプ地を選んだほうがいい
- 北海道・東北地方のテント場
- 上信越の山のテント場
- 尾瀬のテント場
- 奥多摩・奥秩父のテント場
- 八ヶ岳のテント場
- 北アルプスのテント場
- 南アルプスのテント場
- 中央アルプスのテント場
- 九州のテント場
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紹介するテント場の選定基準
今回ご紹介するテント場/キャンプ場はすべて、私自身が幕営したことがあるか、あるいは「いつか泊まるかもしれない」と考えて下見をしたことのある場所のみをピックアップしました。
また、私自身が公共交通機関を使って登山をしているため「バスなどの公共交通機関を降りたところから徒歩2時間以内で着く」ことを条件にしています。
それから、単に「キャンプする」ことだけが目的なら歩いて行けるキャンプ場はもっともっとあると思いますが、ここでは「テントを張ってどこかの山の山頂を日帰りで往復できる」場所に限定してご紹介しています。
2021年はコロナ禍の影響で休業・営業期間の短縮・交通機関の減便なども多いのですが、できる限り調べて追記するようにしました。状況が変わる場合もあると思いますので、お出かけの前に最新情報をチェックされることをおすすめします。
北海道・東北地方のテント場
北海道の山はまだまだ未開拓なので1箇所だけ……。
東北の山は日帰りで登れる山も多いので、あえてテント泊で登ろうとは思わない方が多いと思いますが、公共交通機関利用だと登山口に着くまでに時間がかかるので、その日のうちに登ることが難しいこともあります。そんなときに前泊するのに良さそうなキャンプ地をピックアップしました。
この記事を書き始めたときは9月だったのですが……書いている間に北海道のテント場の営業期間が終わってしまいました!ご注意ください。
北海道:東川町旭岳青少年野営場(大雪山旭岳)
予約:おそらく不要 チェックイン/アウト:不明
料金:大人500円 営業期間:6/10~9/30 ホームページ:北海道森林管理局
大雪山旭岳は、大雪山系の最高峰であると同時に北海道最高峰でもありますが、旭岳温泉から標高1600メートル地点までロープウェイが通じているため、雪がない時期で天気が良ければ、比較的気軽に登れる山として知られています。
私も、ロープウェイを利用して旭岳に登るべく、旭岳温泉に宿を取っていたのですが、天候が悪くて結局登れずでした……来年は登れるといいなあ。
今回ご紹介するのは、その旭岳ロープウェイから徒歩15分のところにあるキャンプ場です。
旭川駅からバスに乗り、「旭岳キャンプ場」停留所で下車後、徒歩5分ほどで着きます。
テントをキャンプ場に張ったまま、日帰りで登山すれば、テントを担いで歩く時間はたった5分です。
バス停から徒歩5分、お隣の旭岳温泉湧駒荘で日帰り入浴も可能
おそらく公営のキャンプ場なのだと思いますが、こぢんまりとした静かなキャンプ場でした。
この日は土曜日のお昼過ぎ、雨が降っていたこともあってテントは設営されていませんでしたが、管理棟には管理人の方がいらっしゃるのが確認できました。
公園のような雰囲気で、トイレ、水道、ゴミ箱などはあります。
5分歩けば旭岳温泉の宿がいくつもある場所に出るのですが、キャンプ場の周りには家や宿はないので、万が一宿泊者が誰もいなかったら、特に女性はこわいかもしれないですね……この前日は宿泊者がいたと思うんですが(同じバスにテント泊装備の方がいて、このバス停で下車していたので)土曜日なのにテントが一つもなかったのは時間帯のせいかもしれません。夕方ぐらいになれば増えたのかも。
実は、私自身はこのとき、近所にある旭岳温泉 湧駒荘という宿に宿泊していて、キャンプ場がどんなところか下見に行ったのです。
湧駒荘では日帰り入浴も受け付けていますので、テント泊をして日帰りで温泉に入りに行くのもいいと思います。すごくいい宿で、こちらの記事で「料理が良かった宿2位」に選出していますが、お湯もとても良かったです。
バス停も近く、温泉宿がいくつもあるエリアですが、徒歩圏内にはコンビニなどの店舗はありませんので食料品などはあらかじめ購入して持ってくる必要があります。
飲食店も、ランチ営業をしている宿は探せばあるかも?というぐらいで、お店らしいお店は周囲に見当たりませんでした。
午前11時から午後3時までは、旭岳ロープウェイの山麓駅併設の食堂で、ランチをいただくことはできます。
青森県:酸ヶ湯キャンプ場(八甲田山)
予約:要電話予約 チェックイン/アウト:12時/11時
料金:大人500円 営業期間:6月下旬~10月下旬 ホームページ:酸ヶ湯キャンプ場
八甲田山の登山口である酸ヶ湯温泉から、徒歩5分ほどの場所にあるキャンプ場です。
酸ヶ湯温泉の目の前にバス停があり、青森駅および新青森駅からバスが運行しています。
これまで何度か、酸ヶ湯温泉に宿泊して八甲田山に登っているのですが「宿が取れないときでも、ここにテント泊すれば登れるな……」と思ってチェックしていたキャンプ場です。
バス停から徒歩5分!極上の温泉に入れる快適なキャンプ場
酸ヶ湯温泉でバスを降り、徒歩5分ほどで着きます。
周辺には「地獄沼」などの沼や植物園もあり、登山をしない人でも楽しめる場所です。
立派な管理棟があり、オートキャンプも可能なので「自分以外泊まる人がいない!」というシチュエーションに陥る確率は、比較的低そうです。
撮影時は日曜の午後でしたが、車が数台と、テントが一張り確認できました。天気のいい土曜日ならもっと多いでしょうね。
芝生も手入れが行き届いていて快適そうです。
シャワーなどの設備はないですが、酸ヶ湯温泉で日帰り入浴が可能です。
管理棟ではキャンプ場利用者専用のお得な入浴チケットも販売しているとのこと。
酸ヶ湯温泉の売店でお酒やおつまみも入手可能ですし、日中は喫茶室や蕎麦屋も営業しています。
岩手県:須川野営場(栗駒山)
予約:たぶん不要 営業時間:8:30~17:30
料金:大人200円 営業期間:4月下旬~11月上旬 ホームページ:いちのせき観光navi
岩手県・秋田県・宮城県の3県の県境にある栗駒山は、紅葉で有名な山ですが、私は、間違いなく混むであろう紅葉シーズンは避けて、夏に登りました。
まあたしかに、紅葉時期のほうがおもしろいんだろうなと思う部分はあったものの、なだらかで道も良く整備されており、日帰りで気軽に登れる良い山でした。
