三斗小屋温泉 大黒屋
三斗小屋温泉は、那須岳の中腹にある温泉で、登山口から最低でも徒歩2時間歩かないとたどり着くことができません。
温泉に行くだけなら危険というほどの危険箇所はありませんが、途中、峰の茶屋という強風で有名な峠を通っていかなければならないのと、気候の急変が多い山域のため、行く際はきちんとした登山装備が必要です。
登山を始めた年からこちらに泊まってみたかったのですが、冬の間は休業してしまうため泊まれる期間が短いこともあり、なかなか予約がとれず……予約を入れた日に天気が悪く……ということが重なり、行きたい!と計画を始めてから5年目にして、ようやく宿泊することができました。
宿泊した日は営業開始から間もない4月の中旬でしたが、この時期は宿の周りにはまだ、雪がたくさん残っていました。
三斗小屋温泉大黒屋の営業期間は?煙草屋とどこがちがうの?
大黒屋さんの営業期間はだいたい4月の中旬ごろから、11月下旬ごろまでのことが多いようです。
2016年は、雪が少なかったので4月9日より営業開始したとのことでした。
最新情報はこちらのページに掲載されています。
ただし、常に最新情報が載っているわけではないので、具体的に泊まる予定がある場合は直接電話で問いあわせたほうが確実です。
営業開始時期も営業終了時期も、天候によって変動することもあり得ると思います。
こちらの番号です。
大黒屋現地直通電話:090-1045-4933
(7:00AM~20:00PM 20時以降の夜間電源OFFとのこと)
お隣にある煙草屋さんとの違いは
■大黒屋
・露天風呂はない
・食事は部屋に運んでくれる
・朝食を弁当に変えることはできない。(昼食弁当の用意は可能)
・混雑期以外は浴衣を用意してもらえる(混雑期は連泊の方のみ)
・どちらかと言えば旅館っぽい雰囲気
■煙草屋
・露天風呂がある(混浴。女性専用時間あり)
・食事は会場食
・予約時に申請しておけば朝食を弁当にできる(昼食の弁当の用意も可能・予約制)
・完全予約制だがテントも設営できる(3張のみ)
・どちらかと言えば山小屋っぽい雰囲気
という違いがあります。
ちなみに煙草屋さんは、公式サイトで予約状況を掲載してくれてます。
ただし、予約フォームなどはなく、やはり電話予約です。
煙草屋現地直通電話:090-8959-2048
(7:00AM~20:00PM)
今回、大黒屋さんを選んだのは、この本で食事が紹介されていて、おいしそうだったからでした。
ちなみにこの本、さまざまな山小屋の食事や軽食について書かれており、なかなか楽しいです。山小屋巡りをしてみたくなります。
あと、知人が煙草屋さんに泊まったことがあったので、自分は大黒屋に行ってみようかな~と。
露天風呂があるので煙草屋さんのほうが人気のようなんですが、それならきっと大黒屋さんのほうがのんびりできるよね、というような思いもありました。
ちなみに、山の宿ですので、当日天気が悪くてキャンセルするぶんには、キャンセル料はかからないと思うんですが、「当日キャンセルは3000円のキャンセル料」と書いてあるのも見たことがあります。
このあたりはケースバイケースなのかもしれません。私自身は「ちょっと天気微妙だなあと思いながら登山口まで行ってみたけど、風が強すぎて無理!」と思い、当日の午前中にキャンセルの電話をしたことがありますが、特にキャンセル料についてのお話しはありませんでした。
ただ、このときはシーズン終盤の11月中旬で、雪も既に降っているという季節的に登山の難易度が上がってしまう時期で、ロープウェイも当然、強風のため運休しており、それでも峰の茶屋まで直接登ればいいじゃんと思って歩き始めたら、ロープウェイ管理施設のおじさんに止められる……というような気象状況だったため、通常の時期はどうなのかはわかりません。。。
当日キャンセル全然OK!にしてしまうと、非常識なキャンセルをする人が出てくるなどの理由で、一応書いているのかもしれないですね。
キャンセルの連絡は、基本的には前日の20時までに電話するように、とのことでした。
三斗小屋温泉にたどり着くまでの道のりは険しい?
