立山黒部アルペンルートの運行は4月10日から11月30日まで
紅葉の時期は登山客で賑わった立山の室堂も、10月下旬には厚い雪にすっぽりと包まれたようです。
本日快晴。気温は6.5℃ですが、日の当たるところは作業していると暑く感じます。しかしだいぶ積もりましたね。稜線上(特に別山付近)も思いのほか雪が多く見えます。 pic.twitter.com/X1Aa7FSTn2
— murodou_sansou (@MurodouSansou) 2017年10月26日
登山はこれからの季節は難易度が上がりますので、11月末までの1ヶ月間はスキーやスノーボードを楽しむ方で賑わうのではないでしょうか。
とは言えまだ、温泉付きの山小屋も営業していますし、新雪で覆われた室堂周辺をスノートレッキングするだけでも十分楽しいと思います。
ただし、11月は室堂周辺でもかなり積雪が多いことがありますので、きちんとした装備が必要ではありますが。
2013年の11月に新雪の室堂を歩いた際と、今年の6月に残雪の雄山登山について、どのような装備が必要だったかなどを交えつつレポートしてみたいと思います。
2013年11月、新雪の室堂を歩いた
初めて雪の積もる立山の室堂に来たのは2013年の11月16日のこと。山仲間のL氏と一緒でした。
そのときも、富山方向から立山黒部アルペンルートで入山したのですが、アルペンルートの起点である立山駅は、まだ紅葉が残っている状態、秋でした。
立山駅から美女平まではケーブルカーで。
そこからバスに50分ほど乗って室堂に到着すると、そこはもう、真っ白。
謎のアイドルグループみたいなのが雪の中イベントをやっていて「立山」と刻まれた石碑の前で記念写真が撮れずw
で、実を言うとこのとき私たち、本当は新雪の雄山に登るつもりだったんですよ。いい天気でしたしね。。。
ところが、11月の室堂は思っていた以上に雪深く、つぼ足では一歩進むごとに深く沈んでしまうようなコンディション。
実はヤマレコで「室堂ターミナル直結のホテル立山でスノーシューレンタルできる」という情報を入手していたので「もし、雪があまりにも多かったらスノーシューを借りればいいや」と思っていたんです。しかし、ホテル立山にスノーシューを借りに行ってみれば「レンタルは宿泊者のみです」とお断りされてしまい……途方にくれました。
完全に計画が甘かったですね。借りるつもりがあるならレンタル可能かどうかを出発前に電話して、確認しておくべきだったと思います。
で、どうしたかと言うと、その場でみくりが池温泉に電話をしてスノーシューを借りれるかどうか聞いてみたところ「基本的には宿泊者用なんですが、余っているのでお貸しできますよ」とのこと。ありがたや。。。
というわけで、室堂ターミナルから無雪期コースタイムで10分のところにある「みくりが池温泉」まで、つぼ足でスノーシューを借りにいきました。
向こうに見える建物がみくりが池温泉です。ほんのちょっとの距離なんですよ!
でも、つぼ足だと45分かかりました。この時点でもう、雄山に登るには時間切れでしたね。
私は「今日は室堂周辺をスノーシューでぶらぶらすればいいや」という気持ちになっていたのですが、L氏は「せっかく来たんだから一ノ越までは登りたい!」とのことだったので、ここでいったんL氏とはお別れ。
私はお昼どきまで室堂周辺をぶらぶらし。
立山って、海が見えるところがなんとも素敵ですよね~。
そして、みくりが池温泉のレストランでランチをいただき、ついでに日帰り入浴もしまして、宿にチェックインできる時間が来たのでこの日の宿泊先「雷鳥荘」に向かいました。
雷鳥荘で無事に、一ノ越から帰還したL氏とも合流。スノーシューを履いていても、無雪期の1.5倍以上の時間がかかったそうです。新雪なのでアイゼンを使うような場面もなく、一ノ越まではずっとスノーシューで歩いたそうです。本当に、みくりが池温泉でスノーシュー借りれてよかったよね。。。
翌日もよく晴れました!