栗駒山にはいくつもの登山口がありますが、公共交通機関利用で登りやすいのは、新幹線の一ノ関駅から須川高原温泉まで季節運行している岩手県交通のバスに乗り、終点の須川高原温泉の横にある登山口を往復するルートです。
源泉が宿のすぐ側で滝のように湧き出ている箇所があるのですが、その横を通って登山口に入ります。ご紹介するキャンプ場は、この須川高原温泉の目の前にあります。
バス停から徒歩1分!須川高原温泉が目の前に
キャンプ場があるなんてまったく知らずに来たのですが、駐車場の隅に「須川野営場」の利用心得が。
駐車場の隅にビジターセンターがあるのですが、その裏手に管理棟があるようです。
手前にある、緑の屋根のログハウス風の建物がビジターセンターなので、その左手奥に見える白い壁・緑の屋根の建物が管理等でしょう。
バスを待つ間に見てきたところ、トイレは駐車場のトイレを利用しますが、水道や炊事場はキャンプ場内にあるようです。恐らくキャンプファイヤーをするための場所もありました。
テントを設営する場所は、やや放置気味でこの日は設営されているテントは無し。小中学生の夏休みが終わった後の、日曜の午後だからかもしれませんが……オフシーズンは「自分以外キャンプする人がいない」という事態も起こりそうな雰囲気ではあります。
ビジターセンターの駐車場にはキャンピングカーが何台も泊まっていたんですが……恐らく、近くにもっと設備の整ったオートキャンプ場があるんでしょうね。車で来たならそちらでキャンプして、登山のときだけここに車を止めて登るということなのではないかなと。
私自身は、このときは近くの温泉宿に泊まって登山したのですが、宿は紅葉シーズンはかなり混むため、1人では泊まりにくくなってしまいます。紅葉時期に登るなら、テント泊もありもしれません。ただ、女性1人ではちょっとこわいかな……。
先にご紹介した須川高原温泉のほか、ビジターセンターから徒歩3分ほどのところにある「栗駒山荘」でも日帰り入浴が可能です。
私は、栗駒山荘に泊まって登山したのですが、こちらもとても良い宿だったので後日ご紹介したいと思います。
上信越の山のテント場
「上信越」というと、都道府県では「長野県」も含まれるのですが、長野県すべてをここに入れてしまうと多すぎて分類の意味がなくなるため「日本アルプス」や「八ヶ岳」についてはカテゴリを別にし、それ以外の上信越の山のキャンプ場についてご紹介したいと思います。
長野県:雨飾高原キャンプ場(雨飾山)
予約:登山者サイトは不要 チェックイン/アウト:13時/なし
料金:770円 営業期間:6月中旬~10月末ごろ ホームページ:雨飾高原キャンプ場
長野県北部の小谷村と新潟県糸魚川市の境にある雨飾山。私は長野県側の登山口から2回登ったことがあるのですが、初回は登山口にある「雨飾高原キャンプ場」にテントを張って前泊し、翌日早朝から登山しました。
紅葉の山として有名な雨飾山ですが、このときも紅葉シーズン。大変きれいでしたけどめちゃくちゃ混んでました。
1人で来たのに、常に列をなして歩いている感じで……正直、紅葉シーズンは平日に来れなかったらもういいな……と思いました。今年は雨飾山では紅葉シーズン中の土日は入山規制を行うそうです。予定されている方はご確認のうえお出かけください。
ちなみに昨年、密を避けて真夏に雨飾山に来たら、空いていてずっと一人歩きでとても良かったです。
誰もいない……。
アルプスほど標高ないので、かなり暑かったですけどね・笑
バス停から徒歩1時間、登山口の目の前にあるキャンプ場
雨飾高原キャンプ場は、大糸線南小谷駅から小谷村営バスに乗り、終点「雨飾高原」バス停で下車後、林道を約1時間登った場所にあります。
キャンプ場までは普通に舗装された林道歩きですが、行きは登りなのでテント泊装備を担いでいると地味にきついです。
雨飾高原キャンプ場は設備の整ったオートキャンプ場です。もちろん、トイレや水場などの設備もしっかり。
登山口に最も近いエリアに「登山者サイト」があります。↓この辺りですね。
夏はテント1張しかありませんでしたが、秋に来たときはいっぱいでした。
登山者用サイトの予約は不要・不可能ですので、秋は特に早めの到着をおすすめします。車で来れる場所なので、夜になってからテントを張っている人もけっこういました。
ちなみに、バス停からキャンプ場までの間に「雨飾荘」という温泉宿がありまして、以前テント泊したときは、私はこちらで日帰り入浴させてもらったんですが、コロナ禍でこちらの宿は現在、日帰り入浴の営業を休止しています。
なので現在は「雨飾高原」バス停から徒歩25分、バスに乗るなら停留所1つ乗ったところにある「小谷温泉山田旅館」での入浴がおすすめです。
風情ある建物ですが、シャワー付きの洗い場もドライヤーも完備しています。
ただ、秋の休日は確実に混みそうですね……。営業時間などは公式サイトにてご確認ください。元湯と外湯がありますが、シャワー付きの洗い場を確認しているのでは「外湯」です。
新潟県:巻機山麓キャンプ場(巻機山)
予約:不要 チェックイン/アウト:フリー
料金:600円 営業期間:6月1日~10月中旬 ホームページ:にいがた観光ナビ
新潟県南魚沼市の巻機山には7月に登りました。
雨飾山と同じく、紅葉が美しいことで知られる山ですが、ニッコウキスゲやワタスゲなど高山植物が咲き乱れ、夏の巻機山もいいじゃないか!と思ったものです。
ただ、ここまでの晴天だとかなり暑かったですが……贅沢な悩みかもしれませんね。
公共交通機関で巻機山に行くには、六日町駅から南越後観光バスの「六日町~沢口~清水線」に乗り、終点「清水停留所」で下車します。
始発のバスが清水停留所に着くのが午前8時50分なんですが、バス停から往復した場合、巻機山の山頂までの標準コースタイムは9時間です。もっと早く歩ける方も多いとは思いますが、日帰りするにはやや心許ない時間帯です。
となると、登山道の途中にある「巻機山避難小屋」で1泊するか、あるいは登山口近くの巻機山麓キャンプ場で前泊して早朝に出発することになるわけで。
ちなみに……「巻機山避難小屋」の近くに幕営している人もいるようなんですが、こちらはテント指定地ではありません。
水場も近く、平らで、避難小屋のトイレも利用できるため、幕営してしまう人が後を絶たないそうなんですが……私が登った日もテントが張ってありました。ですがここはテント指定地ではありませんので、テントを張るなら登山口近くのキャンプ場でお願いします。
バス停から40分、登山口近くのキャンプ場(避難小屋の側は違うよ!)