三斗小屋温泉に行くまでの道のりはいくつかあるのですが、最短は、那須ロープウェイ口から登る方法です。
那須ロープウェイを利用して、山頂駅から茶臼岳を経由しても、ロープウェイを使わず、直接峰の茶屋まで歩いても、かかる時間はほとんど変わりません。
なので、天気予報を見て、どちらかより天気のよさそうな日に山頂を経由するといいのではないかと思います。
登山口付近からロープウェイ山頂駅を撮影。
あの高さまで運んで行ってもらえるのは魅力的ですよねw
ちなみにお役立ち情報として……ロープウェイ山麓駅には「コインロッカー」があります。たしか料金は200円か300円だったと思うのですが、登山の際になるべく荷物を軽くしたい方は利用可能です。
ちなみに、強風地帯なので、ロープウェイは風が強い日はわりとかんたんに止まってしまいますw
ロープウェイの運行情報は、Twitterアカウントで確認可能です。
私は、行きは峰の茶屋に直接登り、帰りにロープウェイを利用しました。
さて、駐車場からこれから登る山を眺めます。
けっこう雪残ってますねー。
帰りのバスの時間をチェックして……
このときも、当然のごとくバスで登山口まで来ています!
那須岳は人気の山なので、1時間に1本はバスが来ていてありがたいですね~。
歩き始めてすぐ雪です。(ちなみに4月25日)
雪いっぱいですね~。
けっこう斜度もあるので、下りでアイゼンのない方はかなり苦労してました。。。
私は雪があるとすぐに、チェーンスパイクつけてしまいますw
天気が良くて足跡がしっかり見えるので楽しく歩けていますが、天気が悪かったら心細いだろうなあ。。。
だんだん高度が上がってくると、雪があまりついていない茶色い山が見えてくるように。
そして、あるタイミングから雪はほとんどなくなります。
樹木や山の影がなくなり、日向になるから高度が高いところのほうが早く、雪がとけてしまうんですね。
峰の茶屋が見えてきました!
ここまで、登山口から1時間ぐらいです。わりと近いですよね。
この写真は、峰の茶屋までたどり着いてから、歩いてきた道のりを振り返って撮影したものです。もうほとんど道に雪はないですね。
峰の茶屋までの道は比較的なだらかで、危険箇所もありませんが、5月ぐらいまでは雪があることが多いので、少なくとも軽アイゼンは用意したほうがいいと思います。
私も使っているのですが、こちらのチェーンスパイクは、底の柔らかいトレッキングシューズでも取り付けられるので便利です。
峰の茶屋までの道のり、この日は本当に天気がよくて下界はまったく風もなかったんですが、峰の茶屋付近はそれでもけっこう風がありました。
下界で風が強い日は、このへんは、立っていられないほどの強風になります。。。
私より体重のある男性の山友達も、以前峰の小屋に来たとき「風が強すぎて危険を感じた」と言っていたので、たぶん行程で一番の危険箇所はここなんでしょうね。
ちなみに、峰の小屋は、中で休憩することはできますが、トイレや水場はありません。
このあたりは朝日岳や茶臼岳の展望もすばらしいです!
峰の小屋を過ぎると、下りが始まります。
那須岳避難小屋。こちらもトイレはありません。
このあたりに来るとまた、雪がけっこう残っています。
でも、チェーンスパイクがあれば大丈夫でした。
道標。雪はありますが歩きやすい道でした。
樹林帯を歩いていくと、延命水という水場があります。
水場から30分ほどで、三斗小屋温泉に到着です!
三斗小屋温泉が見えてきたところです。うれしい♪
峰の茶屋から1時間、登山口から2時間というところ。
天気がよければとても気持ちのいいハイキングコースです。
営業開始から間もない4月のGW前は、確実に雪が残っているので登山者は多くないのですが、天気がよい日なら軽アイゼンを用意すればそんなに大変な道のりではないので、時期的にはおすすめかもしれません。
手前にある煙草屋さん。
奥にあるのが大黒屋さんです。いざ!
【風呂】★★★★ 内湯のみだが素晴らしいお湯♪ 1時間交代制がやや慌ただしいか
館内には内湯が2つあり、1時間ごとに男女交代となります。
窓に囲まれたヒノキの浴槽のある大浴場と、岩風呂の小浴場です。
ヒノキ風呂。
光がたくさん入る、明るい浴室です。窓も少し開いていて、外の空気を感じながら入浴できました。
脱衣所も棚と体重計のみでシンプル。
アメニティはもちろん、ドライヤーもありません。
石けんやシャンプーは使用不可です。
岩風呂。
ヒノキの大浴場のほうはお湯が熱めで、浴槽は深め。
岩風呂の小浴場のほうは雪解け水が流れ込んでくるとかで、お湯はぬるめで、浴槽は小さく浅めです。
宿の方に「この季節は小浴場はぬるくて入ってられないからおすすめできない」と言われたのですが、ぬる湯好きなので、小浴場ものんびりつかれてよかったです。(ずっと入っていたので宿の人に心配されたがw)湯温は37~38度というところかなと。
大浴場は、熱めかつ浴槽が深いので長くはつかっていられない感じでしたが、景色も楽しめ、十分あたたまれて良かったです。こちらは湯温42度ぐらいだと思います。
泉質はどちらもすばらしかった!
