増富の湯
増富の湯は、山梨県北杜市の増富温泉にある、唯一の日帰り温泉施設です。
増富温泉はラジウム含有量が非常に多いことで有名で、近隣の宿泊施設には、療養目的で湯治に来られている方も多くいると聞きます。
療養目的の宿が多いと聞くと「登山帰りに、宿のお風呂に立ち寄りで入浴させてもらうのはハードルが高いな」と思ってしまう私。連泊の方が多いので、日中も浴室が混んでいたりするんですよね。
しかし増富の湯では、効能の高い増富温泉のお湯を、日帰りで気軽に楽しむことができるのです。
瑞牆山や金峰山の登山口にほど近く、登山口の「瑞牆山荘」行きのバスも、この「増富の湯」を経由するため、登山者にも人気が高いこちらの日帰り温泉。私も登山帰りに何度も立ち寄っているお気に入りの施設です♪
2016年11月訪問時に書いたレポートですが、2017年11月に再訪した際に追記しました。
瑞牆山荘から韮崎駅に向かうバスは、一度のみ途中下車することができる(しかも途中下車したほうが10円安くなる)
私が増富の湯に立ち寄るのは常に「瑞牆山」か「金峰山」から下山した後です。今回も、金峰山登山の後に増富の湯に立ち寄りました。
というのも、山梨峡北交通で運行している、韮崎駅から登山口の瑞牆山荘行きのバスが「増富の湯」を経由してくれるからなんですが、このバス、ちょっと不思議というか……単純に考えればお得な料金プランがあるのです。
こちらは、瑞牆山荘発・増富の湯経由・韮崎駅行きのバスの時刻表です。
金峰山から下山した私と同行のL氏は、11時25分発の山梨峡北交通のバスに乗車しました。
山岳路線で狭い山道を走るため、ちょっと小型のバスです。
乗るとすぐに運転手さんに「どちらまで行かれますか?」と訊ねられます。
というのもこのバス、運賃先払いなんですね。
「増富の湯までです」と答えると
「その後韮崎駅まで行かれますよね?それでしたら、1回のみ途中下車可能な切符がありますので、そちらでいいですか?」
と言われます。
金額が気になるところですが実は「瑞牆山荘から韮崎駅までの運賃」が2060円なのに対し「1回のみ途中下車できる」切符は2050円と、途中下車したほうが10円安いんです。(調べたところ片道乗降オンリーワンスという制度があるらしい)
運賃の説明を聞くと、ほとんどの方は「じゃあそれでお願いします!」と言いますが、私はあえて「増富の湯までで大丈夫です」と断ってしまいます。
なぜか。
このバス、小型だから始発の瑞牆山荘から乗らないと、休日の午後の便はめっちゃ混むんですよ!
「値段は変わらないよ(むしろ10円安いよ)」と言われても、後からきたバスに増富の湯から再度乗車しようとしたとき、座れないんじゃ、ちょっとねえ……というわけです。
もちろん、後から来たバスのお客さんも少しは増富の湯で下りますから、入れ替わりで座れればラッキーですが、座れずに韮崎駅まで立って帰った人も見たことあります。乗車時間1時間以上あるので、ちょっとそれは嫌だなあと。
私は、瑞牆山荘から増富の湯まで「山梨峡北交通」で行き、増富の湯から韮崎駅までは「山梨交通」のバスで帰ります
では、山梨峡北交通のバスに乗らないとしたら、増富温泉から韮崎駅にどうやって帰るのか。
「増富の湯」から5分ほど歩いたところにある「増富温泉」の停留所から、山梨交通のバスで帰ります。
こちらのバスは増富温泉が始発ですし、ガラガラなのでぜんぜん快適なんですよ。。。
たぶん、山梨峡北交通は、これをやってほしくなくて途中下車できるお得な制度を作っているんだと思うんですけども……ごめんなさい。
でも、増富温泉から山梨交通で帰ったとしてもトータルの運賃はほとんど変わらないのに、快適度は段違いだから仕方ないですよ。。。
平日など、山梨峡北交通のバスが混んでないだろうと思われるときは、途中下車できる切符を活用させてもらってるのですが、土日は致し方ない。
平日でもダイヤはほぼ変わらず、最終バスが1本早くなるのみですので、平日登山の際はありがたく、山梨峡北交通のバスを利用させていただきたいと思います。
バスのダイヤはこちら↑
2017年にダイヤ変更があったそうですが、本数が減ったりはしなかったようで、ほっとしました。
増富の湯では、登山用のザックは外のザック置き場に置く
瑞牆山荘から約20分ほどの乗車の後、11時45分ごろに増富の湯に着きました。
もし、途中下車できる切符を買って、引き続き山梨峡北交通のバスを利用する場合は、次のバスは13時13分発になります。(2017年にダイヤ変更があり、13時台のバスは13時17分発になりました)
増富の湯の前は紅葉が見事で、まるで作り物のように真っ赤でした。
正面の、人が立っているところが玄関ですが、それよりも左側にも扉のようなものが見えます。
あそこが、登山用のザック置き場スペースです。
登山者が多く訪れる施設ならではの気遣いだと思いますが、大きなザックを更衣室に持ち込まなくてすむように、専用のザック置き場があるんです。ありがたいですね。
あらかじめわかっていたので、実はバスに乗る前にお風呂グッズや財布など、館内に持ち込むものをザックから取り出して、別のバッグに分けていました。
こんなときは、こういう折りたたみのバッグが非常に役に立ちますね。
(追記)ザック置き場=喫煙所なのはちょっと、かなり悲しい
2017年11月に増富の湯に再訪した際も、ザック置き場にザックを置こうとしたんですが……。
あれ?ザック置き場なの?喫煙所なの?どっちなの?