こちらは、清水バス停にある案内MAPです。キャンプ場は、バス停から40分ほど林道を登っていった、桜坂駐車場の手前にあります。
バスを下車後、周囲に民宿や民家が点在する坂道を登っていきます。
登っていく途中にある「上田屋食堂」の前に飲料の自動販売機があります。
キャンプ場まではまだしばらくありますが、ここより上に自動販売機はありませんでした。ジュースなど購入したい場合はこちらで買っていくことをおすすめします。
キャンプ場に着き、管理棟を覗いてみたのですが……人がいる気配がありません。ググってみると「桜坂駐車場の管理人に料金を支払う」と書かれていたので、駐車場まで支払いに行きました。ちなみに巻機山の登山バッジも駐車場で買えました。
桜坂駐車場までは越後湯沢駅からタクシーで7500円……4人いれば早朝にタクシーも有りかもしれませんね。
ちなみに、料金は自ら支払いに行かなくても、夕方になれば駐車場の管理人さんがテント場に徴収に来てくれるようです。
キャンプ地は広く、たくさんのテントが張れそうですが、私がテントを設営した後、誰も来ません。
標高も低いので(730メートル)暑いですしね……秋はきっと、もっと賑わうのでしょう。
水場やトイレはありますが、設備が整ったキャンプ場!という感じではありません。
車が側に停められるサイトには、大きめのテントがいくつか張られていました。とりあえず、泊まるのが私1人ではなかったことに安堵したり。
夕方近くになって、登山者らしいテントがもう1張り増えました。(手前が私のテント)
夏場は暑いので、登山の前泊なら夕方ぐらいに来るのでちょうど良かったな……と思いました。しかし、これからの季節には特におすすめのキャンプ場です。
長野県:戸隠キャンプ場(高妻山・戸隠山)
予約:必要(Web申込み可能) チェックイン/アウト:11時~17時/10時
料金:1500円~ 営業期間:6月中旬~10月下旬 ホームページ:戸隠キャンプ場
戸隠連峰最高峰の高妻山には、数年前、紅葉シーズン中盤の10月中旬に麓にある戸隠キャンプ場にテントを張って登りました。
登山口は牧場の中を歩いていった先にあり、牧歌的な雰囲気で歩き始めたのもつかの間、歩き始めて間もなく鎖場が連続して現れ、山頂付近も急坂続きでなかなかしんどい山だったことを覚えています。
遠目にはなだらかな山に見えるのに……登ってみないとわからないものですね。
バス停からすぐ!牧場の中のキャンプ場
戸隠キャンプ場は、長野駅からアルピコ交通の路線バス「70 戸隠線」に1時間少々乗り、終点「戸隠キャンプ場」停留所で下車してすぐの場所にあります。
泊まった日は土曜日でしたが、まるでグラウンドのような広い芝生のフリーサイトにテントは5~10張ほど。現在のように「キャンプブーム」ではなかったこともありますが、交通の便も良く設備も整ったキャンプ場ですけど、とても空いていました。
現在は主にコロナ禍の影響だと思いますが、こちらの広いフリーサイトも含め、全サイトで予約制となっています。(予約がいっぱいでなければ当日申込みでも泊まれますが)
また、チェックアウト時刻も「10時」と早めなので、テントを張りっぱなしで登山して戻ってきたら間に合いません。「撤収が午後になる場合、翌日の予約がいっぱいでなければ見逃してもらえるのか、延長料金(16時30分までのデイキャンプ料金が1000円)を払うことになるのか」は予約時に予め確認しておいたほうが良いかと思います。料金も、1泊1500円~と、ややお高めですので……。
いわゆる登山者用のテント場と比べると幕営料は高いのですが、キャンプ場の奥には牧場もあり、近くには植物園もあったりで、滞在中もいろいろと楽しみの多い場所です。
馬や山羊や羊を見て楽しみました。
標高1200メートルの高原にあるので、これからの季節は、朝晩はかなり冷えますが。
泊まった日も、びっしりと霜がおりていました。しっかりとした防寒対策が必要です。登山の前泊としては高妻山のほかに、戸隠山登山も楽しめます。
長野県:天狗温泉浅間山荘キャンプ場(浅間山)
予約:車やバイク利用の場合は必要 チェックイン/アウト:13時/11時
料金:1100円 営業期間:4月下旬~10月下旬 ホームページ:浅間山荘
浅間山の噴火警戒レベルが「1」のときのみ登山可能な「前掛山」に登るためには、天狗温泉浅間山荘から登るのが便が良いです。
歩き始めは樹林帯を登っていきますが、だんだんと火山らしい風景に変わっていきます。
黒斑山から「あそこを登れるんだ……」と何度も眺めた前掛山の登山道を、実際に歩けるのはそれだけで感無量でしたね。
浅間山の噴火警戒レベルは長く「2」でしたが、2021年8月に久々に「1」となり、10月初旬の時点でもまだ「1」のままです。いずれまた「2」に戻ると思いますので、1度登ってみたいと思っていた方には今がチャンスではないかと。ただし「警戒レベル1」と言っても噴火の危険がないわけではありませんので、装備などはしっかり整えて登られることをおすすめします。
バス停から1時間20分、温泉宿が管理するキャンプ場
天狗温泉浅間山荘は、佐久平駅もしくは小諸駅から「高峰高原行き」のバスに乗って「浅間登山口」で下車し、林道を1時間20分ほど登ったところにあります。
泊まったのがかなり前ということもあり、キャンプ場の写真をまったく撮っていなかったのですが……こちらのサイトの写真などが参考になります。
車やバイクの乗り入れも可能なオートキャンプ場扱いではあるのですが、設備的には「登山者向けのテント場」に近いです。なお、車やバイクを乗り入れてキャンプする場合は公式サイトからの予約が必要ですが、公共交通機関利用でフリーサイトを利用する場合は、予約については特に記載がありませんでした。