アルカリ単純泉ですが、温泉らしいにおいもあり、湯も新鮮な感じがしました。
ただ、1時間毎に男女のお風呂が交代になるのはやはり、慌ただしいですねー。
せめて2時間おきならと思ったんですが、消灯時間も21時と早いので、多くの人が両方の風呂を楽しめるようにするためには、やはり1時間おきが良いのかなあ。
【食事】★★★ なんと朝夕とも部屋食!旅館の食事と思うと量的に寂しいが、山小屋と思えば味・量共に十分。
山の宿と思えば十分ですが、旅館と思うと量や品数という面では寂しいかも。
でも、朝夕共に部屋食で、部屋までお膳を運んでくれるんですよね。
夕食。
朝食。
一人泊だったので、一人で部屋でのんびり食べられるのはとてもうれしい事。
味も良いと思いました。ご飯もちょうど良く炊けていましたし。
大食らいな人は、自分で何かおかずを持っていたほうがいいかも。缶詰とか。
【部屋】★★★★ 個室でのんびり。シーツは洗いたてで気持ちよく休めた
登山口から徒歩2時間の宿、と考えると、部屋はかなり満足度が高いです。
1人でも個室だし、こたつあるし、お茶セットとお湯の入ったポットも置いてあるし、シーツや枕カバーは洗い立てでぱりっとしてたし、なんと浴衣も置いてあったし!(寒いから着なかったけど。。。)
山小屋だと、シーツとか枕カバーとか毎回洗うもんじゃないですしね。
煙草屋さんに泊まった友人の話だと、あちらは布団にシーツがかかってなかったというし。(山小屋だとたまにある)
ただ、泊まったのが宿が冬季休業あけて2度目の週末でお客さんも少なかったので、たまたま洗い立てだったという可能性もあります。毎回洗っているのかは不明。
部屋にコンセントはないので携帯の充電などはできません。まあ、携帯の電波もないのですが、必要な方はモバイルバッテリーを持参されたほうが良いと思います。
【再訪したい度】★★★★★ GW前の天気の良い日がベスト!同じ時期に再訪したい
歩いてしかいけない温泉宿の中では、場所的にも行きやすいし、お湯部屋食事共によかった!
けど、一番よかったのは、すごく空いていたことw
11月下旬から4月中旬までの冬期休業をあけたばかりで、宿の周りにも雪が多く残っている状態だったので、雪山用の装備がないと、ちょっと敷居が高い時期なんですよね。
このときは結局、行きも帰りも天気が最高に良かったので、チェーンスパイクを履いたのみでしたが、実際この時期は、ひとたび天気が悪くなると冬山に逆戻りする可能性があるので、私も「GW前がいいよ!」とは、うかつには薦められません。。。
でも、ある程度(雪があるときの丹沢とか)の雪山経験のある方だったらぜんぜん問題ないと思うので、GW前の三斗小屋温泉、おすすめです。
このときは、女性客は私1人だったので、お風呂はいつも貸切で使えました。
男性のお客さんは、10人ぐらいの団体さんと、1人客の2組。
煙草屋さんの前を通ったら、あちらのほうはけっこう人がいて、そこそこ混んでいたみたいです。
露天があるのと、宿泊料が少しお安いから?登山客には煙草屋さんのほうが人気みたい。
でも、露天風呂は混浴で、女性は実質「女性専用時間」しか入れないから、私はあまり魅力を感じなかったんですよね。
紅葉の時期なんかは大黒屋さんもかなり混みあうようなので、また行くとしたらこの時期がいいなー。
ちなみに、この日は帰りの天気も素晴らしく、予定どおり茶臼岳に登ってロープウェイで下山しました。
何度も来ている山ですが、雪が残る季節は初めてだったので、うれしかったです。
2015年4月25日泊