うーん、以前からこうでしたっけか。。。
ずっと以前は、普通に玄関前に灰皿があったような気もするのですけど、このご時世ですから「煙が流れてくるのが嫌だからちゃんと密閉されてる喫煙所を作ってくれ」という要望でもあったんですかね……それで、きちんと扉が閉まるザック置き場がイコール喫煙所に。。。
しかし、密閉されてる喫煙所の中にザックを置いておいたら、ザックがすごい煙草臭いことになりそうなんですが……スペースの関係上仕方ないことかもしれませんが、ちょっと悲しかったです。
増富の湯の館内
靴を脱いで靴ロッカーに入れて鍵をかけ(鍵は自分で管理します)受付で入浴料金を支払います。
大人820円ですが、山梨峡北交通バスの車中や、富士見平小屋や瑞牆山荘などの山小屋、増富観光協会加盟の宿などで50円割引券が貰えますので、バスで来たときは車内で割引券を貰っておきましょう!
バスに乗らない方は瑞牆山荘で貰っておけばOKです。
瑞牆山荘の外トイレの前に置いてありますので、勝手に持っていってOKです。
営業時間は、夏は10時から19時、冬は10時から18時です。
山沿いの施設だけあって、夜は早めですね。
館内の案内図はこんな感じ。
公式サイトより:http://masutominoyu.com/
男女の浴室の入れ替えなどはありません。あれ?「ごろ寝の部屋」なんてあるんですね!知らなかったです。。。
いつもならお風呂に入った後に1杯いただくのですが、今回はちょうど昼食の時間帯でお腹がすいていまして。
それと、同行のL氏はそんなに長湯しないので、一緒に食事をしたところで解散し、帰りは別々のバスで帰ろう、ということでコンセンサスが取れました。
というわけでまずは食事処へ向かいます!
【食事】★★★☆ メニューはそう多くないが、野草の天ぷらや花豆を使ったデザートなど土地のものをいただける
施設内には「花豆食堂」という食堂があり、蕎麦類を中心とした食事メニューや、岩魚の南蛮漬け、季節の天ぷらなどのおつまみ類、酒類、ソフトクリームなどのデザートを販売しています。
自動販売機コーナーから直進すると無料の休憩所へ、右に曲がると花豆食堂です。
休憩所は畳みで、座卓と座布団が置かれていますので、缶ビールやアイスを買って休憩所でだらだら過ごすのも楽しいです。
食堂の前に置いてあった、おすすめメニューの看板です。この看板はすべて、デザートメニューですね。
自家製の餅とあんこを使ったおしるこに甘酒、花豆を使ったデザートなど、かなり魅力的ですね。
花豆食堂は食券式で、最初に食券を買って厨房のスタッフに渡し、番号札を貰って好きな席で待つという仕組みです。
券売機はこちら。
こうやって、家に帰ってから改めてメニューを見てみると「そうか、麦とろ定食がおすすめなんだな」とか「さくらもつ煮定食も気になるな」とか冷静に思うんですが、私、ここに来るといつも、同じものを頼んでしまうんですよね。。。
あと、お酒ですね。今日は日本酒にしようと思っていたんですけど「生酒」と「日本酒」があるんですね。生酒って、300MLの瓶が出てくるのかなあ?それだと多いんだよな。。。
で、ちょっと考えて、レジにいたお兄さんに
「あのー、生酒って、瓶に入ってるやつですかね?量どのぐらいですか?」
と聞いたら
「グラスに1杯で、そんなに量は多くない」
とのお返事。じゃあ生酒でいいや。
あと、つまみにつけもの300円の食券も買い、スタッフの方に渡します。
で、席に着いて待つ。
休日のお昼時なもんで、けっこう混んでます。
まずは生酒と漬物が来ました!!