私が泊まったときは特に予約は不要だったのですが、心配な方は出発前に問いあわせてみたほうが良いかと思います。
滞在中は、割引料金で「天狗温泉浅間山荘」の温泉に日帰り入浴が可能です。
私は、前泊した日の夕方と、翌日の登山後に2度入りました。
赤茶色の濁り湯で、とても良いお湯だったので、こちらの宿にも1度泊まってみたいなと思っています。
尾瀬のテント場
書いてから気がついたのですが……ご紹介している「山ノ鼻キャンプ場」は、2020年の秋からのツキノワグマの出没多発のため、営業を休止しています。来年春に再開するかは未定ですが、情報が入り次第こちらのページも更新したいと思います。
また、尾瀬には山ノ鼻キャンプ場のほかに、登山口から近いキャンプ場として尾瀬沼ヒュッテ(沼山峠登山口から徒歩1時間・880円)があります。現地を確認していないため今回は掲載しませんでしたが、尾瀬沼散策や燧ヶ岳登山の際には便利な場所だと思います。ご検討ください。
【2021年は営業休止】群馬県:山ノ鼻キャンプ場(至仏山)
予約:予約必要 チェックイン/アウト:なし
料金:770円 営業期間:2021年は休止 ホームページ:東京パワーテクノロジー株式会社
尾瀬ヶ原の西端、群馬県側に位置する「至仏山」は、東の「燧ヶ岳」と並んで尾瀬を代表する山です。
山ノ鼻側から登って振り返ると、尾瀬ヶ原の全景を眺めることができます。
登り始めはきついですが、山頂直下の「高天原」というポイントは、なだらかな木道の周りにベンチが点在し、絶景を眺めながらランチをいただけるお気に入りの場所です。
「山ノ鼻から至仏山山頂に至る」道は、無雪期は「下り」で使うことが禁止されています。そのため、山ノ鼻を経由して登山する場合は往復することはできず、周回ルートを歩くことになります。
登山口の鳩待峠から徒歩1時間、尾瀬ヶ原がすぐそこ
ご紹介する「山ノ鼻キャンプ場」は、登山口の「鳩待峠」から約1時間歩いた「山ノ鼻」にあります。
整備された木道で歩きやすい道ですが、雨天の日や雨上がりは滑りやすいので注意が必要です。
山小屋「至仏山荘」が管理する「山ノ鼻キャンプ場」は、平坦で整地も良く、水はおいしく、トイレもきれいな快適なキャンプ場です。
以前は予約不要でしたが、2020年以降は予約必須となっていました。
2021年はツキノワグマの出没多発のため営業休止していますが、営業再開後は公式サイトから予約可能となると思いますので、ご確認のうえご利用ください。
至仏山荘の食堂・カフェも利用でき、目の前には尾瀬ヶ原というすばらしいロケーションのキャンプ場ですので、2022年以降営業再開することを願っています。
一つ注意点としては、尾瀬全体がそうですが、山ノ鼻キャンプ場も携帯の電波はほとんどありません。
実は、至仏山荘に山小屋泊するとWi-Fiが利用できたりするのですが……山小屋泊についてはこちらの記事を参考にしていただければと思います。
また、山ノ鼻キャンプ場にテント泊して至仏山に登った際の記録はこちら↓の記事になります。
奥多摩・奥秩父のテント場
奥多摩・奥秩父はこれからの季節がまさにオンシーズン!
日帰りで登れる山も多いですが、麓近くにテントを張ればキャンプ+登山をゆったりと楽しむことができます。
山梨県:福ちゃん荘(大菩薩嶺)
予約:予約不要だが40名ほどで受付停止 チェックイン/アウト:8時ごろ/なし
料金:400円 営業期間:通年 ホームページ:福ちゃん荘
中央線の甲斐大和駅から標高1585メートルの上日川峠までバスが運行しており「東京から近く気軽に登れる百名山」としても有名な大菩薩嶺。
バス停から1時間半ほどで、富士山を眺めながらの稜線歩きが楽しめるのも魅力です。
「大菩薩嶺」の山頂は、登山道の途中のようなあまり開けていない場所にあるのですが、中里介山の小説でも有名な「大菩薩峠」は、山頂よりも山頂らしい風格があり、眺望も抜群の絶景スポットです。
大菩薩峠にある山小屋「介山荘」に泊まっての登山もおすすめです。
上日川峠バス停から25分、日当たり良く快適なキャンプ場
上日川峠バス停から25分。よく整備された緩やかな登山道を登っていくと、山小屋「福ちゃん荘」にたどり着きます。
福ちゃん荘の目の前にキャンプ場はあります。整地も良く、日当たりも良い気持ち良いキャンプ場です。
宿泊料金は1人1泊400円とかなりお安め。基本的には予約不要ですが、感染症対策として40名程度で受付は停止するそうですので、早めの到着がおすすめです。
水場から水道に水が引いてあるのもうれしいですね。
トイレは、外にある公衆トイレを利用します。
売店で飲み物やおつまみの販売もありますし、午後4時ぐらいまでは福ちゃん荘で軽食を注文できるのもありがたいです。メニューも豊富で、予約すればほうとうや馬刺もいただけます。
キャンプ場からは大菩薩峠に続く稜線が眺められるぐらいで、それほど眺望がいいわけではありませんが、少し散歩すれば近くに富士山が眺められるスポットはあります。
大菩薩嶺は日帰りする人が多く、テント泊で登る人は少ないので、のんびりキャンプを楽しんでゆるく山を歩くにはもってこいの場所です。実は、私自身の「初めてのテント泊」もこの福ちゃん荘でした。
山梨県:富士見平小屋(瑞牆山・金峰山)
予約:予約不要 チェックイン/アウト:なし(必ず幕営前に受付すること)
料金:1000円 営業期間:通年 ホームページ:富士見平小屋
ゴツゴツとした山容が特徴的な、標高2230メートルの瑞牆山。
