中崎山荘 奥飛騨の湯
井上靖の名作「氷壁」には「新穂高温泉の一軒宿」が登場しますが、実はその宿はこの、中崎山荘のことなんだとか。
現在は日帰り温泉施設として営業していますが、かつては旅館として営業されていたんだそうです。
旅館だった頃は川の向かい側にあったのが、砂防工事のために旅館は取り壊すことになり、今の場所で平成22年に、日帰り温泉施設としてオープンしたもよう。
まだできてから6年ということもあり、新しいですが、ちょっと旅館っぽい風格もある素敵な建物です。
笠ヶ岳登山の後に日帰り入浴と食事をしてきました。
新穂高温泉に下山したら毎回立ち寄る、バス停に近く使い勝手の良い日帰り温泉
2016年の10月中旬の秋晴れの日、山小屋に1泊して笠ヶ岳に登った後、新穂高温泉に下山しました。
登山記録はこちら。
笠新道は、噂に違わず急登でしたが、楽しい道でもありました。
新穂高温泉にたどり着く前に、わさび平小屋で道草を。
そして、日帰り入浴の営業時間がたった2時間のホテル穂高へ。
以前から行きたいと思っていたのですが、なかなか時間が合わずで……ようやく入れました!
ホテル穂高で、時間ギリギリの15時直前まで湯浴みを楽しんだ後は、まずは新穂高ロープウェイのバス停で、平湯温泉行きのバスの時刻表を確認。
16時55分のところに「高山行きの最終便です」と注意書きがありますが、実はこのバスが、平湯温泉バスターミナルで松本行きの最終バスに乗り継げるバスでもあります。
せっかく来たので、あと2時間ほど、楽しんで行きましょう!
ということで、ロープウェイ駅でUターンして先ほど立ち寄ったホテル穂高の前を通り、新穂高登山センターの手前まで坂道を下ります。
目的の建物が見えてきましたよ♪
湯けむりがものすごく上がっていて、温泉好きとしてはワクワクする光景ですね。
中崎山荘奥飛騨の湯に到着です。
これまで、新穂高温泉を下山口にしたことが3回あるんですが、実は3回ともこちらに立ち寄っています。
食事処・無料休憩所・ザック置き場を備えた、登山者ファーストな日帰り入浴施設
まずは玄関に鍵付きの靴ロッカーがありますので、靴を脱いでそこに入れます。
ゴツめの登山靴でもしっかり収まるサイズのロッカーなので安心です♪
玄関入ってすぐのところから撮影しました。
右手に登山用ザックを置いておくための棚、左手に受付があります。
写真には写っていませんが、ザック置き場の手前に券売機があり、そこで入浴券を買って受付に出します。
営業時間は朝9時から夕方6時までですが、7月中旬の海の日連休から8月いっぱいの間は、朝8時~夜8時まで営業するそうです。
料金は大人800円、子供400円。ひらゆの森の入浴料が500円なことを考えると、やや高めかもしれませんが……。
でも、ひらゆの森に負けず劣らずいいお湯ですし、なんと言っても休日の昼でもそんなに混んでない!
なのでもし平日だったらひらゆの森でもいいですけど、休日なら中崎山荘をおすすめします。
受付で入浴券を出すと、引き替えに脱衣所のロッカーキーが手渡されます。
こちらのロッカーキーは数に限りがあるので、入浴後に食事や休憩をする場合は、先に受付にキーを返してね、とのことでした。
館内の案内図はこんな感じ。
一番奥に女湯、少し手前に男湯、そして休憩室とお食事処があります。
では、いざ浴室へ!
【風呂】★★★★☆ 数年前よりやや個性が薄くなった気がするけど、飲泉もでき、十二分にいいお湯!