てちょっと!やっぱり300MLの瓶じゃないですか……さっき小さなグラスって言ってたのに。。。
そして漬物も、300円ならほんのちょっとかなーと思っていましたが、思っていた以上に量が多かったです。
お酒を持ってきたのは「小さなグラスに1杯です」と答えてくれたお兄さんだったんですが、持ってきたとき
「あ、甘酒じゃなくて生酒の量を聞かれてたんですね。失礼しました」
と言われました。グラスに1杯なのは甘酒のことだったんだそうです。聞き間違いか!
実は、同行のL氏はまったくお酒を飲まないんですよね。だからこれは私が1人でいただくしかないのです。
L氏に「漬物は私の奢りだから食いねえ」と勧めて、私も漬物をつまみに生酒を飲みます。七賢という、甲府の居酒屋でもよくいただく好きな銘柄のお酒だったのが幸いです。
まだ漬物も酒も半分もなくならないうちに、注文した食事が来ましたよ!
天ざるそば1000円です。
いつもこれ頼んじゃうんですよねー。
前回、5月に来た際はビールと一緒にいただきました。
コシアブラなどの「ザ・山菜」的なラインナップの天ぷらで、素敵でした。
こちらは、1月に来たとき。
冬はカボチャがついていたりするんですね~。季節感があります。
それと言うのも、券売機の側にあるレジが、こんな有様なんですよ。
本日の天ぷらは「ギシギシ、よもぎ、カボチャ、ジャガイモ、はこべ、他」
そして、このあたりで取れるいろんな野草の写真が並べてあります。これを見ると「やっぱり天ぷらかな?」と思ってしまうんですよね。。。(ちなみにL氏も天ぷらそば頼んでた)次回は違うもの食べようかな。
今回は、じゃがいもの天ぷらが意外においしかったです。考えてみると食感の近いカボチャやさつまいもの天ぷらがおいしいんだから、じゃがいもだっておいしいわけですよね。。。
お蕎麦も、しゃっきりとしていてなかなかおいしいお蕎麦ですよ!
そして今回、朝食も行動食も控えめに下山してしまった私たち。というのも、本当は途中にある富士見平小屋で、コーヒーと一緒に何か注文したいね、と話していたんですけど、食べ物は11時から営業ということで、食べれなかったんですよね。
なので、入店前からさんざんプッシュされ続けているデザートをいただくことにしました。
テーブルの上にもおすすめのデザートメニューが置いてあるんですよ。。。
こちらと……
うん、たしかに甘酒はグラス1杯だね!冷やしも燗もあって余計にまぎらわしいねw
花豆ソフト。
豆乳アイスと自家製あんこ&花豆。450円。
信玄ソフト。
きな粉と蜜とアイス。信玄餅を模しているんですね。400円。
せっかくなので2人で違うものを頼みましょう、ということで注文しました!
じゃーん!
けっこう大きいです!そう言えば、300円の漬物もかなり大盛りだったもんね。。。漬物より高いソフトクリーム、そりゃ多いよね。。。
私は主に花豆ソフトをいただいたんですが、花豆は自然な甘さでふっくらほくほく、豆乳のソフトと自家製のあんこも甘すぎず、さっぱりとした味わいで、量のわりに食べやすかったです。
信玄ソフトも少しいただいたのですが、こちらはさっぱりなソフトクリームに蜜がかかって濃厚な味わいになっており、おいしかったですよ♪
さて、私は時間を気にせず風呂を満喫したいので、L氏とは食事処を出たところでおわかれ。
またどこかの山でお会いしたいですな。
(追記)2017年11月に食堂でいただいたもの
2017年の11月に金峰山に登った際も、今度は一人で花豆食堂に立ち寄りました。
今回は、券売機の隣におすすめメニューのパネルができていました!
麦とろ定食おいしそうだな。。。
このときは、バスの時間まであまり余裕がなく、かつ食事をするには中途半端な時間。でも、何か一杯飲みたい!という気分で。
で、まずは日本酒を1合。350円なり。
食券をレジで渡したら「お燗しますか?」と聞かれたので、熱燗でお願いしました。
増富の湯は基本ぬる湯なので、あまり「風呂上がりのビール」が欲しくならないんですよね。
で、ややあって運ばれてきたのがこちら。季節の天ぷら500円!
揚げたて熱々を塩でいただきます!
本日のラインナップは「にんじん」「よもぎ」「かぼちゃ」「しいたけ」「紫いも」「玉ねぎ」「青じそ」でした。すごいいろいろ入っていてうれしい!