登山道も岩が多くなかなか骨が折れますが、山頂からの眺めはなかなかのもの。
隣り合う標高2599メートルの金峰山は、稜線歩きが楽しく、山頂にある「五丈岩」が印象的な山。
共に日本百名山に選ばれており、セットで登る方も多い山です。
瑞牆山荘バス停から50分、湧き水がおいしい!地ビールを飲みたいキャンプ場
ご紹介する「富士見平小屋」のテント場は、韮崎駅からバスが運行している「みずがき山荘」登山口から50分ほど登った場所にあります。
秋は紅葉が美しい登山道です。
富士見平小屋は、瑞牆山と金峰山の登山道が分岐するポイントでもあるため、ここにテントを張って1泊し、初日に瑞牆山を、翌日の早朝から金峰山を日帰りで登る方が大変多いです。疲れるし、キャンプ場でのんびりしたいので、私はキャンプしたときはどちらかしか登らないのですけれど……。
キャンプ場は、やや傾斜や小石などはあるものの、広く、予約も不要です。
また、富士見平小屋の水場は「富士見平湧水」という「平成の名水百選」にも選ばれた湧き水なんですが、冷たくて本当においしいです。
富士見平小屋では軽食の提供もあり、ここでしか飲めない地ビールの提供もありました。
ホームページに地ビールの掲載がないので、2021年も提供しているかは不明ですが……泊まって地ビール三昧したいキャンプ場です。
八ヶ岳のテント場
登山口に近いキャンプ場が意外にも多くない八ヶ岳。
ご紹介した2つのキャンプ場のほかに、白駒池のすぐ側にある「青苔荘」のキャンプ場にも、バス停から30分ほどで到着することができますが、私自身が宿泊を検討したことがなく、現地をしっかり見ていないため詳細は省略します。ご興味ある方は公式サイトからご確認ください。
長野県:高見石小屋(にゅう・天狗岳)
予約:予約おそらく不要(張れるスペースは少ない) チェックイン/アウト:なし
料金:600円 営業期間:通年 ホームページ:高見石小屋
高見石小屋に泊まる前後に登る山は、にゅうか、少し足を伸ばして天狗岳でしょうか。
ピークハントを目的とせず、近くの白駒池などをゆるく散策するのも良いと思います。
こちら↑は、高見石小屋にある「高見石」の上から見た白駒池です。
高見石小屋までは「麦草峠」バス停から1時間少々で着きますが、より運行期間の長い「渋の湯」バス停からも「賽の河原」と呼ばれる、大きな岩がゴロゴロした登山道を登って、2時間少々で着きます。
揚げパンがおいしい高見石小屋のテント場
高見石小屋のホームページを確認すると、テントについて予約が必要という記述はないのですが……ただし、テントを張れるスペースはかなり狭いです。
せいぜい5張ぐらいではないかと思います。ただ、どこかの山のピークを目指すのに有利なキャンプ地ではないため、混雑しているところは見たことがないのですが……。
ですが、高見石小屋のテント場には八ヶ岳の他のテント場にはない素敵なポイントがいくつもあります。まず、トイレが目の前にあること!
そして、すぐ側にある「高見石」に登れば、日の出や日の入を眺められること。
朝焼けに染まる冬の白駒池は本当に美しかったです。冬のテント泊はめちゃめちゃ寒いと思いますけど……。
あと、冬にテント泊をすると「飲料水は自分で持ってくるか雪を溶かしてね」という小屋が多いですが、高見石小屋はすごく優しくて、テント泊の人にも(たぶん有料で)お水を分けていました。(2019年頃の話なので、現在も同じサービスを提供しているかはわかりませんが……)
それと、軽食で提供している揚げパンが大変おいしい!白駒池までも徒歩20分ぐらいで着きます。
私自身は、冬に小屋泊でお邪魔することがこれまでは多かったのですが、いつかはテント泊でも訪れてみたいなと思っています。
長野県:みどり池キャンプ場(にゅう・天狗岳)
予約:前々日までに必要 チェックイン/アウト:なし
料金:1人1000円+テント1張500円 営業期間:通年 ホームページ:しらびそ小屋
もう1箇所、八ヶ岳からご紹介する「みどり池キャンプ場」は、トーストで有名な「しらびそ小屋」が管理する、みどり池キャンプ場です。
こちらも、ピークを目指すなら天狗岳、にゅうあたりでしょうか。
紅葉はもうすぐ終わりでしょうが、晩秋の八ヶ岳も静かでとても好きです。
しらびそ小屋が管理する地味ながら快適そうなキャンプ地
「稲子湯」あるいは「みどり池入口」バス停から約2時間。
樹林帯の中を登っていき、しらびそ小屋の手前に「みどり池キャンプ場」はあります。
あまり広くはありませんが整地は良さそう。こちらも、ピークを目指すにはやや遠いキャンプ場なので、休日に通りかかっても幕営しているのはいつも数張でした。ただ、キャンプブームもあり、2020年以降はテント泊をする方が増えたかもしれないので現在の混雑具合はありません。また、キャンプ場は予約必須で「当日・前日の予約は基本的には受け付けない」とホームページに記載がありましたので、遅くとも前々日までの予約が必要なようです。
テントの数を10張程度に制限しているとのことで、予約も必要、かつ幕営料もやや高めではありますが、みどり池はリスなどの小動物や小鳥がたくさんいる、山の雰囲気を存分に楽しめる場所です。
しらびそ小屋が喫茶営業をしていればおいしいコーヒーもいただけます。ゆったりとキャンプを楽しむにはとても良いキャンプ場です。
北アルプスのテント場
北アルプスでは、こちらで紹介した5箇所の他に「わさび平小屋」のキャンプ場も、新穂高温泉から1時間30分ほどで到着することができます。
双六岳方面に向かう際、休憩で必ず立ち寄る山小屋ですが、わさび平小屋に幕営した後、日帰りで登れるピークが思いつかない&北八ヶ岳のように散策目的で行く場所とも思えなかったので「これからテント泊登山を始める人におすすめ」とは言えないかなということで、今回のリストからは外しました。