室堂~雷鳥沢からだとちょうど東側に立山があるので、ご来光を眺めることはできません。(日の入りは見えます)
ですが、朝焼けに染まる山々を眺めることができました。
あの山の向こうに、日が昇っているんですね。。。
雷鳥荘のすぐ下には雷鳥沢のキャンプ場があります。夏場はたくさんのテントで賑わいますが、この日のテントは10張ほど。
「この雪の量だと、夜の間に雪が降ったらテントが潰れたりしそうで怖いね」なんて話していました。
うーん、眺めは最高にいいテント場だけど、こう見るとやはり寒そうだ。。。
軟弱と言われても、暖かい小屋に泊まるのが私には合ってますw
宿に泊まっていた人は、スキーやスノボーをされる方が8割以上でしたね。
山肌にはきれいなシュプールがたくさん残っていました。
天気がいいのでごきげんで写真を撮りまくるL氏。
しかし、雪の雄山には登ってみたかったねえ。。。でも、スノーシューを履いていてもそんなに時間がかかるのなら、新雪の時期は難しいのかな。
このときは雷鳥荘に宿泊したのですが、今回スノーシューを貸してくれたみくりが池温泉にもいずれ泊まってみたいなあ……これまで何度も、昼食や軽食休憩で利用していて、食事のおいしさもお墨付きですし。
みくりが池温泉の目の前にあるみくりが池。青い空に照り映えて最高に美しかったです。
帰りも富山側から新幹線で帰ります。
麓はやはり、紅葉の盛りでしたね。
この年は11月の積雪が多い年だったようで、私たちが立山を訪れた次の週末には真砂岳で表層雪崩が起こって7名もの方が亡くなったんです。
2400メートル地点まで簡単に行けてしまう立山ですが、当然のことながら登山をする場合は簡単に考えてはいけないですね。一ノ越までスノーシューで行くぐらいが私にはちょうどいいかな。。。
2017年の6月、残雪の雄山に登った
新雪の時期は雄山の山頂まで行くのは大変かもね……でも、いつか雪の雄山に登ってみたい!そうだ、残雪期に行こう。
というわけで、今年の6月に再びL氏と共に行ってきましたよ。そして今回は、念願のみくりが池温泉泊です。
残雪期の室堂まで公共交通機関利用でのアクセス
夏山シーズン中であれば「室堂直通の毎日アルペン号」「富山駅から室堂への直通バス」「扇沢まで毎日アルペン号で長野側からアルペンルートでアクセス」などの方法がありますが、残雪期はシーズン前のため、公共交通機関利用で午前中のうちに室堂に着く方法がかなり限られてしまうんですよね。
私は「夜行バスで早朝富山駅に到着し、立山黒部アルペンルートで室堂へ」向かうのが、東京方面からの最も効率の良いアクセス方法ではないかと思っています。
幸い、東京出発で富山駅前に早朝着の夜行バスは、そこそこ本数があります。
今回は、富山駅を経由して金沢方面に向かう「グランドリーム号」を利用して富山駅に着きました。
電鉄富山駅へ。ここからまず電車で立山駅まで向かいます。
所要時間は1時間ほど。運賃は1200円です。
6時10分の立山行きに乗ります。社内は、登山客がパラパラと乗っているだけでかなり空いていました。
夜行バスの休憩時にサービスエリアで購入した「富山塩ワッフル」を車内でいただきます。
生地はふわふわ。中のクリームはほんのり塩味。
おいしかったです!
さて、7時23分に電車は立山駅に着き、次は7時40分発の立山ケーブルカーで美女平へ。
チケット売り場で室堂までのチケットを買います。ケーブルカーを下りた後は室堂行きのバスに乗りますが、ここでまとめて購入できます。
ケーブルカーに乗車。ちなみに、テント泊用の大きなザックを持っていた場合は、別途荷物料金を支払って荷台に置いてもらいます。
立山駅を7時40分に出発したケーブルカーは、7分の乗車の後に美女平駅へ。
美女平からは高原バスで室堂へ向かいます。
ここでは、30分ほどの待ち時間があり、8時20分に美女平を出発しました。繁忙期はバスは随時増便されていましたが、この日は時刻表どおりの運行でした。
約50分バスに乗り、9時10分に室堂へ到着!
富山駅を出てからちょうど3時間の道のりでした。個人的には長野側の扇沢からアクセスするよりも、富山側のほうがかなり楽なように思います。黒部ダムの中を歩いたりとか、重いザックを背負っているときなどちょっとしんどいんですよね。
室堂ターミナルの中には売店や軽食を取れるお店やコインロッカーがありますので、ホットコーヒーを注文して持ってきたパンで朝食をいただき、登山に不要な荷物はコインロッカーに入れました。
また、更衣室(試着室みたいな感じのものですが)もあるので、そこで着替えもできて便利です。
室堂から一ノ越へ
室堂ターミナルからまずは、室堂山荘方向へ歩き始めます。
6月中旬なので当然ですが、このあたりはかなり雪は少ないです。チェーンスパイクと前爪ありのアイゼンを両方持ってきていましたが、とりあえず最初は何も付けずにスタート。
トレースもしっかりあるし、歩きやすいなあ。
などと思っていたら、途中で一度、一ノ越に向かうルートではなく、ブルドーザーの跡を歩いてしまっていました。油断は禁物ですね。。。
正面に見えるのが室堂山荘で、その背後に見えるのが雄山です。
いったん右手に折れて、右上のほうにある山の鞍部(一ノ越)へ登り、そこから雄山に登ります。
一ノ越から雄山への道にはまったく雪がなさそうですね。
右折して、一ノ越へ向かうルートがこちら。
トレースもしっかりあるし、ポールも立っていますので道はとてもわかりやすいです。
この道は、7月ぐらいまでは雪が残っていることが多いですね。。。
雄山は標高3000メートルを超える山ですが、室堂からだと片道2時間ぐらい(一ノ越までなら片道1時間)で登れてしまうため、登山装備でない観光客の方も夏になると大勢登られています。でも、この道は海の日連休ぐらいだとまだ雪があることも多いので、登山装備じゃないと危険じゃないかなあ、と心配になったりもしますね。
しかし、土曜日で、こんなにいい天気だというのになんて人が少ないんでしょう!幸せ!!