廊下をつきあたりまで歩いていくと、女湯ののれんがかかっています。
館内はどこも新しくてきれいですね~。
脱衣所。
広々としていて清潔です。
ロッカーはこの1箇所のみですし、場所は受付で指定されてしまうので、混み合うとちょっと着替えがしにくいこともあります。
ただ、基本的にそこまでは混まないので、たまたま脱衣所に人が集中してしまったときぐらいですかね……。
洗面所。
アメニティは化粧水と乳液。ドライヤーも来客数に対しては十分な数があるので、ドライヤー待ちの列ができたりなどはありません。
綿棒もありました。
ちゃんと木の箱に入っているのがいいですね。
では、いざ浴室へ!
中崎山荘には内湯と大浴場があり、飲泉所も浴室内にあります。
内湯はこんな感じです。
檜造りの浴槽の中には、うっすらと青白く濁ったお湯が満たされています。
入ってみると、ほんのりと硫黄の香る良いお湯です。
飲泉は、壁際に「熱い源泉」と「冷たい湧き水」が湧き出ているところがあり、コップが置いてあります。
水は冷たくおいしく、源泉は驚くほど熱いですw 汲んですぐには飲めないぐらい。
洗い場の数も十分にあり、日帰り温泉でよく見かける、豆乳配合のシャンプー・コンディショナー・ボディシャンプーが置いてあります。
内湯を十分楽しんでから、露天風呂へ。
露天風呂では、ちょっと不思議な光景が見れます。
一見すると、何のためにあるのかわからない、この大量の萱の束ですが……よく見ると萱を伝って温泉がぽたぽたと少量ずつ、浴槽に流れこんでいるのです。
こんな風に、萱の束の上に湯口があるんですね。
もし、萱をつたわずに湯口から直接浴槽にお湯が流れ込むと、冷めないのでめちゃくちゃ熱いと思うんですが、何本もの萱の束に沿って時間をかけてお湯が流れるため、その間にほど良く冷めて、浴槽は適温に保たれるということらしいです。
こんな仕組みのお風呂、初めて見たよ。。。
お湯は、内湯のように濁りはなく透明で、香りも薄いのですが、適温なので長湯しやすいです。
ただ、露天風呂ではありますけど、女湯の場合は特にこれといって眺望はありません。
奥飛騨温泉郷のホームページの写真だと、露天風呂から山並が見えるんですが、おそらくこれは男湯の写真なんじゃないかなあと思います。
浴槽も、女湯はもうちょっと狭くて、こぢんまりしてる感じがします。
とは言え、いいお湯なことは間違いないです。
お風呂あがりに、脱衣所で温泉利用証を見ると、ちょっと不思議なことが書いてありました。
これが露天風呂。単純硫黄泉。
これが内湯。アルカリ性単純温泉。
あれれ?なんかおかしいな。。。
入浴したときの感じだと、内湯のほうが確実に、青みがかっていて硫黄の香りもする硫黄泉だと思ったんですよ。
逆に、露天風呂のお湯は透明で香りも薄く、単純泉だと思っていたのに、どうして逆なの??間違えてるの……?
不思議に思いながらよくよく見てみると「温泉について お知らせ」という紙が隣に貼ってありました。
かつてこちらのお湯は、内湯はアルカリ単純泉、露天は硫黄泉だったのだけれど、平成26年5月の地震以降、単純泉にも硫黄の成分が混じるようになってきたため、現在は両方とも硫黄泉である、と。。。
うーん、うーん、でも、露天のほうが硫黄の香りは薄いように思うんだけどなあ。
露天風呂は加水しすぎて薄くなったのか?と思いきや、内湯は加水しているものの、露天は加水も無しとのこと。本当に??