笠ヶ岳や双六岳などに登る前後に1泊するにはちょうどいい場所だと思いますので、気になる方は調べていただけたらと思います。
富山県:雷鳥沢キャンプ場(立山)
予約:不要 チェックイン/アウト:なし
料金:1000円 営業期間:11月以降はトイレなど使用不可 ホームページ:とやま観光ナビ
室堂ターミナルから約1時間の場所にある「雷鳥沢キャンプ場」は、立山三山の縦走や、剱岳、大日岳に向かう際の前泊などで利用されることの多いキャンプ場です。
以前は1泊500円で、3泊以上すると追加料金なしという太っ腹な料金設定でしたが、料金は改定されていますのでご注意ください。
こちらは、浄土山の方向から一ノ越、雄山方面を眺めたところ。
テントを張って、軽い荷物で付近の山を歩くのが楽しいです。
山頂を目指さなくても、みくりが池をはじめとした美しいスポットが周囲に点在しており、散歩しているだけでも楽しい場所です。
室堂から1時間弱、温泉入浴も可能な絶景のキャンプ場
室堂から約1時間、キャンプ場のある雷鳥沢まではよく整備された道を歩きます。行きは下りのほうが多めなので、わりと楽に歩ける道ですが、風向きによっては地獄谷からの有毒ガスが吹き込んでくることもあります。マスクをして歩いたほうが安全ですね。
キャンプ場は広く、周囲には立山連峰と大日連峰が。
平らで石も少ないので、初心者でもテントは張りやすいと思います。ただし、登山口から近くても標高2300メートル近い高所ですので、夏場でも朝晩は冷え込みますし、10月中旬以降は雪が積もることもありますので防寒具をはじめとした十分な装備が必要です。テント泊初心者の方には、10月以降の幕営は避けたほうが良いかと思います。11月以降は積雪のため、トイレや水場も使えなくなります。
↑こちらの写真は9月下旬頃に撮影したものなので、紅葉はそろそろ終わりかもしれないですね……。
周囲には雷鳥荘や雷鳥沢ヒュッテ、みくりが池温泉など、日帰り入浴が可能な温泉付きの山小屋が何軒もあります。コロナ禍で入場制限をしている宿がほとんどですので、時間に余裕を持って計画されると良いかと思います。
軽食をいただける山小屋も多く、特に、みくりが池温泉の「喫茶みくり」のピザやあんバタートーストが私のお気に入りです。テント泊なのに外食ばかりしていることもあります……。
長野県:小梨平キャンプ場(焼岳)
予約:繁忙期のみ要予約 チェックイン/アウト:なし
料金:1200円 営業期間:4/20~11/3 ホームページ:森のリゾート小梨
上高地の中にテントを張って泊まれる小梨平キャンプ場。
ここにテントを張って山頂を目指すとしたら、焼岳でしょうか。
上高地側から登るルートにはハシゴがかかっていますが、これが10月下旬~11月初旬頃には撤去されてしまいます。その後は上高地側のルートからは登ることができませんので、注意が必要です。
上高地から往復すれば標準コースタイムは7時間程度とやや登りごたえがあります。
山頂周辺からは盛んに噴気が上がっている活火山ですので、ヘルメットがあればより安心でしょう。
山頂からの眺望は抜群で、晴れていれば穂高連峰や笠ヶ岳など北アルプスの名山を眺めることができます。
上高地バスターミナルから徒歩5分!快適だが熊には注意が必要
小梨平キャンプ場は、河童橋からビジターセンターの前を通り、明神方向に向かってすぐのところにあります。
設備も整っていて、食堂の営業もあり。
「小梨の湯」という日帰り入浴可能な大浴場もありますが、2021年は土日のみ営業とのことでした。
基本的には予約不要ですが、繁忙期のみ要予約とのこと。詳しくはこちらのページの「持参テント」の欄をご覧ください。
早朝、朝靄がかかった上高地は季節を問わず、息をのむほどの美しさです。
あえて登山せず、上高地でのんびり過ごすためにキャンプするのも良いと思います。
ただし、近年ツキノワグマの目撃情報が増えており、2020年には人身事故もありました。現在はキャンプ場でも対策を取っているとは思いますが、宿泊の際は食料の保管などキャンプ場の指示に従う必要があります。
長野県:徳澤キャンプ場(蝶ヶ岳)
予約:予約不要 チェックイン/アウト:なし
料金:1400円 営業期間:4/27~11/3 ホームページ:徳澤園
上高地バスターミナルから約2時間、平坦な道のりをひたすら歩いてたどり着く、徳澤にあるキャンプ場です。徳澤園が管理しています。
槍ヶ岳や穂高連峰に登る前後に利用されることも多いのですが、徳澤にテントを張って早朝から蝶ヶ岳を往復する、というプランがおすすめです。
徳澤から直接蝶ヶ岳に登る「長塀(ながかべ)尾根」と、徳澤から横尾を経由して登るルートがありますが、私は長塀尾根がちょっと苦手で、横尾経由のほうが好きです。
どちらのルートも、あまり眺望の良くない樹林帯歩きではあるのですが……。
しかし、稜線に出れば槍穂一望の絶景です!
槍ヶ岳がものすごく大きく見えます。
蝶ヶ岳の山頂直下の蝶ヶ岳ヒュッテでも幕営は可能ですが、テント場は強風の通り道ですし、長い道のりをテントを担いで歩くのもなかなかしんどいので、まずは徳澤にテントを張って登るのがおすすめです。
かつては牧場だった、芝生の美しい快適なキャンプ場
徳澤のテント場はかつては牧場だったそうで、広く、平らで天然の芝生の上にテントを張れる最高のロケーションです。
私も以前、北穂高岳を登った後、徳澤に1泊しました。
徳澤の名物と言えば、徳澤園の「みちくさ食堂」でいただけるソフトクリーム!