紫芋は細切りにしてかき揚げのような状態で揚がっていたり、逆に玉ねぎは楊枝を刺してばらばらにならないようにしてあったり、揚げ方にも一工夫あってよかったです。
塩も甘みがあっておいしい塩でした。
熱燗でいただく熱々の天ぷら。。。
ごちそうさまでした!
【風呂】★★★★★ いかにも濃厚で効きそうなラジウム温泉。源泉は30度以下と冷たいが、段階に分けて加温した浴槽が並ぶ
女性の脱衣所の中には、竹が敷き詰められた休憩スペースがありました。
無料休憩所は男女で分かれていないので、男性がいるとリラックスできない方はこちらでごろごろするのも良いですね。枕やブランケットなどは特にないのが残念ですが。。。
脱衣所には無料で使える鍵付きロッカーと貴重品ロッカーがあり、ドライヤーも何台か設置されています。
ちゃんと使えるドライヤーでしたよ。
洗面所にはなぜかクレンジング系のアメニティだけは置いてありました。
化粧水などは自分で持っていく必要があります。
こちらの温泉には何度も来ているのですが、夏や秋の週末の午後などは、登山者がグループでおとずれたりもしますが、脱衣所、浴室共に広々としていて、混雑していてつらいということはなかったです。
浴室へ。
増富温泉はもともと冷鉱泉だそうで、浴室には源泉そのままの「25度」加温された「30度」「35度」「37度」の浴槽があります。
このうち25度の浴槽だけは、冷たくて長く入っていられなかったので、最近はスルーしてしまっています。25度に入っている人は、あまりいないですね。。。
でも、25度の浴槽は加温もされていない、湧き出たままの源泉ですので、冷たさに我慢できれば、効能は一番高いのかもしれません。あまりリラックスはできないですが。
公式サイトより:http://masutominoyu.com/
上の写真で写っている、右手前の広めの浴槽が35度の浴槽で、左手前の屋根がついている浴槽は、源泉では最も温かい37度の浴槽です。37度の浴槽の奥に30度の浴槽があり、25度の浴槽は奥のガラスの向こうにあります。
37度の浴槽と30度の浴槽は、円形の深めの浴槽で、みんな壁に背をむけてじっと座っているような感じなのですが、35度の浴槽は広くて浅め、壁沿いは寝湯になっています。
なので私は、基本35度の浴槽でだらだらしつつ、たまに37度と30度に入って温まったりシャキッとしたりして、時間が許すかぎり長風呂しています。
泉質は、茶色っぽい色のついた濁り湯で、含二酸化炭素-ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉とのこと。
公式サイトより:http://masutominoyu.com/
30度の浴槽などは完全に体温より低いので、最初入ったときはひやっとするのですが、つかっているうちにほんのり温かいような気がしてくるから不思議です。
また、温泉浴槽は37度が一番湯温が高いのですが、さら湯では42度ぐらいのお湯もありますので「37度の源泉でも温まらないよ?」という方は、最後に42度ぐらいのさら湯に入ってからあがったほうがいいのかもしれませんね。
【再訪したい度】★★★★☆ お湯は日帰り温泉施設としてはかなり高いレベルだと思う。
周辺の温泉宿では同じような源泉をもっと小さな浴槽で、濃い感じで提供しているのかもしれませんが、気軽に入れる日帰り温泉施設としては、このぐらいが適当というかちょうどいいというか、とにかく、日帰り施設としては最高レベルのお湯だと思います。
お風呂上がりに休憩できる畳敷きの部屋などもあり、施設も充実していますが、温泉の温度が低いので「長湯できていいじゃん!」と思えない方や、真冬にはちょっとおすすめしにくいかもしれないですね。
帰りは山梨交通のバスで韮崎駅へ
増富の湯の庭の、すばらしい紅葉を眺めつつ、徒歩5分ほどのところにあるバス停に向かいます。
駐車場の側を歩いていきます。
道沿いも紅葉が見事でした。
自炊の宿「はくすい」の建物が見えたらもうまもなく!
そこから数軒先にあるお土産屋さん兼食堂の「かもしか」というお店の前に、山梨交通のバスが泊まっていました。
ちなみに山梨交通のバスの切符は、もちろん車内精算もできますが、かもしかで購入することもできます。
こちらのバスは増富温泉が始発な上に、山道を走らないので、ちょっと大きいバスなんですよね。。。
今回も、増富温泉から乗った乗客は私ともう1人だけ。2人がけのシートを、1人でゆうゆう使って帰ってきましたよ。
韮崎駅に到着です!
ホームからあの仏像が見えると「ああ韮崎に来たなあ」って思いますw
今回も、いい山旅でした。
ちなみに、長湯しすぎてもう夕食の時間が近かったので、この後甲府で途中下車して、一杯飲んで帰りましたとさ♪