なんだかいろいろ、自分の感覚に自信がなくなってきたのですがw
内湯のほうが濁っているので「硫黄泉っぽいな」と最初から思ってしまったのですけど、湧き出たばかりのときは硫黄泉も透明だから、露天のお湯のほうが新鮮ということなのかもしれませんね、もしかしたら。
実は、初めてこちらの温泉に訪れたのは平成25年の夏、件の地震が起こって泉質が変わるよりも前だったんですが、実はそのときのほうが、今よりお湯の個性が強かったような気もしたんですよね。
気のせいかもしれませんが、本当に、温泉は生き物なんだなあと、実感しました。
【食事】★★★★ ドリンクメニューがやや少ないのは残念だけど、飛騨牛は絶品!
温泉を思う存分堪能した後は、食事処へ向かいます。
中崎山荘に来たのは3回目ですが、先の2回はバスの時間を気にしながらの入浴のみの利用だったので、食事処の利用は今回が初めて。
昼食時を過ぎていたということもあり、先客は1名のみ。
カウンター席とテーブル席がありましたが、空いているのでテーブル席を広々使わせていただきます。
では、さっそくメニューを拝見します。
ここはやっぱり、ビールですかね!?
夏季限定の生ビールは、10月中旬の今日でも飲めるのでしょうか……?
ありました生ビール!うれしい!!
泡が細かくていいですね~。注ぎ方上手!
さて、食事のメニューは……。
山と言えばカレー!
ビーフカレーにキーマカレー。
おお!ほう葉ステーキ定食にほう葉みそ定食!
飛騨と言えば!ですね~。
しかし、「朴葉」の読みは「ほおば」だと思うの……。「ほうば」って入力すると、ATOKに「ほおばの誤り」って指摘されるのよ。。。
ラーメン4種に、スパゲティ3種。
以上!
さて、この中で私が注文したのは……
つまみのメニューの中にある、単品の、飛騨牛朴葉ステーキでした!
まあ、記事のタイトルにも書いてしまっているわけですが。。。
一応、昼食にそうめんも食べているので、もう炭水化物はいらない……つまみがあれば。
火を入れるときに、このぐらい時間が経ったら蓋をあけて肉をひっくり返してね、とコツを教えてもらいます。
時間がきて蓋を開けたところ。
バターとにんにくが載っています。そそられる。。。
真ん中の、火が通りやすいところからひっくり返していきます。
うわー、もう、今すぐ食べたいです!
食べました……おいしかった。。。
あまりにもおいしかったので、ビールがなくなる前に食べきってしまいました。
2100円は高いかなーと思いましたけど、いきなりステーキで2000円ぐらい出してステーキ食べるよりぜんぜん満足度高いです。(いや、いきなりステーキはいきなりステーキでおいしいと思うんですけどね。。。)
食べ終わってまったり。
木造りで、いい雰囲気ですよね~この食事処。
水出しアイスコーヒーも気になったんですけど、さっきコーヒーフロートも飲んじゃったからなあ。。。また次回だな。
お酒のメニューはやや少ないかな、と思ったんですが、朴葉ステーキが十分においしかったので満足です!
食事の後は、無料休憩所でバスの時間ぎりぎりまで、テレビを見ながらだらだら過ごします。
ほろ酔いで、至福の時間でした。
【再訪したい度】★★★★★ 新穂高温泉に下山したらやっぱり立ち寄りたい、定番の温泉施設
先に立ち寄った「ホテル穂高」も、思っていた以上に良かったのですが、あちらはやはり温泉ホテル、立ち寄りでは入浴できる時間も短いです。
でも、中崎山荘なら好きなだけのんびりして、のんだり食べたりごろごろしたりできますから、登山後の疲れを癒やすにはやはりここかなあと思います。
あ、でも、あまり混んでしまうと困るので、車で来られた方にはぜひ、平湯温泉方面に足を運んでいただきたいですw
ちなみに、中崎山荘にも、目の前に専用駐車場はあります。
それと、バスで来た場合、中崎山荘の最寄りのバス停は始発の次の停留所の「新穂高温泉」なんですが、始発の「新穂高ロープウェイ」まで歩いても5分ぐらいなので、そっちのほうが確実に座れますし、おすすめです。