テント泊でなくても、徳澤に来たら必ず食べたい一品です。
夜、色とりどりのテントに明かりが灯るキャンプ場も、雰囲気があって良かったですね。
徳澤園では日帰り入浴はできないのですが、以前はお隣の徳澤ロッヂで入浴も可能でした。2020年より休止中です。
また、みちくさ食堂でおつまみとお酒を注文したり、朝食をいただくこともできたのですが、この辺りは2021年の最新状況は不明です。
夕食については「テイクアウト容器を使い、カレーライスやおでんなどを販売」と、徳澤園のホームページに記載がありました。
夕食・朝食については当面はあまりあてにせず、ご自身で用意したほうが良さそうです。
長野県:中房温泉(燕岳)
予約:予約おそらく不要 チェックイン/アウト:なし
料金:2000円 営業期間:4月下旬~11月下旬 ホームページ:中房温泉
燕岳の登山口、中房温泉にもテントを張ることができます。
中房温泉から燕岳に登るには「北アルプス三大急登」の一つに数えられる「合戦尾根」を往復することになりますが、途中に休憩用のベンチなども設置され、よく整備された歩きやすい道だと思います。
途中にある合戦小屋は夏にスイカをいただけることで有名ですが、秋に登ったときはお汁粉の提供もありました。
きつい登り坂をひたすら歩を進めていくと、途中の「合戦沢ノ頭」で、槍ヶ岳がどーん!と目の前に現れる瞬間がたまらないです。
「イルカ岩」などの奇岩で有名な燕岳も「北アルプスの女王」の名にふさわしい美しさです。山頂直下の山小屋「燕山荘」に宿泊すれば行程は楽ですが、標準コースタイムが8時間半ほどなので、早朝出発すれば日帰りもなんとか可能な山です。
バスを降りてすぐ!地熱で暖かく温泉にも入れるキャンプ場
こちら↓は、テント場を管理する中房温泉でいただいたマップですが、宿の手前に「キャンプ場」の文字があります。
いわゆるキャンプ場らしい施設は特にないのですが、水道と公衆トイレはある、という登山者向けのテント場です。1泊2000円(入浴料別)なのでまあまあお高いですけどね……。
バスを降りてすぐのところから撮った写真がこちら↑です。木の下にテントが張られているのが見えますね。
公式サイトを確認しましたが、特に要予約というような表記はありませんでした。中房温泉から燕岳に何度も登っていますが、テントはいつ行っても1張か2張で、混んでいるところは見たことがないので、おそらく必要ないのでしょう。
こちらのテント場の利点としては「地熱で地面がとてもあたたかい」ということです。
これからの季節、気温も下がりますし、稜線上の燕山荘のテント場では雪が積もることもあるでしょう。中房温泉のテント場であれば、とりあえず11月いっぱいぐらいは、雪上テント泊の装備がなくても泊まることができます。逆に夏はめちゃくちゃ暑いと思いますが。
また、中房温泉から15分ほど登った「焼山」という地熱地帯では「スコップで穴を掘って新聞紙にくるんだ食材を埋めておくと蒸し料理が完成する」という、地熱蒸しを楽しむこともできます。私も、自分で試したことはないのですが、中房温泉に宿泊すると宿で用意した地熱蒸し料理を楽しむことができるので、食べたことはあります。地熱で蒸したローストビーフが大変おいしかったです。
幕営するのであれば、自身で食材を用意して、地熱蒸し料理を楽しむのも良いのではないかと。
中房温泉には日帰り入浴施設の「湯原の湯」がありますので、こちらで日帰り入浴も可能です。
幕営料とは別料金になってしまいますが、これからの季節は特に、温泉で体を温めてからシュラフに入れるのは幸せですよね。
岐阜県:西穂山荘(西穂高岳)
予約:要予約 チェックイン/アウト:なし
料金:2000円 営業期間:通年 ホームページ:西穂山荘
通年営業の新穂高ロープウェイがあるおかげで、西穂高岳は穂高連峰の中でもアクセスの良い山です。テント場を管理している西穂山荘も通年営業しています。
無雪期であれば、西穂独標までは比較的気軽に日帰り登山が可能です。
独標を超えると、険しい岩場が続きますので時間に余裕を持って計画されるのが良いかと思います。
私自身、西穂高岳山頂には西穂山荘に1泊して登ったのですが、天気も良く、雷鳥も現れて最高のコンディション!でしたが、もともと岩場歩きが苦手ということもあり、標準コースタイムよりもかなり時間がかかってしまいました。
ロープウェイ利用で日帰りしようとしたら、慌てることになったんじゃないかと思いますので、山荘で一泊しておいて良かったです。
新穂高ロープウェイ山頂駅から1時間、山荘のラーメンがおいしい
西穂山荘は、新穂高ロープウェイ山頂駅から約1時間ほど登ったところにあります。
ロープウェイは、6kgを超える装備を担いでいる場合、片道300円の「荷物料金」が徴収されます。
日帰りや山小屋泊の装備だと、厳密には6kgを超えていたとしてもわざわざチェックされませんが、テント泊装備の場合はおそらく、逃れられないと思います。最初から払っておきましょう……。
西穂山荘までの1時間は樹林帯歩きですが、テント場は開けた場所にあり、眺望も良いです。
朝は雲海を眺められることも。
こちらの雲海の下には上高地が隠れています。
西穂山荘の食堂はラーメンが有名です。味噌味と醤油味がありますが、泊まれば両方食べることも難しくありません。
一つ注意点として、西穂山荘のテント場はヘリポートを兼ねているため、ヘリによる輸送がある日は「ヘリが来る時間の前にテントを撤収」するように受付時に伝えられます。その場合は、撤収したテントなどは指定された荷物置き場にデポしておくことになりますので、そのつもりでいたほうが良いかと思います。(荷物がバラバラにならないよう、登頂用にサブザックを用意してメインのザックをデポするとか)
西穂山荘と西穂高岳登山については下記の記事にもまとめています。
南アルプスのテント場
登山口から2時間以内で着ける南アルプスのテント場には、ご紹介した「長衛小屋」のほかに「青木鉱泉」「椹島ロッジ」などがありますが、2021年は青木鉱泉に向かう路線バス、並びに椹島ロッジの送迎バスが運行しなかったため、今回はご紹介しませんでした。
山梨県:長衛小屋(甲斐駒ヶ岳・仙丈ヶ岳)
予約:要予約 チェックイン/アウト:なし
料金:900円 営業期間:6月中旬~11/3 ホームページ:長衛小屋
南アルプスの名山「甲斐駒ヶ岳」と「仙丈ヶ岳」のちょうど間にある「北沢峠」は、林道にはマイカー規制がかかっているものの、長野側・山梨側双方からバスが出ているため、公共交通機関利用でも比較的アクセスの良い山でした。2019年の台風までは……。
2019年10月の台風で、山梨側の林道が大きな被害を受けて不通となっているため、現状は長野側からしかアクセスすることができません。