このあたりまではノーアイゼンで来ましたが、一ノ越の直前で少し急な登りがありましたので、念のためアイゼンを付けました。付けたほうが登りやすかったですけど、おそらく、なくても大丈夫そうな感じでしたね。
一ノ越に到着!
室堂から一時間弱と予定どおりの時間で来れました。
そんなに疲れてもいないので、アイゼンを外して身支度を整えたら雄山に向かいます。
一ノ越から眺めた雄山。
雪があるように見えますが、登山道は左側の尾根なのでまったく雪はなかったです。
少し上って振り返ってみると、一ノ越山荘で屋根に布団を干しているところが、見えました。山荘の背後には竜王だけ龍王岳と浄土山が見えますね。
写真だと伝わりにくいのですが、一ノ越から雄山への登山道はわりと急ですし、ガレていて足場も良くないので、スニーカーで上るのはとても危険です。
夏山シーズン中は、一ノ越まで比較的簡単に来れてしまうので「ここまで来たなら雄山に登頂しよう!」と、普通の靴で上ろうとする方が大勢いるのですけど、山岳警備隊の方に「登山装備じゃない方はこれより上には行かないで」と注意されていたりしますね。それでも、人数が多いので上っている方も大勢いますけど。。。
雄山への登山を考えている方は、登山装備を揃えろとは言いませんが、せめてトレッキングシューズを履いていかれることを強くおすすめします!断然上りやすいですから!!
雄山神社の社務所が見えてきました。けど、ここからまだけっこう登ります。
もうちょい!!
着きました!社務所はまだ閉まっています。
社務所の先、鳥居の奥にある祠のところが、本当の山頂です。
この奥ですね。
ただ、近くまで行ってみるとこの奥はロープがかかっていて立ち入れないようにしてあったので、我々は無理に上まで行かず、ここで記念写真を撮って帰ることに。
ロープを乗り越えて上まで行っている人もいましたけど、何度も登頂している山ですし……。神社の目の前で立入禁止区域に入るのってなんか嫌なんですよね。。。
登山道ではほとんど人に会いませんでしたが、山頂周辺には登山者もチラホラいました。
とても天気が良く、暖かい日でしたのでみなさん山頂で長居されていましたね。我々も周辺の写真を撮りまくります。
特に、室堂周辺を見下ろしたところと
背景に雲海や海が見えるところがいいんですよね。
それから、薬師岳や笠ヶ岳、槍ヶ岳や水晶岳など名山揃いのこちらの風景がすばらしくて。
私もL氏も、こちら側の山々にはけっこう登っているので、山座同定をして楽しみました。
「あれが笠ヶ岳だからその手前に見えるのが黒部五郎だよね?」
「え、じゃあ薬師はどれなの??鷲羽は?水晶は??」
みたいな感じで。
まったく同定に自信がないので、間違っていると恥ずかしいしこちらの写真への解説は控えます。。。
ちなみに、マネ会への寄稿記事の後半で、このときの山旅の写真を何枚か掲載しています。
今年の山旅の中ではかなり印象的だったんですよね。何しろ天気が良かったですし!
さて、景色を堪能したところで下山しますよ。
一ノ越までの道は、下りがこわいんですよねー。上りはまあ、スニーカーでもなんとかなるかもしれないけれど、下りは本当に滑ると思う。
滑りやすい道ではありますが、何度も通っているルートですので問題なく下ります。
あとは、室堂まで来た道を緩やかに下っていくだけ。
下りはアイゼンも付けず、滑るように気持ちよく下りて来ました。
緩やかな下りは、雪があると楽しい♪
室堂ターミナルまで戻ってきました。お疲れさまでした!
コインロッカーに入れた荷物を回収し、宿泊する「みくりが池温泉」に向かいます。
みくりが池周辺の雪も、新雪のころと比べるとだいぶ少なくなっていましたね。
今回は「登山のきろく」ということでここまで。
次回はみくりが池温泉での宿泊記を書きたいと思います。