長野側の林道も、災害復旧のため一部不通状態が続いていましたが、2021年10月2日より直通運転が開始しました!現在は、長野側の「戸台口・仙流荘」からアクセス可能です。開通期間や、仙流荘までのアクセスについては伊那市のホームページが参考になります。
2021年(令和3年)南アルプス林道バス:伊那市公式ホームページ
北沢峠にはいくつかの山小屋が点在しますが、バス停から徒歩10分の長衛小屋の側に、約100張のテントを幕営可能なテント指定地があります。
私も以前、10月上旬に登りました。今が紅葉の盛りかもしれないですね。
甲斐駒ヶ岳・仙丈ヶ岳共に、北沢峠から6~7時間程度で登頂可能なため、北沢峠に1泊して、2つの山に登る方がとても多いです。なだらかな山容の仙丈ヶ岳と、ゴツゴツとした岩山の甲斐駒ヶ岳。キャラクターの違う2つの名山に登れるテント場ですから、紅葉シーズンの今、かなり混み合っているでしょうね……。
私自身も、かつてそのつもりで幕営したのですが、初日に仙丈ヶ岳を登った後、2日目の天気が崩れてしまい、甲斐駒ヶ岳は別の日に再度計画して登りました。
携帯の電波は入らないけど南アルプスの天然水がおいしい
バスを降りて10分しか歩かない場所なので意外に思われるかもしれませんが、北沢峠周辺は携帯の電波がまったく入りません。
「1人で、初めてのテント泊」のときには、スマホが繋がらないと心許ないこともあると思うので、避けたほうがいいかもしれませんね。
テント場は平らですが小さな石がやや多め。厚めのマットがあったほうが快適に過ごせるかと思います。
トイレや水場は山荘のものを利用しますが、水場の水は「さすが南アルプスの天然水」と頷ける、冷たくておいしい水でした。
広いテント場ですが、2021年は幕営には予約が必要です。予約方法については長衛小屋のホームページをご確認ください。
中央アルプスのテント場
中央アルプスと言えば木曽駒ヶ岳!と空木岳ですが、空木岳にはテント指定地はなく、木曽駒ヶ岳限定になります。
長野県:駒ヶ岳頂上山荘(木曽駒ヶ岳)
予約:予約不要 チェックイン/アウト:なし
料金:1200円 営業期間:7月上旬~10月初旬 ホームページ:駒ヶ岳頂上山荘
駒ヶ岳ロープウェイを利用して、まったく歩かなくても千畳敷の絶景を楽しめる木曽駒ヶ岳。
きっと10月上旬の今頃は、紅葉の盛りでものすごい混雑でしょうね……。
千畳敷から乗越浄土までの1時間ほどの登りはきついですが、山頂まで2時間ほどで到達でき、山頂からは360度の絶景が楽しめる人気の山です。
ただし、10月以降は雪が降る可能性もありますから、テント泊の際はもちろん、日帰り登山であっても十分な装備と天候のチェックが必要です。
千畳敷から1時間半、標高高く体力は必要だが絶景のキャンプ場
木曽駒ヶ岳の山頂直下、千畳敷から1時間半ほど歩いた場所に、テント指定地の駒ヶ岳頂上山荘はあります。
平らな場所もありますが、大きな石がゴロゴロしているのでいい場所に張れないと設営に苦労することもあります。ただし、かなり広いテント場なので、快適な場所でなくても「張る場所がない」という事態に陥ることはまずないでしょう。2021年も幕営の事前予約は不要です。
テントさえいい場所に張ってしまえば、山頂に行くのもすぐですし、テント場からご来光を眺めることができる最高のロケーションです。
ただし、標高3000メートル近い高所にあり、夏でも夜はかなり冷え込みます。紹介しておいてなんですが、これから(10月以降)の季節、テント泊の経験の浅い状態でこちらを利用するのは避けたほうがいいです!
私も何度も幕営していますが、高所のわりには「強風の通り道」というわけではないですし「高所でのテント泊の練習」にはもってこいの場所だとは思います。来年の7月中旬以降にぜひ……。
装備もしっかり揃っていて、雪上テント泊もなんのその!の猛者であれば、駒ヶ岳ロープウェイは通年運行していますし、これからの季節でも幕営可能ですが……10月中旬以降は駒ヶ岳頂上山荘が小屋閉めしてしまうため、受付は手前にある「宝剣山荘」で行うことになります。
九州のテント場
最後に九州のテント場を!
私自身は、九州でテントを張った経験は屋久島だけなんですが(飛行機移動の際のガスカートリッジの処分の問題などが面倒であまり意欲がわかない)1箇所だけ「ここならテント泊も楽しそうだなあ」と思って眺めていた場所があるので、ご紹介したいと思います。
大分県:坊がつるキャンプ場(九重山)
予約:予約不要 チェックイン/アウト:なし
料金:無料 営業期間:通年 ホームページ:環境省
大分県の九重山には、通年営業の温泉付き山小屋「法華院温泉山荘」に泊まり、人が少なくなった寒い季節に2度、登頂しています。
コロナ禍前は、九州の山の中では比較的アクセスの良い山だったのですが、2021年より、かつては湯布院から登山口の牧ノ戸峠まで通年運行していた九州横断バスが大幅に減便し、九重山登山には利用不可能なダイヤとなってしまったため、公共交通機関ではアクセスしづらくなってしまいました。
現在は、豊後中村駅から九重町コミュニティバスでアクセス可能ですが、12月1日から2月末日までは運休するため、冬の九重にバスで行くことはできなくなってしまいました。
今後、九州横断バスのダイヤが復活することを強く望みます……。
無料で泊まれる&法華院温泉山荘で日帰り入浴も可能なキャンプ場
バスでアクセス可能な「長者原」から2時間弱、北八ヶ岳を思わせるような苔むした樹林帯や、湿地帯の中の木道を歩いていくと、急に視界が開けて広々とした平原に出ます。
ラムサール条約の登録湿地でもある「くじゅう坊ガツル・タデ原湿原」です。
九重連山に囲まれたこの湿原の中にテント指定地があり、無料で幕営することができます。
無料ですので、トイレは水洗ではなかったりと設備の整ったキャンプ場ではありませんが、初夏にはミヤマキリシマをはじめとした高山植物が咲き、秋には紅葉が楽しめるすばらしいロケーションです。
また、徒歩10分ほどの場所に法華院温泉山荘があり、こちらで日帰り入浴(500円)も可能です。
実は、法華院温泉山荘の目の前にもテント指定地があり、こちらも1人500円で幕営可能です。
温泉も近く、トイレや水場なども山荘のものが利用可能なため、冬にテント泊する方は坊がつるではなく、山荘の前に張っている方が多いようでした。
山荘泊まりも混まない冬ならとても快適なのですが、秋など混雑する季節ならテント泊がいいだろうな、と思います。坊がつるの紅葉は10月中旬以降が盛りなので、これからの季節でも楽しめるでしょう。
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私がこれまで使ってきたテントについてはこちら↓
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